2019年 04月 19日
聖金曜日とマルケ教会のフレスコ画
Questa sera #19aprile alle 21.00 in diretta in Mondovisione il tradizionale Rito della #ViaCrucis e domenica #21aprile alle 9.55 la Santa Messa di #Pasqua #Rai1 pic.twitter.com/dGcYAKSbjm
— Rai1 (@RaiUno) 2019年4月19日
近年では、イタリア司教協議会(CEI、Conferenza Episcopale Italiana)が管理するカトリック教色の強いチャンネル、Tv2000があって、ミサやロザリオの放映を中心に、毎日放映が行われているのですが、それでも、今夜バチカンとコロッセオで教皇フランチェスコが行なった聖金曜日の儀式は、Tv2000だけではなく、Rai1でも放映されていました。
おもしろいなと思ったのは、教会離れが進んでいるとは言え、カトリック教徒が多いイタリアの公共放送局の歴史チャンネルで、聖金曜日である今晩、キリストの最後の日々について歴史的に検証するという番組も、放映されたことです。
Le lacune biografiche e le discordanze tra i Vangeli sinottici e il Vangelo di Giovanni rendono difficile ricostruire la vicenda di Gesù, soprattutto per la passione e la morte.
— Rai Storia (@RaiStoria) 2019年4月19日
Con #AlessandroBarbero #19aprile #PassatoePresente 13:15 @RaiTre e 20:30 #RaiStoria @PaoloMieli pic.twitter.com/NBRGSfcdSh
わたしが今晩見たのは、この歴史番組です。遠藤周作氏の『イエスの生涯』を読んだのは、もう30年近く前ですが、描かれた心の葛藤や情景などを、今も覚えていますし、夫と教会のミサで、キリストの受難を語る聖書の言葉を、会場の皆と共に朗読したことも何度もあります。どの文献を聖書に入れるか入れないかなどにも、すでに教会の意向が色濃く反映されていることを知っていたので、聖書以外の歴史的文献や証言、当時の歴史的状況を考慮に入れて、イエス最後の日々がどうであったかを再構築しようとする今夜の番組が、興味深かったです。
義父母が若い頃は、金曜日は1年中、肉食を断っていたそうなのですが、今では、信仰心の篤い義父母でも、肉食を断つのは、聖金曜日も含む四旬節中の金曜日や、クリスマスなど主な祝祭日の前夜だけになっています。約10年前に、シエナの教会で、四旬節中のミサに夫と参加したときにも、ミサを行う神父が、「普段の金曜日には肉を食べても構わないけれども、四旬節中の金曜日や聖金曜日には、決して食べてはいけない」と、説教で言っていました。ちなみに、このときシエナにわたしが住んでいたのは、シエナ外国人大学の大学院に通うためで、この大学院の最後の授業が終わる頃に、仲間たちと打ち上げの夕食会をしたとき、それがたまたま聖金曜日で、かつ、大学院生仲間は、わたし以外は皆イタリア人でカトリック教徒だったのですが、その晩は皆、肉を食べていました。ただ、食事の後に話をしていて、もし聖金曜日だということに気づいていたら、肉食は避けるつもりだった人が多いらしいことが分かりました。わたしはカトリック教徒ではないのですが、夫につきあって、今日は肉食は避けました。と言っても、健康のためにも、日頃から肉は週に2、3度食べるかどうかというところなのではありますが。

聖金曜日ということで、2週間前にマルケ州の村、チンゴリ(Cingoli)の聖エスペランツィオ教会で見た、キリストの受難と死を描いたフレスコ画の写真をご紹介します。
左端に描かれた十字架のイエスは16世紀、上部に描かれたピエタは、15世紀のフレスコ画だそうです。(詳しくはこちら)

色遣いの美しいこのフレスコ画も、15世紀に描かれたようです。

装飾も歴史も興味深い教会ですので、またいつかゆっくりとご紹介できたらと考えています。
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Affreschi della Chiesa di Sant'Esuperanzio, Cingoli (MC)
A destra, Crocefisso, XVI sec., in alto, La Pietà, XV seco.
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> 教会離れが進んでいるとは言え、カトリック教徒が多いイタリア
楽しみの一つのBSTV番組に『イタリアの小さな村』というのがあります。
毎回小さな村に住むごく普通の、平凡な人々に焦点を当て、
その人の今までの人生や物の考え方、日常生活などを映し出しています。
一番日本人と違うところは、カソリックの教えが、人々の日常生活や物事の考え方、
行動の基礎となっているところだといつも思っています。
この番組、きっとご存知ないでしょうね。
でも、私のイタリア感がぐっと変わったのです。
本当の(?)イタリア(人)を知るにはいい番組ですよ。
今日のお話、いつにもまして興味深く拝読させていただきました。やはりイタリアでは教皇による聖金曜日の儀式が放映されるのですね。私は家族にクリスチャンがいるので子供の頃から教会はわりと身近な存在で一緒に通っていた時期もありました。10年間の欧州滞在でキリスト教の行事にはかなり馴染み勉強もしていたつもりでしたが、昨年個人的な出来事もあり、復活祭についてとても深く考えせられ、また深く腑に落ちる部分がありました。東京に在住の欧州人の知人友人の多くも大半が教会離れしていて、もはやイースターは旅行のシーズンといった捉え方ですが、イタリアでも教会離れが進んでいるのですね。カトリック界にいろいろなスキャンダルがあり、確か今年教皇は信徒向けにメッセージを出したと記憶しています。昔は本格的な断食をした習慣もいまではだいぶ変化しているのですよね。肉食を断つか絶たないか・・・これも年々変化していることなのでしょうね。
どの宗教でも断食の習慣があり、食を絶ったり節制することにより、次に食事を口にした時に体と心が感じる食事や生命(食材)への感謝というのは、大切なことだと個人的には思っています。いかんせん、人間というのは放っておけばやみくもに貪ってしまいがちだと思うので・・・。今日ご紹介くださったチンゴリの教会・・・とても素敵な教会ですね。イタリアのルネサンス期のフレスコ画や教会が個人的にとても好きです。あまり有名でない小さな教会の中に、大きな発見をする場所がイタリアにはたくさんありますね。なおこさんのご説明をまた愉しみにしておりますネ。
なのだろうなと思います。この番組を通して、イタリアに興味を持ったと
いう方からブログにコメントをいただくことも、時々あるものですから。
義家族は、義母の今は亡き兄、夫の伯父が神父だったことや、教区司祭を
務めた伯父と共に住んで、長い間その教会活動を支えていたこともあって、
ことさらに信仰が深く、カトリック教が生活や行動の基礎となっているという
ことを、義父母を見ていると、つくづく感じます。
いらっしゃると、イタリアで生まれて何となくカトリック教徒となって
過ごしている人よりも、ひょっとしたらかえって、キリスト教というものへの
認識がしっかりしたものになるかもしれないなと感じています。
宗教離れは、スキャンダルや世俗化が背景にある一方で、イタリアというカトリック
の国、そして、カトリックの家族に生まれ育ったというだけで、そのままカトリック
教徒に、ある意味当然のように、有無を言わさずなっていた時代から、それぞれが
意識的に宗教や自分の生き方や信条というものを考えるようになってきたことの
表れではないかと、わたし自身は感じています。わたしのイタリア人の友人の中には、
仏教に興味のある人もいれば、ヨガを通じて、東洋の宗教観に関心を持つ人もいて、
イスラム教に改宗した人も、ごく一部ですがいるんですよ。四旬節の期間の節食は、
冬の終わりはそもそも食料が少ないこと、冬の間重たいものを食べてきたので、健康の
ために節制の必要があったこと、そういう健康上の必要と宗教上の意義が合致したのだという
話も聞いたことがあります。おっしゃるように節制の後だからこそ、より食の恵みのありがたさが
分かり、祝いの気持ちが高まるということもあるだろうと、わたしも感じています。
思いがけず美しい教会だったので、驚きました。装飾が素朴な中世やルネサンス期の古い教会
の方が、己の力や富を顕示するのではなく、祈りの心や民衆に宗教の教えを絵や彫像を
通して伝えようという心が感じられるようで、わたしもこういう素朴な教会こそ、その建築や
フレスコ画の美しさに打たれるように感じています。
お肉にはハムとか、加工肉も含まれるのでしょうか。
なおこさんは普段からお魚や豆、乳製品でタンパク質を取ることが多いのでしょうか。じつはわが家も…(家族が魚好き)
私も先週から今週にかけて、久しぶりに遠藤周作の『イエスの生涯』を読み返していました。
ガリラヤ湖のほとりにゆれるコクリコの花の描写に、
なおこさんの美しいお写真を思い出しました。
色んな教会に眠る色鮮やかなフレスコ画や、ニュースのなかのローマ法王など、イタリアはキリスト教が身近な国だと改めて感じました。
(2つめの動画、999回目の再生だったようです。1000回目になるのは誰でしょうか?^^)
さまざまな情報をありがとうございました。
肉はハムやサルシッチャ、サラミなどの加工肉も含みます。
イタリアではおそらく普段から肉の消費量が多いためか、健康のために
肉は週に2、3度という勧めを、テレビなどでも時々耳にしますし、
夫や友人たちに、肉は時々食べるけれどもできれば菜食主義でという気分である
ときがあるので、実は乳製品もどちらかというと避けながら、魚や豆、豆腐などの
豆製品でタンパク質を取っています。
そういう自然の描写があったんですね。わたしもまた機会があれば、ぜひ再読したいです。
カトリックは町を訪ねれば見える鐘楼や聞こえてくる鐘の音をはじめ、イタリアという
国の風景や暮らしとも、切っても切れないものだと思います。
こちらこそ、コメントをありがとうございます♪