2019年 08月 31日
宿題はコツコツと、サンドイッチの中のドイツ
かつてわたしが教えていた愛媛県立高校では、9月1日は2学期が始まると同時に、国語・数学・英語の試験があり、夏休みの宿題の提出日でもあったので、国語教師だったわたしは、実力試験の採点や宿題の問題集の点検に追われました。そうして、それが終わったら、山と積まれた読書感想文が待ち受けていて、一つずつ読んではコメントを書いていきました。
原則的には、休み明けの試験の内容は、夏休みの補習授業の内容かつ問題集の夏休みの課題となっていたところだったように覚えています。問題集を毎日少しずつていねいにこなしていき、補習授業も毎日予習・復習をしていた生徒は、概して試験の成績もよく、一方、夏休みが終わる頃になって、慌てて宿題に取りかかって終えた子は、問題集の乱雑な字や解答欄の空白、そしてテストの結果を見ると、その残念な学習ぶり、あるいはさぼっていた様子が、手に取るように分かりました。読書感想文も、ふだんから生徒の語彙や書く文がどのようなものであるかは知っていたので、例えばサッカーに夢中で書くのが苦手で、語彙不足気味のスポーツ少年が、「わたしは赤毛のアンが大好きで」と、彼の辞書にはないような言葉を連ねていたことから、引用元を突き止める前から、他人の文章を丸写ししてあることが、すぐに分かりました。読書感想文であるはずなのに、原稿用紙5枚の前半が、なぜその本を書店で手に取って買うことにしたかで、本を読み終えることができなかったことが分かる作文もありました。
やるべきことをつい後回しにしてしまうことは、わたし自身少なくないのですが、外国語学習について、学習時間と頻度・学習の成果の相関関係を調べた研究があり、その結果から、例えば同じ週に6時間勉強するのでも、そのうち1日だけ、一度に6時間勉強するよりも、週に3日・1日に2時間ずつ、週に6日・1日に1時間ずつと、時間を多くの日にふりあてた方が、学習の成果が上がるという結果が出ています。同様に、夏休みが終わる直前の数日だけ、あるいは前日だけ、たまった宿題を仕上げるのは、宿題を片づけていないという罪悪感を夏休みの間じゅう心のどこかに抱き、かつ夏休みの最後に大変な思いをしなければいけないだけではなく、せっかく何時間も勉強しても、それが記憶に残らず、あるいはすぐに忘れてしまいやすいという残念な結果になってしまいます。ですから、まあ夏休みの宿題に限らず、例えば外国語学習でも何でも、一気呵成に気が向いたときにするのではなく、コツコツと少しずつ日頃から続けていきましょう。と、もう長い間フランス語の学習を放棄しているわたしが、自らの自戒も込めて、書いております。
予定が後にずれ込んで、13歳の少年の日本語の授業では、個人授業の夏休み明けに、『まるごと』の第6課に入りました。少年も母君も、授業中によく日本の食べ物について質問します。そこで、うどんやそば、ラーメンなど、教科書では、出てくる言葉に写真も添えてあるのですが、麺の違いが分かるようにと、日本の旅行ガイドと日伊辞典を参考にして、それぞれの麺について、イタリア語で簡単な説明を添えておきました。
夏休み明けに、既習のひらがなやカタカナの読みをどれだけ覚えているだろうかと、この食べ物一覧の言葉を、順に読んでいくように言ったのは、先週の授業でのことでした。せっかく学んだことを忘れてしまわないようにと、負担にならないほどの量の宿題を出してはいたのですが、やはり間際に慌てて仕上げたために、特に既習のカタカナにおぼつかないところがありました。
「サンドイッチ」の「サン」まで読んで、後が出てこないようだったので、どうやって本人の記憶を引き出そうかと考えていて、ふと気づきました。「サンドイッチの中には、ドイツという言葉がありますよ。ツは小さいけれど。」少年はドイツ国籍も持っているので、ドイツ・ドイツご・ドイツじんという言葉はすでに学習していました。
「海よ、僕らの使う文字では、お前の中に母がいる。そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある」と、三好達治の詩、『郷愁』にありますが、そうか、「日本語では、サンドイッチの中に、ドイツがある」のかと、何だか自分の発見にうれしくなり、少年も楽しみながら、サンドイッチという言葉を読み、ドイツという言葉の復習もすることができました。
8月28日の義母の誕生日には、リッチョーネに祝いに行って宿泊したいとは、夫から少し前から聞いていたのですが、その翌日も友人宅に泊まり、帰宅が昨晩になるとは、予想していませんでした。だからと言うわけではありませんが、今日は朝、畑で野菜を収穫し、昼食を準備し、昼食後夫に、「今日中に旅行記事を提出しなければいけないから、午後6時まではそれにかかりきりになる」と宣言して、業者に提出するべき記事を仕上げました。授業の準備や秋の通訳の仕事数件についてのメールのやりとりなどで、出発前には、書き上げることができず、間際になってしまったことを反省しています。
さて、記事を仕上げていざ提出しようと、業者とやりとりをした過去のメールを見ていたら、けれども、実は締め切りは今月末ではなく、10月末だったことが判明しました。今から送っても、早すぎて逆に迷惑をかけてしまいそうな気がするので、もう少し期限が近づいてから、送付するつもりでいます。
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Germania in sandwich in lingua giapponese!
サンドイッチ /sandoicci/ sandwich
ドイツ /doitsu/ [da ted. Deutshland] Germania
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*追記(9月4日): ブログの題名に「写真草子」とありますので、この記事を書いた翌日、夫の車での移動中に写真を添え、さらに今日、日本語学習者、あるいは日本語を知らない方にも分かりやすいように、カタカナの言葉を、写真内に挿入しました。ドイツの写真は、2012年に夫が属していた合唱団の親善旅行で、レーゲンスブルクを訪ねたときのものです。(旅行記事はこちら)サンドイッチと書いた写真に写っているのは、実はパニーノなのですが、この切り口ならサンドイッチにも見えるだろうと選びました。2015年にセニガッリアで撮影したものです。(このパニーノと店についての記事はこちら)
本当ですね。 素晴らしい発見ですね。(^^)/
イタリア語では サンドイッチと ハンバーガーは
どう発音するのでしょうか?
食べ物を覚える時は
実際に食べながら覚えると いいかもしれませんね(笑)
スイス旅で
gnocchi というのが 「ニョッキ」だと知りましたが
よく考えると 「グノッチ」ではなく 「ニョッキ」と発音するのですね。 日本に戻ってから気づきました。
私の好きなパスタです。
スイスでニョッキを食べられたんですね。おいしいですよね。イタリア語ではgnの音は、舌の中央をべったりと口の上方にはりつけて発音するので、ニャ行の子音に似た音に聞こえますが、舌の位置と動きはかなり違うんですよ。
いつか少年が日本のレストランのメニューでサンドイッチを見つけて、ドイツのこと、なおこさんのことを思い出す…
そんな素敵な未来がふっと浮かびました。
少年よ、やまとのカタカナ言葉ではサンドイッチにドイツをはさむ
私も写真教室のインストラクターをすることがあるのですが、カメラ普及が喜ばしい一方で、あまりにも簡単に「撮れる」事が「一眼レフカメラ所有すればプロカメラマンとして仕事が出来る」と言う誤解を持って私のもとにやってくる受講生もおられます。
しかも1コマ1時間の受講時間を初回1回だけで「初顔合わせで要点だけ教えて下さい」と言うスタンスの方がある程度の人数おられて面食らうことも度々です。
同じ言語を使っていてもレクチャーは難儀することが多いです(笑)
入門や初心者という枠でも、いろいろなカメラをお持ちの、いろいろな希望を持った方がいらっしゃるでしょうから、確かに授業は大変でしょうね。