2019年 12月 18日
柿彩るオルヴィエートと大聖堂
坂を登りきって駐車場に着くと、柿は今年もたわわに実り、オレンジ色の実が、町並みの凝灰石の色に映えて、きれいです。
去年12月に訪ねたときに、実が熟した柿の木の下に駐車してある車を見て、柿の爆弾攻撃が気にならないのだろうかといぶかったのですが、
今年もやはり木の真下に駐車している車がありました。木の周囲には、かなりの柿の実が地面や塀の上に落ちて、つぶれてしまっています。長い間、観賞用として植えられていた柿の実を、イタリア中部の人々が食べるようになり、店頭にも並ぶようになったのはごく近年のことで、この近所には、まだ柿の実を取って食べようという人がいないのでしょう。
ペルージャの我が家の柿は、今年は実がならなかったのですが、近所に柿が豊作の家があり、その家では誰も食べないからと、義父がそのお宅に行ってたくさん収穫し、もらってきてくれました。
わたしたちは、この日も、崖下にあるエトルリア墳墓遺跡前の無料駐車場に車を置き、そこからまずは、苔むす緑の石段を登っていきました。
石段の脇には、もうセイヨウハシバミ(nocciolo)の雄花序が育ってきています。と言ってもまだ青く、花粉が飛び始めるのは、早くても1月下旬以降でしょう。
この階段を上った先には分岐点があり、崖下周遊トレッキングコースを時計回りに歩くためには、その分岐点で左に曲がらなければいけません。けれども、夫が、「森は道がぬかるんでいるから、このあたりは、崖下ではなく町中を通ろう」と提案したので、右に曲がり、
さらに進んで、道が断崖に行き当たると、今度は道を左に曲がって、断崖の下を進み、木道を通って、岩壁の上にある中心街へと入りました。
そのあとも、ゆるやかなジグザグの上り道が、しばらく続きます。途中、道の傍らに竹が茂っているところがあります。そうやって、たどり着いた駐車場に、柿の木があるわけですから、苔むす石段や竹、柿に、日本の寺社や庭園に通じるところがあるのですが、さらに歩くと、
風景も建造物の色、様式も、オルヴィエートらしい広場に出ます。このあと、さらに町を散歩し、ジェラート入りのパネットーネを食べているうちに日が傾いてきたので、西へと向かっていると、
夕日を浴びて、赤く色づくオルヴィエートの大聖堂(Duomo di Orvieto)が見えました。さて、この大聖堂の後方にご注目ください。
実は、この大聖堂の後方近くにも、実がいっぱいに実った柿の木があるのです。熟した柿の実はオレンジ色で、
大聖堂の正面と地平線近くの雲は、沈みゆく夕日の光に、茜色を帯びています。
大聖堂を正面から撮影しようとしている間に、夕日の光が高い建物に遮られるようになったためでしょう。今改めて写真を見比べると、上の写真の1分後に撮ったこの写真からは、茜色がほぼ姿を消してしまっています。
ようやく沈む日が見える場所に着いたときには、夕日が山の向こうに姿を隠してしまったところでした。それでも、夕日の光や空の色が美しく、柿が彩るオルヴィエートの町や、夕日を浴びた大聖堂が見られて、うれしかったです。
*追記(12月18): 先日の記事に書いた、この日街灯が消えていたため、真っ暗な中を懐中電灯の明かりを頼りに歩いたのは、2枚目の写真の駐車場から3枚目の駐車場まで下る遊歩道です。どういうわけか、去年も今年もまったく照明がありませんでした。
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Orvieto e il suo Duomo ornati anche da frutti arancioni di cachi
e dal sole di tramonto oltre che da luci e addobbi natalizi.
Verde il colore di muschio e di bambù sul sentiero verso il centro storico.
Orvieto (TR) 14/12/2019
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オルビエートの柿のある風景は、私が行った時もそうでした。イタリアにも柿が有る!とその時は感動したのですが、景色に溶け込んだように沢山有りますね。食べない人が多いとはもったいないと思うのですが・・・。
崖の上から眺める夕焼け、タイミングが合えば、とても綺麗だろうな、と想像しました。
おはようございます
美しい柿の実ですね、おいしいのにそちらでは
あまり食べられないのですね
柿の木に実がなってる様子は大好きです
そちらの景色にも良く映えますね
何時もお心にかけて下さって嬉しいです
ありがとうございます
オルヴィエートの町並みを作る凝灰石の色と柿の色、互いの色を引き立て合っていて、よく似合っていますよね。食べない人が多いこと、本当にもったいないです。こちらの柿は渋く、すっかり熟してとろとろになってから、スプーンですくって食べるのですが、それもとてもおいしいです♪
どういたしまして。こちらこそうれしいコメントをありがとうございます♪
残りの緑と白の石の縞とのコントラストが面白いです。
柿はcachiと綴るのですね。ローマかどこかで、kakiと記されたジェラートを見た記憶があります。1999年でした。
フィレンツェのヴェッキオ宮殿ではオレンジのクリスマスツリーを見ました。柿のツリーはさすがに無いのでしょうね?
柿とイタリア、イタリア語については、こちらの記事に詳しく書いてあるのですが(https://cuoreverde.exblog.jp/27169087/)、kakiという表記は、間違いではないものの使用されるのがまれと辞書にも記載があります。kはもともとイタリア語では使われない文字なので、キロも略称ではkm、kgと書きはしても、chilometro、chilogrammoと書かれるお国柄だからでしょう。厚い皮があるオレンジと違って、柿は実が落ちると熟した柿が周囲を汚してしまう可能性があるので、そういう使われ方はしないのではないかという気がします。
あら、ファサードの下部、緑色ですね。
洗浄の途中段階でしょうか?
私が気づいた緑のシマシマは身廊側の側面です。
フィレンツェのドゥオーモでは、ここにピンクの石が加わるのですね。
蔵出ししてくださった柿の記事、興味深く拝読しました。ありがとうございます。
なるほど、柿はりんごやオレンジより危険!ですね。
たわわに実った木のあたたかな彩り…スペインのオレンジ(非食用)の並木道を思い出します。
イタリアでは、長い間、柿は鑑賞用だったのですね。
食べるようになったのは、19世紀になって日本からフルーツとしての品種が輸入されるようになってからだとか・・・・
美味しいのに、長い間眺めていただけだ何て勿体無い!
渋柿でさえ、美味しく食べてしまう日本人って凄いなあと思います。
オルヴィエートの大聖堂・・・夕日の光を浴びて少しオレンジがかったのがとても美しいですね。
柿の記事を読んでくださって、こちらこそありがとうございます。こちらでは柿はたいてい渋柿で、置いておいて中がとろとろ、ゼリー状になったら甘くなるので、それから食べるのですが、というわけで長い間木に残っている実は、皮にこそ包まれていますが、中はゼリーよりさらに液体に近い状態なので、落ちてきたとき、下にいると危険だと思います。そう言えば、以前郊外を車で走っていて、柿の並木が道路沿いにあって驚いたことがあります。
夕日を浴びて美しいその一瞬に、居合わせることができてうれしかったです♪