2019年 05月 14日
就職活動の日本語学習
後者の社会人の若者については、最近の授業では、日本の企業に転職するための職務経歴書や志望動機などを日本語できちんと書けるように、指導していました。かつて日本の高校で国語を教えていたときには、高校卒業後にすぐ就職をする生徒たちもいて、その生徒たちが志望動機の作文を書くのを指導した頃のことを、懐かしく思い出したりもしました。
経済学部を卒業して、会社のマーケティングに携わる若者の職務経歴書をいっしょに書いていくことは、わたしにとっても、イタリア語・日本語のマーケティング用語の勉強になりました。分からない言葉はあらかじめ調べておくのですが、たいていは伊和辞典にはない専門用語で、イタリア語版ウィキペディアで該当ページを開き、日本語では何と言うかを調べ、さらに日本語の説明に目を通しました。日本語でも知らなかった言葉が、少なくなかったからです。
たとえば、伊和辞典には見つからないfidelizzazioneという言葉が、ウィキペディアのイタリア語版から、日本語の対応語は分からないまでも、英語のloyalty marketingに相応することが分かり、インターネットで、さらにその語を日本語でもロイヤルティ・マーケティングと言うことを突き止め、用語の意味については、本当に同じ内容を指しているかを確認するために、イタリア語ページと英語ページを読み比べて、概要を把握しました。
若者の職務経歴書を見た就職支援業者から、ある日本企業の紹介があり、就職を志望するなら、日本語で志望動機を書くようにと言われたとのことで、昨日は、二人で知恵をしぼり合いながら、何とか志望動機を完成させました。若者があらかじめ自分で書いたイタリア語の志望動機を、メールで受け取ってはいたのですが、それは箇条書きで、いくつか動機を連ねてあるだけでした。そこで、まずは、日本で一般に要求されるのは、文章形式の志望動機であること、そして、その文章構成や書き方を、若者が理解できるように、インターネットに見つかるいくつかの志望動機例をいっしょに読んで、志望動機を書く際によく使われる表現や、内容を押さえました。
昨日は授業中に、若者が、志望動機の例文を音読していたときに、「携わる」、「志望いたしました」などといった言葉が読めないことに驚きました。どちらも決して易しい言葉ではないのですが、「携わる」については、これまで職務経歴書を作成する中で、何度も登場した言葉だったからです。また、志望動機についても、若者は、「授業中、いっしょにシボウドウキを書けたらと思うんですが」と、電話でイタリア語で話した際に、シボウドウキという言葉だけは、何度も日本語で言っていたので、漢字でどう書くかは、分かっているのだろうと思い込んでいたのです。
日本の高校生や学生であれば、「志望校」、「第一志望」、「志望大学」などと、高校受験や大学受験に際して、「志望」という言葉を耳にしたり目にしたり、そして、自分で口にしたりする機会が多いのですが、そう言えば、「志望」という言葉は、確かに進学や就職という特殊な機会に用いられることが多いために、イタリア人の若者は、これまで見たことがなかったのだろうと、思い当たりました。
来週からは、久しぶりにN1対策の授業に戻るのですが、就職活動のための文書作成を通じて、N1合格のために必要な語彙や表現も、たくさん学ぶことができたかと思います。
これからの日本の労働環境が、日本人にとっても、外国人にとっても、働きやすいものとなっていくことを願いつつ、いつか授業で、イランから来て日本社会で働くシャハランさんの、次のインタビュー記事を取り上げ、いっしょに読んでみて、日本企業で働くと、どういうことが起こりうるかということについて、心構えをしてもらえたらと、考えています。
『より多様な人を包摂できる新しい文化』。
— 山田拓路@多文化保育イニシアティブ (@takuji85) 2019年3月28日
シャハランさんが描く多文化共生のはっきりしたビジョン。
酒の席での説教から「日本人だねえ」という謎の褒めまで。外国人社員の目に映る「日本の職場」の不条理な現実|望月優大|ニッポン複雑紀行 https://t.co/5Q18TnLvDr
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Nelle ultime lezioni ho aiutato un mio allievo a scrivere il curriculum vitae e la lettera di presentazione in giapponese e mentre preparavo le lezioni, ho imparato molti termini tecnici di marketing che non conoscevo né in italiano né in giapponese. Naturalmente anche l'allievo ha appreso tante parole difficili che vengono utilizzate nelle situazioni formali.
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これからも、どうぞ宜しくお願い致します。
こちらこそ、これからもどうかよろしくお願い申し上げます。