2019年 05月 07日
花彩る崖下周遊トレッキング、オルヴィエート
5月3日金曜日は、暦の上では平日でも、イタリアでは祝日のメーデーと土日にはさまれているため、休みを取って旅行する人が多かろうと、観光客が多い岩壁の上のオルヴィエート中心街を避けて、代わりに、断崖(rupe)の下を歩いて一周する周遊トレッキングコースを歩くことにしました。
コースはその名も、Anello della Rupe「断崖周遊コース」です。道路から歩いて、トレッキングコースに入れる入り口(ingresso)が五つあり、上の地図に、その名前と場所が記されています。わたしたちがこの周遊コースを歩くのは、今回が2度目で、前回は地図中第2の入り口、ヴィヴァーリア門(Porta Vivaria)から歩いたのですが、この日は、第1の入り口、マドンナ・デル・ヴェーロから歩きました。
マドンナ・デル・ヴェーロ(Madonna del Velo)は、崖下にあるこちらの教会の名前です。崖下周遊コースの入り口がすぐ近くにあります。
時計回りに歩き始めて、10分も経たないうちに、こちらの教会までやって来ました。教会の名前、Chiesa del Crocifisso del Tufoは、訳すと「凝灰石の十字架上のキリスト教会」です。
言い伝えによると、4世紀に無実の兵士、フロリアーノが、盗みと殺人の罪で訴えられて、断崖から身を投げた際に、今にも地面に落ちようというときに、首にかけていた十字架に祈ると、奇跡的に無傷で、感謝をしようと、岩に自らの手でキリストの像を彫ったとのことです。凝灰石の岩壁を掘って築いたこの教会の前に、周遊コースの地図に教会の説明を添えた案内看板が立っていて、上述の言い伝えは、その案内看板の説明をわたしが訳したものです。
新緑が美しく、道端には、あちこちに野の花が咲いていました。歩き始めて約1時間後には、東西に長いオルヴィエートの町の北側を歩き終え、東の端にあるアルボルノス要塞の城壁が、前方に見えてきました。
周遊コースでは、断崖の下を歩くことが多いのですが、第3の入り口であるソリアーナ門(Porta Soliana)については、コースが断崖の上に建つ門のすぐ前を通っています。写真は、門から中心街に入って、門の内側から、門や周囲の風景を撮影したものです。
ソリアーナ門まで急な坂道を登り、門の中に入って、中からの眺めを楽しんだあと、再び門から出て、周遊コースに戻りました。
見晴らしがすばらしく、前方に小さく、古く美しい元修道院が見えています。ここからは、長い坂道を下り、再び断崖の下を歩いていきます。
こんなふうに、凝灰石の岩壁に、色とりどりの野の花が咲いているところも、時々見かけました。
時には、断崖の上の建造物が、下からもよく見えることがありました。
菜の花とヒナゲシの花も、周遊コースの路傍によく咲いていました。
断崖の南の端に近づくと、オリーブ畑があります。
前回も今回も、うっかり間違えて、このまままっすぐ写真の砂利道を進んでしまったのですが、この道は行き止まりで、アスファルトの道を通って行かなければいけません。まっすぐ進んだ先には、見晴らしのいい場所があると道しるべにはあるのですが、緑の木が生い茂っていて、何も見えませんでした。
断崖の周囲には、花盛りのアカシアの木もたくさんあります。
南端近くの岩壁の上方には、古の人々が利用した洞窟が見えます。
このあと、崖の南端を回って、岩壁の西側を歩いていたときに撮影したのが、冒頭の写真です。写真を撮りながらゆっくり歩いていたわたしの、はるか前方を歩いていた夫が、中心街に登って昼食用のパニーノを買っておいてくれたので、冒頭の写真の崖の少し手前にあるベンチに座って、昼食を食べました。ここまで来ると、車を置いていた駐車場はすぐ近くです。
わたしたちは、わたしがゆっくり歩き、途中で昼食も食べたので、2時間半かけて歩きましたが、オルヴィエートの観光案内サイトには、約5kmで、所要時間1時間〜1時間半とあり、確かに、わたしが歩いている間に、2度すれ違った女性もいました。トレッキングコースから崖上の中心街への入り口が5箇所あるので、コースの一部だけを歩いて、緑や花を愛でながら、散歩を楽しむこともできます。
山では迷子になったり野生動物に出くわしたりする恐れがありますが、この周遊コースなら、案内看板もあり、万一道を間違えても、しばらく歩けば断崖が見えて位置確認ができ、軌道修正がしやすいため、イタリアで緑の中を歩くには、うってつけではないかと思います。
夫がオルヴィエートの崖下めぐりをしたいと言ったとき、わたしは内心、つい最近歩いたばかりなのにと思っていたのですが、5月は新緑や野の花がきれいで、歩いてよかったと思いました。
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Anello della Rupe di Orvieto
Piacevole passeggiata intorno alla rupe di tufo.
Belli i panorami, ora fioriti i papaveri, le colze...
In piena fioritura anche gli alberi di acacia.
Orvieto (TR) 3/5/2019
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関連記事へのリンク
- たそがれに魔法がかかる断崖の町、オルヴィエート / Magica Orvieto al crepuscolo (1/12/2018)
- 断崖の脇ゆく道は2度こわい、オルヴィエート / Avventura intorno alla Rupe di Orvieto (1/12/2018)
参照リンク / Riferimenti web
- Parco Archeologico Ambientale dell'Orvietano - Anello della rupe
↑ 周遊コース地図、イタリア語・英語による説明つき / Mappa Anello della Rupe con spiegazioni in italiano e in inglese
- OrvietoViva - Anello della Rupe
- OrvietoViva - Porte di Orvieto
画像もとても素敵ですね。
トレッキングコースがたった5キロ、そんなに小さな街だとは驚きました!
街の地下にはCatacombがあるらしいですね、まあイタリアでは珍しくないかも知れませんが。
オルヴィエート市の領域や居住地域は、さらに崖下にも広がっているのですが、
断崖の上のある歴史的中心街自体は、それほど大きくありません。
地下に見るべき遺跡が多い町は、イタリア各地にあるのですが、オルヴィエートは
それが古代エトルリア時代の遺跡で、しかも多くの見るべきものがあるとのことで、
わたしたちもいつかきっとオルヴィエート地下ガイドツアーに参加したいと思っています。
でもあまり混んでないのですね。
今日本で流行っているリュックのメーカーが
anello なのですよ。
日本の会社ですが サイトには
anello は 年輪という意味だと書かれてありました。
色んな意味があるのですね。
リュックには
COM PO EVINHO.
ANDA-SE CAMINHO. と書いてありますが
これもイタリア語なのでしょうか?
どういう意味なのでしょう?
イタリア語のanelloは「指輪」が原義なのですが、広義では、指輪同様に円形をしたものもanelloと呼ばれ、そのためにイタリアの山を歩いていると、出発地点と到達地点が同じ周遊コースは、たとえばこの崖下周遊コースやラヴェルナの周遊コースのように、まるくなくても、anelloと呼ぶ案内表示をよく見かけます。日本ではやっているリュックのメーカー名だとは、初めて知って驚きました。リュックに書かれている言葉は、イタリア語ではありません。anda-seとcaminhoは、どうやらポルトガル語のようです。