イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

イタリア中部地震前のノルチャ聖ベネデット教会、地下に聖人の生家跡と礼拝堂

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 マルケ・ウンブリア・ラッツィオ・アブルッツォ、イタリア中部の4州にわたって、多くの犠牲者を生み、甚大な被害をもたらしたイタリア中部地震の最初の地震は、2016年8月24日未明に発生しました。昨日、Rai3の1時間余りの特集番組では、瓦礫撤去作業が遅々として進まず・修復・再建のための行政手続きが煩雑で処理が滞っている様子、被災した方々のいらだちや悲しみと同時に、子供たちの声に押されて被災地に戻ることにした家族や、被災地の再興を願って、農業や観光業、商業など、様々な仕事を被災地で再開したり、また新たに始めたりした人々の活動も伝えていました。

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Piazza San Benedetto, Norcia (PG) 15/12/2018

 2016年10月30日の朝、ノルチャを震源として発生したM6.5の地震で、正面の壁を残して崩れ落ちた聖ベネデット教会は、昨年12月に訪ねたときにも、まだファサードが残るばかりで、再建は一向に進まないように見えました。

 昨日の特集番組では、再建の前に、まずは瓦礫を回収する必要があること、そして、聖ベネデット教会の瓦礫回収作業は、のちの修復や再建に役立てられるように慎重に、そして正確に分別しなければならないために、歳月がかかるのだと、説明がありました。教会の地下についても瓦礫回収が始まったとのことで、瓦礫が積み重なった地下の映像が映し出されました。

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Basilica di San Benedetto prima del Terremoto Centro Italia, Norcia (PG) 28/7/2013

 13世紀末から14世紀初めにかけて、この聖ベネデット教会(Basilica di San Benedetto)を建てるために、紀元1、2世紀に建てられた古代ローマの建築物を取り壊していたら、480年に聖ベネデット(San Benedetto)とその双子の姉妹、聖スコラスティカ(Santa Scolastica)が生まれたであろう住居跡や、6世紀末にできた二人の聖人の誕生に捧げられた礼拝堂が見つかり、

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Chiesa inferiore della Basilica di San Benedetto, Norcia (PG) 27/12/2015

わたしたちは、幸い地震の前年に、この地下教会を訪ねていました。

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 また、枚数は少ないのですが、写真も撮影していました。一昨年10月に、教会が崩れ落ちたというニュースを聞いたときから、この地下にある生家跡や礼拝堂が気になっていたので、昨日の特集番組中の映像を見て、崩れ落ちた上部の教会の瓦礫が、地下まで落ちて重なってはいるものの、地下自体の構造の被害は意外と少ないかもしれないという希望が持てました。

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 そして、一般の人が次に見られるのがいつになるか分からない、この下部教会を始めとする教会地下の写真を、多くの方が見られるように、記事に載せようと考えました。

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 このマックブックからは、この写真を保存してあるウィンドウズ用外付けハードディスクが読み込めないために、冒頭の写真を除く過去の写真は、すべてグーグルフォトに保存してあった写真を利用したもので、そのために解像度が低いので、残念です。

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Madonna con Bambino tra gli angeli, lunetta sopra il portale

 上部教会の内部の写真が見つからないのですが、地下を撮影したのと同じ日に、教会の正面扉の上のルネットの聖母子と天使の像は、幸い撮影していましたので、ここにご紹介します。

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Madonna con Bambino tra gli angeli,
nella lunetta della facciata della Basilica di San Benedetto di Norcia.

L'ho fotografata nel dicembre 2015 insieme alla chiesa inferiore
con i ruderi di un edificio romano del I-II secolo d.c.
identificato, secondo la tradizione, come la casa
dove nacquero San Benedetto e Santa Scolastica.
Abbiamo visto "Terremoto, tre anni dopo", speciale Tgr.
Tanto attese le ricostruzioni nelle numerose zone terremotate,
ma i passi sembrano troppo lenti.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by 3841arischan at 2019-08-26 13:26
なおこさん、今の残る地震の爪跡、痛々しいですね!
こういう古い歴史的な教会等は、修復にも時間がかかり
大変だと思います^^;
なおこさんが以前訪ねられたお写真が拝見出来るだけでも良かったと思います。
まだ当分は、見れないと思いますので・・・
1日も早く、修復出来る事を祈りますm(__)m
Commented by tawrajyennu at 2019-08-26 14:48
こんにちは♪

以前にも書きましたが、この2016年10月30日の地震の時、
私と夫はローマにいて、とても驚いたことを覚えています。
あれから、2年以上経つのに、まだ瓦礫すら回収できていないのですね。
後の修復や再建のためとはいえ、大変な作業になるのでしょうね。
この教会には、地下に貴重な住居跡や礼拝堂などがあったのですね。
いつまた見ることが叶うか分からない中、こうして
naokoさんが撮られた写真は、とても貴重なものですね。
それを見ることが出来てよかったです。
ありがとうございました。
1日も早い復興をお祈りいたします。
Commented by milletti_naoko at 2019-08-26 19:47
アリスさん、ありがとうございます。特集番組を見て、あまりにも被害の規模が大きく、広大な地域にわたって、多くの被害や犠牲者が出ているのだと、改めて感じました。なかなか先が見えないために、すでに絶望しかけている方もいて、少しでも早く再建が進むことを、本当に心から願っています。
Commented by milletti_naoko at 2019-08-26 19:51
タワラジェンヌさん、修道院は、歴史的かつ芸術的建造物で、瓦礫も教会のどの部分にあたるものかなどの判断が難しく、そういう判断を下しながら進めることもあって、時間がことさらにかかるのだと思います。瓦礫の撤去作業は各地でかなり進んでいるのですが、アックーモリはまだ中心街では撤去作業が始まってすらいないと知り、番組を見て驚きました。

どういたしまして。こちらこそありがとうございます。
Commented by hanashigai at 2019-08-27 11:48
足場で覆われた教会が、ギプスを付けられたようで痛々しいです。
全体が歴史的建造物とも言えるような地域ですから、大きな自信なので多くの建物が倒壊被害など受けてしまうと、何処から手を付けて良いのか途方に暮れてしまいそう。
優先順位は人々の生き死に、日々の暮らしに直接関わる所から復旧・再興させて、そちらに労力と予算を振り分けて、こういった場所の修復は後回しになってしまってるのかも知れないと想像しましたが、実際はどうなのでしょう。
Commented by milletti_naoko at 2019-08-27 15:28
放し飼いさんがおっしゃるように、わたしもまずは暮らしが第一だと思うのですが、歴史的中心街が、おそらくは落下などの危険があるうちは立ち入り禁止の市町村も多く、そうなるとまずは安全を確保してからでないと、再建に向かっての作業や手続きが始められないからでしょう、地域や行政管轄も様々なので、全体的に見ると、必ずしもそうなってはいないようです。特集番組の中で一度だけそれはおかしいのではと首をかしげたのは、年中村に住んでいる村の方たちの家の再建がさっぱり進んでいないように見えるのに、ローマなどから夏だけに訪れ、地震の被害で別荘が利用できない人のために、そういう人たちが集まれる施設を、スイスからの義援金で建てたという村の話でした。いろいろ事情はあるのでしょうが、同じ州の互いに近い村でありながら、再建への動きにあまりにも大きな差があり、なぜと思わざるを得ない状況もありました。

シビッリーニ山脈の山中にある聖地の教会が、銀行の支援も得て、驚くほど早く再建されたのですが、こういう教会が再建されることで、被災地の人の心の支えとなり、希望を持ち続けることができる、また集まる場所ができる、そういう効果もあるのではないかと感じています。
by milletti_naoko | 2019-08-25 23:56 | Umbria | Comments(6)