2019年 01月 25日
聖ベネデットの生地 ノルチャ、イタリア中部地震2年後の現状
カステッルッチョ・ディ・ノルチャから、峠を越えて、シビッリーニ山脈の西の斜面を下った下に広がる平野まで下って行くと、ノルチャの町があります。
ノルチャ(Norcia)は、西洋の修道会制度の基盤を築いた聖ベネデットの生地であり、また伝統的に豚肉を加工したサラミ類がおいしいことで知られる町です。2016年のイタリア中部地震では、ウンブリア州ペルージャ県のノルチャは、8月下旬に起こった規模の大きい地震の震源の一つでした。さらに、10月26日の地震でも、すべての地震の震源に近かったにも関わらず、犠牲者が出ず、倒壊する家屋も他の震源地に比べて少なかったため、1997年の地震後の再建がきちんとなされていたおかげだという言及が、一連の地震報道中にしばしばありました。
ところが、それまで度重なる自身に耐えてきたノルチャも、同年10月30日に発生したM6.5の地震で震源となり、多くの建造物が崩壊しました。そして、ヨーロッパの守護聖人でもある聖ベネデットの生家の上に築かれた、中心広場の聖ベネデット教会が、無残にも崩れ落ちてしまいました。西ローマ帝国の滅亡後、異民族の侵入などで混乱をきわめていたヨーロッパで、聖ベネデット修道会は、過去の文化遺産を後世に伝え、人々を助けて、地域に一定の秩序が保たれるように図り、大きな役割を果たしました。聖ベネデットがヨーロッパの守護聖人の一人とされているのは、そういう功績も考えてのことでしょう。ノルチャの聖ベネデット教会の崩壊は、そういう意味で単なる芸術的・歴史的建築物ではなく、魂・宗教・文化の源泉とも言える象徴的な場所が、今回の地震で崩壊してしまったということを意味します。
ノルチャの町には、今も倒壊した建造物があちこちにあるのですが、幸い、地震1年後の2017年の夏には、もう中心街に開店している店が多数あり、観光客も戻ってきていました。
昨年12月半ばには、2016年のイタリア中部地震の被災地となったノルチャ、カッシャ、カステッルッチョが深い雪に覆われたのですが、幸い仮設住宅の中は暖かく、雪や極寒をしのぐことができるとのことです。その後、気温が上がったものの、今年に入って、再び被災地では寒く雪の降る日が続き、再建やカステッルッチョの仮設住宅設置が遅れることが懸念されています。
再建は滞っていますが、被災地を支援しようという動きは続いています。たとえば、ノルチャからレオネッサまで、聖ベネデットの足跡をたどる巡礼路を、被災地を通って歩き、参加者が支払う金額が、被災地復興の資金となる被災地支援トレッキングが、今年の春にも計画されていて、すでに多くの人が参加を希望しているとのことです。被災地が忘れられないようにという心に、行政も重い腰を上げ、被災地の早期の復興・再建がかなうことを祈っています。
2016年イタリア中部地震は、被災地がラッツィオ州・ウンブリア州・マルケ州・アブルッツォ州の4州にわたっているのですが、日本では、よく知られた観光地であると共に、犠牲者の多かったラッツィオ州のアマトリーチェの被災状況がもっぱら伝えられているのではないかと思い、阪神・淡路大震災記念日を迎えてまもない日本の皆さんに、2016年の地震後のウンブリアの主な被災地の被害と現状について知っていただけたらと、この記事を書いてみました。
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Norcia, paese natale di San Benedetto due anni dopo il terremoto
Suggestiva la piana di Norcia con la neve,
ma ancora sono aperte e grandi le sue ferite del sisma.
Norcia (PG) 15/12/2018
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なおこさんも既にご存知の事と思いますが、日本の東日本大震災での復興財源捻出の為に、国会議員の歳費2割カットが導入され、その間は年収1750万円程でしたが、政権交代後に即座(2014年5月)に僅か3年で再び満額支給となり、今は議員一人あたり年収ベースで2200万円程らしいです。
さらにそれに加え非課税の手当(事務所費・秘書給与費・文書通信交通費など)が、別途4400万円程度「一人あたり計約6600万円×713人」が税金から支払われており、そして国家公務員に対しても給与増額が続いてます。
そして法人に課せられていた「復興特別法人税」も廃止となりましたが、個人の所得税には「復興税」が徴収され続けるおかしな事態が!
東日本大震災の後にも、北海道・熊本・大阪で震度6~7以上の大地震があり広い地域で人的被害はもちろん町が壊され、また13件もの集中防風豪雨災害などもあり10年も経たない短い期間で大きな災害が発生していますが、それら地域では復興が進んでいるとは言い難いのが現状です。
自分たちの懐に入れるお金を計算する時は好景気だと言い、国民を守る費用は財政難で捻出が苦しくなる・・・お金を取る時は「税収が少なくて財源が足りないから」と増税を繰り返し、約1ヶ月後には消費税増税も控えています。
怒りを通り越して虚しさが溢れてしまいます。
日本もイタリアも妙なところで同じだなと、暗澹とした思いになります。多すぎる国会議員とその給料や年金を減らし、腐敗政治を撲滅して国民に還元しようと訴えて連立政権の与党となった政党、五つ星運動が、過半数を得るには、極右で汚職の疑いが多々かけられている移民排斥、国粋主義気味の政党と組むこととなり、政治家は自らの特権をふりかざしたまま、国庫の財源がなかったり治安が悪化したのは移民のせいだという無責任かつ差別的な北部同盟の党首の発言に、移民や外国人への差別・偏見が強まる風潮があり、危機感を覚えていました。
日本や災害を受けた地域がそういう状態であるなら、なぜ暑い夏にオリンピックを開催しようというのか。イタリアでは昨夜五つ星運動が、人権や教育・環境を重んじる左派と組もうということとなり、なかなか意見の合致が見られず話し合いは今も難航しているようですが、どうかこの二党で一致点を見つけ、北部同盟が蔓延させた悪しき差別や偏見・憎悪の風潮を変えていってほしいものです。