イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

夏野菜たっぷり今夜はブルセーガ

 5月が寒いと思ったら、そのあと雨の降らない猛暑が続き、今年の我が家の畑では、おかしな天候のために、トマトなどの夏野菜の実がつき始めるのが、例年に比べて遅くなりました。最近になってようやく、夫がミジャーナに行くたびに、熟したトマト(pomodoro)をたくさん摘んで戻り、ペルージャのうちの畑でも、トマトはもちろん、ズッキーニ(zucchina)、ナス(melanzana)、キュウリ(cetriolo)などの夏野菜が、次々に収穫できるようになりました。

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 そこで今夜は、こうした夏野菜をたっぷり使って、手軽にできるおいしい料理、ブルセーガ(brusega)を作りました。

 2002年4月から半年通ったマルケ州の村、ウルバーニアのイタリア語学校で、夏には、学校で開講されていたイタリア料理教室にも通ったのですが、その料理教室で教わった料理です。

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 黒板に書かれていた材料を書き写し、講師の先生の言葉や料理の手順を、絵も添えて書いた当時のメモを、今でもブルセーガを作るときは、参考にしています。ブルセーガ(brusega)は、ウルバーニアの方言で、「混乱、ごたごた」(confusione)を意味し、様々な夏野菜がごたまぜになっているので、こう呼ばれます。

 材料は、タマネギ(cipolla)、ナス、赤か黄色のピーマン、熟したトマトで、ズッキーニを加えてもいいとメモしてあります。わたしは、うちにある夏野菜の種類や数で、それぞれをいくつ使うか決めるのですが、メモに書かれている数は、それぞれ、タマネギ一つ、ナス二つ、ピーマンは大きければ二つ、小さければ四つか五つ、ズッキーニ一つ、完熟トマト四つか五つとなっています。

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 まずは大きな鍋かフライパンに、オリーブオイルを熱して、千切りにしたタマネギを炒めます。タマネギが飴色になったら、切ったナスを入れ、塩を少々加え、フタをして3分炒め、時々かき混ぜます。

 それから、切っておいたピーマンを加え、塩を少々加え、フタをしてさらに5分炒め、時々木べらでかき混ぜます。レシピには「赤か黄色のピーマン」と書かれているのですが、緑のうちに収穫したため、今日は緑の大きなピーマンを使いました。野菜は、料理教室のときには、やや大きめの角切りだったのですが、わたしは早く火が通るように、また、ナスの苦味が取れるようにと、野菜を細め、小さめに切ることが多いです。

 畑で毎日ズッキーニが採れるので、このあとさらに、切っておいたズッキーニを入れ、塩少々を加え、時々混ぜ合わせながら、フタをして10分炒めました。10分炒めたのは、

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トマトの皮をむき、角切りするのに10分近くかかったからです。切ったトマトよりも、ザルに残った未使用のトマトの方がきれいなので、そちらの写真を撮影しました。

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 そうして、切っておいたトマトと塩少々を加え、さらに約10分間、フタをして炒め、時々混ぜ合わせます。最後に、塩コショウで味を整え、バジルの葉かオレガノを適量加えて、できあがりです。

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 熱々を食べても、常温に冷ましてもおいしく、そのまま野菜料理として食べてもいいし、パスタと和えても、トーストしたパンにのせてもいいと、教わりました。

 たくさん採れる夏野菜を一気に消費できて、おいしく食べられるので、そのときうちにある野菜によって、具に変更を加えつつ、このブルセーガを、夏にはよく作っています。この記事を書く前に確認して、まだブルセーガについては、ブログの記事を書いていないことが分かり、不思議に思ったほどです。今回の写真には、今日作った緑のピーマン入りのブルセーガと、おそらく記事にするつもりで昨年8月に撮影していたピーマンなしのブルセーガの写真が混じっていることに、鋭い人は気づかれたかもしれません。

 簡単においしくできて、たくさんの夏野菜を料理することができ、夕食時に夫が喜んでくれた上に、明日の夫の弁当のおかずにもなって、今夜のブルセーガは、一石四鳥でした。いえ、ブログの記事のネタにもなったので、一石五鳥と言えるでしょうか。

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Brusega, miscuglio di verdure d'estate.

Piatto imparato nella scuola di italiano ad Urbania nel 2002,
nel suo dialetto la parola brusega significa "confusione".
Facile e buono con tante verdure fresche dell'orto.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by nonkonogoro at 2019-08-21 08:17
これと同じような料理は 「ラタトゥイユ」という名前で
日本でも一般家庭で 作られていますが
ずっとイタリアの料理で イタリア語だと思っていましたが
フランス語だったようです。
イタリア語では ブルセーガというのですね。

naokoさんちで 育てられたフレッシュな野菜で作る
ブルセーガ は おいしいでしょうねえ。(^^)/

どの画像も 野菜の新鮮さが現れていて いいですね。









ラタトゥイユ





ラタトゥイユ
Commented by ムームー at 2019-08-21 08:52 x
なおこさん
おはようございます
こんなに夏野菜が入ると彩も美しくお味も
美味しいでしょうね、食べてみたいです
なおこさんの字とイラストは優しくて大好きです
みてると情景が浮かびますの
今朝は少し涼しく感じます
いつもありがとうございます
Commented by 3841arischan at 2019-08-21 11:02
なおこさん、ブルセ―ガ、シンプルなので、そのままでも美味しそうだし、いろいろなお料理にも加えたり出来て良いですね♡
真似っこして是非作りたいと思いました~(^-^)
5月が・・・というの、日本も同じだったような?
家は、今頃、朝顔が咲いてきて綺麗なおですよー☆
昨年のおろかばいの胡瓜が今頃なって食べています(笑)
なんだか、今年も、天候が不順な夏季だったと思います!
Commented by ciao66 at 2019-08-21 13:59
そのまま野菜料理として食べてもいいし、パスタと和えても、トーストしたパンにのせても・・・なるほど夏野菜の色合いがいいだけではなく、ブルセーガは色々に活躍する、これはなかなかの優れものですね!
Commented by milletti_naoko at 2019-08-21 15:46
のんさん、夏は畑で夏野菜が毎日たくさんできるので、一度にたくさん食べられるこういう料理は、微妙に材料や作り方、味つけが違いますが、フランスのラタトゥイユやイタリアでもカポナータなど、いろいろありますよね。ブルセーガは、ラタトゥイユとは違ってニンニクは使わず、カポナータと違って調味料は塩とコショウだけであること、この二つとは野菜を料理していく順が違うこと、地方色があるのがおもしろいなと思って、記事にしました。

この料理教室では、妙に凝っていて時間のかかる料理ではなく、家庭でよく食べられて、しかも家にありがちな材料で手軽に作れる料理をたくさん教えてもらって、助かりました。
Commented by milletti_naoko at 2019-08-21 15:49
ムームーさん、おはようございます。夏は畑でたくさん採れて、時に困るくらいの夏野菜、いろいろに料理するのですが、時々作るのがこのブルセーガです。

字とイラスト、レシピをしっかり覚えようと必死でかいていました。温かいお言葉、ありがとうございます♪ 京都では少しずつ、秋に近づいていっているんですね。こちらこそ、いつもありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2019-08-21 15:52
アリスさん、作り方・調味料が簡単・素朴なのは、素材の味をそのまましっかり味わおう、そして、夏の農作業が忙しい時期に手早く作ろうという暮らしの知恵かなと、今回記事を書いていて、改めて感じました。

朝顔がお庭で咲き始めたんですね! きれいでしょうね。花も野菜も果物も、天候や気温など様々な要素もからんでくるので、咲くか実るか、それがいつになるか、予測がつかないことがありますよね。天候不順、異常気象が収まってくれるといいのですが。
Commented by milletti_naoko at 2019-08-21 15:54
ciao66さん、通ったのがちょうど夏だったので、夏野菜の料理を教えてもらえたのだと思います。ブルセーガ、たくさん作っても、残りをおいしく別の方法で食べられることもあり、いろんな意味で優れものです♪
Commented by otenbasenior at 2019-08-22 09:48
シンプルで素材の新鮮さが分かるお料理は夏に向いていますね。ご主人が作られたお野菜、さらに美味しく感じるのではないでしょうか。
今年の気温はそちらもこちらと同じようで、やはりトマトの収穫も遅かったです。そして花もいつまでも咲かないで一度収穫したらもう終わりのようで、固定種の種からハイブリッドに変えなければならないかなあとボランティア仲間と話しています。
Commented by milletti_naoko at 2019-08-22 18:15
お転婆シニアさん、おっしゃるように素朴で、新鮮な旬の野菜自体の味が楽しめる郷土料理だなと思います。オーブンやグリルを使った料理もおいしいのですが、猛暑が続く今は、長時間使うと台所が我慢大会のような暑さになってしまいますので、野菜を次々に加えて、フタをして炒めていくブルセーガは、手軽にたくさんできて、台所の温度をあまり上げないので助かります。

夫も、できた作物から取った種や、そういう種の交換会で手に入れた種をもっぱら使って、野菜を育てているのですが、今年のおかしな天候も影響してか、よく育つトマトあり、あまり育たず病気になってしまうトマトありです。
Commented by tawrajyennu at 2019-08-26 15:08
こちらからも・・・
たっぷりと野菜が取れるブルセーガ、美味しそうですね。
ラタトゥイユやカポナータと同じと思っていたら、
大蒜を使わなかったり、味付けの調味料も少し違うのですね。
私は、みんな同じとばかり思っていました。
今年は、イタリアのトマトの出来が悪く、葉や茎の成長に
勢力ばかりいって、実がほとんどつかないんですよ。
このトマトが出来たら、カポナータやトマトソースなどを
作ろうと思っていたので、がっかりしているところです。
Commented by milletti_naoko at 2019-08-26 19:45
タワラジェンヌさん、それぞれの地域の料理、そうして同じ地域の料理でも家庭によって、それぞれの味や作り方があって、おもしろいですね。

トマト、楽しみにされていたでしょうに、残念ですね。こちらでは実るのが遅くはなりましたが、幸い今は収穫できています。まだ青いトマトもたくさんあって、ズッキーニはもうだめになっているものもあるので、今年の夏は例年に比べて、我が家では収穫時期がかなり短く、量もかなり少なくなりそうです。
by milletti_naoko | 2019-08-20 23:49 | Gastronomia | Comments(12)