2019年 04月 26日
知られざる日本の歴史と天皇交代質問攻め
そこで、日本語の初級の授業では、生徒にこの表があるプリントを配布し、まずはクイズ形式で、かっこ内に、それぞれの時代に政治を担っていたのが誰かを、選択肢、A. aristocratici 「貴族」、B. imperatore 「天皇」、C. shōgun e samurai「将軍と侍」の中から、考えて選ばせます。そうして、生徒の答えとそう答えた理由を聞いてから、簡単に日本の歴史の流れを説明しています。
日本語能力試験のN1・N2合格を目指す若者たちは、試験対策勉強に必死なので、また、恐らくは気になることがあれば自分でインターネットで調べるために、自分たちの方から、日本の時事問題について授業中に質問することは、めったにありません。今朝の授業でも、わたしも生徒さんも2時間ずっと夢中で、授業が終わってから、お茶もコーヒーも勧めていないことに気づいて反省しました。お茶を入れることが多いのですが、授業に集中するあまりに、紅茶にせよ緑茶にせよハーブティーにせよ、お湯を注いだあと、二人ともつい長い間、お茶のことを忘れてしまっていることも、少なくありません。
それに対して、12歳の少年と母君からは、日本の文化や時事問題に関する質問が、よくあります。時には質問が矢のように飛び続けることもあります。
今週の授業では、天皇交代についての質問が相次ぎました。
天皇が在命中に退位して、新しい天皇が即位することは、よくあることなのか。前回あったのはいつか。
どうして退位をすることにしたのか。
今上天皇は今何歳か。
退位の式典と新しい天皇の即位の式典はいつで、同じ日に行われるのかどうか。
日本にお住まいの方は、皆がすぐに答えられる質問なのでしょうか。イタリアなど海外に住んでいる方でも、ニュースを追っていて、すべての質問にすぐ答えられる方の方が、多いものなのでしょうか。
わたしは最初の質問の、前回はいつあったかという問いには見当はずれな答えをしてしまい、最後の二つの質問にも、きちんと答えられず、皆でスマートフォンで検索をして正解を調べました。そうして、来週の授業では、今週わたしがきちんと答えられなかったことが、一覧でよく分かるようにと、
次の授業のプリントには、こういう表や説明を添えました。最初に「ひろひと」、「あきひと」と名前を書いてあるのは、イタリアでは歴史などのドキュメンタリー番組で、日本の天皇に言及するときは、「(imperatore) hirohito」、「(imperatore) akihito」と、「天皇」(imperatore)という言葉を添える場合もあるものの、敬称なしに名前だけで呼ぶことが多いからです。一方、元号そのものがヨーロッパには存在しないために、元号とはどういうものかも、説明する必要があります。おそらくはその手間を省くためでしょう、imperatore shōwa 「昭和天皇」という呼称を、わたしはまだイタリアで聞いたことがありません。
例年、今の時期には、初級の授業中に、日本のゴールデンウィークやこどもの日の慣習について説明し、『こいのぼり』の歌を歌って、折り紙でかぶとを作っています。
退位(abdicazione)と即位(incoronazione)の式典が同じ日にあるのかという質問もあったので、今年は、ゴールデンウィークのカレンダーに、退位と即位の日についても説明を添え、また、10連休となったことが分かるように、カレンダー上では休みとなる日については、日にちなどを赤で記しました。ちょうど『まるごと』の教科書で、「おとうさん」や「こども」という言葉が何度も登場しているところなので、『こいのぼり』の歌も、「こどもの日」の説明も、こうした家族に関する語彙のいい復習になります。曜日や日付は、まだ授業で学んでいないのが、残念です。
少年からの質問が書いてありますが、前回生前退位したのは、いつか?は知りませんでした。
海外旅行で現地の方と話すと、皆さん、自分の国のことをよく知ってますよね。
私は、歴史が苦手で、何か聞かれても困ってしまうこと、しばしばです。
最低限の知識は、持っていなければといつも思います。
わたしも、こちらで人に聞かれて改めて、日本のことについてああ知らなかったなと思うことがあり、そういう意味でもやはり他の人や文化に出会うこと、知ることが、自分や日本の文化をより知ることとつながっているのだなと思います。外国語を勉強してはじめて見えてくる日本語の特色というのもあって、おもしろいです。
日本史を完璧に語れる人は少ないでしょうから
外国の方に 天皇や年号などについて理解してもらうのは
本当に大変なことでしょうね。
平成も 今日と明日だけになりました。
昭和にどっぷり浸かっていた私は
なかなか平成という年号に馴染めませんでしたが
今度は 新たな年号がスタートして
よけい混乱してしまいそうです。
年度を表していたので、何年度かが把握できていたのですが、イタリアに
暮らす今は、西暦ばかり使っているので、時々日本の市役所などに戸籍などを
請求するときに、その年が平成何年かは、調べないとさっぱり分かりませんでした。
元号が二つだけでも大変なので、三つの元号を生きてしまうと、今後いろいろと
元号で表された年を感覚的に理解するのが難しくなりそうですね。