イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

「じゃありません」と言えるようにと日本語授業

 12歳の誕生日への両親からのプレゼントということで、昨年の夏始まった少年の授業は、最初は、わたしはもちろん、おそらく両親自身も何時間続くか分からなかったので、少年本人の希望を聞きつつ、まずはあいさつや「はじめまして」という出会いの際の会話、ひらがなの学習から始めました。

 イタリアの学校の教科書に似て、A4版で絵や写真も豊富なので、中学生の少年にはうってつけだろうと、教科書には『まるごと 日本のことばと文化 入門A1 りかい』(記事はこちら)を採用しました。週1時間の授業なので、まずはひらがなをしっかり学んでから、カタカナを少しずつ導入していこうと考え、カタカナ学習をねらう第2・3課は飛ばし、教科書を先に進めていました。第4課では、家族や年齢、住む町について話せるように学びながら、ひらがなの学習を終えました。第5課・第6課の目標は、好きな食べ物や食習慣を語り、飲食店について質問・説明し、食事に行きましょうと会話ができることで、教科書に出てくるパンやコーヒー、ピザやラーメンなどの食べ物・飲み物を表す語彙を学びながら、カタカナを勉強していきました。

 9月中に、第6課とカタカナの一通りの学習が終わったので、最近は、カタカナの定着を図ることも兼ねて、基本語彙や国名でカタカナを学ぶ第2課を終え、「どうぞよろしく」と初めて出会った際の会話を学習する第3課に入ったところです。自分の名前や国籍、年齢を言ったり、他の人に尋ねたり、質問に答えたりという練習は、すでに昨年の夏、まだ教科書が手元になかったときに学習済みです。

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 第3課では、新しい語彙として、少年が中学生なのでこれまで言及していなかった職業名、きょうし・がくせい・しゅふ・かいしゃいん・こうむいん・エンジニアが登場します。こうした言葉は先週すでに学んでいたので、今週は、少年自身が自分について語れるように、「ちゅうがくせい」も教えることにしました。そうして、その際、今の段階で覚える必要はまったくないのですが、「がくせい」という言葉を覚えやすくするために、また、第7課に形容詞、「おおきいです」、「ちいさいです」が出てくることから、「だいがくせい」・「ちゅうがくせい」という言葉も漢字と共に表に書いてみました。

 今日の授業で少年は、「ぼくはちゅうがくせいです。」と言ったあと、横で聞いていた母君から、「じゃあ、お姉ちゃんについても言えるわよね。」と促されて、「ぼくのおねえちゃんは、だいがくせいです。」とも言うことができました。「あね」は第4課で学習済みなのですが、中学生の少年が家族の話をする際は、「おねえちゃん」をしっかり覚えておいた方がよかろうと、それでよしとしました。

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 第4課で家族を表す言葉を学んでいたときでさえ、少年は、兄と姉を混同しがちだったので、姉二人を持つ少年ですから、現時点では、話し言葉で「おねえちゃん」と迷わずに言えることの方が大切だと考えたのです。(上の写真は、学校の授業の板書を、後から自分で撮影したものです。)

 「中」という漢字は、「中間・中心」という意味があるので、「中学生」にも「中国」という国名にも使われているのだと説明すると、興味深そうに聞いていました。こうやって互いに関連づけながら、イタリア語とは響きも表記もまったく異なる言葉を覚えていってくれたらと思います。

 「せんせいはにほんじんですか。」「はい、にほんじんです。」
 「〜くんのおかあさんはアメリカ人ですか。」「いいえ、アメリカ人じゃありません。」

 こういう表現は、会話練習を主として、すでに昨年の夏に学習し、書けるようにもしていたのですが、今回は、教科書の会話や練習問題を勉強したあとで、先週は、会話練習をたくさん行い、今日はひらがなやカタカナの復習も兼ねて、いろいろな質問の答えを少年がプリントに日本語で書いていきました。

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 『まるごと』の教科書は、音声ファイルが豊富で、会話の音声や聞き取り練習が多く、ディクテーションもあり、音声面が充実しています。けれども、残念なことに『まるごと A1』では、教科書には、書かれた表現としても録音された音声としても、「〜じゃないです」があるだけで、「〜ではありません」どころか、「〜じゃありません」さえ、まったく取り上げられていないのです。これまでわたしたちが、大学や語学学校などで使ってきた教科書では、「〜じゃありません」を採用し、ホエプリ社の入門書では、「〜ではありません」にも言及しているというのに。

 先週、教科書の会話を学習し、問題を解いたあとで、たくさん会話・文法の練習をしたのは、「〜じゃないです」ではなく、「〜じゃありません」と、少年が言えるようになることを目指すためです。上のプリントの表は、第5課で動詞の否定形を学んだときに、名詞述語文の否定形と混同しないようにと、表を作って添えたものです。このときにも、そして今日の授業でも、相手に失礼な印象を与えないためにも、ぶしつけな言い方をしないためにも、「〜じゃありません」という否定形を使いましょうと、少年に言いました。

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 会話練習には、国名を書いたこちらのカードを裏返しにして、束にして机の上に置き、わたしと少年が一枚ずつ取って、それぞれが取ったカードに書かれた国出身であることにして、互いに質問をしました。

   「〜くんはフランス人ですか。」「いいえ、フランス人じゃありません。」
   「ちゅうごくじんですか。」「いいえ、ちゅうごくじんじゃありません。」
   「オーストラリア人ですか。」「いいえ、オーストラリア人じゃありません。」

 きりがないので、3度尋ねてもはずれの場合は、そのカードは傍らに置き、それぞれが新たなカードを引いて、再び互いに質問し合いました。

 国名を書いたカードは、これまでの授業でも、カタカナの読みを確認したり、それぞれの国の出身者や言語を表す言葉を言ったりする練習にと、何度も使ってきましたので、どの国のカードがあるかは、わたしも少年も、だいたい覚えています。少年は、最初は否定形をすらすらと言えなかったのですが、カードが残り少なくなるまでは、3度質問しても、答えがはずればかりだったので、結果として、「じゃありません」と、きちんと言えるようになりました。もちろん国が当たったときには、「はい、にほんじんです。」、「はい、イギリス人です。」と答えるのですが、国が正解で、「はい」という答えも練習できるようになったのは、残るカードがあと4枚、2枚と、残り少なくなってからでした。

 先週の授業から1週間経った今日は、最初のうちは、まだ「フランス人がありません」、「フランス人ありません」と、否定形がきちんと言えず、書けなかったので、今日は文法の説明や書く練習を中心に、やはり名詞述語文の質問や答え方をしっかり勉強しました。

 少年はまだまだやる気いっぱいです。今日は比較的難しい復習用の宿題を出したので、来週どれだけきちんとできているかどうか、楽しみです。

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Tre parole della lingua giapponese:
中学生 /ciuugakusee/ alunno di scuola media
中国 /ciuugoku/ Cina
地中海 /ciciuukai/ Mare Mediterraneo.
L'ideogramma 中 significa 'centro, medio, interno'.
Ieri ho insegnato al mio allievo di 13 anni la parola 中学生, perché per lui è un lessico importante per parlare di sé stesso, anche se finora non l'ho mai trovata nei manuali di giapponese per i principianti. Poi visto che ha già imparato le parole 中国 e 学生(studenti universitario) le quali si trovano in quasi tutti i manuali, la parola 中学生 lo aiuterà anche a imparare a memoria queste due parole fondamentali.
Sì, in giapponese si utilizzano anche i caratteri cinesi insieme ai due sistemi alfabetici autoctoni, hiragana e katakana.
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- 外国語教育・学習と『まるごと入門A1』考2 / Nuovi manuali di giapponese, “Marugoto” – parte 2: i suoi Problemi (2015/4/27)
- 13言語の外国語学習にも役立つ対訳付き日本語語彙集 『まるごと』 オンライン無料

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2019-10-16 08:56 | Insegnare Giapponese | Trackback | Comments(0)