イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

日本語とイタリア語、時の言い方と数字学習 オンライン授業

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 イタリア全土外出規制のため、日本語の授業をオンラインですることを余儀なくされて、5週目となりました。スカイプを使った授業が、最初のうちは円滑に行えていたのですが、先週から突然、インターネット接続が、授業中に何度も切断されて、再び接続されるまでしばらく待たなければいけないようになってしまいました。

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https://stafallendo.it/problemi/tim-italia

 授業の時間帯にもよるのだろうかと思ったのですが、他の先生から、午前中にも起こることがあると聞きました。必要のないときは、映像のない音声通話だけにすれば接続が安定するし、チャットを使ってしのぐこともできると教えてもらったので、次回からは、そういう方法も試してみようと思います。

 最近音沙汰のない個人授業の教え子がいたので、気になってはいたのですが、忙しいのだろうと連絡を待っていたら、今朝突然、日本で新たな生活を始めましたといいうメッセージが届いたので、驚きました。わたしが日本語を教えているイタリア人の若者の中には、ようやく新しい職場が決まって、さあ初出勤というときに、新型コロナウイルス感染拡大のためにイタリア全土移動規制となり、来なくていいいという連絡が来たという教え子もいます。今朝連絡があった教え子からは、以前にも、大学を卒業したら日本に支店があるイタリアの企業で働けることになりそうだという話は聞いていたのですが、そんなに急に話が決まったのかと驚きました。幸か不幸か、日本ではまだ移動規制がそれほど厳しくないおかげで、すでに無事に新生活を始めることができたようです。

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 ところ変わって、今日の午後の授業では、時間の言い方を復習しました。教科書、『まるごと』は、音声教材や会話練習は充実しているのですが、教科書だけでは各練習が足りないため、別の教科書(ここではHoepliの教科書)の問題やわたし自身が作った問題などで、補足しています。

 よく書けているのですが、「ごん」が「ごん」に、「じゅにじ」が「じゅにじ」になっています。間違っている言葉だけ指摘して、本人が正しい答えを自分で言えるまで待ちました。「じゅう」を「じゅ」と書いてしまうのは、イタリアでは比較的よく見かける間違いの一つです。イタリア語では、母音の長さによって言葉の意味が変わるということがない(専門用語を使うと「母音の長短に弁別機能がない」)ために、イタリア語を母語とする人には、母音の長短を聞き分けるのがひどく難しく、そのために、言葉を覚えるときにも、母音の長短を間違って覚えてしまう場合が少なくないのです。

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 ひょっとしたらと思って、先週の授業のときに、まずはわたしが口頭で言って、書き取らせたプリントの表でも、「じゅ」がすべて「じゅ」になっていました。このあとすべて正しく書き直してはあったのですが、通常の授業であれば、わたしが赤ペンや蛍光ペンで印をつけて、ここは気をつけましょうと注意を促すことができたでしょうに、オンライン授業ではそれが難しいので、別の方法を模索する必要がありそうです。

 母音の長短は、イタリアの人が上級になっても苦手とするところです。たとえば日本語におけるイタリアの地名が、ローマ(Roma)やペルージャ(Perugia)、トスカーナ(Toscana)の場合は、イタリア語の地名と同様に、最後から二つ目の音節の母音が長母音とされ、長音記号が入り、きちんと長く発音されるのに、ミノ(Milano)やトノ(Torino)になると、イタリア語では長く発音されるべき最後から二つ目の音節の母音が、日本語では短母音として書かれ、発音されることも、イタリア語を母語とする日本語学習者が、母音の長短の区別がつかず、きちんと覚えられない理由の一つかもしれません。

 「写真草子」と題するブログですから、時計の写真を記事に添えようと、「時計」をキーワードに、過去の写真を検索していたら、中にこんな写真がありました。

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17/4/2014

 この2014年の授業の板書で、12と20を並べて書いて、2の位置と読み方を強調しているところを見ると、おそらくは、生徒がこの二つの数字を、日本語で間違って言ってしまったのでしょう。実は、今日の授業でも、「じゅうごふん」を「ごじゅう…」と言いかけていましたし、先週の授業でも、13を「さんじゅう」と言ってしまう生徒がいました。

 よく考えれば、日本語では12、13、14…と10(じゅう)が先に来て、それから1の位の数字、2(に)、3(さん)、4(し、よん)…が続くのですが、イタリア語ではその逆で、

11は1(uno)+10(dieci)から「undici」、
12は2(due)+10(dieci)から「dodici」、
13は3(tre)+10(dieci)から「tredici」、
14は4(quattro)+10(dieci)から「quattordici」で、

以下この調子で19「diciannove」まで続くのですから、確かにイタリア語の発想、語順から考えてしまうと、13を「さんじゅう」と言ってしまいたくなるわけです。

 また、このときの板書に明記してあるように、数字の7も、イタリアと日本とでは書き方が違い、日本風に7と書いてもイタリアでは7と分かってもらえないし、日本でイタリア風に、横線が一本余分に入った7を書いても、理解してもらうのが難しくなります。

 数字一つとっても、外国語の学習はなかなか難しいと、改めて思いました。

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Continuano le lezioni online della lingua giapponese.

Dalla scorsa settimana cade spesso la linea ADSL!
Dopo 53 ore di lezioni, si riesce a dire l'ora e raccontare la propria giornata tipica.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by sunandshadows2020 at 2020-04-15 12:09
それぞれの言語から他の言語を学ぶ難しさ、英語では日本人に難しいZ、TH、LとRが有ります。ブログ拝見していてなおこさんのクラスに座っている感覚を持ちました。
時間帯によってインターネットの接続が切断、それは授業中でしたら大変不便ですね。今在宅中の人々が多くインターネット使用が今までより増えたのでしょうか?
Commented by AU3OGR at 2020-04-15 15:31
なおこさん

日本の7の書き方は理解してもらえないことがあるのですか。
深く考えたことがなかったけどちょっとビックリ!
確かに外国人って7の縦線のところに斜めにチョンと
書き足しますね。
あれは何か別の文字(1とか)との区別でやるのかしら。

Commented by milletti_naoko at 2020-04-17 17:46
お転婆シニアさん、アメリカに長く暮らす日本語母語話者を対象にした研究で、RとLについては完全には聞き分けられるようにはならないけれども、発音はきちんと区別してできるようになるという方が多いという結果が出たという論文を読んだことがあります。アメリカではZとTHもありますよね。わたしもRとLに加えて、BとVは、たとえば地名など知らない言葉の中に出てくると、どちらか分からず、自信がなくて困ることがあるので、イタリア語を母語とする日本語学習者にとってもそういう難しさがあるのだろうと思います。

在宅の仕事に学校もオンラインで授業、自宅にいるためにオンラインで映画やゲームという人もいるようで、インターネットの使用が急増しているそうです。
Commented by milletti_naoko at 2020-04-17 17:54
AU30GRさん、わたしも逆に、日本の市役所で意識せずに7をイタリア風に書いてしまったら、これは何ですかと市役所の方に言われてしまったことがあります。きっとそれと同じように、日本の7も受け取られるのでしょうね。
by milletti_naoko | 2020-04-15 07:21 | Insegnare Giapponese | Comments(4)