イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

小説・映画『山猫』で誘うシチリアの旅・歴史・文化

 今夜は、日本ではおそらくルキーノ・ヴィスコンティ(Luchino Visconti)監督の映画で知られる、ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ(Giuseppe Tomasi di Lampedusa)の小説、『山猫』(イタリア語原題は『Il Gattopardo』)と映画を通して、シチリアの文化や歴史、旅へといざなうテレビ番組を見ました。


 名高い舞踏会を撮影した館の内部の今も変わらぬ美しさに感嘆し、また、映画を撮影した当時のエピソードなどを興味深く聴きました。夏のひどく暑いときに、晩は1か月もの間、ずっと舞踏会の場面の撮影が続き、ヴィスコンティは舞台や小道具、役者の演技や視線などにまで、周到に目を配っていたそうです。アンジェーリカを演じたクラウディア・カルディナーリによるとまた、ヴィスコンティの指示によって、アンジェーリカが手にするバッグの中身まですべて、作品の舞台となる19世紀半ばのシチリアで、実際にバッグの中にあったと推測されるものが入っていたとのことです。アラン・ドロンが約50年後に、自らが映画の中でタンクレーディを演じ、舞踏会の撮影に参加した館を訪ねて、感慨にふける映像も、引用されていました。

 人気推理番組、『ドン・マッテーオ』で主人公を演じるテレンス・ヒルも、映画『山猫』に、ガリバルディの千人隊の一員の役で、映画に参加したとのことで、幸い舞踏会の場面には役がなかったので、一人でシチリアを車でめぐり、遺跡と風景に感動したと、若かりし日の回想を語っていました。

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 わたしが『山猫』を知ったのは、ペルージャ外国人大学のイタリア語・イタリア文学講座のイタリア現代文学の授業を通してだと思います。当時のノートを今見ると、2003年1月の授業で、作品の背景や内容を、数ページの小説本文の読解と共に、2、3週間学んだようで、A4のノートに、板書や講義内容の記録が20ージあり、10ページ近い小説本文のコピーが貼ってあります。

 当時は読書記録をつけていて、『Il Gattopardo』を、外国人大学図書館で借りて読んだ記録も書いてあるので、授業のノートの上に、その読書記録のページを重ねて、撮影してみました。記録には、2003年1月14日に図書館で借りて、1月27日に読み終えたとあり、次のように感想を記しています。

「小説としても映画としても人気を博し、ネオレアリズモの傑作の一つとの授業中の説明から、試験に備えるためもあって読んだ。ガリバルディの上陸、イタリア統一とその後の様子が生々しく描かれているのかと思ったら、主人公、Principe di Salinaは、家族と家名を思う、また賢明な人物で、常にできごとや人間関係にもまれない冷静沈着さ、用心深さから、一歩引いて物事を眺め、生きている感がある。Piemontesi(司教にせよ役人にせよ)の楽観と、Principeの悲壮な運命観、世界(シチリア)観、現実が、たくさんの人々の苦しみや人生の浮沈をとおして対比されている。青年時代のTancrediとAngelicaを描きながら、後の本編にはとくに関係のない二人の結婚生活の将来が暗示されて(というよりかなりはっきり書かれて)いるので、かなり実話に近いと思うけれど、Principeがbisnonno paternoにあたる筆者はだれの子孫・孫なのだろう。計算高さと不幸な結婚の様子がかかれているので、なおさらConcettaに同情する。様々な立場・年齢・階層の人の思い、かけひき、思わく、立場が書きわけられ、筆がつくされていて、その点でもおもしろい。」

 当時は、毎日遅くまで授業があり、帰宅しても宿題に追われていたため、自分自身の覚え書きとして、なぐり書きで書いた感想なのですが、明らかな間違いだけ2箇所訂正して、あとはそのまま書き写しました。


 映画も、ペルージャ外国人大学で上映されたのを見たことがあったように、ぼんやりと覚えているのですが、今日のテレビ番組で、『山猫』の小説の舞台の元となったのではないかとされる場所や、映画を撮影した場所、また作品の背景にある当時の文化や慣習なども、詳しく紹介されていて、興味深かったので、イタリアに長く暮らし、その歴史についてもより学んだ今、ぜひ再び『山猫』の小説を読み、また映画も見てみたいと思いました。

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Guardando "Ulisse" di ieri mi è tornato il ricordo della lettura del romanzo, "Il Gattopardo" e la lezione della letteratura contemporanea dell'Università per Stranieri di Perugia del gennaio 2003. Poi mi è venuta la voglia di andare in Sicilia oltre a rileggere il romanzo e rivedere il film di Luchino Visconti.
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参照リンク / Riferimenti web
- amazon.co.jp - 小説 『山猫』 、トマージ・ディ ランペドゥーサ著、岩波文庫
- amazon.co.jp - 映画 『山猫』、ルキーノ・ヴィスコンティ監督 [DVD]
- amazon.it - Romanzo, "Il Gattopardo" di Giuseppe Tomasi di Lampedusa
- amazon.it - Film, "Il Gattopardo Collector's Edition" di Luchino Visconti

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by 3841arischan at 2019-10-20 10:29
なおこさん、素敵な映画の紹介ありがとうございます(^^♪
このような名画なら借りて観る事が出来るので、是非みてみたいと思います~♡
若き日のアランドロンはやはり素敵ですね~(^_-)-☆
シチリア島、いつか訪れてみたい場所です~
残念ながらまだ行ったことがありません!
それまでには映画を見ておきたいです~♡
Commented by milletti_naoko at 2019-10-21 03:38
アリスさん、こちらこそコメントをありがとうございます。若く端正なアランドロンに、わたしも驚きました。テレンス・ヒルも若いです! 映画も傑作として名高いのですが、授業で小説についても映画についてもあれこれと説明を聞き、小説を読んだばかりのときに見たので、映画作品として純粋に楽しめていないように思いますので、小説の内容を漠然としか覚えていない今、まずは映画から見てみたいと思っています。できれば映画館で見たいのですが、昔の作品ですから難しそうです。
Commented by otenbasenior at 2019-10-24 09:28
『山猫』知りませんでしたが是非読んでみたいと思いました。
また映画もとても重厚な美しさがありように思います。
探して是非みたいと思います。
Commented by milletti_naoko at 2019-10-24 18:23
お転婆シニアさん、小説にも映画にも、興味を持ってくださったと知って、うれしいです。この番組をきっかけに、わたしもぜひ映画を見てみたいと思いました。授業中に見たときは、小説の内容が頭に色濃かったので、まずは映画として楽しむために映画を鑑賞して、それから小説もまた読んでみたいと考えています。
Commented by tawrajyennu at 2019-10-26 11:28
こんにちは♪
「山猫」naokoさんの記事を読んで、小説読んでみたくなりましたよ。
図書館で検索したら、閉架になっていましたが、ありましたので、借りてこようと思います。
映画は、近くにレンタルできる所がないので、ちょっと無理かもだけど、若き日のアランドロンが出ているので、見てみたいなと思いました。
アランドロン、昔からのファンなんです。
シチリア島は、いつか行ってみたいですね。

アンジェリーかを演じたクラウディア・カルデシナーリ、何故かこの女優さんの名前、覚えているんですよね~
何で知ったのか覚えていないのですか・・・
「ブーベの恋人」で知ったのかもしれません。
綺麗な女優さんですよね。
Commented by milletti_naoko at 2019-10-27 20:16
タワラジェンヌさん、本を読まれて、映画を見られたら、ぜひ感想をお教えくださいね。統一国家としてのイタリアの近代国家の成立は1861年で、日本の明治維新とちょうど時期が近いのですが、かつて強国に支配された地域あり、あちこちに小国ありで、政治的・地理的に分断されていたイタリアの様子が、この作品を通して見えてくるのではないかと思います。

おお、アランドロンのファンでいらしたんですね! クラウディア・カルディナーリ、わたしはこの晩のテレビ番組で初めて知ったんです。タワラジェンヌさんの方がよくご存じですね。
by milletti_naoko | 2019-10-20 09:06 | Film, Libri & Musica | Trackback | Comments(6)