イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

エトルリアの骨壺・さかずき 日曜は博物館、ペルージャ 国立ウンブリア考古学博物館

 古代のペルージャでは、紀元前3世紀から紀元前1世紀にかけて、それまでの埋葬に代わって、火葬が普及したそうです。ペルージャ及び近郊の当時のエトルリア墳墓から発掘された骨壺(urna cineraria)を見ると、

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骨壺の上に、側面が三角形をした蓋を置いたものが多い中、亡くなった人当人が半分横になった像が置かれた骨壺も、いくつもあります。

 今月から来年3月まではまた、毎月第一日曜に、国立の博物館・美術館などに無料で入場できる催し、Domenica al museo(日本語に訳すと「日曜は博物館へ」)が行われることになったと知って、今日はペルージャにある国立ウンブリア考古学博物館(Museo Archeologico Nazionale dell'Umbria)を、久しぶりに夫と訪ねました。展示パネルの説明によると、骨壺には多くの場合、故人の名前と共に、父や母の名前も、エトルリア語で記されているそうです。

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 かつて修道院だった建物が、国立ウンブリア考古学博物館となったため、エトルリアの骨壺が並ぶ廊下の窓からは、こんなふうに昔を彷彿とさせるような風景を見ることができます。

 わたしたちは今回、エトルリアの骨壺の展示を見ている途中で、左手にあった旧石器時代の展示会場などを見始めてしまったために、ガラスケースに入った、おそらくは細密な彫刻が施された、より貴重な骨壺が並ぶ展示室などを見逃してしまいました。

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 それでも、ケースもなしに廊下に置かれた骨壺にも、こんなふうに馬や人の動きに躍動感があり、かつ表情や衣装の細部まで、ていねいに仕上げた彫刻が施されたものがありました。

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 日曜恒例の大家族での昼食前に帰宅しようと、急ぎ足で回る夫と共に、足早に訪ねたので、説明を読み損なってしまったのですが、この骨壺の上の像もまた、ひどく素朴、あるいは傷みが激しいのですが、互いを深く思い合っていた、今は亡き二人を表しているのではないかと、推測しています。

 つい最近訪ねたトスカーナ、チェトーナの聖フランチェスコの洞窟で発掘されたという壺なども展示されていて、興味深いので、ついつい足を止めて説明を読んだりしていたら、残念ながら、すべてを見終えることはできませんでした。数年前に訪ねたときよりも、さらに展示内容が充実していた上に、近年は、わたしたち自身が、イタリア各地でエトルリア遺跡や旧石器時代の博物館展示を見る機会が増えたため、かつてよりもさらに関心を持って、訪ねることができたように思います。

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 今日見た数ある墳墓からの出土品の中で、夫がとりわけ気に入ったのが、トラジメーノ湖畔の町、カスティッリョーネ・デル・ラーゴの墳墓から発掘されたという盃です。

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 墳墓は紀元前575年から紀元前550年のものと推定されています。ワインや水を受ける部分が、波を打つよう、花の形を描いているようで、今から2500年以上も昔に、こんなにも独創性のある美しい盃をつくりだした文明と作った人の感性に、感嘆しました。

 イタリアでは、11月2日は、亡くなった人を偲ぶ日とされ、前日の11月1日が諸聖人の祝日で国民の休日であることもあり、この前後の時期には、ちょうど日本のお盆やお彼岸のように、皆がお墓参りをする習慣があります。夫や義家族は、11月1日に、市民墓地で行われたミサに参加してから、親戚の墓参りをしたのですが、わたしはまだ体調が悪かったため、同行できませんでした。義家族の親戚の墓地は訪ねられなかったのですが、今日、11月3日日曜日は、国立博物館・美術館無料開放の日を利用して、考古学博物館で、エトルリア墳墓から発掘された骨壺などを見に行きました。Domenica al museo「日曜は博物館」は、今後、12月1日、来年1月5日、2月2日、そして3月1日にも開催されます。観光で名高い町の有名な博物館・美術館は、無料で入場できる日には、かえって人が殺到して、入場が難しくなる場合もあるかもしれませんが、そうでなければ、冬から春先にかけては、観光客も比較的少ないため、気になる博物館や美術館を無料で気軽に訪ねられる絶好の機会だと思います。今日無料で訪ねることができたイタリア各州の博物館・美術館の一覧があるページへのリンクはこちらです。今後、若干の変更があるかもしれませんが、基本的には、これからも今日同様に、日曜は無料で訪ねられるところが多いのではないかと思います。

Museo Archeologico Nazionale dell'Umbria
Piazza Giordano Bruno, 10 – 06121 Perugia
Tel. : 075/5727141
Email: pm-umb@beniculturali.it
Info : Ministero per i beni e le attività culturali e per il turismo - Museo archeologico nazionale dell'Umbria (イタリア語・英語の2言語の説明あり)
Sito : MiBACT - Polo Museale dell'Umbria - Museo Archeologico Nazionale dell'Umbria
FB : Facebook - Museo Archeologico Nazionale dell'Umbria

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Domenica al Museo Archeologico Nazionale dell'Umbria

Molti reperti interessanti, differenti da quelli degli altri musei archeologici.
Diverse urne cinerarie ornate dalla scultura con la statua semigiacente,
eleganti i calici a pareti ondulate trovati nella tomba a camera
di Castiglione del Lago, fabbricati più di 2500 anni fa.
Leggendo a volte attentamente anche le spiegazioni dei pannelli,
purtroppo non siamo riusciti a vedere tutto. Ci torneremo senz'altro.
cfr. "A Perugia [...] prevale in età arcaica il rito dell'inumazione, mentre dall'età ellenistica, dal III sec. a.C., si afferma il rito dell'incinerazione dei defunti [...]
Fra le urne cinerarie presenti nella tomba [...]: esse - e in particolare quella con defunto semigiacente sul coperchio - si riallacciano alla bottega che ha prodotto le urne della famiglia velimna (in latino Volumini) del notissimo ipogeo perugino dei Volumini."
(Dal pannello illustrativo della tomba dei Chi Cutu di Perugia del museo)
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ciao66 at 2019-11-04 15:02
ウンブリア考古学博物館の記事懐かしく拝見しました。私が行ったのは5月でしたが、博物館の展示内容もすばらしかったのですが、そこからの眺めがとても美しく、雪をかぶったシッビニーニ山と緑ゆたかなのウンブリアの大地が良く記憶に残っています。https://ciao66.exblog.jp/22425626/

エトルリア語がいまだ未解読という謎もあり、その滅亡の経緯もどうだったのか興味が尽きません。

「日曜は博物館」で無料というのがが毎月開催というの良いですね!
Commented by ムームー at 2019-11-05 07:11 x
なおこさん
おはようございます
素晴らしいものばかりですねぇ、骨壺が
こんなに美的センスに彩られていてさすが
だと思いました
杯も素晴らしい~
脈々と受け継がれた文化に心惹かれます
好い所ばかりありますねぇ
Commented by otenbasenior at 2019-11-05 09:45
骨壷と呼んではてなと思いました、あの時代は火葬だったのですね。その後ローマンカソリックでは埋葬ですよね?
骨壷の側面の彫刻に動きがあり素晴らしいですね。
また2500年前の盃も繊細にできていて驚きます。
あの頃にこれだけの技術があったエトルリアの人々、解明されていない部分も多いとか。興味ふかいです。
Commented by milletti_naoko at 2019-11-05 18:58
ciao66さん、ウンブリア考古学博物館にもいらしたんですね! 記事拝読しました。雪をかぶったシビッリーニ山脈がきれいに見えていますね。

エトルリア語は、わたしも2002年から2003年にかけて、ペルージャ外国人大学でイタリア語の歴史を学んだ時には、謎の言語と教わった記憶があるのですが、今は解明が進んでいて、残された文はひどく短いものが多いものの、「現在残っているエトルリア語の文献の大半は理解可能」だと、ローマの国立エトルリア博物館の展示パネルにも書かれていましたし、グッビオで古代ウンブリア語の研究者からも聞きました。

滅亡と言っても、国として滅びはしましたが、人は生き延びているので、例えば、ウンブリア考古学博物館に展示されているエトルリア人の墓の中には、紀元前3世紀から紀元前1世紀にかけて使われた墳墓があり、その中に50の骨壺が置かれていたのですが、そのうち最後の二つだけはラテン語で記載があるそうで、つまり、ローマ人の支配下となっても、エトルリア人のこの一家は生き延びていたわけです。

11月から3月までの観光客が少ない期間を利用して、人々が気軽に文化に親しめるようにという取りはからい、ありがたいです。
Commented by milletti_naoko at 2019-11-05 20:02
ムームーさん、こんにちは。棺にしても骨壺にしても、故人を悼む思いが感じられるすばらしいものが多いので、驚きました。地面に埋めるのではなく、見てお参りすることができるようになっていたので、こういう装飾が施されているのではないかと思います。盃もおしゃれですよね。

ローマの国立エトルリア博物館には、「みごとで美しいでしょう! エトルリア人は今以上にすばらしい文化を持っていたのであって、ひょっとしたら携帯電話だって持っていたっておかしくない」とまで言う館員さんさえいました。
Commented by milletti_naoko at 2019-11-05 20:29
お転婆シニアさん、エトルリアも領域が広く、かつ近隣民族との交流もあり、文化が長きにわたっているのですが、ペルージャでは、それまでは埋葬していたのが、紀元前3世紀から紀元前1世紀にかけて火葬が普及したそうです。

盃、優雅ですよね。2500年以上も前に、実用性ばかりではなく美しさを追求し実現していたのだなと感嘆しました。
by milletti_naoko | 2019-11-04 08:58 | Umbria | Comments(6)