2019年 02月 04日
福は内 UCI映画館じゃありません、イタリア
今年の節分は、というわけで、豆まきはせずに、大豆を料理して食べました。けれども、「鬼は外 福は内」という言葉だけは、大声で言って、災いを払い福を呼んだ方がよかろうと、以前にも夫には説明したことがあるのですが、節分について話したあとで、夫に言いました。
「さあ、わたしのあとについて言うのよ。鬼は外、福は内!」
夫がきょとんとして聞き返します。「映画館? (Cinema?)」
「映画は関係ありません。」
「でも、UCIって言ったよね。」
近年ペルージャ郊外にできた映画館の名前がUCI Cinemasで、ふだんは「UCI」と呼んでいるのですが、その発音がカタカナで表記すると、「ウーチ」なのです。UCIが、United Cinemas Internationalの略称で、イタリアだけではなくヨーロッパの他国にもあり、日本やブラジルに展開していたときもあるとは、今記事を書くにあたって調べて、初めて知りました。
イタリア語では、アルファベットで構成される略称を読む場合に、個々のアルファベットの文字を読み上げる代わりに、略称が一語の単語であるかのように発音する場合が少なくありません。たとえば、オレンジ、ニンジン、レモンを主原料とする飲み物は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが摂れるからと、このビタミンのアルファベットを取って、ACEと言うのですが、「ア・チ・エ」とアルファベットを一語ずつ読む代わりに、一単語であるかのように、「アーチェ」と発音しますし、Automobile Club d'Italia(イタリア自動車クラブ)を表すのに一般に使われる略称、ACIも「アーチ」と発音します。
ラテン語では、Cの発音はすべて/k/であり、日本語のカ行の子音と同じ音だったのですが、ラテン語からイタリア語に変容・発展していく過程で、cの次に来る母音が-i、-eであるときは、その発音に引きずられて、cの発音が変わり、ciは「チ」、ceは「チェ」と発音するようになったのです。さらに、イタリア語では、単語の強勢アクセントが終わりから二つ目の音節に置かれる場合が多く、その音節が母音で終わる場合には、母音が長音になるので、UCIは「ウーチ」、ACEは「アーチェ」、ACIは「アーチ」と発音するわけです。略語ではありませんが、ペルージーナのチョコレート、baciの発音が「バーチ」であるのもそのためです。正確に言うと、イタリア語のci、ceの子音や母音のuは、日本語と違って、唇を前に突き出すようにして発音する必要があり、母音の発音も口の開きや口の中での舌の位置が、日本語の母音とは違うのではありますが、ここでは、なぜ夫が「福は内」の「うち」をUCIと聞き取ったかが分かることに重点を置いて、説明しています。イタリア語では、母音の長短に単語の弁別機能がない、つまり、母音の長さが違っても、そのために単語の意味が変わってしまうことがないために、イタリア語を母語とする人には、「作家」と「サッカー」、「家」と「いいえ」を聞き分けるのが難しく、そのために、「うち」も「ウーチ」も、イタリア人の夫には同じ音に聞こえてしまうのでしょう。
UCI Cinemasの映画館の写真が見つからないので、映画館のカードを撮影しました。
UCIではなく「うち」で、豆まきの言葉は、「悪いことは外へ、よいことはうちの中へ」という意味だと説明してから、もう一度夫と二人で、「鬼は外 福は内」を大きい声で言いました。
節分と言えば、昨年は日本語の授業でも取り上げました。日本国際アカデミーの日本の節分についての説明がすばらしいのですが、わたしの生徒には難しすぎるかと、文字を大きく書いたプリントを作成して、語彙欄も添えました。
著作権に抵触しないように、こちらのページをもとに作成したプリントの一部だけを載せておきます。生徒さんが、思っていたよりも理解しながら読めることに自分でも驚いていたことを、懐かしく思い出しました。
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"Oni wa soto, fuku wa uchi!" (鬼は外 福は内)è una formula giapponese che vuol dire 'Il mostro fuori, la fortuna dentro' e si dice nel giorno di Setsubun (il 3 febbraio nel 2019) spargendo in casa i chicchi di soia per per cacciare via il male e invitare la felicità.
Volevo dire questa formula insieme a mio marito, ma dopo avermi sentito, mi chiede: "Cinema?"
La parola finale della formula, uchi(内)vuol dire 'dentro' e questa trascrizione del giapponese in lettere latine si pronuncia come 'uci' e vicino a casa nostra c'è l'UCI Cinemas. Comunque, ho spiegato il significato della formula a mio marito e l'abbiamo detta insieme.
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関連記事へのリンク
- 憂鬱も風邪も飛んでけ鬼は外、イタリアで日本語学習 (5/2/2018)
日本でも習慣をイタリアでも実行されているなおこさんは、素敵です~☆
イタリア人の御主人さまも鬼は外~福は内~と一緒に大きな声で参加されたとは微笑ましいです(^^♪
日本で今売られている節分用大豆は、凄く柔らかく加工されていてそのまんま食べられるのです、昔は固かった!と言いながら夫と一緒に食べましたよ~(笑)
添えようとしていたら、昨年の記事が見つかったので、リンクを追加しました。
みんなで大声を出して、「鬼は外福は内」と、他言語の多くの生徒さんや先生方とも
いっしょに言うと、気分が何だかすっきりして、病原菌も憂鬱も吹き飛ぶようで、
皆が笑顔になったことを、過去記事を読んで思い出しました。
アリスさんは日本でも固い節分用の豆を食べたことがおありなんですね! 昔は
固かったとは知りませんでした。わたしが最後に食べたのは2002年だと思うの
ですが、その柔らかい豆に慣れているので、大豆が殊更に固く感じられたのかも
しれません。
すっかりやらなくなってしまいました。
それにしても、この節分についての日本語の説明文は難しいですよね。。。イタリア人の生徒さんがかなり理解されたというのはすごいです!!きっと、へーー、日本にはそういう季節の行事があるんだ!と面白く感じられたことと思いますよ。私がクロウタドリの話をとても楽しく読んだのと同じように。
昨日は春のような1日だったのに、今日はまた真冬に逆戻り。。行ったり来たりでそのうち春はやって来ます。
今年は小さなテトラ型のプラスチックに豆を詰めてあるのを
撒きました。屋外は 袋から出しておいたので
鳥たちが食べてくれることでしょう。
室内に豆をまくと 回収が大変だし 踏みつけたりもするので この容器入りのは便利です。
お寿司も作りましたが まるかぶりすると喉につまりそうなので カットしました。
日本語の生徒さんに、日本の伝統行事は説明するのに、
子ども達が大きくなったせいか、豆撒きをしなくなって久しいです。
それでも、恵方巻きは今年も食べましたよ。
夫の母は、節分には鰯を焼き、その頭を柊の枝に
刺して、魔除にしていました。
鰯の語源は「弱し(よわし」「卑し(いやし」で、鰯には独特の臭いがありますよね。
昔から、魔除には、臭いのきついものや尖ったものが使われたとか・・・
なので、鰯と柊を飾ることで魔除にしたようです。
日本でも寒さが戻ったんですね! ペルージャでも悪天候で気温が高かった週末の後は、北風が吹き荒れて気温がまた下がりました。
食べるものが見つかりにくい冬の思いがけないごちそう、鳥たちも
喜んでいたことでしょう。
お寿司は、切った方が食べやすいし、おいしさをきちんと味わえそうな
気が、わたしもします。
興味深く思われたのではないでしょうか。
恵方巻き、タワラジェンヌさんの地方では、以前から食べられているんですね。
鰯の風習もどなたかから聞いたことがあります。同じ日を祝うにも、
地域や家庭によってそれぞれで、それがまたいいですよね。