イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

イタリアでの留学・旅行をお考えの方へ1

1. 現代イタリアの抱える問題点

 日本では、食・美術・音楽・景観・歴史・ファッションなど、イタリア文化の様々な側面への興味を持つ人が多く、イタリアの生活の様子やイタリア人の生き方に魅かれて、イタリアを旅行したい、あるいは、留学してみたい、暮らしてみたい、と考える方がたくさんいらっしゃるようです。

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Eventi per fotoblogger a Firenze 19/10/2013

 ただ、日本のマス・メディアやイタリア関係者がイタリアのすばらしい面ばかりを取り上げがちなので、確かにイタリアにもいい面はたくさんあるのですが、たとえば若者の就職難や、ここ数年の間の治安の悪化・犯罪の増加、移民に対する偏見や差別の増長、政治の腐敗、公共機関などのサービスの悪さ、バス・電車・飛行機の遅延・ストライキなど、生活したり旅行したりする上でも行き当たる問題点もたくさんあります。

 憧れに夢を高鳴らせて、イタリアに長期留学しよう・大学はイタリアで・イタリアで永住したいと考えられて、思い切って進路を選択してしまってから、イタリアの現実を知り、理想と現実の落差に驚き、人生の選択を悔やむことになっては残念です。また、イタリアでは大学を出ても安定した仕事を見つけられない若者が大勢いる上に、中年になって何年も同じ職場で働きながらその職場に終身雇用されない人もたくさんいます。イタリアでは給料の平均が日本に比べて低く、この数年給料は変わらないのに、物価や家賃だけは上がったために、生活していくのも生易しいことではありません。

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 そういうわけで、イタリアでの長期留学・大学留学・就職や永住を夢見ている人にも、ぜひ一度、実際にイタリアに生活してみて、本当に自分が長い間住んでみたい場所であるかどうかを確かめてみてください。イタリアは歴史的な経緯もあって、地方によって食文化も違えば、人々の気質や生活も変わってきます。一つの町に1か月なり半年なり腰を落ち着けながら、週末などにあちこちを旅行して、イタリアのさまざまな地方の暮らしや文化・人々にじかに接してみてください。イタリアには、食文化や芸術の豊かさ、自然や歴史的建造物・中世の街並みの保存・人々の人生を楽しもうとする姿勢など、魅力あるところもたくさんありますが、日本で生活の便利さや至れり尽くせりのサービス(定刻に来る列車や丁重に対応してくれる店員・銀行員、呼んだらすぐ来てくれる技師など)に慣れてしまっている日本人には、腹が立ったりあきれたりするようなこともしばしばあります。長い間暮らそうと思う土地を決めるのは、ちょうど結婚相手を決めるようなものです。いいうわさだけ聞いて、外見だけに魅かれて、すぐに決断するのではなく、まずは相手をよく知って見きわめることが大切で、最後の決断はそれからでも遅くはありません。私もイタリア人の夫と結婚することにならなければ、確かにイタリアはすばらしい国でもありますが、大学を卒業後は帰国するつもりでいました。

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(*2019年4月追記: この記事の写真は、2013年にブロガーとしてフィレンツェに招待されたときに撮影したものです。ドゥオーモのテラスなど、当時は一般には公開されていなかった場所などを、この日は特別にガイドの説明つきで訪ねることができました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
 この「イタリア留学・旅行をお考えの方へ」の記事は、先月末、2019年3月末にヤフージオシティーズのサイトサービス中止のために、かつてはイタリア語学習サイトに載せていた2009年夏の記事を、このブログに移したものです。紹介している本が古いのは、そのためですが、オンライン情報が豊富な今も、経験を積んだ編集者の手を経てできた本でこそ、誰もが情報を載せられるインターネットよりも、限られた紙面で充実した確かな情報を得やすい面があると思い、今にも通じる内容が多いと思いますので、ほぼ手を加えずに、ここに再度ご紹介します。それぞれの語学学校の情報自体は、授業料などが変わっているために、学校自体のサイトで調べ直す必要があるものの、様々な方の留学経験やその後の仕事、入学の申し込み手続きや留学準備の方法など、分かりやすくまとめてあり、今も参考にできることが多いと判断しました。)


2. 留学・旅行に役立つ本

 留学しようかどうか考えている方、そして、すでに留学することに決めた方にも是非読んでいただきたいのが『地球の歩き方 成功する留学 イタリア留学』です。残念ながら最新版が2003・2004年と少し情報が古くなっていますが、留学の形態から留学後の就職の問題、さまざまな学校の紹介から留学にかかる費用の例、学校の選び方から宿の探し方など、留学を決める前にも、また留学をしている最中にも、非常に役立つ情報が満載です。イタリアに行こうと考えていらっしゃる方の中には、長期の留学を考えていて、そのために退職をしなければいけない場合もあると思います。

           
『成功する留学 イタリア留学 2003-2004』 『成功する留学 イタリア留学 2001-2002』

「敵を知り己を知れば百戦すれど危うからず」とは言いますが、人生で大きな決断を下す前に、まず「イタリアに留学する」ということがどういうことかを十分知るためにも、有益な情報がぎっしりつまった、よくできた本だと思います。留学相談ができるセンターに行ったり、経験者の話を聞いたりしても、あるいはインターネットで検索しても、時間がかかる割には全体像が見えてこなかったり、ごく一部の人の体験だけしか分からなかったりします。この本では、イタリアの様々な地域の様々な学校に留学した方の留学中・または留学後の体験談もあり、学校・滞在先の選択から現在の職業に至るまで、たくさんの情報が豊富に偏りなく(留学でいい経験をした例だけでなく、失敗談も多くあります)挙げてあり、よくも1冊にこれだけ役に立つことばかり上手にまとめられたものだと感心するくらいです。留学を考えている方は是非1冊手にとって、毎日できるだけたくさんのページに目を通してみてください。
                   
 ちなみに、私が2002年に退職してイタリアへの留学を決めた際に、購入してイタリアへも携帯したのは一つ古い版の2001・2002年版です。現在、私は2003・2004年版も持っていますが、これはマルケ州の語学学校に滞在していたときに校長から頼まれて自分の体験を書いたら、それがこの最新版に採用されたので、執筆者として一部無料でいただいたからです。(ちなみに私の体験談は291ページにあります。)この2冊を読み比べてみると、体験談などで新しいものと置き換えられたものがかなりあり、最新版には前の版にはなかった情報も加わっています。ただし、2001・2002年版にはペルージャとシエナの外国人大学の語学コースの詳しい説明と私立の語学学校94校の詳しいデータ(コースの概要、生徒の人数、日本人生徒の体験談など)があったのに対し、2003・2004年版では、外国人大学のコースについては詳しい情報がなく、私立校も76校と数が少なくなってきています。ですから、単に短期の留学をしようと考えられる方は最新版1冊でもいいのですが、「退職して…」と考えている方には、古本屋でも図書館でも構いませんから、2001・2002年版に目を通されることをお勧めします。さまざまな方の30ページ以上にも渡る留学の体験が書かれていて、最新版で読むよりも、さらに多くの人の実際の体験を知ることもできるからです。

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 では、そうやってイタリアへの留学や旅行を決心されたあと、どのように留学先や旅行先を決めたらよいのでしょうか。先も述べましたように、イタリアは1861年までは様々な国に分かれており、またその幾つかが長い間に渡ってフランスやスペイン、オーストリアなどの外国の支配下にあったこともあり、建築物も食文化も人々の気質や暮らしぶりも、地域によってかなり差があります。よく旅行会社がツアーに組み込んでいる定番のフィレンツェ・ローマ・ヴェネツィア・ミラノなどを訪ねたい、そこで暮らしてみたいとお考えの方も多いと思うのですが、もし個人で旅行される場合は、あるいはツアーでどこに行こうかと決断される前にも、私は『地球の歩き方 イタリア』を1冊購入し、写真の豊富なページをめくりながら、自分が訪れてみたいところ、住んでみたいところをじっくり決めてみることをお勧めします。

               
『地球の歩き方 イタリア』  『Lonely Planet Italy』  『DK Eyewitness Italy』

 たとえば外国の方が日本を訪れるのに、有名な東京・京都・大阪だけを1週間で回るような旅程を立てていると聞かれたらどう思われますか。期間が短いのに、無理に長距離の旅行をして時間を無駄にせず、京都に近い奈良や大阪などの観光地をじっくり訪れた方が、移動に時間や体力を費やさずに、ゆっくりと旅を楽しむことができると思います。イタリアでもそれは同じで、確かに「一生に一度の機会」ならそれでも構いませんが、わたしはあまり一度に欲張らずに、たとえばイタリア中部ならイタリア中部で、ローマ・シエナ・フィレンツェ・ペルージャなど近郊の町をじっくり訪れて回った方がいいような気がします。好みは人それぞれですが、たとえツアーで旅行に出るつもりであっても、一度ガイドブックを手に取ってみた方が、本当に自分の行ってみたいところやしてみたいことが見えてくると思います。もちろんツアー中のフリーの時間に何ができるか、どこを訪れたいかの参考にもなりますし、各地のおいしい特産の料理などが分かるので、レストランで自分たちで注文しなければいけないときに助かります。もちろん自分が実際に個人で旅行するのに役立つ情報もたくさんあります。よくあるメニューのイタリア語での一覧やイタリアの美術史の概観、防犯対策など、便利な情報が多くて、本当によくできているなと思います。ホテルも値段に幅のあるところが読者の感想とともに挙げてあるので助かりますし、留学を検討されている方も、一冊持っておかれると、留学先で旅行される際にも重宝すると思います。

 旅行のガイドブックとしては、個人旅行を考えていらっしゃる方で、英語のできる人には、Lonely PlanetあるいはDKの英語で書かれたイタリアのガイドブックをお勧めします。実は、私とイタリア人の夫が外国(イタリアと日本以外の国)へ旅行するときは、たいていこの2社のイタリア語版を両方購入しています。2年前にサルデーニャに行ったときは、やはりこの2冊のイタリア語版のサルデーニャのガイドブックを両方とも買いました。

 記事、「イタリアでの留学・旅行をお考えの方へ2」に続きます。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2009-07-01 12:00 | Toscana | Trackback | Comments(0)