イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

第84号「愛の一言、今年こそイタリア語、外国語上達の極意」  

1.愛の一言

 最近、バーチ・チョコレートの中に、こんな言葉を見つけました。

Amami quando lo merito meno, perché sarà quando ne ho più bisogno.

 どんなことを言った言葉か、見当がつきますか? 少し難しい言葉や表現もありますが、この短い言葉の中には、イタリア語を話したり、書いたりするのに便利な言葉がたくさん含まれています。

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 まずは、文を組み立てるのに便利な言葉で、そういう理由で、イタリア語の知識ゼロでイタリアで働き始めた移民が早くに使えるようになる言葉が二つあります。

 Amami quando lo merito meno, perché sarà quando ne ho più bisogno.

 赤で記した二つの接続詞です。quandoは、ここでは、時を表す副詞節を導く接続詞で、「~とき、~すると」という意味です。英語のwhenにあたる言葉で、when同様、「いつ」かを尋ねる疑問詞としても使われます。

例)

1.接続詞としての用法

Quando sono uscita, ancora nevicava. わたしが外出したとき、まだ雪が降っていた。

2.疑問詞としての用法

Quando vieni a trovarci?     いつわたしたちに会いに来てくれます

 一方、perchéは、このバーチの愛の言葉では、理由を表す副詞節を導く接続詞で、「~だから、なので」という意味で、この意味では、英語のbecauseにあたります。

1.接続詞としての用法

・Studio l'italiano, perché vorrei viaggiare in Italia e parlare con la gente locale.
 わたしはイタリア語を勉強しています。イタリアを旅して、現地の人と話がしたいからです
 (わたしは、イタリアを旅して、現地の人と話をしたいので、イタリア語を勉強しています。)

 要注意! perché が導く理由を表す節は、文頭に置いてはいけません。必ず主節(上の例文では、「Studio l'italiano」の部分)の後に置きます。「~なので」と、理由を先に説明する場合には、perchéではなく、siccomepoichéという接続詞を使わなければいけません。

Siccome vorrei viaggiare in Italia e parlare con la gente locale, studio l'italiano.
Poiché vorrei viaggiare in Italia e parlare con la gente locale, studio l'italiano.

 どうしてperché が導く理由を表す節を文頭に置いてはいけないのか? それは、イタリア語のperchéは、「どうして、なぜ」かという理由を尋ねる疑問詞(英語のwhyにあたる)としても使われるからです。

2.疑問詞としての用法

Perché studiare l'italiano?
あなたはなぜイタリア語を勉強しているのですか?

 ですから、理由を説明したいのに、冒頭にperché で始まる節を置いてしまうと、疑問文と勘違いされてまぎらわしくなる可能性があるためではないかと思います。ただし、上の疑問文の答えとして、単文で答える場合には、

Perché vorrei viaggiare in Italia. 
イタリアを旅して、現地の人と話がしたいからです。

というふうに、接続詞perché を文頭に使って答えるのが一般的です。
 
 冒頭の言葉の中には、知っているととても便利な表現が、もう一つあります。

 Amami quando lo merito meno, perché sarà quando ne ho più bisogno.

avere bisogno di...は、「~を必要としている」という意味の連句です。ホテルのフロントや友人宅で、

Ha/Hai bisogno di qualcosa?  何か必要なものがありますか。

と声をかけてもらうことが、時々あります。

Ha/Hai bisogno di aiuto? と言ってくれているとしたら、「お困りですか? 自分にもし手助け、手伝いができるようであったら、言ってください」ということです。

 バーチの言葉中では、 ne ho più bisognoとneが使われていますが、これはイタリア語では、既出のdi+名詞、代名詞を、neという代名小詞で置き換えるからです。

 文を訳してみますね。

「わたしを愛してください。愛してくれるに値しない、そんなときこそ。なぜって、そういうときこそ、わたしは愛をずっと必要としているからです。」

  quando lo merito menoは日本語に訳すのが難しいのですが、直訳は「わたしに、愛してもらえるだけの価値がより少ないときに」です。バーチの紙に書かれた、他の国の言葉を添えた方が、意味がつかみやすいかもしれませんね。

・Love me when I deserve it least, as that is when I'll need it most.

・Aime-moi quand je le merite le moins parce que ce sera quand j'en aurai le plus besoin.

 ただし、主節でも従属節でも、英語版、フランス語版では最上級が使われていますが、イタリア語板では最上級ではなく、比較級(meno、più)が使われているので、文の内容は完全には合致しません。

 順風満帆で、だから機嫌も愛想もよくて、そういうときに愛するのは簡単です。そうではなくて、うまくいかなくて、人に当たって気難しいような、そんなときこそ、実は愛が必要なのだ。そういうそぶりをする人に、笑顔で優しく応えるのは難しいけれど、まさにそのとおりだと思います。

 そして、これは自分自身に対してでも同じことで、こんな自分ではいけないなと思うことこそ、そんな自分を愛おしく思い、大切にすることが必要で、それが他人への愛や優しさをより大きく、寛容なものにしていくのではないかと思います。



2.今年こそイタリア語、外国語上達の極意

 2013年、新年にあたって、「今年こそイタリア語をしっかり勉強しよう、さらに上達させよう」とお考えの方も多いことでしょう。わたしは、外国語を確実に上達させる秘訣は、次の三つだと考えています。

1.自分の力と外国語学習の目的にあった適切な教材・学習方法を選ぶこと。

2.学習目標は最終到達点を漠然と思い描くだけではなく、月・年単位での具体的かつ実行可能な達成目標を決め、週・日など短い期間の学習課題をしぼり込むこと。

3.その課題をできるだけ着実にこなしていき、時々自分のそれまでの学習をふり返って、目標やノルマの設定し直しをしたり、初心を思い出して、自分のやる気を奮い起こすこと。

 では、そのためには、具体的にはどうすればいいのかを、次のブログ記事で、詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。

外国語上達の極意その1  
外国語上達の極意その2    
外国語上達の極意その3  ← 私のかつてのイタリア語学習計画ノートもご紹介

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 実用イタリア語検定の上級、1・2級を目指す方、そして、大学入試を控えたお子さんのいる方や、英語など、他の外国語での検定で1級や準1級を目指すという方は、次の記事を参考にしてください。上の写真にある、過去の二次試験の出題テーマをまとめた表は、この記事に掲載しています。

おすすめ小論&語学検定対策  

 わたし自身の今年の外国語学習の目標は、音声のながら聞きを含めて、年にフランス語を1000時間学習し、B1、できればB2のレベルまで力をつけることです。

フランス語1000時間    

*追記(2020年4月16日)
 ヤフージオシティーズのサービス終了のため、現在、このイタリア語学習メルマガのバックナンバーを、ブログに移行中です。すでにブログに収録済みのメルマガ一覧は、タグ、「イタリア語学習メルマガ バックナンバー」(リンクはこちら)からご覧になれます。

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2013-01-21 12:01 | Lingua Italiana | Comments(0)