2019年 04月 28日
新緑の岩山登って聖なる庵へ、アスコリ・ピチェーノ
この聖マルコの庵(Eremo di San Marco)を目指して、参詣路ともトレッキングコースとも呼べそうな石畳の道を登っている途中、英語やイタリア語で、庵は閉まっていて入れない(closed、chiuso)と書かれた表示をしばしば見かけました。閉まっていることは知っていて訪ねたものの、間近から見られるものと思っていたら、庵がよく見えた最も近い位置は、石の階段を上る途中にあるばかりでした。
階段を登りつめたところに鉄柵の扉があるので、そこからのぞけば教会が近くから見えるだろうと考えていたのですが、
扉の向こうにも、まだ階段が続いていて、庵は壁のごく一部しか見えません。
それでも、参詣路は新緑の優しい光に包まれ、路傍には野の花も咲いていて、庵がよく見える場所も夫がうまく見つけたので、昨日訪ねてみて、本当によかったと思っています。
坂道を登っていると、ピンクが色鮮やかな、春咲きの自生のシクラメン(ciclamino selvatico)が、あちこちに咲いていました。
名前を調べなければいけない花も、また一つ増えました。
一方、庵への道でよく見かけたこの花は、学名がGeranium sylvaticum、イタリア語名がgeranio silvanoであることは、数年前に通った薬草学講座で学び、今もきちんと覚えています。フクロソウ科(学名 Geraniaceae、イタリア語名 geraniacee)の花で、インターネットで調べると、日本語では、ゲラニウム・シルヴァティクム、ゲラニウム・シルバチカムなど、学名のラテン語読みや英語読みをカタカナ表記にした名前で、呼ばれているようです。
花の写真を撮ったり、登り道が続くので一休みしたりしながら歩いたのですが、それでも出発から15分後には、庵への荘厳な石の階段がこうして見える場所に、到着しました。
正面から見ると、普通の階段に見えるのですが、横から写したこの写真では、実はこの階段は、わたしたちが立つ手前の道から岩壁へとかけ渡された橋であることが分かります。
ですから橋の下は奈落の底で、夫は橋の下をのぞき込んでいましたが、高所恐怖症のわたしには、その度胸はありませんでした。重いリュックを背負っているときに、下をのぞいたり、垂直の岩を登ろうとしたりするのは、リュックの重みで転んだり落ちたりする可能性があるので、ひどく危険でもあります。
その後夫が、茂みを分け入って歩いて行くと、庵が木々に隠れずに、こんなふうによく見える場所があることに気づいて、教えてくれました。
ここでもやはり下方をのぞき込んだ夫によると、この岩も下方が切り立った崖になっているそうです。
庵へと登る山道でも、このセイヨウミヤコグサ(学名 Lotus corniculatus L.、イタリア語名 ginestrino)の黄色い花が、あちこちに咲いていました。
真下を見る度胸は、わたしにはありませんでしたが、夫に言われて遠くを見やると、奥の方にアドリア海の青い海が見えます。そして前方には、アスコリ・ピチェーノの町並みが広がっていました。
聖マルコの庵や断崖、アドリア海やアスコリ・ピチェーノの見晴らしを、約10秒のごく短い映像に録画してあります。
興味のある方は、ご覧ください。
昨日、関連記事として載せるために、2月にアスコリ・ピチェーノ(Ascoli Piceno)の歴史的中心街を訪ねたときの記事と写真を見ていて、気づきました。
この写真は、アスコリ・ピチェーノの中心街の北端にあるローマ橋(Ponte Romano)のさらに少し北から、橋と中心街の中世の塔の数々が見えるように、南を向いて撮影したものです。ということは、奥の方にそびえる白い断崖こそ、アスコリの町の南方にそびえていて、その岩に聖マルコの庵が築かれた断崖であるわけです。
断崖を撮るつもりで写した写真ではないので、白い絶壁はぼんやりと霞んで見えるのですが、高い塔の右手を見ると、斜面の中腹に町並みがあり、クレーンが写っていて、その上方に聖マルコの庵らしき形が、ぼんやりと写っています。
聖マルコの庵へは、この断崖がある山を、コッレ・サン・マルコ(Colle San Marco)へと車で登って行き、登る途中に道の傍らに、「聖マルコの庵」というひどく小さい字で書かれた分かりにくい案内表示を夫が見つけて、その案内がある方向へと右折して、急な斜面を行く細い道を登りました。途中から、庵への案内表示がなくなってしまったため、途中で会った地元の人らしい人に聞くと、「この道をそのまま、墓地まで車で登って行き、墓地の前で車を置いて、そこからトレッキング・コースを歩いて行くように」と教えてくれました。その墓地まで登る途中に、修復中の教会があって、確かそこにクレーンがあったように思うので、赤い矢印で記したところに、聖マルコの庵があるのではないかと思うのですが、本当にそうかどうかは、次回アスコリ・ピチェーノを訪ねたときに、夫の双眼鏡を借りて、岩壁をよく見て、確かめたいと考えています。
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I fiori di ciclamino selvatico, geranio silvano, ginestrino...
il sentiero per l'Eremo di San Marco è ornato dai fiori e
dalle foglie giovani degli alberi.
Eremo di San Marco, Ascoli Piceno (AP) 27/4/2019
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 岩壁の庵訪ねてアドリア海へ / Eremo di San Marco, Ascoli Piceno (27/4/2019)
- 塔たくさん町美しいアスコリ・ピチェーノ / Bello il centro storico di Ascoli Piceno (8/2/2019)
良い景色ですなあ
もうちょっと長くても良いのでは?
でも長すぎると嫌になるし・・・
タワシは30秒を目安にしています
こちら、明日30日で平成という時代が終わります。
10日間という長い連休に入っているので家の周りも静かです。平成の天皇陛下についての番組をやっているとつい見入ってしまいます。ちょうど私の両親と同じ世代ですので、戦争の体験から常に平和を願っていらした陛下の生き方に感動し、またこの30年で世の中はとても変化してしまったことを改めて思います。
ブログへのコメントをありがとうございます。どんどん時間は流れ、記憶も怪しく?なってきました。色々と感じていたこと書き残していきたいと思います。なおこさんの毎日の写真は私のイタリアへのどこでもドアのようですよ。。笑
せっかくのお休みですもの。やはり出かける方も多いんですね。日本のテレビでは、なるほど今盛んに放送局が競って、時代を振り返る報道が行われているんですね。平和を願い続ける思いが日本中にもっと広く、強く伝わってくれますように。
記憶は意外とあいまいで、気づくとうろ覚えのことも多く、ブログに書いていると、すぐに検索して見つかるので、便利だなと自分でも感じています。イタリアへのどこでもドア! すてきな表現をありがとうございます♪