2019年 08月 19日
戦火より守りし洞窟います聖母、マルケ


第二次世界大戦中、1944年に、マルケ州の山あいで、絶え間なく爆撃があり、恐怖に陥った人々は、山中の大きな洞窟に避難して、

事なきを得ました。

戦争が終わると、けれども、洞窟にはもう戻る人もなく、草木が深く生い茂って、洞窟に近づくことさえできなくなりました。
それから44年経って、渓谷に住む人が、好奇心から苦労してかつての洞窟を訪ね、

その美しさに感動しました。そして、当時教区司祭だったドン・ジュゼッペ・マリーニ(Don Giuseppe Marini)と話をし、

渓谷の人々を守ってくれたことに感謝し、また信仰のために、洞窟に聖母マリアの像を祀ることが、決まりました。そして、聖母マリアの年だった2008年の7月に、像が洞窟に安置されました。

聖母マリアを祀った洞窟への山道が、再び通れるものとなるように、渓谷に暮らすすべての人が働き、

以来、毎年7月最後の日曜日に、大洞窟の聖母マリアの日(Festa della Madonna del Grottone)が祝われるようになったとのことです。

この洞窟の聖母マリアは、大洞窟の聖母マリア(Madonna del Grottone)と呼ばれています。洞窟が大きいことは、特に上から4枚目の写真で、夫がいかに小さく写っているかを見ても、お分かりだと思います。
この日は他の村に向かう途中に、夫がたまたまMadonna del Grottoneという道路案内表示を見て、「これは訪ねてみなければ」と、わたしに聞くこともなく左折して、まずは車で洞窟に向かいました。車高の高い夫の車でも苦労するようなでこぼこ道をしばらく進むと、あと300メートルというところに駐車場があり、

そこからは歩いて、よく整備された木や石の階段を上り、今は水のない川沿いの道を、緑の木々のおかげであまり暑さに苦しまずに、洞窟まで行くことができました。しばしば写真を撮るために足を止め、また暑かったために、わたしは約30分かけて、洞窟まで歩きましたが、夫はわたしよりかなり先に到着していました。
緑に囲まれ、厚い岩壁を持つ洞窟は、荘厳で美しく、夫もわたしも敬虔な思いに包まれました。

大洞窟の聖母マリアについての説明は、洞窟の壁に見つけたこちらの案内を参考にして書いています。
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Madonna del Grottone, pace e bellezza
nella grande grotta dove si rifugiarono dai bombardamenti
gli abitanti della valle nel 1944 durante la seconda guerra mondiale.
44 anni dopo la popolazione ha collocato la statua della Madonna
nella grotta e ripristinato il sentiero verso la grotta tra alberi.
Luogo suggestivo grazie anche alla devozione degli abitanti della valle.
Serra Sant'Abbondio (PU) 18/8/2019
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その存在が忘れかけられた44年後、訪れた方は歴史を知る方(または体験者)だとしたらどれほどの感動の再会であったか、想像に難しくありません。
今では遊歩道が整備されて誰でも平和に尋ねられるのが素晴らしいですね。
アメリカのアンテロープキャニオン(訪れたこと無いけど(笑))を彷彿させる造形美ですが、何と言うか造形美以上の重みがあると感じました。
アンテロープキャニオン、今写真で見ました。美しいですね。クッコ山とアクート山の間の渓谷には、切り立った岩壁があちこちにあり、山の緑が独特の美を添えているように思います。そうして、この洞窟は、戦火の歴史と人々の安堵や聖母マリアへの感謝からより重みがあるものとなっているように、わたしも感じます。