2019年 02月 16日
モンテカッシーノ修道院と聖ベネデット
実際には、修道院内にいたのは修道士と民間人だけであったのに、この爆撃によって多くの人命が失われ、重要な文化遺産である修道院が崩壊してから、昨日がちょうど75年目の記念日であったため、昨晩、イタリアの歴史専門チャンネルで、このモンテカッシーノ修道院への爆撃について、放映がありました。
修道院への爆撃については、約15年前に、ペルージャ外国人大学の歴史の授業でも学んだことがあります。
2013年5月に、聖ベネデットの足跡を追って、夫や友人たちと巡礼をしたときに、その最終目的地が、このモンテカッシーノ修道院でした。そのときに、すでにムッソリーニが失脚し連合軍に降伏していたイタリアの味方であったはずの英米軍が、どうして修道院を爆破したのかを、改めて疑問に思ったこともあり、番組を見ることにしました。
写真は、山の上に建つモンテカッシーノ修道院からカッシーノへと坂道を下る途中に、カッシーノの町を撮影したものです。昨晩の番組を見て、山あいのこの美しい町が、第二次世界大戦中に破壊され、多くの人が命を落としたことを知り、改めて戦争の残虐さを思いました。番組では、米軍は修道院の爆撃には反対だったのだけれども、戦争を早く終結しようとしていた英軍が押し切ったようだと解説していました。また、ドイツ語で修道院長を意味する言葉を、盗聴していた連合軍側が司令官を意味する語と聞き違えた可能性もあるとも言っていました。
昨日、この放映を見て、2013年5月の聖ベネデット巡礼を思い出していた、その翌日である今日、カトリック教会チャンネルであるTv2000(28ch)の番組が、聖ベネデットを取り上げると知ったので、迷わず見ることにしました。
聖ベネデットは双子の姉妹である聖スコラスティカと共に、ノルチャに生まれ、2016年のイタリア中部地震で、正面を残して崩壊してしまったノルチャの聖ベネデット教会は、二人の生家の上に築かれました。
写真は、地震前に撮影したノルチャの聖ベネデットの像と聖ベネデット教会です。聖ベネデットの足跡を追う巡礼路には、いろいろあるのですが、わたしたちが歩いた聖ベネデット巡礼(Cammino di San Benedetto)は、本来は出発地点がこのノルチャでした。ところが、友人の一人が仕事で、2週間もは抜けられないからと、わたしたちは、
ローマ県の町、スビアーコの聖ベネデット修道院から出発しました。写真はけれども、その巡礼のときではなく、夫とわたしが初めてスビアーコを訪ねた2009年12月に撮影したものです。巡礼の日は雨が降っていた上、背には重いリュックを背負っていたため、写真をゆっくり撮る余裕がありませんでした。
聖ベネデットはウンブリアのノルチャの出身であり、ベネデット派(ベネディクト派)の修道院は、これまでイタリア各地やフランスで、数多く訪ねています。さらに、歴史の授業やイタリア語文献学の授業でも、ベネディクト派をはじめとする修道会が、西ローマ帝国崩壊後の混乱の中で、いかに社会に貢献したか学んだこともあり、聖ベネデットとベネデット会について様々な専門家から話が聞ける講演会に参加したこともあります。ですから、聖ベネデットについては、わたしもよく知っているはずなのですが、その知っていることが、ちょうど完成させたいパズルの絵の肝心なそこかしこのピースが欠けているのに似て、部分的な知識や情報の寄せ集めである、そういう印象を自分で抱いていました。
今夜の番組は、ですから非常に興味深かったです。
シエナ県のモンテ・オリヴェート・マッジョーレ修道院は、聖ベネデットの人生を語る美しい壁画が回廊に描かれていて、わたしたちも何度か訪ねたことがあるのですが、
今夜の番組では、聖ベネデットの人生を語るのに、この回廊の壁画を使っていました。おかげで、聖ベネデットの人生の軌跡と共に、壁画の内容についても、おさらいをすることができました。また、様々なベネデット派修道会が、どこでいつ頃、どういう経緯で創設されたかも分かり、興味深かったです。
モンテカッシーノ修道院では、絵入りの聖ベネデットの人生を語る本を、モンテ・オリヴェート・マッジョーレ修道院では、壁画も写真つきで詳しく解説している修道院の観光案内所を、訪ねた数年前に購入したきりなので、いつか機会を見つけて、読んでみたいと思いました。
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Le Storie di San Benedetto,
affreschi del chiostro dell'Abbazia di Monte Oliveto Maggiore, Asciano (SI) 5/12/2014
Alla tv venerdì "Il bombardamento di Montecassino su Rai Storia,
sabato "San Benedetto da Norcia e Ezzelino da Romano" su Tv2000.
Ho visto entrambi, sentendo le atrocità delle guerre e
ricordando il Cammino di San Benedetto del maggio 2013.
Abbiamo camminato da Subiaco a Montecassino con amiche.
I due programmi mi hanno aiutato a conoscere di più e ricordarmi
sulla vita di San Benedetto e su diversi ordini benedettini.
Nell'articolo le foto anche di Montecassino, Cassino e Subiaco.
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529年に築かれた建物が残っていたらと残念に思います^^;
ちょっと違うけど、日本の岡山城や広島城も国宝だったのに、戦争で壊されてしまい残念に思います^^;
べネディット会やべネデット派の修道院のことはあまり知りませんでしたが、立派な修道院があるのですね~
ローマ県のべネデット修道院の建物、凄い場所に立っていて驚きました!
確かに巡礼の時は、写真を撮られる余裕はないと思います!
ヨ―ロッパを旅していて巡礼者に会ったことがありますが、皆様凄い装備で大変そうでした^^;
最後から2枚目のシエナ県のモンテ・オリヴェート・マッジョーレ修道院の回廊が素晴らしいですね☆
何時の日か機会があれば是非訪ねてみたいと思います♪
第二次世界大戦中に破壊された修道院は、1349年の地震後、1366年に再建され、
18世紀に大がかりな改装工事が施されたものだそうです。
歴史番組では、爆撃された修道院は18世紀のものと言い、聖ベネデットを語る番組では、
6世紀の間事なきを得ていた修道院をと言っていたので、どちらが本当だろうと思って
調べてみたら、そういう経緯があったようです。
スビアーコには、若き聖ベネデットが俗世から遠く離れた隠遁の日々を過ごした岩壁内の
洞窟、Sacro Speco(直訳は「聖なる洞窟」)があり、後世に、その洞窟を包みこむように、
修道院が建造されました。
アリスさんもヨーロッパ旅行中に、巡礼する人々を見かけたことがあるんですね!
モンテ・オリヴェート・マッジョーレ修道院は、回廊のマザッチョの壁画がことに美しい修道院で、
さらに、取り扱う薬草など昔からの方法をもとに作ったクリームや薬用酒などの種類が、他の修道院
に比べてかなり豊富だという印象を受けました。機会があれば、ぜひ訪ねてみてください♪