イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

第123号「イタリアCOVID-19と闘う医師の歌、復活祭」

 今ここで気を緩めて皆が外出・移動をしては、せっかく見え始めた外出規制の効果が無駄になり、新型コロナウイルス(nuovo coronavirus)の感染が再び急速に拡大する恐れがあるからと、イタリアでは、外出規制の期限が、4月13日までから5月3日までに延長されました。

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2020/4/12

 わたしもずっとうちの中で過ごしているのですが、ようやく満開となりつつある桜を、居間から見られることを、ありがたくうれしく思っています。

 一人ひとりがうちにいることで、感染拡大を防ぎ、自分や大切な人、皆の命を守ることができると、3月上旬に移動制限が始まった頃から、イタリアでは繰り返し、つらくともうちにいることの大切さ、今会えないことに耐えることで再会を元気で喜べる日が来る、離れていても皆団結していることを、首相や医療関係者が、そして著名人が、テレビやラジオ、SNSを通じて、ずっと呼びかけてきています。

 「医師(medico)看護師(infermiere)、食料品を生産・販売する人、運送に関わる人、感染拡大を防ぐために各地で取り締まりをする警察や軍の人など、わたしたちのために自らの危険を冒して働いてくれる人が安全に働けるようにするためにも、うちで過ごすよう言われているわたしたちには、うちで過ごすこと、その責任を果たすことこそが求められていて、うちにいることで感染抑止に貢献できるのです。」と。

 次の映像では、一人ひとりに対して、a te「君に、あなたに」と、畳みかけるように呼びかけています。


 そして最後を、こう締めくくっています。

Insieme a te, rinasceremo. Buona Pasqua.

「あなたといっしょに、再び活力を取り戻せることでしょう。よい復活祭の1日を。」(わたしによる意訳)


 皆で団結して、それぞれにできることをして、新型コロナウイルスと闘いましょうという当初からの首相からの、国からの一貫した思いを、この映像にも感じます。rinasceremoは、動詞、rinascere「再び生まれる、復活する、再興する」の直説法未来(idicativo futuro)の主語が一人称複数(noi「わたしたち」)のときの活用形です。自動詞nascere「生まれる」に、「再び」を意味する接頭辞、ri-がついてできた動詞で、イタリア語で「ルネサンス、再生」を意味するrinascimentoは、この動詞から派生した名詞で、「ルネサンス」の意で使われるときは、大文字のRで始まり、Rinascimentoとなります。キリスト教における主の受難のあとの復活に、感染による苦しみのあとの国の再興を重ねて、最後を「よい復活祭(Pasqua)を、復活祭おめでとう。」と締めくくっているのです。


1 イタリアCOVID-19と闘う医師の歌

 今回の学習教材は、最前線である病院で(上の映像の言葉ではin prima linea negli ospedali)、自らの健康も危険にさらして、命を救おうと格闘してくれている医師や看護師たちが、一般市民に対して、「うちにいましょう、それが病院で働くわたしたちを支えることにつながるのです。」と伝えるために、協力してつくりあげた歌です。うちにいましょう。それは、イタリアに、日本に、そして世界にいるすべての人、仕事などで外に出る必要のない方たちに、わたし自身が呼びかけたいことでもあります。

 曲は、うちの夫が大好きな今は亡きルーチョ・バッティスティ(Lucio Battisti)が歌っていた、皆が知る歌、『Il mio canto libero』で、この名曲の作詞者、モゴル(Mogol)本人が、新たに歌詞を書き下ろしています。

 中・上級の方は、まずは歌を聴いてみましょう。入門・初級の方は、最初からイタリア語字幕と共に聴いてみましょう。




In un mondo che fa paura ormai...
Noi ti aiuteremo... lo sai

Tutto passerà e sorriderai
noi ce la faremo sì, lo vedrai

Ma adesso resta a casa
esci solo per la spesa
domani un nuovo giorno sarà

e vola la speranza della gente
cosciente d'essere molto più prudente
uniti da un anelito d'amore, di vero amore



 歌の題は、『Inno dei medici contro il coronavirus』です。男性名詞medico「医師」は、ギリシャ語起源で、イタリア語には珍しく、強勢アクセントが最後から三つ目の音節、meに置かれて、その母音eが長く発音され、複数形がmediciとなります。ですから、題のmediciは「医師」を意味するmedicoの複数形です。フィレンツェのメディチ家(i Medici)を思いつかれた方も多いかもしれません。controは「〜に向かって、抗して」という意味の前置詞ですから、この歌の題名は、「新型コロナウイルスに立ち向かう医師たちの歌」とも、「医師たちによる新型コロナウイルス打倒の歌」とも解釈できるのですが、歌の内容から考えて、前者と解するのが妥当ではないかと思い、この記事の題にあるように訳してみました。

 この歌には、直説法未来(indicativo futuro)がたくさん出てきます。aiuteremopasseràsorrideraifaremovedraisaràはすべて直説法未来で、不定形(infinito)はそれぞれaiutare、passare、sorridere、fare、vedere、essereとなります。すべて基本語句ですので、知らない言葉があったら辞書で確認しましょう。直説法未来の活用形や用法に自信のない方は、手持ちの参考書でおさらいしましょう。今回は、歌の言葉を多くの方に、できるだけ早く届けることが目的なので、歌詞にわたしなりの意訳を添えてご紹介します。(入門書のおすすめはこちらの記事、文法書・辞書のおすすめはこちら



In un mondo che fa paura ormai... 今では恐怖を感じさせるようになった世界で
Noi ti aiuteremo... lo sai わたしたちがあなたを助けます… 分かっているでしょう。

Tutto passerà e sorriderai すべては過ぎ去り、あなたはほほえみを浮かべるでしょう。
noi ce la faremo sì, lo vedrai この苦境を乗り越えていけます。そう、今に分かるでしょう。

Ma adesso resta a casa でも、今はうちにいてください。
esci solo per la spesa 買い物のためだけに外出してください。
domani un nuovo giorno sarà 明日はきっと新しい1日となるでしょう。

e vola la speranza della gente そして、人々の希望が飛んでいくのです。
cosciente d'essere molto più prudente さらに慎重でなければならないという自覚を持ち、
uniti da un anelito d'amore, di vero amore 、本当の愛を望む思いで結ばれた人々の希望が。



 もし希望や質問があれば、次号では、さらに掘り下げて、歌のイタリア語について説明したいと思いますが、今回はまず訳を参考に、歌を読んだり書き写したり、何度も聴いたり歌ったりして、楽しみながら、そして、うちにいる必要を心に刻みつけながら、イタリア語の学習を楽しんでいただけたらと思います。

 イタリアでの感染状況については、日本でもかなり詳しく、再三にわたって報道されているようですので、ここでは、ウンブリアの感染状況について書いたブログの記事をご紹介します。日本で、そしてイタリア、世界で、多くの命を守るために、できる限りうちで過ごしましょうという心からの呼びかけと共に。

- 少数から千人へ感染者増 ウンブリア イタリア全土移動規制後も感染拡大


2 復活祭

 皆さん、復活祭おめでとうございます。

 ウンブリア州では、卵(uovo、複数形はuova)チーズ(formaggio)をたっぷり使った復活祭のパン、Torta di Pasquaを作って食べる伝統があります。

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 写真は、6年前に姪たちや夫、義弟が義母を手伝って、三世代が協力してトルタ・ディ・パスクワを作ったときの写真です。

 今年は移動制限のために、大家族で集まることができなかったのですが、例年の復活祭の過ごし方や食事、復活祭のパンの作り方については、次のブログの過去の記事に詳しく書いてありますので、興味のある方はご覧ください

- 復活祭
- 復活祭のパン / Torta di Pasqua
- びっくり、復活イエス入場の賛美歌 ~この曲は!

 また、わたし自身がうちに長くいる時間を活用し、皆さんがうちでイタリア語学習をする際に役立てていただこうと、このイタリア語学習メルマガのバックナンバーを、引き続きブログの方に移行中ですので、最近移行した号へのリンクをご紹介します。ぜひ学習にお役立てください。

- 第18号⑴「ダンテ『神曲』の冒頭を読む⑴」
- 第18号⑵「ダンテ『神曲』の冒頭を読む⑵、フェッラゴスト」
- 第40号⑴「トスカーナ小村の椿まつり」

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 どうか皆さん、お気をつけて、お体を大切にお過ごしください。聖フランチェスコの人生を語るすばらしいミュージカルの、希望を語り元気をくれる歌に、わたしがウンブリアの美しい風景の写真を添えた次の記事も、できればぜひご覧ください。イタリア語の歌を何度も聴き、いっしょに歌って、やがて来る春、明ける夜を信じる思いを持ち続けていただければと願っています。

- 希望のうたとウンブリア風光、Francesco - Il Musical

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by AU3OGR at 2020-04-13 10:43
なおこさん

自粛延長は残念でしたね!
陽気なイタリア人の気質が仇となりましたが
自粛したことでウイルスの蔓延を食い止められると
わかったので疑心暗鬼にならずやりがいが出てくるんじゃないですか?
5月の自粛明けには本当のお祭り騒ぎが出来ると良いですね♪
日本も学校などは5月6日までお休みです。
その頃には世界中がお祭りになるかも〜と期待しています╰(*´︶`*)╯♡
Commented by minoru2703 at 2020-04-13 12:27
イタリアは段階的に規制解除する方針に切り替えたらしいですね
ちょっと早すぎるような気もするけど大丈夫ですかね?
Commented by ciao66 at 2020-04-13 16:38
とてもいい記事ですね!
困難の中でも、
明るくイタリアらしく
歌で励ましあい
乗り超える。
皆さん、歌が上手で
演奏も素晴らしい♪
Commented by Bolognamica2 at 2020-04-14 01:21
なおこさん、私も一番最初のBuona Pasquaのビデオ、FBで見てちょっと感動してしまいました。
短い言葉で、でもいいメッセージがこもったいいビデオですよね。主人に見せたらジーンとしていました。。

病院スタッフのこのビデオも、本当に大事なメッセージが刻み込まれていて、本当に今自分が出来ることをきっちりやらなくてはと再度自分に言い聞かせました。。。

ウンブリアのパスクワのトルタ、ふわふわで美味しそう!
ご家族揃って、各自大きさの違うトルタを手にしたお写真もとても素敵です。
今年は大家族でお祝い出来なくて皆さん寂しがられているとは思いますが、こんなことはもう二度とないと信じて、、、、ですね。

Commented by sunandshadows2020 at 2020-04-14 13:45
コロナのお陰で在宅中のなおこさんの中身の濃いブログに感謝です!イタリア語、丁寧に説明してくださってもう忘れてしまった言語をもう一度勉強し直したいと思いつつ、やはりスペイン語をと揺れ動くこの頃です。
トルタのレシピも嬉しいです。
美味しそうなので作ってみたいと思います。
Commented by milletti_naoko at 2020-04-14 22:03
AU30GRさん、どうか世界中で皆ができる限りのことをして、一刻も早く蔓延が収束しますように。

4月25日はイタリアの国民の休日で、この日からメーデーでやはり国民の休日の5月1日頃までは、土日や有給休暇と組み合わせて旅行に出かける人が多く、ちょうど日本のゴールデンウィークにあたる時期なんです。日本でもイタリアでも、この時期の外出や移動を極力避けることが、今後の早期の収束につながることでしょう。
Commented by milletti_naoko at 2020-04-14 22:12
みのるさん、規制解除は店や工場などの企業での生産活動などであって、それもまた今後の様子によって方針が変わっていくでしょうし、ロンバルディアなど北伊の感染者の多い地域では規制解除の時期や方法も異なるようです。全土の市民の移動制限が解除されるのも、今は5月3日までとなっていますが、これももともと3月25日までだったものが4月3日まで、さらに4月13日まで、5月3日までとなったので、今後の状況次第ではさらに延長される可能性もないとは言えません。

わたしは日本の方こそ心配で、むしろ日本の方どうかお気をつけくださいという気持ちで書いたのですけれども。
Commented by milletti_naoko at 2020-04-14 22:16
ciao66さん、ありがとうございます!
こういう状況ではありますが、元気が出るような記事をと考えて、学習教材を選んでみました。それぞれの特技を生かして、心からの思いを皆と離れた場所で共に演奏をして伝えていく、すてきですよね♪
Commented by milletti_naoko at 2020-04-14 22:32
みかさん、この映像とメッセージ、いいですよね。わたしも最初はFBで見て感動しました。その後テレビでも放映されているのに気づきました。

わたしたちがうちにいること、いなければいけないことを、単に外出を禁じたり、家にいろと命じたりするのではなくて、それがわたしたちの責任、果たすべき役割だと、意義を与えて鼓舞してくれるのが、皆で感染に立ち向かおう、団結しようと伝えてくれているのが、いいなあと思います。

医療現場の方たちのこの演奏も歌も思いがこもっていて、言葉もメロディーもすてきで、心を打たれました。こういう大変なとき、大変な状況にある方々が、あえて皆が好きで得意としている音楽を通してメッセージを市民に届けられるようにする、そういう発想もすばらしいですよね。

実はこのトルタ、生地は意外とどっしりとしているのですが、とてもおいしいです♪ 来年からはまた皆で祝うことができますように。
Commented by milletti_naoko at 2020-04-14 22:40
お転婆シニアさん、こちらこそていねいに読んでくださってありがとうございます。ロマンス諸言語は、イタリア語でもスペイン語でもポルトガル語でもフランス語でも、単語や文法に共通点が多いので、勉強もしやすいけれど、時にその似ているけれど違うところが「うっかり間違い思いこみ」の原因になって、厄介なところもありますよね。

何でもいいなと思われたら作ろうとさっと考えられる、すばらしいですね!
by milletti_naoko | 2020-04-13 08:43 | Covid-19 Italia | Comments(10)