イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

女性が神であったとき 写真 アントネッラ・ピゼッリ 俳句・伊訳 石井直子〜イタリア 女性写真展から

女性が神であったとき 写真 アントネッラ・ピゼッリ 俳句・伊訳 石井直子〜イタリア 女性写真展から_f0234936_7223973.jpg
 現在イタリアで開催中の、女性写真家が女性をとらえた写真に女性が詩を添えた写真展、Donna vede Donna「女が見る女」から、今回は、写真家、アントネッラ・ピゼッリ(Antonella Piselli)の作品、Quando le donne erano Deeと、わたしが写真に添えた俳句・イタリア語訳をご紹介します。
 
              
女性が神であったとき  写真 アントネッラ・ピゼッリ 俳句・イタリア語訳 石井直子


 アントネッラ・ピゼッリの写真の主題は、女性に内在する神性です。かつて女性の力が、自然の生命の周期と密接な関わりを持つことから神性を持つものとみなされていたことを踏まえて、この作品では、モデルの女性たちを、宇宙を構成する五つの要素、土、水、空気、火、木を体現するトラジメーノ湖の精に見立てて、命を生み出す自然の力と一体となり、山や湖沼、森、天空などに活力を与える存在として、表現しています。

女性が神であったとき 写真 アントネッラ・ピゼッリ 俳句・伊訳 石井直子〜イタリア 女性写真展から_f0234936_7113787.jpg


生は産まれ巡りつがれる水に我が手に

nasce, cresce e si espande la vita
nell’acqua, nelle mie mani



女性が神であったとき 写真 アントネッラ・ピゼッリ 俳句・伊訳 石井直子〜イタリア 女性写真展から_f0234936_7144190.jpg


空満たすひかり水に揺れ我に口づけ

si irradia nel cielo, sull’acqua,
mi bacia
la luce del sole



女性が神であったとき 写真 アントネッラ・ピゼッリ 俳句・伊訳 石井直子〜イタリア 女性写真展から_f0234936_7162222.jpg


吹けよ風慈雨をもたらす嵐起こせよ

via il vento con le nuvole
che dissetino il mondo



女性が神であったとき 写真 アントネッラ・ピゼッリ 俳句・伊訳 石井直子〜イタリア 女性写真展から_f0234936_7171518.jpg


日はゆけど我は動かじ岩のごとくに

tramonterà il sole, si trasformerà tutto,
ma io sarò ferma qui come roccia



女性が神であったとき 写真 アントネッラ・ピゼッリ 俳句・伊訳 石井直子〜イタリア 女性写真展から_f0234936_7185620.jpg


空に地に木育ちゆく我も伸びゆく

nell’alto e nel profondo cresce l’albero
e così la mia magia



 初めてアントネッラ・ピゼッリに出会って、写真作品の構想を聞いたときに、「元始、女性は実に太陽であった。真正の人であった。」に始まる女性解放運動の先駆者、平塚らいちょうの言葉とその精神が重なりました。心から共鳴し、アントネッラから受け取った写真作品の背景にある数ページにわたる探求や思いを読み返して、作品に込めた思いを、俳句を通して表現できるようにと、考えをめぐらせました。時空を超えた主題であるため、また十七字という限られた字数の中で、できるだけ写真の心を伝えるためにも、無季俳句とすることを選びました。

女性が神であったとき 写真 アントネッラ・ピゼッリ 俳句・伊訳 石井直子〜イタリア 女性写真展から_f0234936_1541238.jpg

 11月25日は、女性に対する暴力撤廃の国際デー(Giornata internazionale contro la violenza sulle donne)です。イタリアでは特に、別れた恋人や夫が女性の命を奪うという事件が多発し、また残念ながら、イタリアでも日本でも、そして世界中で、様々な形で今も、多くの女性が男性の暴力に苦しみ、最悪の場合は死に至るという事態が起こっています。

 わたしたち女性自身が、らいちょうの言うように、太陽であったかつての自己を取り戻すこと、アントネッラ・ピゼッリが作品を通して訴えるように、わたしたち女性の中にある神性に誇りを持つことが、まずは大切だと思います。けれども、同時に、「女性は男性の言うことに従うもの、弱いもの、力のない存在、容貌や体の美しさや気立てのよさだけが女性の魅力である」といった歪んだ女性観が、男性優位の社会の中で培われ、マスメディアでも、男性に都合のいい女性像が伝えられがちである状況を変えていくことが、男女差別や女性への暴力のない、男性も女性も生き生きと幸せに生きていける世の中を、世界を築いていくためには欠かせません。



 そのためにも、女性がとらえる女性像、女性の優しさ・力強さなどの魅力を、女性写真家が、女性を撮影した写真と、その写真にやはり女性が詩を添えた女性写真展を通して、特に、若い世代に向けて、マスメディアが伝えがちな、一般的な風潮から浅はかにも抱きがちな歪んだ女性像・女性観とは違う女性の姿を発信し、女性に対する暴力をなくし、よりよい世の中にしていこうという写真展、Donna vede Donnaの根底にある精神がすばらしいと心から賛同し、参加できたことを、光栄に思っています。

 アントネッラとわたしが二人で写っている画像ということで、すでに先日の記事でもご紹介しているビデオ映像を、再びここに埋め込んでおきます。今後また、会う機会がある中で、もっとよい写真を撮ってもらえたら、後日差し替えるつもりでいます。

*******************************************************************************************************************************
Ecco qui nell'articolo "Quando le donne erano Dee", le opere di Antonella Piselli, tutte le cinque fotografie e i miei haiku composti per esse per la mostra, Donna vede Donna.
Nell'occasione della Giornata internazionale contro la violenza sulle donne, trovo ancora più importanti le immagini della Donna Dea fotografate da Antonella Piselli e i loro messaggi nella mostra, Donna vede Donna, mirata a 'descrivere, con foto e versi, le varie sfaccettature femminili e di mettere in risalto la dolcezza, la bellezza e la centralità sociale delle donne, aborrendo da ogni forma di violenza' (dal pannello illustrativo della mostra).
QUANDO LE DONNE ERANO DEE
Fotografie di Antonella Piselli Haiku e traduzione Naoko Ishii
"Il tema interpreta il Divino insito nella Donna.
L'Energia femminile, in passato intesa come Dea, viene legata ai cicli biologici delle fasi della Natura.
Le modelle, Angela e Anthea, nel ruolo di Ninfe del Trasimeno ed elementi primigeni di Terra, Acqua, Aria, Fuoco e Legno, hanno espresso l'essenza del Principio Femminile Universale.
Simboli e archetipi, esseri divini di sesso femminile, fusi e connessi alla forza vitale e procreativi della Natura, che animavano con la loro presenza i monti, le acque, i boschi, gli alberi e l'etere.
Modelle: Angela Morvillo e Anthea Baldoncini
Luoghi: Tuoro s/T - Lago Trasimeno" (dal pannello illustrativo della mostra)
*******************************************************************************************************************************

関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- イタリア 女性による女性の写真展、参加するわたしの俳句もご紹介 / Donna vede Donna. L'articolo ampliato con le fotografie anche di altre quattro fotografe e i miei haiku (20/11/2019)
- 女性写真展 「女を見る女」 地域・世界へ、ハフポスト日本版に掲載していただきました / Mostra Donna vede Donna su HuffPost Japan (22/11/2019)
- 母と娘 写真 アントネッラ・マルツァーノ 俳句・伊訳 石井直子 / "Madre e Figlie" fotografie di Antonella Marzano & haiku e traduzione di Naoko Ishii (30/11/2019)
- 平塚らいちょう、「元始、女性は実に太陽であった」〜女性の日に寄せて (9/3/2012)
- ”In princiio le donne erano il sole’” -parole di Raicho Hiratsuka, precorritrice del femminismo giapponese (1886-1971) tradotte in italiano (8/3/2012)

Articolo scritto da Naoko Ishii

↓ 応援クリックを二ついただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

トラックバックURL : https://cuoreverde.exblog.jp/tb/30918197
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by haikutarou at 2019-11-25 08:20
お早うございます。

素晴らしい写真と俳句です。
写真に命を吹き込むような命の俳句流石ですね。
イタリアに俳句人気が一気に広がりそうな気がします
祖国の俳句愛好家として嬉しいです。
Commented by ciao66 at 2019-11-25 19:59
こうしてきっちりした写真になると、ますます素晴らしさがよく判ります。
女性の凛とした姿が美しく、簡潔なフレーズの詩がぴったりそれに合っているように思われました。
(リズムが日本語よりはイタリア語に近そうな英語に訳してみて、何となくそんな感じが・・・)
Commented by milletti_naoko at 2019-11-27 20:24
金太郎さん、こんにちは。温かいお言葉をありがとうございます。

写真と込められた思いがすばらしいので、どうしたら俳句の短い言葉の中で表現できるか、自分なりに必死で考えました。「命を吹き込む」女性、かつて神であった女性がある意味、アントネッラの写真の主題だと思うので、そんなふうにおほめいただいて、ありがたいです。

イタリアでも俳句人気はあって、数年前にトスカーナで行われた催しで詠まれていましたし、わたしもダンテ・アリギエーリ協会という世界にイタリア語・イタリア文化を普及する目的の団体に請われて、芭蕉や蕪村、一茶の俳諧や俳句の歴史を紹介したことがあり、そのときに、いろいろな俳句のイタリア語訳が出ているのに驚きました。

写真が美しく俳句や季語、季節の行事や自然などを回想と共に語られる金太郎さんのブログ、特にこの展覧会で俳句を担当するようになってからは、以前にも増して興味深く拝読しています。
Commented by milletti_naoko at 2019-11-27 20:27
ciao66さん、わたしも今回記事に掲載するために、写真をじっくりと見直して、細部までこだわり撮影された美しい写真だなと感嘆しました。五つの写真がそれぞれ宇宙を構成する別の要素を体現する精を表しているので、俳句という形のおかげで、それぞれを端的に表現することができたのではないかと思います。

写真も詩も、改めてゆっくりとしっかりと見てくださって、ありがとうございます♪
by milletti_naoko | 2019-11-25 07:23 | Donna vede Donna | Trackback | Comments(4)