イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

被災地を癒し励ます歌・踊り、マルケ ヴィッソ

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 シビッリーニ山脈のふもとにあるマルケ州の村、ヴィッソ(Visso)は、イタリアで最も美しい村の一つです。

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Visso (MC) 25/10/2014

 緑の山に囲まれ、清流が流れ、町並みの美しいヴィッソの村が、わたしたちは大好きで、2016年のイタリア中部地震の前には、シビッリーニ山脈の登山の行きや帰りに、よく訪ねていました。

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 ローマを流れるテベレ川は、エミリア・ロマーニャ州のフマイオーロ山に水源があり、トスカーナ州とウンブリア州を通って、ローマのあるラッツィオ州へと流れていくのですが、このテベレ川の最大の支流であるネーラ川と、その支流であるウッシタ川の清流は、共にヴィッソの村を流れ、

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ヴィッソで合流して、ウンブリアへと流れていきます。そうして、清らかな二つの川が流れる上に、ヴィッソの村には、あちこちに、おいしい水が飲める給水場もあるのです。

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 この写真は、ヴィッソの村を見下ろす小高い丘の上から、美しい町並みを撮影したものです。

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Dalla pagina web http://www.sibillini.net/il_parco/gps/mappaSisma.jpg?v=1.0

 2016年のイタリア中部地震の爪痕は今も大きく、生々しく残り、シビッリーニ山脈国立公園では、地震から3年が経とうとする今も、まったく問題なく歩くことができるトレッキングコースは数えるほどです。シビッリーニ山脈周辺には、いまだに中心街が、危険のために立ち入り禁止区域(zona rossa「赤い区域」と呼ばれるため、地図では赤く塗りつぶされています)となっている村が、カステッルッチョ・ディ・ノルチャをはじめとしていくつもあるのですが、ヴィッソの村も、その一つです。詳しくは、上のリンク先の地図(pdf)をご参照ください。地図は、今年7月2日に更新されたものです。ただし、わたしが先日見たときは、更新の日付が6月26日だったように覚えていますので、今後も更新があり、更新の日付が変わる可能性があります。

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 ヴィッソを通ってカステッルッチョへと向かう道は、地震による土砂崩れとその後の工事のために、長い間通行止めとなっていたのですが、登山客も増える夏となったからか、工事が進んだためか、7月・8月の土曜・日曜及び8月12日から18日までの間は、午前8時から午後9時まで通行できるようになりました。

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Visso (MC) 6/7/2019

 そこで、7月6日土曜日に、シビッリーニ山脈に向かうのにヴィッソを通ると、給水場では以前のように、おいしい水が流れ出しているものの、美しかった石造りの古い教会も、

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中心街の建物も、今もまだ崩れ落ちたままだったり、補強だけがされるばかりだったりで、再建には、まだまだ歳月を要するようでした。

 それでも、かつて時々パニーノを購入していた、上の写真の教会と給水場の前にあった店は、場所が変わったものの、営業を再開していて、その店でパニーノを買い、店の一家から、かつてわたしたちが好きだったカフェもジェラートもおいしい店が、郊外に新たに店を出していると聞いて、

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土曜は登山のあとで、この木造りの新しい店で営業を再開したカフェで、ジェラートを食べました。そして、ペルージャに戻ってからでは、夕食時間には遅すぎるということで、カフェの隣にあるレストランで、夕食も食べることになりました。思いがけず、アジサイの花が咲いていて、とてもきれいです。

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 そう言えば、カフェの前にも、この風変わりな白いアジサイが、咲いていました。

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 わたしたちが夕食を食べるレストランもまた、以前の店が地震で被害を受けたために、今はこのヴィッソ郊外の店で営業をしているそうです。注文を終えて、アジサイの花を愛でていると、どこかからにぎやかな音楽が聞こえてきます。

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 聞こえてくる方を見やると、向こうの道路から、音楽を演奏しながら、民族衣装に身を包んだ人たちが、こちらの方へと歩いてきています。

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Li Matti de Montecò a Visso (MC)

 そうして、被災者の方たちが今も暮らす仮設住宅の前に建つ、やはり被災をした店の人たちが営業する店の前で立ち止まり、音楽と共に歌も始まり、

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このあとは歌手の女性が、これだと思う人の傍らで、その人を少しからかうような陽気な即興の歌を歌い上げ、にぎやかな伴奏と笑い声で盛り上がるということが、女性と音楽隊が移動するたびに、繰り返されました。レストランの人の話から、被災地の方たちを勇気づけ、励ますためらしいと分かり、遠くのカフェ絵やレストランの人を相手に歌い演奏する様子を聞きながら食べていたら、なんとわたしたちのところにも来て、朗らかな歌と演奏を聴かせてくれました。

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 そうやって、店のあちこちを回って、歌と演奏を披露したあとで、今度は音楽に合わせて、踊りも披露してくれました。こうして興を添えてくれたのは、マルケの海に近い美しい村、モンテコーサロのフォークグループ、Li Matti de Cosaròで、

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Dalla pagina web https://www.facebook.com/gruppofolklimattidemonteco/

この日は村のPro Locoが主催で、午後5時から9時まで、ヴィッソの村の通りを商業施設を訪ねて練り歩き、歌と演奏、踊りを披露していたのだと分かりました。

 思いがけぬ音楽と踊りに、朗らかな気持ちになると共に、ヴィッソの村のいくつかの店が営業を再開していることをうれしく思い、こうして村を景気づけ、村人を勇気づけるはからいがいいなと思いました。再建・再興にはまだ歳月がかかるでしょうが、人々の心と足を引き止め、産業や観光が続いていくようにという試みはとても大切なものだと感じるからです。

関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 世の中どこへ行く、ヴィッソを歩く2 / Passeggiata dal Centro alla Rocca di Visso (2014/10)
- イタリア中部地震M6.5概況と地震前のノルチャ・カステッルッチョ、JITRA連載第8回 / Norcia, Visso, Abbazia di Sant'Eutizio prima del Terremoto Centro Italia (2016/10)
- イタリア中部地震の爪痕の大きさ、ヴィッソの場合 / Visso con neve e grandi ferite del sisma 2016 (2019/1)

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Allegri i canti e i balli del gruppo folk, Li Matti de Montecò
nel bel borgo di Visso, devastato dal sisma del 2016.
Bella la iniziativa della Pro Loco Visso e Vissosteniamo.
Che tornino al più presto la pace e la vita di prima, ma ancora più sicura
nei territori feriti dal Terremoto Centro Italia 2016 e 2017.
@ La Compagnia dei Maestri Artigiani, Visso (MC) 6/7/2019
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by 3841arischan at 2019-07-08 16:13
なおこさん、今も地震の爪跡が残るヴィッソの村に、日本も同じ地震国として人ごととは思えないですm(__)m
3年たっても、まだまだとは・・・被災地の方の御苦労はどれほどかと・・・
でも、お店が郊外で再開されていて良かったです(^-^)
再開されたと聞いてなおこさん達のように口こみで、訪れるお客様も増えて行くことと思います~
このようにSNSを通じて、広まることは良いなあ~と思いました(*^^)v
紫陽花がおもいがけず沢山あって綺麗ですネー
変わった形のは、柏葉紫陽花ですね~
日本でも珍しいです♡
Commented by milletti_naoko at 2019-07-09 00:32
アリスさん、20年前の地震で建て直したはずの建造物が崩壊して、犠牲者が大勢出たこと、石造りの昔ながらの町並みであることなどから、再建に歳月がかかるのだと思います。こうした店の再開が、地元の人を引き止め、心を支え、また観光客を呼び寄せるためにも欠かせないので、店の方からは少しずつ再建への動きが出ているとは聞いたのですが、できるだけ早く、以前のような美しい、さらに安全に人々が安心して暮らせる村に戻るようにと願っています。

紫陽花の名前、教えてくださってありがとうございます♪ 7月に入っても出会えるとは思っていなかったので、うれしかったです。
by milletti_naoko | 2019-07-07 23:58 | Marche | Trackback | Comments(2)