2018年 12月 24日
聖母子が壁を彩る中世の村、ウンブリア カルヴィ
中世の町並みが今も残り、アーチが交錯する石造りの村は、素朴な風情があって、散歩が楽しかったです。
町の壁のそこかしこに、絵が描かれていて、題材は様々だったのですが、イエス・キリストの生誕場面やその喜びを描いた絵が多いように感じました。この絵に描かれているのは聖母子ではないのかもしれないのですが、他に聖家族や幼子イエスの生誕場面だとはっきり分かる絵が多いので、これも聖母子像ではないかと推測しています。
柔らかで繊細な画風と色づかいがすてきで、わたしが今回見かけた中で、一番好きな絵の一つです。思い出の中のいわさきちひろさんの絵とふと重なります。
この絵では、左に聖母子が、右手に聖フランチェスコが描かれています。聖フランチェスコの下に見えるのは、現代の男女でしょうか。
お釈迦さまではないので、生まれてすぐに立って歩いたわけではないと思うのですが、人々が集い敬う様子から、やはりイエス生誕の場面ではないかと考えられるのが、こちらの絵です。
この壁には、カルヴィの中心街の教会や門、そして、いくつかの町角が描かれています。イエス生誕場面の下に、中世の衣装をまとった人々の絵があり、この絵で人々の衣装や旗だけが、赤や青などの色を使って描かれているのが興味深いです。
住んでいる人も少なくないようで、通りやバールに人がいるものの、売りに出されている家や、こんなふうに壁や階段が崩れかけてしまっている場所もあります。
カルヴィの中心街は、高台の上にあるので見晴らしがよく、その崩れかけた壁がまるで額縁であるかのように、中に空や雲、緑の山がきれいに見えるのが、いいなと思いました。
この左手の壁にも、聖家族が描かれ、ここにはプレゼーペによく登場する牛とロバもいます。
色づかいがきれいなこちらの壁画は、画風が抽象的なのですが、これもやはりイエス生誕場面を描いているのではないかと思います。この絵の脇、そして下を通る石畳の道を
ずっと下って行ってから、ふり返って撮影したのが、この写真です。
坂道を下って行くと、右手には、こんな美しい風景が広がっていました。この日も、ドライブ中かなり長い間霧の中を走ったのですが、カルヴィからは、その霧の海を下方に見下ろすことができました。
そして、この坂道を下りきったところに、こちらの絵が描かれた壁がありました。この絵も、わたしが村で出会った最も好きな絵の一つです。光が青いので、朝日や夕日と言うよりは満月ではないかと思うのですが、美しいもの、美しい風景が見られる瞬間を、皆が楽しみにして、喜びと楽しみを静かに共有している、そんな絵であるようにわたしは感じました。
カルヴィを訪ねたのは、プレゼーペを見るためだったのに、そのプレゼーペは、見られなかったのですが、代わりに、やはりキリスト生誕場面を描いた壁画をあちこちに見つけながら、趣ある町角を散歩することができて、うれしかったです。
イタリアでは、クリスマスを前夜に祝う家庭も少なくないようですが、我が家では、クリスマス当日に、朝はミサに参列し、昼食を大家族皆で食べて、贈り物を交換します。
皆さんのクリスマスの1日が、どうかすてきなものでありますように。
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Buon Natale a tutti voi :-)
Foto: Murale di Calvi dell'Umbria (TR)
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