イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

第100号(2)「ペストのレシピ、ムッソリーニ脱出劇、日焼けとイタリア語、 原点を振り返る」

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 2015年8月31日(月)発行のイタリア語学習メルマガ第100号(1)「望めばかなう、便利な補助動詞 potere 入門・初級編 & 中級・上級編」(リンクはこちら)の続きです。

2.バジルおいしいペスト・ジェノヴェーゼ(イタリア語レシピ映像あり)、オリーブ凶作2014年、
  グラン・サッソとムッソリーニ脱出劇、日焼け、日本とイタリア、日本語とイタリア語



  読者の皆さんの中には、イタリア料理が好きで、イタリア語の勉強を始め、だから、庭やテラスでバジル(basilico)を育てているという方や、イタリア旅行で、ペストのパスタを食べて、そのおいしさが忘れられないという方もいることでしょう。そこで、今回は、バジルとと松の実(pinoli)ペコリーノ(pecorino)パルミジャーノ(parmigiano)などを使って作る、バジルの風味たっぷりのおいしいペストを作るレシピを記した記事をご紹介します。

ペスト・アッラ・ジェノヴェーゼ  

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 上の記事では、まず、イタリア語で、たくさんの映像を使って、イタリア語が分からなくとも、手順を書いて説明したレシピ、二つへのリンクを紹介しています。二つ目のGialloZafferanoのレシピについては、さらに作り方を映像でも紹介しています。映像へのリンクはレシピページの上方にあります。最初にしばらく、レシピサイトが入れている広告が入っています。
     
 最初に掲げた二つのリンクでは、すり鉢を使ってペストを作るレシピを紹介しているのですが、三つ目のレシピでは、ミキサーを使って手早くペストを作る方法を映像で説明しています。わたし自身の記事では、レシピの分量を日本語で説明しているだけですが、上のリンク先の記事やビデオは、細かい手順まで、写真や映像を豊富に使って説明していますので、イタリア語が分からなくても、作る手順が分かるはずです。ぜひ皆さんも、イタリア語に耳や目を慣らしつつ、ご家庭で、手作りのおいしいペストを楽しんでみてください。

オリーブ凶作2014年           
グラン・サッソとムッソリーニ脱出劇
     
 昨年、イタリア中部では、オリーブがかつてない不作で、我が家のオリーブは全滅、おいしいオリーブオイルの名産地であるウンブリアやトスカーナで、オリーブの収穫量が例年の30~40%と激減し、有機の新オイルが生産できない業者が多く、生産されたわずかなオイルの値段は高騰しました。上の記事では、その理由や状況を詳しく説明しています。

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 アブルッツォのグラン・サッソは、今でこそ夏は美しい野の花が咲きほこり、冬はスキー客でにぎわう自然公園ですが、その標高の高さから、第二次世界大戦中、ファシスト政権崩壊後に逮捕されたムッソリーニが幽閉された場所でもあります。ムッソリーニは、脱出不可能と考えられたその高原のホテルから、ヒトラーの助けで脱出に成功します。この夏、わたしたちが泊まったのは、そのムッソリーニが幽閉されていた部屋があるホテルで、土曜の晩に、その部屋を見るミニツアーが無料であったので、参加しました。興味のある方は、記事をご覧ください。ムッソリーニの脱出劇については、わたしはペルージャ外国人大学の歴史の授業で教わって知っていたのですが、その授業のノートも、写真で紹介しています。

日焼け、日本とイタリア          
日焼け、日本語とイタリア語   

  「日本人はどうして日に当たるのを嫌がるの?」と、日光浴を愛してやまない人が多いイタリアの友人から、夏はよく質問されます。「日焼け、日本とイタリア」の記事では、日焼けに関する日本とイタリアでの考え方や慣習の違いを、日本語・イタリア語で説明しています。

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 日焼けした肌の色を、日本語では「小麦」の色と表現するのに対して、イタリア語では、ブロンズ・青銅の色ととらえるようです。それは、イタリア語で「日焼けする」を意味する動詞、abbronzareの中に、「ブロンズ、青銅」を意味するbronzoが隠れていることから分かります。名詞の語根(radice)に、接頭辞a-と接尾辞-are/-arsiがついてできた重要な動詞は他にもいくつかあります。「日焼け、日本語・イタリア語」の記事では、そういう動詞の成り立ちや具体例を詳しく説明しています。たとえば、「抱きしめる」を意味するabbracciareも、名詞のbraccio「腕」から、そうやって派生した動詞です。興味のある方は、ぜひ記事をご覧ください。

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終わりに ~ 第100号発行に寄せて、原点を振り返り、これからを思う


 発行を楽しみにしてくださる皆さんのおかげで、このイタリア語学習・イタリア情報メルマガも、第100号を発行することができました。ペルージャとシエナ、二つの外国人大学の大学および大学院課程で、5年にわたってみっちりと、外国人へのイタリア語教育を学んで卒業したのに、どちらも満点で賛辞をもらって卒業しても、イタリアの学校や大学では、日本語を教える仕事は得られても、イタリア語を教える職は得られないというもどかしい状況が、7年前にわたしがこのメルマガを発行しようと思い立った理由です。

 二つの大学のさまざまな授業で、現在、日本のイタリア語教育界では知られていない、実践されていないけれども、利用すれば大いに効果が上がるようなイタリア語をはじめとする外国語の学習法・教授法、そして、イタリア語の望ましい習得・授業の在り方など、多くのことを学びました。また、両外国人大学での卒業論文執筆にあたって、さらに多くの本や資料を読み込み、「日本人にとってのイタリア語学習の難しさと日本人への望ましいイタリア語教育の在り方」について、考えを深めることができました。そうして学んだことの多くは、わたし自身が日本語を教えたり、外国語を学んだりするときに役に立っています。けれども、せっかく日本のイタリア語学習者の方に役に立ちそうなことをたくさん学んだのだから、それを何らかの形で、学習者の方に伝えていきたいという思いに駆られ、それで、このイタリア語学習メルマガを発行することにしたのです。

 わたし自身が日本でイタリア語を勉強したときに、生の新しいイタリア語の教材を入手するのが難しかったことを思い、また、日本では、英語同様、イタリア語についても、学習書が「文法」か「会話」のどちらかに偏りがちであるという状況に新しい風を吹き込みたいとも考え、メルマガでは、イタリア語のニュースや歌、新聞記事、小説、詩など、さまざまな素材を教材として取り上げてご紹介すると共に、最新の外国語教育・学習研究の結果を踏まえて、こんなふうに学習に取り組んだら効果が上がりますよといった情報も提供してきました。

 語学学習では、その言語が話される国や地域への興味や関心があると、勉強意欲が高まり、学習効率が上がります。ですから、イタリア文化やイタリア旅行に興味を持っていただくために、また、学習効果を上げるために、文字情報の記憶を高める視覚教材、写真も使いたいという理由からも、2010年4月からは、最初は「ペルージャ発 なおこの絵日記」という題で、ブログを始めました。ですから、もともとブログを始めたのは、メルマガには載せられない数多くの写真を載せることができるから、そして、日々のイタリアでの暮らしや旅行の様子を通じて、イタリア語学習者の方のイタリアへの興味が高まり、イタリア語への学習意欲がより高まればと考えたからだったのです。

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 ただ、ブログを書き続けるうちに、実はもともと自分が書くことが好きであったこと、さまざまなことに興味を持っていて、伝えたいことは、イタリア語学習やイタリア文化以外にもたくさんあることに気づき、日本語で考えて書き、書き言葉を通じて意思疎通を図る練習ができるほかにも、ブログを書くこと自体が楽しみになってきました。それはそれでとてもうれしいことですし、ブログを通じて、フィレンツェやボローニャでのフォトブロガーの集いに招待されたほか、新聞や旅行関連の記事の執筆や、通訳・翻訳、そして、イタリア語の個人授業の依頼も来るようになりました。語学教育にせよ、通訳・翻訳にせよ、日本とイタリアを結ぶ架け橋の役割が果たせる仕事であって、ブログの執筆を通しても、続けていきたいと考えている大切な仕事です。

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Dal sito Mimulus.it

 けれども、日本の高校で国語を教え、社会人になってから英語を再勉強し、イタリア語を勉強した経験のあとで、二つの外国人大学で外国人へのイタリア語教授法を5年間専攻する中で、わたしがイタリア語教育・イタリア語学習について学んだことは、たとえ個人授業の依頼以外には、直接仕事につながらないとしても、ぜひとも社会に還元していきたいことです。ですから、今回第100号を迎えたことを機に、原点に還って、メルマガをもっと定期的に、せめて月に一度は発行すると同時に、ブログの方でも意識的に、週に一度は、イタリア語学習・イタリア語教育、あるいは外国語学習に関する記事を書いていくつもりでいます。

 原点に立ち返ろうという、そういう思いを忘れぬためにも、そうして、現在わたしが一番時間をかけて取り組み、また収入源となっているのが日本語教師としての仕事であることも考えて、これまで「イタリア情報」、「イタリア」にしぼっていたブログランキングのカテゴリも、うち20パーセントずつを、「イタリア語」学習・教育、そして、「日本語教育」、「シンプルライフ」のカテゴリに割り振ることにしました。自由にさまざまな自分の思いやできごとを語るという今のブログの在り方は、基本的に保ちつつも、ライフワークとしての「イタリア語教育」と「日本語教育」を大切にする姿勢、自分が一番してみたいことを常に自らに問いかけて生きていく「シンプルライフ」を、わたし自身が自らに言い聞かせるため、思い出すためです。わたしは、イタリア語学習者の皆さんが学習においてどんなところに難しさを感じているか、どんなことに関心を持たれているかを知るためにも、にほんブログ村・人気ブログランキングの二つのランキングの「イタリア語」のアイコンを、ブログ表紙の右側に置いています。イタリア語学習で壁に行き当たったり、仲間がほしいと感じたりしたときに、皆さんも、他の学習者がどんなことに悩み、どんな勉強をしているかを知って励みにするために、このアイコンをクリックしてみてください。わたし自身、ブログを通じて知り合ったフランス語を学習する仲間とのコメントでの交流や、そうした同志のブログの記事を読むことで、ほかにも勉強仲間がいるのだと励まされ、わたしも頑張らなければと刺激を受けています。
*追記: 2020年4月現在では、ブログの題名や表紙の体裁も、参加するブログランキングのカテゴリも当時とは違っています。)

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 そうそう、ブログを始めたおかげで、イタリア語学習について新たに学んだことの一つは、たまたま出会って夫となった人がイタリア人であったために、イタリアで暮らし始め、イタリア語を学習する必要に駆られた日本の方も大勢いるということです。そういう方が必死でイタリア語を習得しようとする姿に教わりながら、外国人大学で学んだことなどを還元して、少しでも、イタリア語の習得の役に立てたらとも考えるようになりました。実は、両大学で学んだことの中には、事前にまったくイタリア語を学習せずに、イタリアに暮らしながら、働きながらイタリア語を身につけた移民の、その自然な習得順序もあるのです。そうやって自然に学んだ語彙や時制の順序こそ、学校や本で勉強する人にとっても、脳が最も習得しやすい順序であると考えられ、近年イタリアで発行されたイタリア語の教科書の中には、その自然な習得順序の研究結果を反映した構成になっているものもあるのですが、残念ながらそういう新しいイタリア語教授法を学んだ人が、イタリアでイタリア語教師の職を得るのは難しいのが現状であり、また、日本でイタリア語を教えたり、日本でのイタリア語教育に反映させたりする可能性も、残念ながら低いのではないかと思います。そんなふうに、いろんな意味で、常々考えていた新風を、イタリア語教育・イタリア語学習の世界に吹き込んでいくためにも、第100号を機に、改めて、自分の人生におけるイタリア語教育の大切さをしっかり心に刻み、今後のメルマガ発行やブログ記事の執筆に反映させていくつもりでいます。

 皆さん、これからもよろしくお願い申し上げます。

関連記事へのリンク
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- ブロガーとエミリア地震被災地の宝たち、ピエーヴェ・ディ・チェント
- イタリア語文法の習得にも脳が自然に覚えやすい順序がある(1)~メルマガ第110号から

*追記(2020年4月21日)
 ヤフージオシティーズのサービス終了のため、現在、このイタリア語学習メルマガのバックナンバーを、ブログに移行中です。すでにブログに収録済みのメルマガ一覧は、タグ、「イタリア語学習メルマガ バックナンバー」(リンクはこちら)からご覧になれます。

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by meife-no-shiawase at 2020-04-23 13:59
色々と勉強になります。

イタリアでも台湾と同じように、アニメや文化への興味から
日本語の勉強を始める方が多いのにちょっと驚きました。
今や日本のアニメなどは世界が認める面白きものになっていて
日本に、日本語に興味を持つきっかけとなっているのですね♡

なおこさんのメルマガ100号、おめでとうございます。
それだけの情報を発信されていて素晴らしいです。

やはりテキストには限りがあると思います。
実際に日本人としてイタリアに住まわれ、その文化や生活、歴史などを理解されたうえで、
多くの中からその都度、素材を選ばれて文章にされている・・・。
私はイタリア語はまったくですが、今日のブログを拝見するだけで、
ちょっと興味を持ってしまいます!!!
ブログを通して、いろいろ教えていただけるのが楽しみです。

イタリア情報もポチっと応援させていただきます~♡♡♡



Commented by milletti_naoko at 2020-04-25 00:33
メイフェさん、長い記事なのに最後まで読んでくださって、さらに温かいうれしいコメントをありがとうございます。

そうすると、台湾にもやはりアニメや文化がきっかけで日本語の勉強を始める方が多いんですね! アニメは大切なパスポートで世界的に人気がそこまでにあるものなんですね。

ありがとうございます。せっかく発行してきたメルマガなので、どなたかのお役に立てばと、少しずつこのブログに移行しています。

わたしも台湾ゆかりの友人もいるので、メイフェさんのおいしい幸せいっぱいの台湾情報、楽しみに、ポチりと応援させていただきながら拝読しています。ブログの題名もすてきですね。ダイソンが髪のドライヤーも作って販売しているとは思いもしなかったので驚きました。赤は本体も箱もおしゃれですね。しかも使い勝手と仕上がりがばつぐんにいいなんて! 
Commented at 2020-04-25 06:01
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2020-04-27 06:28
鍵コメントの方へ、温かいお祝いとご声援の言葉をありがとうございます。

ブログにかまけて放置してしまった感のあるメルマガですが、初心に返って、もっとしっかりと続けていき、かつせっかく書いたバックナンバーをできるだけ早く、けれどていねいにインターネットで読めるようにするべく、頑張ります♪
by milletti_naoko | 2015-08-31 13:00 | Lingua Italiana | Comments(4)