2020年 04月 15日
日本語とイタリア語、時の言い方と数字学習 オンライン授業
授業の時間帯にもよるのだろうかと思ったのですが、他の先生から、午前中にも起こることがあると聞きました。必要のないときは、映像のない音声通話だけにすれば接続が安定するし、チャットを使ってしのぐこともできると教えてもらったので、次回からは、そういう方法も試してみようと思います。
最近音沙汰のない個人授業の教え子がいたので、気になってはいたのですが、忙しいのだろうと連絡を待っていたら、今朝突然、日本で新たな生活を始めましたといいうメッセージが届いたので、驚きました。わたしが日本語を教えているイタリア人の若者の中には、ようやく新しい職場が決まって、さあ初出勤というときに、新型コロナウイルス感染拡大のためにイタリア全土移動規制となり、来なくていいいという連絡が来たという教え子もいます。今朝連絡があった教え子からは、以前にも、大学を卒業したら日本に支店があるイタリアの企業で働けることになりそうだという話は聞いていたのですが、そんなに急に話が決まったのかと驚きました。幸か不幸か、日本ではまだ移動規制がそれほど厳しくないおかげで、すでに無事に新生活を始めることができたようです。
ところ変わって、今日の午後の授業では、時間の言い方を復習しました。教科書、『まるごと』は、音声教材や会話練習は充実しているのですが、教科書だけでは各練習が足りないため、別の教科書(ここではHoepliの教科書)の問題やわたし自身が作った問題などで、補足しています。
よく書けているのですが、「ごぜん」が「ごせん」に、「じゅうにじ」が「じゅにじ」になっています。間違っている言葉だけ指摘して、本人が正しい答えを自分で言えるまで待ちました。「じゅう」を「じゅ」と書いてしまうのは、イタリアでは比較的よく見かける間違いの一つです。イタリア語では、母音の長さによって言葉の意味が変わるということがない(専門用語を使うと「母音の長短に弁別機能がない」)ために、イタリア語を母語とする人には、母音の長短を聞き分けるのがひどく難しく、そのために、言葉を覚えるときにも、母音の長短を間違って覚えてしまう場合が少なくないのです。
ひょっとしたらと思って、先週の授業のときに、まずはわたしが口頭で言って、書き取らせたプリントの表でも、「じゅう」がすべて「じゅ」になっていました。このあとすべて正しく書き直してはあったのですが、通常の授業であれば、わたしが赤ペンや蛍光ペンで印をつけて、ここは気をつけましょうと注意を促すことができたでしょうに、オンライン授業ではそれが難しいので、別の方法を模索する必要がありそうです。
母音の長短は、イタリアの人が上級になっても苦手とするところです。たとえば日本語におけるイタリアの地名が、ローマ(Roma)やペルージャ(Perugia)、トスカーナ(Toscana)の場合は、イタリア語の地名と同様に、最後から二つ目の音節の母音が長母音とされ、長音記号が入り、きちんと長く発音されるのに、ミラノ(Milano)やトリノ(Torino)になると、イタリア語では長く発音されるべき最後から二つ目の音節の母音が、日本語では短母音として書かれ、発音されることも、イタリア語を母語とする日本語学習者が、母音の長短の区別がつかず、きちんと覚えられない理由の一つかもしれません。
「写真草子」と題するブログですから、時計の写真を記事に添えようと、「時計」をキーワードに、過去の写真を検索していたら、中にこんな写真がありました。
この2014年の授業の板書で、12と20を並べて書いて、2の位置と読み方を強調しているところを見ると、おそらくは、生徒がこの二つの数字を、日本語で間違って言ってしまったのでしょう。実は、今日の授業でも、「じゅうごふん」を「ごじゅう…」と言いかけていましたし、先週の授業でも、13を「さんじゅう」と言ってしまう生徒がいました。
よく考えれば、日本語では12、13、14…と10(じゅう)が先に来て、それから1の位の数字、2(に)、3(さん)、4(し、よん)…が続くのですが、イタリア語ではその逆で、
11は1(uno)+10(dieci)から「undici」、
12は2(due)+10(dieci)から「dodici」、
13は3(tre)+10(dieci)から「tredici」、
14は4(quattro)+10(dieci)から「quattordici」で、
以下この調子で19「diciannove」まで続くのですから、確かにイタリア語の発想、語順から考えてしまうと、13を「さんじゅう」と言ってしまいたくなるわけです。
また、このときの板書に明記してあるように、数字の7も、イタリアと日本とでは書き方が違い、日本風に7と書いてもイタリアでは7と分かってもらえないし、日本でイタリア風に、横線が一本余分に入った7を書いても、理解してもらうのが難しくなります。
数字一つとっても、外国語の学習はなかなか難しいと、改めて思いました。
****************************************************************************************************************************
Continuano le lezioni online della lingua giapponese.
Dalla scorsa settimana cade spesso la linea ADSL!
Dopo 53 ore di lezioni, si riesce a dire l'ora e raccontare la propria giornata tipica.
****************************************************************************************************************************
関連記事へのリンク
- 『まるごと入門A1』考1、新しい日本語教科書と無料の13言語訳つき日本語基本語彙集
- Manuale di Giapponese - Hoepli, "Corso di lingua giapponese"
- ウ入りパスタと恋のコーヒー、外国語学習入門期の罠
- 外国語、数字も時刻も難しい / Numeri, giapponese vs italiano (13/5/2014)
時間帯によってインターネットの接続が切断、それは授業中でしたら大変不便ですね。今在宅中の人々が多くインターネット使用が今までより増えたのでしょうか?
日本の7の書き方は理解してもらえないことがあるのですか。
深く考えたことがなかったけどちょっとビックリ!
確かに外国人って7の縦線のところに斜めにチョンと
書き足しますね。
あれは何か別の文字(1とか)との区別でやるのかしら。
在宅の仕事に学校もオンラインで授業、自宅にいるためにオンラインで映画やゲームという人もいるようで、インターネットの使用が急増しているそうです。