2009年 05月 13日
第8号(1)「天気のイタリア語、イタリアの天気予報サイトの使い方」
先週は天気が不安定で、暖かい日が続いたと思ったら急に雹(grandine)が降ったりしていました。大学での日本語の授業中にも、晴れ間が見えていたと思ったら、いきなり大雨が降り出したので、それを機会に「大雨」という言葉を教えました。“Sapete come si dice in giapponese quando piove in questo modo?(黒板に「大雨」と漢字で書いて)Potete leggere questa parola?”「大きい」と「雨」はすでに習った漢字なので、すぐに「おおあめ」と答えた学生がいました。
イタリア人には天気に気分や健康が左右される人が妙に多いように思います。単に天気が悪いから気が滅入るという人もいれば、うちの夫や夫の伯父の一人のように、季節の変わり目や雨が続く日に、頭痛や体調不良、風邪に見舞われるなどという人の話もよく聞きます。そういえば、何年か前に「イタリア人は天気予報(previsone del tempo、meteo)を非常に気にする国民だ」というニュースを聞いたことがあります。日本だと「洗濯をするかしないか」、「子供の遠足・運動会」、「傘がいるかいらないか」という理由で天気予報を見る場合が多いかと思いますが、イタリアでは、それに加えて「週末に海や山に行けるかどうか」というのが天気予報を確かめる主な動機の一つではないかと思います。話は変わりますが、tempoという言葉が「時」も「天気」も意味するというのがおもしろいですね。
さて、雹の話に戻りますが、菜園(orto)にサラダ菜(insalata)を植えたばかりのお義父さんは、寒さ(freddo)と雹のためにサラダ菜が育たないのではないかと心配しています。夫にもしてもお義父さんにしても、気候が暖かくなるのを待ちに待って、ようやくサラダ菜を植えたり、植物の鉢(vasi delle piante)を温室(serra)から運び出したりしたところだったので、がっかりしていました。
「Quarto aprilante, quaranta di durante とことわざにもあるように、4月4日の天気がその後40日間の天気の目安になるのだけれど、今年は4月4日の天気が晴れたり降ったり不安定だったから、5月10~15日までは、まだまだ『好天に恵まれる季節が来た』とは安心できない」と、ミニバスの運転手、サーラも言っていました。
手持ちの伊伊辞典、『Lo Zingarelli』では、このことわざはaprilanteの項にあります。イタリアに来てからこのことわざを聞いたことは何度もありましたが、辞書で確認したのは今回が初めてです。
「aprilanteは形容詞(aggettivo)で、di aprile(4月の)という意味だけれども、次のことわざの中でしか使われない」と前置きして、ことわざの説明があります。aprilanteという言葉の最初の出典が1602年ですから、長い間にわたる民衆の知恵、言い伝えなのでしょう。
Terzo (o quarto) aprilante, quaranta dì durante, cioè com’è il terzo (o il quarto) giorno di aprile, così sarà il tempo per i quaranta giorni che seguono.
「4月3日(もしくは4日)は40日間続く。つまり、4月3日(または4日)に続く40日間の天気(tempo)は、4月3日(4日)の天気と同じはずだ。」
辞書にはTerzo (o quarto) aprilanteとありますが、今までわたしはQuarto aprilante, quaranta di duranteしか聞いたことがありません。今まで主に過ごしてきたのが、ウンブリア州とマルケ州で、この2州で「4月4日」と聞いたからでしょうか。個人的には、Quartoで始まる方が、後のquarantaと頭韻を踏むので響きがいいし、語彙も数字の4(イタリア語ではquattro)に関連する言葉で統一されるからではないかと推測しています。 と言うのは、意味を見ますと、quartoは順序数詞で「第4(の)」、aprileは「4月」、quaranta は数字の「40」だからです。日常生活では、quartoという単語は4分の1という意味で使うことが多く、わたしと夫が外食するときにはたいていun quarto di vino rosso(1/4リットルの赤ワイン)を頼んでいます。
さて、天気についてですが、次のイタリア語のサイトで、世界全国の2週間先までの天気予報を無料で見ることができます。
- 3BMeteo.com - Meteo e Previsioni del tempo in Italia
- IL Meteo.it - Meteo e previsione del tempo in Italia
- Meteolive.it - Previsioni meteo, previsioni del tempo in Italia
ただし、2日以上先の天気予報は正確にはできないと、気象予報士がテレビで言うのを聞いたことがあります。
いずれのサイトのホームページでも、上部にある検索窓に、天気予報を調べたい市町村の名前を記入すると、その市町村のこの先1〜2週間の予報を見ることができます。
また、予報が正確だと評価が高いのは3BMeteo.comですが、IL Meteo.itとMeteolive.itでは、
場所、地域(località)として、市町村(comune)だけではなく、国(nazione)や州(regione)の名前でも検索することが可能です。
最高気温と最低気温の予報もあるので、たとえばイタリアや外国の他の町に旅行する際に、どんな洋服を持っていけばよいかの目安になるので助かります。
天気予報サイトの表にはmercoledì「水曜日」をmerなど、曜日が省略形で表示しています。そして、予報を知りたい日のアイコンをクリックすると、当日の3時間おきの天気予報も知ることができます。この3時間ごとの天気予報には、予想気温や私たちが体で感じる気温がどのくらいか(temperatura percepita)や風(vento)の強さまで表示されているので、洗濯物を干すか干さないか、夜間の外出に傘やコートが必要かどうかなどの目安になってとても便利です。
イタリア語で天気がよいときにはFa bel tempo / Il tempo e bello、逆に悪いときはFa brutto tempo / Il tempo e bruttoと言います。上記のサイトでは形容詞・過去分詞を使って、晴天の場合はsereno、曇りの場合はcoperto「曇った、曇天の」と記しています。「雲」と言うのにnubeという言葉が使われることがありますが、毎日の生活でよく使うのはnuvolaという言葉です。また、この時期に多いのは、pioggia「雨」の中でも、temporale「雷雨」やrovesci di pioggia「豪雨」です。以上の語義には、小学館の『伊和中辞典』を参照しています。
敬愛するカテリン・カテリーノフ先生もよく授業中おっしゃっていましたが、イタリアのテレビニュースでは天気が悪いとか雨が降るというときに、Fa brutto tempoとか Piove(英語のit rainsにあたる表現で「雨が降る」という意味です。ちなみに名詞の雨はpioggiaです。)という分かりやすい言葉を使わず、妙に回りくどい言い方をする場合が多いです。La perturbazione interessera ...「気圧の変動が…に影響を与えるでしょう」と言ったかと思えば、acquazzone「どしゃ降り」やprecipitazione atmosferica「降水」など、妙に難しい言葉を使ったりするのです。晴れ・くもり・雨のマークがテレビの画面にあるので救われますが、イタリア人でも耳で聞いただけではすぐに理解できないような言い回しを使っている場合が多々あります。
さて、まだ5月13日ですから、「春が来た」と気を抜くわけにはいきませんが、あたりを見回すと、春の訪れを感じさせるものがたくさんあります。細い緑の枝に鮮やかな黄色い花が咲き始めたエニシダ(ginestra)が、住宅街の庭や山道を彩っています。
エニシダの黄色い花の横には、薄桃色の野バラ(rosa selvatica)、イヌバラ(rosa canina)が小さい花を誇らしげにたくさん咲かせていることがよくあります。5月の山道を歩くと、 あちこちに咲き乱れるこの黄色と薄桃色の花々に圧倒されます。
4月の末から5月にかけては、野生のアスパラガス(asparagi selvatici)が野山のあちこちに姿を見せ始める季節でもあります。先週はお義父さんが近くの野山にアスパラガスを探しに行き、バケツ1杯に収まらないほどのたくさんのアスパラガスを摘んで帰ってきました。少し苦めの独特の味がおいしくて、我が家では、卵でとじて炒り卵(frittata)にしたり、パスタの具として食べたりしておます。去年は私と夫も、何度か野生のアスパラガス探しに野山に出かけて、たくさん収穫したのですが、今年は仕事に追われたり、週末に雨が降ったりで、大きな収穫をしていません。でも、おとといの日曜日に夫と二人でうちの近所を散歩したとき、道の傍らに幾つか見つけたので、翌日の月曜日にはサルシッチャ(salsiccia)やトマト、玉ねぎと一緒にフライパンで炒めて、パスタの具にしていただきました。
ペルージャ郊外にある我が家は、サッカーの競技場(stadio)に比較的近いのですが、競技場周辺にはポプラ(pioppo)並木があります。春になると、ポプラが白い綿に包まれた種(seme)を風にのせてあちこちにまき散らすため、競技場の近くでは道路が雪が積もったように真っ白になり、家の中でも、風の向きに気をつけていないと、空いた窓からこの白い綿がたくさん入ってきて、床が真っ白になったりします。
さらに郊外へと足を運ぶと、麦畑(campo di grano)では、緑の麦の間から真っ赤なヒナゲシ (papavero)の花がいくつも顔を出していて、この緑と赤の対照も春、そしてやがて来る夏の訪れを感じさせるものの一つです。ペルージャの町のあちこちを飛び回るツバメ(rondine)やアマツバメ(rondone)の姿が、暖かい季節の訪れを告げるものであることは言うまでもないことですが。
(記事が長いために、エキサイトブログでは第8号をすべて一度に投稿することができないため、分割して投稿します。)
*2019年5月追記: ヤフージオシティーズのサービス終了のため、現在、このブログにバックナンバーを少しずつ移動中です。詳しくは第119号の二つ目の記事をご覧ください。
先週まではバックナンバーを覗いていたので、
期せずして同じ記事を読み比べたりできました。
移行後のほうが、きれいな蔵出し写真が入っていたりして
いっそう楽しく、分かりやすく、心に残るようになっていますね!
どうぞ根を詰め過ぎず、ぼちぼちと作業してください。
この応援コメントは、しおり代わりです。
どうぞお構いなく♪
ていねいにお読みくださり、ありがとうございます。
自分であれこれ形式なども考えなければいけないジオシティーズよりも、
自由は利かないものの、記事の字の大きさや色を指定しやすく、
写真も挿入が楽なので助かっています。
10年も経つと、リンクが無効になっていたり、状況が変わっていたりすることも
あるので、以後はサイト維持のために毎月500円を払わずに済むことも考えると、
全体の見直しも必要な時期で、ちょうどよかったかもしれないと思います。
温かいお言葉、ありがとうございます♪