イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

愛・希望広がるサンレモ音楽祭、みな楽しめ光の当たる共生社会へ

 今年70周年を迎えるイタリアの歌の祭典、サンレモ音楽祭(Festival di Sanremo)が、2月4日月曜から毎晩放映されています。夫と二人で、とりあえず見てみようと、初日に見始めたサンレモ音楽祭は、歌はもちろん、笑いや感動に満ちていて、見るのが楽しく、わたしたちにしては珍しく、毎晩遅くまで、眠気に負けるまで、テレビの前で番組を視聴しています。

 今のところ、初めて聴いた歌で、最もいいなとわたしが思ったのは、アントーニオ・マッジョ(Antonio Maggio)ジェッシカ・ノターロ(Gessica Notaro)の歌です。ゲストとして出演し、歌った歌です。



"Donna coraggio donna vera
donna che non devi stare zitta [...]
c’è ancora un fiore dopo una tempesta" (全歌詞へのリンクはこちら

「女性よ 勇気を持って、真の女性
 沈黙していてはいけない(中略)
 嵐のあとにも、まだ一輪の花がある」 (自分なりに訳してみました)

 イタリアでは、元夫や元婚約者、元恋人である男性が、別れたあとも女性につきまとい、最悪の場合には殺害するという事件が、今も後を絶ちません。今年のサンレモで歌ったこのジェッシカも、一昨年、元恋人から顔に酸をふりかけられ火傷を負っていて、この歌、『La faccia e il cuore』(意味は「顔と心」)では、その自らの経験から、女性への暴力を根絶すべきことを訴え、被害者となった女性に声を上げること、人生には希望もあることを伝えようとしています。

 今年のサンレモでも、初日にも、舞台に立った女性が、男性から暴行を受けた女性たちの書いた言葉を次々に読み上げて、被害者たちへの「どんな服装をしていたか」という言葉がいかに残酷であるか、被害にあった責任は決して女性の側にないことを訴える場面があり、さらにもう一人の女性が、時を重ね、しわが刻まれた自らの祖母への感謝を通じて、若さや表面的な美しさに止まらない女性の美しさや、社会や家庭における女性の役割の大きさを語っていました。


 また、このポップロック・バンド、Le Vibrazioniの歌は、サンレモ音楽祭の舞台上で手話通訳が行われたのですが、今年のサンレモ音楽祭では、視聴者からの要望に応えて、70年目にして初めて、インターネット上のRaiPlay.itで、サンレモ音楽祭すべてを、耳の聞こえない方は手話通訳と共に、あるいは字幕と共に、さらに、目の見えない方は、音声解説つきで、生中継で楽しむことができるようになっているとのことです。

 数日間にわたって、長時間放映されるサンレモ音楽祭を、目が見えなくても、耳が聞こえなくても、家族や友人、皆と共に、鑑賞できるようにすることは、とても大切で大きな一歩だと思います。歌や思いがより多くの人に届き、今後さまざまな場面で、こうした取り組みが行われることにつながっていくはずだからです。


 シェフになりたいという夢を持っていたのに、18歳の若さで筋萎縮性側索硬化症にかかって、右手が動かなくなり、22歳の今は、機械音声を通じて辛うじて思いを伝えられる若者、パオロ・パルンボ(Paolo Palumbo)が、自らの人生を語り、希望を持ち続けるようにと歌う歌、『Io sto con Paolo』は、新人賞の予備選考からは、惜しくも外れましたが、司会者たちの意向で、パオロはゲストとして招待され、サンレモの舞台で歌を披露し、視聴者の皆に呼びかけました。その言葉に、わたしたちも心から感動しましたし、多くの人が同じように感銘を受けたようです。

"Se vi dicono che i sogni non si realizzano sappiate che i limiti sono solo dentro di sé"
「もし夢は実現しないと言われても、限界は自分自身が作り上げているだけだと、知っていてほしい。」
(意訳しています。直訳は「(前略)自分自身の中だけにあると、知っていてほしい。」)

  かつて一世を風靡した歌が多く、サンレモに何度も出場したというグループ、Ricchi e Poveriも、昨晩ゲストとして招待され、久しぶりにそろった4人の歌に、会場全体が盛り上がっていました。


 わたしはグループは知らなかったのですが、どの歌も聞いたことのあるものばかりで、そして、すてきな歌ばかりでした。この歌も、さわやかさと朗らかさ、若々しい愛情に満ちていて、聞いているだけで、心がはずんできます。

 今年のサンレモ音楽祭は、歌と笑い、感動を贈ると共に、皆が互いを思いやり希望を持って生きていける共生社会の基盤も築いてくれそうです。今夜もこれからの放映が楽しみです。

愛・希望広がるサンレモ音楽祭、みな楽しめ光の当たる共生社会へ_f0234936_449674.jpg
Via dell'Amore, Cinque Terre, Liguria 11/7/2010

 舞台となるサンレモがリグーリア州にあるため、音楽祭では、リグーリアの風景も紹介されます。と言うわけで、今日の記事には、リグーリア州にあるチンクエテッレの愛の小道(Via dell'Amore)を歩いたときの写真を添えておきます。

愛・希望広がるサンレモ音楽祭、みな楽しめ光の当たる共生社会へ_f0234936_919465.jpg


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Foto: Via dell'Amore, Cinque Terre, Liguria 11/7/2010
Bello il Festival di Sanremo 2020, trasmissione in diretta anche con audio descrizione, con linguaggio dei segni su RaiPlay, belle canzoni, emozioni, messaggi contro la violenza sulle donne, parole sincere di speranza da chi vive momenti difficili e drammatici.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by mahoroba-diary at 2020-02-07 09:08
なおこさん、おはようございます。
素晴らしい記事に心から賛同します。
貼っていただいたリンクのYoutubeの音楽を今かけて聴いています。イタリアでも、そのような事件が後を絶たないとは・・・日本でも同様です。サンレモ音楽祭素晴らしいですね。チンクエテッレも夢のように美しい場所なのでしょうね。いつか行ってみたいです。イタリア語・・・音の響きが私は大好きです。
Commented by tawrajyennu at 2020-02-07 11:01
こちらからもおはようございます。

サンレモ、音楽祭70周年を迎えるのですね。
この音楽祭というと、16歳で「夢みる想い」 (non ho l'età) を歌い優勝した、ジリオラ・チンクェッティを思い出します。
今でも、この歌のメロディは覚えていますよ。
レコードを買って、一生懸命イタリア語の歌詞を覚えて歌ってました。

音楽祭を通して、色々な人がそれぞれの立場を尊重し、共存していける社会を作っていこうというのは、とても素晴らしいことだと思いました。

チックェテッレの「愛の小道」、私も歩いてきましたよ。
Commented by milletti_naoko at 2020-02-10 22:17
まほろばさん、温かくうれしいコメントをありがとうございます。イタリアでも日本でも、そして世界で、こんな恐ろしい許しがたい事件、暴力がなくなっていきますように。

チンクエテッレ、切り立った崖の下に広がる青い海、ブドウ畑と町並みが美しかったです。いつかお越しになれる日が来ますように。今年のサンレモ音楽祭は、様々な人と同じ視点に立って、手をつなぎ心を響き合わせてという形で、社会問題をよい方向に変えていこうという姿勢が感じられて、本当にいいなあと思いました。歌も聞いてくださったんですね! 共感してくださったと知って、うれしいです♪
Commented by milletti_naoko at 2020-02-10 22:21
タワラジェンヌさん、こんにちは。「夢みる想い」、今も時々見聞きする歌で、イタリアの人に愛されている歌なのだと思います。昔の歌はゆったりとしたメロディーで、心に語りかけるような情緒があって、いいですよね。なんとイタリア語の歌詞を覚えて、歌われていたとは!

わたしも、上からこうすべきと訴えるのではなく、弱者になりがちな人たちの視点を、参加を呼びかけ、そのすばらしい心や姿勢を伝えることで、皆に知らせ、共存・共生を図ろうという姿勢がすばらしいなと感嘆しました。

愛の小道、タワラジェンヌさんも歩かれたんですね!
by milletti_naoko | 2020-02-07 04:54 | Feste & eventi | Trackback | Comments(4)