2020年 02月 09日
陶器の町デルータで女性写真展、日本語で俳句も朗読
今日は午後4時半から、デルータの町役場で、女性写真展、Donna vede Donna「女が見る女」の紹介が行われたので、まずは町役場に向かいました。
こんなふうに写真展会場は、町を取り囲む城壁の門の一つ、サン・ミケーレ・アルカンジェロ門(Porta S. Michele Arcangelo)(訳すと「聖大天使ミカエル門」を入ってすぐのところにあります。
写真展の二つ目の展示会場となるデルータでの開会式も、企画・運営のマルコ・パレーティの司会によって、スポンサーであるトラジメーノ湖周辺の自治体や協会、そして、今回の展示に関係した人たちのあいさつで始まりました。この女性写真展では、9人の女性写真家が、女性を主題・対象とし、主にトラジメーノ湖を背景・舞台として、一人5枚ずつ撮影した一連の写真に、5人の女性が詩を添えています。わたしも、うち二人の女性写真家の写真作品に、俳句とイタリア語訳を添えるという形で、この写真展に参加しています。
今日の写真展の紹介では、わたしたちが添えた詩を、3人のイタリアの女性詩人が会場で朗読するという話は、あらかじめ聞いていました。
けれども、イタリアの女性詩人による朗読の際に、会場の大きな画面に、写真と詩が同時に映し出されるということは知らなかったので、驚きました。
こうして大きな画面に映し出され、皆が見守る中で、写真を背景に自分の詩が読み上げられることに、感慨がありました。
この詩の朗読を担当した詩人はロシア語も知っていて、ロシア語版の詩も朗読しました。わたしの詩は、イタリア語版だけが読み上げられるのだろうかと思っていたら、
わたしが作った俳句のイタリア語訳を、イタリア女性詩人が読み上げたあと、
急にマルコに手招きされて、まったく聞いていなかったのに、突然日本語の俳句も、大勢の聴衆とテレビカメラの前で朗読することになって驚きました。
Versi di Mariarita Scarpocchi
展示会場では、写真家の作品の意図や紹介と共に、詩が書かれたパネルを読んでから、写真作品を鑑賞することになり、本来は写真を題材に詠まれた詩でありながら、詩と写真が別々に鑑賞されてしまいます。
こうして写真と詩を同時に紹介することによって、詩と写真の互いの意図や内容が、見る人にさらに伝わりやすくなったのではないかと思います。会場でもきっと、写真だけではなく、パネルに書かれた詩も、じっくりと読んでくれることにつながるのではないでしょうか。
わたしが俳句を添えた、二人目の女性写真家の写真が映し出されるときには、最初から、わたしもマルコに呼ばれて、イタリアの女性詩人たちの後ろに立って、自分の朗読の番を待ちました。
わたしは、一連の5枚の写真の一つひとつの作品に対して、それぞれ俳句を一句ずつ詠み、同様の内容を、詩の趣とリズムのあるイタリア語で表現しています。ですから、できれば、一枚の写真には対応する一つの俳句とイタリア語の詩を添えてくれるとよかったのですが、夫が言うように、ここでは、まるですべてが一つの詩であるかのように映し出されてしまっています。
わたしは日本語で読んだのですが、どきどきして、読み間違えてしまい、2度ほど最初から読み直しました。
前に出て待っている間に、その機をとらえて、会場に来てくれた方たちを撮影しました。思いがけず、外国語学校の同僚のロシア語、セルビア語、英語の先生も来ていたので、驚きました。
男性が切り取るのとは違う、女性がとらえる女性の姿や、その写真をもとに詠まれた詩を通して、女性のすばらしさ、大切な社会的枠割などを世に伝えていき、
男女が敬い合い、支え合って生き、女性への暴力のない世の中にしていこう。それが、この女性写真展の目的の一つです。
昨年11月から12月にかけて、トラジメーノ湖畔のサン・フェリチャーノで開催されたこの女性写真展、Donna vede Donnaは、2月23日まで毎週土日にデルータで見ることができるほか、2月末からは、ペルージャでの展示が予定されています。
紹介が終わったあとは、皆で展示会場へと向かいました。
トラジメーノ湖の魅力をできるだけ多くの人に知ってもらおうというのも、写真展の目的の一つです。紹介の式典では、大戦で男性たちが戦に出ている間、人々が島に残って暮らしを営み続けることができたのは、女性たちのおかげだという話もあり、展示会場での開会式には、湖のおいしい魚を使った軽食も、用意されていました。
わたしが俳句を添えた女性写真家の一人、アントネッラ・ピゼッリとその作品、そしてモデルの少女といっしょの記念写真を、夫が撮影してくれました。わたしは、ユニクロイタリアで買ったばかりのコート(記事はこちら)を着ています。とても暖かいのでありがたいです。
写真展のできあがったカタログを、紹介の式典の最後に、前に呼び出されて受け取ることができて、感慨深かったです。
明日は朝10時畔から12時半まで、わたしも会場にいます。会場自体が、16世紀のものと推定される大きな窯となっていて興味深い場所でもありますし、イタリアで最も美しい村の一つ、陶器づくりの伝統あるデルータの訪問も兼ねて、2月23日まで、機会があればぜひお越しください。
写真と詩のカタログは、様々な機関などの支援のおかげで、会場で、一冊10ユーロという価格で購入することが可能です。
********************************************************************************************************************************
Grazie mille a tutti, specialmente Marco & Stefano
Foto: Presentazione pubblica & inaugurazione dell'8 febbraio a Deruta
Donna vede Donna, progetto fotografico corredato da versi
all'Antica Fornace Grazia, Deruta dal 9 al 23 febbraio 2020
il sabato e la domenica 10,30-12,30 / 15,30 - 18,30
Per un mondo più equo, senza la violenza contro le donne
attraverso le immagini e le bellezze delle donne
colte e trasmesse dalle donne italiane e straniere,
da nove fotografe e cinque autrici di poesie.
Progetto ideato e coordinato da due gentiluomini grandi
e supportato da diversi enti e istituzioni locali.
Ideazione e coordinamento del progetto: Marco Pareti e Stefano Fasi
Espongono: Sara Belia, Roberta Costanzi, Elena Santini, Naoko Ishii, Graziella Mallamaci, Antonella Marzano, Lorena Passeri (La Lori), Rita Peccia, Antonella Piselli, Mariapia Scarpocchi, Marina Sereda, Anastasia Trofimova, Renilda Zajmi.
********************************************************************************************************************************
関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
女性写真展、Donna vede Donna
- イタリア 女性による女性の写真展 @ サン・フェリチャーノ、漁業・トラジメーノ湖博物館 / Donna vede Donna, mostra fotografica corredata da versi @ Museo della Pesca e del Lago Trasimeno, San Feliciano, Magione (PG) (20/11/2019)
- 女性が神であったとき 写真 アントネッラ・ピゼッリ 俳句・伊訳 石井直子 / "Quando le donne erano Dee" fotografie di Antonella Piselli & haiku e traduzione di Naoko Ishii (25/11/2019)
- 母と娘 写真 アントネッラ・マルツァーノ 俳句・伊訳 石井直子 / "Madre e Figlie" fotografie di Antonella Marzano & haiku e traduzione di Naoko Ishii (30/11/2019)
デルータ / Deruta
- 陶器の町 デルータ / Deruta, Città della Ceramica (29/12/2014)
俳句を読まれていたのですね~
それを皆様の前で、前触れなく披露したので
緊張されたの、凄くよくわかります(^^♪
デル―タの街での素晴らしいイベント、ご主人様も一緒に参加で、お写真撮ってくださるなんて優しいですね~♡
素敵なお写真に感動です(^_-)-☆
写真展と詩の朗読会の成功おめでとうございます。
なおこさんの俳句、叙情的な写真を背景に素晴らしいですね。
お母さまへの思慕の情でしょうか。
ユニクロのコート、暖かそうで、色も素敵。
お似合いになっています。
俳句は海外でも授業に取り込んでいるところもあるそうで、短詩系の雄として世界にも広がっていって嬉しいです。
良かったですね。
ユニクロダウンコートも よくお似合いですよ。
たしかに 俳句どうしの感覚が狭いので
一つの詩のように見えてしまうかもしれませんね。
夫はかなり後方にいた上、携帯電話で撮影したため、写真は今ひとつの写りなのですが、写真家の女性が撮ってくれた写真があるので、また後日ご紹介できればと考えています。
アントネッラ・マルツァーノの写真は、『母と娘』という題の元に、娘の成長過程における母と娘の関係をとらえたもので、その言葉による説明ももらっていたので、その写真と意図を踏まえて詠んだ俳句なんですよ。(写真と俳句はこちらの記事: https://cuoreverde.exblog.jp/30925098/)
俳句もイタリアで作る人が増えてきて、知られているようで、写真に俳句を添えてほしいと、マルコからわたしに声がかかったほど、俳句への関心も高いのだと思います。
コート、温かいお言葉、ありがとうございます。寒がりなのに、夫に寒くても連れ出されることが多いので、長い間外で過ごしても暖かいコートで、ありがたいです。
昨日は午前中会場にいる係だったのですが、屋内が寒いので、コートが暖かくて助かりました。
そうですよね。俳句のイタリア語訳を朗読してくれた女性でさえ、写真が他の人のものであって、一つひとつが別々の写真について詠んだ独立した俳句だと知らずにいたので、そんな風に受け取った方が多いのではないかと思います。
拝読していて、会場の熱気が伝わってくるようです。
俳句のような短い詩ほど、かえって余白が大切なのかもしれませんね。
それでも、沢山の詩歌が紹介されることで
読み聞きする参加者の心に響く詩歌の数がより増えたことを願っています。
イタリアの人たちにとって、日本語による俳句の朗読はとりわけ印象的だったことと思います。
意義深い催し、ずっとわくわくして読み継いできました。
なおこさんも、お疲れさまでした。ゆっくり休んで更なるご活躍を!
驚くほど大勢の人が訪ねてくれたので、驚きました。展覧会の前に、写真と詩を映像で流しながら詩の朗読があり、わたしたちが作った詩も大切にしてもらえているようで、より多くの人に伝わるだろうと、うれしかったです。
詩が添えられた写真展で、詩は作品や作者紹介パネルの下方に印刷されているため、じっくり読んでくれる人がどれだけいるだろうかと思うからでもあります。ロシア語や日本語の原語の響きも伝えようという配慮、うれしかったです。
ありがとうございます。展示はまだまだ続きますが、怒涛の数日が終わり、とりあえずほっとしています♪