2019年 05月 28日
『ジヴェルニーの食卓』にモネの家と庭を思う

収録された4作品の中で、特に表題作、『ジヴェルニーの食卓』を夢中になって読み、読後も最も心に残っているのは、きっと4作品が取り上げる4人の芸術家の中で、わたしがとりわけ好きでかつ知っているのがモネであり、

2016年6月に、ジヴェルニーのモネの家と庭を訪ねているからでしょう。

イタリアでは近年、印象派をはじめとする、19世紀末から20世紀初頭の芸術家を、テレビのドキュメンタリー映画や歴史番組、映画などで取り上げることが少なくありません。ちょうど今から約3年前、2016年5月下旬にも、映画館で、モネの人生や芸術と美しい庭を描く映画が上映され、夫と二人でぜひジヴェルニーのモネの家と庭を訪ねたいと思いました。

そこで、その翌月、友人たちからモン・サン・ミシェルなど、ノルマンディーを訪ねる旅に誘われた際に、パリやジヴェルニーなど、モネゆかりの地を訪れてから、友人たちと合流することにしました。映画を見て、ぜひ行きたいという思いが高まっていたときに、そしてちょうど結婚記念日にモネの美しい庭園を訪ねることができて、本当にうれしかったです。
旅行中には、美術館の印象派展で、モネの家族の複雑な血縁関係を描いた系図や説明も目にしていました。それだけに、史実を踏まえた上で、原田マハさんが想像力と筆を駆使して書かれた作品であるとは知りつつも、今回、『ジヴェルニーの食卓』で、モネが家族の中で、温かい愛情に囲まれ、また自らも愛情を注ぎながら、絵画の制作に心血を注ぐ様子を、興味を持って、読み進めました。

愛する女性のおいしい手料理を明るく広い食堂で、家族皆で食べたい。そういうモネの言葉や家族が慈しみ合う様子、食卓に並んだ料理の詳細な説明を読んだあとでは、モネの家で訪ねた、明るいレモン色の大きな食堂が、そうしたモネの家族にとって大切な場所として、心に迫ってきます。

映画やテレビでは、第三者の視点から見た画家として、あるいは、モネ本人自身が手紙につづった言葉を通して、描かれていたクロード・モネが、『ジヴェルニーの食卓』では、モネが再婚した女性の娘であり、かつモネの血のつながった息子の結婚相手でもある女性、ブランシュの視点で、愛と敬意を込めて、描かれているために、モネがジヴェルニーの家を買うことに決めたいきさつや晩年のモネの様子も、ドラマを追うように、先を楽しみにしながら読み進めることができました。
他の3作品もよかったのですが、マティスやドガ、セザンヌの人と作品、そして当時の芸術界の様子をもっと勉強し、知ったあとで、再度また読むと、より内容を深く鑑賞できることでしょう。この作品を読んで、ジヴェルニーのモネの家と庭を再訪したいという思いが、さらに強くなりました。この本を紹介し、読むきっかけを作ってくださったちほさん、どうもありがとうございました。
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"A' table à Giverny" di Maha Harada
La vita e soprattutto gli ultimi anni di Monet a Giverny raccontati attraverso gli occhi di Blanche, figlia della seconda moglie dell'artista, Alice. Bello e commovente l'amore tra Monet, Alice e i loro rispettivi figli.
Le foto dell'articolo: Casa e giardini di Monet a Giverny 16/6/2016
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参照リンク
- amazon.co.jp - 原田マハ著、『ジヴェルニーの食卓』 (集英社文庫)
関連記事へのリンク
- モネと睡蓮、近現代絵画と花・庭園@明日までイタリア映画館で上映 (24/5/2016)
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- エトルタの白い断崖青い海、ノルマンディー (12/7/2016)
- 印象派の電車、ノルマンディー2016 (16/1/2017)


好きで何度も読み返しました。今娘が持って帰っていますが、
いつかジヴェルニーに行ってみたいなぁと思いながら
まだ実現していないのです。
京都と大阪の境にある天王山の麓、大山崎に大山崎美術館があります。
そこにいくとモネの睡蓮の絵がいつでも見ることができます。
美術館所蔵の4点の『睡蓮』農地常に3点が展示されていますので。
以前ここでモネの『エトルタの断崖』をみて、しばらく絵の前に
立ち止まったままでした。
実際にエトルタの行かれたとのこと。
いいなぁと写真を拝見していました。
なおこさんが行かれた6月のジヴェルニ―は、お花がいっぱいで素晴らしいお写真ですね~♡
私は、9月だったので、お家の前のゼラニウム?は、咲いて綺麗でしたが、水の庭の方は、睡蓮が殆ど咲いてなくて、少し寒い感じでした!
台所のブルーのタイルは、印象に残っています~
私も再訪したいですが、こちらからは遠く、行けるかどうかわからないので、高知にあるモネの庭にまた行きたいと思います(^^♪
高知のモネの庭、トイレに同じようなタイル?が貼って有るんですよ~(^-^)
素敵な本を紹介してくれてありがとうございます。
モネには、以前から興味があり、シヴェルニーにもいつか行きたいと思っているところです。
その上、今月の英語の勉強にシヴェルニーの家や庭のことを書いた文章を取り上げているので、とてもグッドタイミングでした。
図書館にあったので、予約しました。
描かれるので、より深い感慨を持って、この本を読まれ、
また、いつかジヴェルニーのモネと家と庭をご覧になることでしょうね。
わたしも、何度も読み直したくなるような、読むたびに心に響き、
新たな発見があるような作品だと思います。
エトルタの断崖も美しい風景や花に感動し、ここでモネが描いたのだと
興味深かったです。いつか早いうちに訪ねられるといいですね。
場面に自分でも見た部屋や風景が重なりました。季節ごとに庭の美があるとは
言え、ちょうど睡蓮が咲く時期に訪ねられて、うれしかったです。
高地にあるモネの庭も、アリスさんの記事で拝見しましたが、とてもすてきですね。
トイレのタイルも気になります。
『ジヴェルニーの食卓』は、収録された4作品中最後の作品なのですが、それぞれ
互いに時代やテーマの関わりはあっても、完全に独立した物語となっているため、
すぐにこの表題作を読むと、英語の勉強との両輪で、モネの家と庭、そこでのかつての
暮らしを思い描きやすいのではないかと思います。
私もこの本が大好きです。とくにマグノリアのおはなしが…
まだ貧しかった時代のモネの食卓もちょこっと真似してみました。
薔薇や睡蓮の咲く季節にモネの庭を訪ねたのですね!
それがご結婚記念日だなんて、最高!!
写真集は現地で求められたのですか?
なおこさんのきれいなお写真で、ハイシーズンのお庭を堪能させていただきました。
私が旅したのは林檎やチューリップの季節で、
睡蓮はもちろん、太鼓橋の上の藤もまだ咲いていませんでした。
でも、橋の上の新婚さんが花を添えてくれたんです ♡
雨の日と晴れの日の2回訪ねたので
天候によっても表情ががらりと変わることに驚きました。
季節ごとに色を変えてゆくパレットのような庭、
いつか再訪したいです。
このたびのご旅行も満喫してくださいね!
(いつものことながらリコメはお気遣いなく♪)