イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

原始人の森から金色・茜色の湖へ、チェトーナ山とトラジメーノ湖

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 5万年前に、ネアンデルタール人が住んでいたという緑の木々と苔むす岩が美しい森には、大きな洞窟がいくつもあります。昨日は夕方、そのベルヴェルデ考古学自然公園(Parco Archeologico Naturalistico d Belverde)を、夫と友人と、洞窟の入り口をのぞきながら、歩きました。

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Parco Archeologico Naturalistico di Belverde, Cetona (SI) 26/9/2019

 公園名にも含まれている地名、ベルヴェルデ(Belverde)は、おそらくこの「美しい緑」(bel verde)に由来するのでしょう。傾き始めた日の光に照らされて、神秘的な雰囲気がありました。

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 しばらくの間、たまたま歩いてみることになった緑の森は、トスカーナ州シエナ県にそびえるチェトーナ山(Monte Cetona、1148m)の北東の斜面にあります。そうです、わたしたちが3週間前に登頂した、あのチェトーナ山です。チェトーナ山は、周囲を広い平野に囲まれているため、かなり遠くからでも特徴のある山の姿を認めることができます。

 昨日の午後、ペルージャからチェトーナ山にある庵に向かうと、道中、チェトーナ山が目の前に見えるところもありました。前の車が、追い越し禁止の場所で追い越しをしてしまっています。

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 庵に向かう途中、サルテアーノとサン・カッシャーノを結ぶ山の道を、南東へと走っていると、左手、つまり北東の方角に、ウンブリア州のトラジメーノ湖(Lago Trasimeno)が見えるところがあったので、夫に車を停めてもらって、撮影しました。湖の右手、写真の右奥に見える横長の台形の山は、ミジャーナのあるテッツィオ山(Monte Tezio)です。

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 このあとさらに南に進むと、山頂で見た大きな十字架も見えました。

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Tramonto al Lago Trasimeno, Spiaggia Giramondo, San Feliciano, Magione (PG)

 帰り道は、トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)に沈む夕日を、ぜひ友人に見てもらおうと、いつもの湖畔の店に向かいました。日の入りがどんどん早くなり、昨日は日の入りが午後7時でした。夕日が金色の光で、空と湖を染めながら沈んでいきます。

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 南西の方角を見やると、ポルヴェーセ島(Isola Polvese)の左端の向こうに、先ほどまでいたチェトーナ山(Monte Cetona)が見えます。さらに右を見ると、島影の向こうに、アミアータ山の頂も、左半分だけのぞいています。

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 少しずつ少しずつ移り変わる、そのどの色も美しい湖の夕景を時々見やりながら、友人と夫と、眺めのいいテーブルで夕食を食べました。写真の左手には、ポルヴェーセ島の右の端が写っています。

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 北風が肌寒いのですが、夕食を食べるとなると、ずっとこうして長い間夕焼けの空を眺められるのが、うれしいです。わたしがこの店で初めて頼んだタッリャータは、いまひとつだったのですが、湖の魚のブルスケッタを食べて、海の魚のおいしいリミニに住む友人が、おいしいと喜んでくれました。

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 島と湖畔を往復する船が、茜色の空と湖の間を進んで行きます。ポルヴェーセ島を午後7時20分に出て、7時半にサン・フェリチャーノの港に着いた船が、1日の仕事を終えて、湖の北の岸辺にあるパッシンニャーノの停泊所へと向かっているところです。この写真の撮影時刻は、7時38分です。

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 空と湖が、少しずつたそがれていきます。

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 今年はもう来ないと思っていたでしょうと、店の人に言うと、「きれいな夕焼けが見えるたびに、これはなおこが見に来るだろうと、思っていたよ」と、笑って言います。

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 8時7分にはもうこんなに暗くなって、日が短くなったことを実感しました。

 トラジメーノ湖の夕焼けを、リミニの友人に見てもらえたことをうれしく思いつつ、食事を終えて、ミジャーナに向かいました。

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Il sole, il cielo e il Lago Trasimeno tutto dorato

un attimo prima del tramonto a San Feliciano.
Si trasformano i colori e poi arriva la sera.
Dalla zona del Monte Cetona si vede il Lago Trasimeno,
e dal Trasimeno il Monte Cetona e il Monte Amiata
dietro l'Isola Polvese.
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 秋色と見晴らしきれいなチェトーナ山、トスカーナ / Colori d'autunno sul Monte Cetona (6/9/2019)
- 幸せと聖人・ネアンデルタール人の洞窟、ベルヴェルデ考古学自然公園 / Grotta di San Francesco nel bel bosco, Parco Archeologico Naturalistico di Belverde (26/9/2019)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by nonkonogoro at 2019-09-28 10:25
こんな洞窟に ネアンデールタール人が住んでいたと思うと なんだか ドキドキしてしまいます。
人類の発生 進化には とても興味があります。
学説はしょっちゅう覆されているので
私の習った頃とは だいぶ違ってきていますね。

Commented by hanashigai at 2019-09-28 13:05
アウストラロピテクス、クロマニヨン人、ネアンデルタール人、言葉だけはまだ覚えています(笑)実際にネアンデルタール人が暮らしていた森が5万年後の今も存在し、それを散策できるのが素晴らしいです!
トラジメーノ湖の夕日は安定の美しさですし、なおこさんのブログ登場率から天候もも安定してる日が多いのですね?
僕が暮らす町は京都盆地の端っこなので、山裾が直ぐ近いのもあり焼けた空は眺められますがオレンジに輝く夕陽は眺められないのです。

交差点手前のゼブラゾーンにまたがって追い越しとは・・・(汗)
Commented by ciao66 at 2019-09-28 16:32
「美しい緑」という名前の通りの美しいところですね。ネアンデルタール人といえば、最近の研究成果で、現代人にもネアンデルタール人の遺伝子が何パーセントか混じっていて、それがいい結果を生んでいるということが最近分かったようです。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO78680150R21C14A0000000/ これがその場所かと思うと、とても興味深いものがあります。

 3枚目の移動中のトラジメーノ湖とテッツィオ山を望む写真は位置関係が判っていいですね。

 いつもの夕焼けも、いつにもまして美しく、船が写った一枚と、最後から2枚目が特に印象的です。ご友人がこれを見ることができて良かったですね!
Commented by milletti_naoko at 2019-09-30 02:48
のんさん、わたしも最近人類の歴史をさかのぼるような場所を訪ねる機会がたびたびあって、興味を持ち始めたところです。

遺跡が出てくるたびに、また新しい発見があって、学説が覆されるのでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2019-09-30 03:00
放し飼いさん、わたしも遠い記憶を掘り起こしながら、公園内に立てられていた看板の説明を読みました。

我が家からは、南から西の方角に、小高い丘や山がすぐ近くにあるため、夕日が沈む方角の空は見えても、地平線近くは見えません。それでも、その方向の空がすっかり雲に覆われているときは避けて、天気予報も確認しながら、夕日が沈むのが見られそうなとき、夕焼けがきれいそうな時を選んで、湖方面に出かけているんですよ。それに、この日の夕焼けは今ひとつだなというときは、写真を載せていない場合もあります。

うちからはオレンジ色の夕日が見えないのは、ペルージャでもミジャーナでもうちも同じで、でもトラジメーノ湖に夕日を見に行こうと夫が言ってくれるのは、うちからは見えないおかげかもしれません。

この追い越し、ひどいですよね…… こういう追い越しがまれではないのが、困ったところです。
Commented by milletti_naoko at 2019-09-30 03:09
ciao66さん、名前もいいですよね。ネアンデルタール人が暮らしていた頃は、どういう森だったのだろうかと思いを馳せたりしています。ネアンデルタール人の遺伝子も現代人に混じっているという研究結果もあるんですね! リンク先の記事も読んでみました。とても興味深いです。

チェトーナ山は、山頂からのトラジメーノ湖も楽しみにして登ったのですが、木々が多かったり霞がかかっていたりして、前回登っていたときにはあまり見えず、逆にこの道路からの方が、距離的に近いこともあって、きれいに見えました。距離はかなりあるので、驚くほどに。

最後から2枚目の写真、少しずつ少しずつたそがれの青い色が地平線に向かって下がっていき、湖面に映るその色も広がっているのが、おもしろいですよね。
by milletti_naoko | 2019-09-27 23:59 | Umbria | Comments(6)