2020年 05月 13日
花に満ち眺めうつくしアクート山、ウンブリア
この写真で左に見える横長の山がペンニーノ山(Monte Pennino、1571m)、右に見える頂のとんがった山がアクート山です。acutoはイタリア語で「鋭い、先のとがった」という意味で、とんがって見える山は多いため、アクート山という名の山は、わたしがよく知っている山だけでも三つあります。
標高約千メートルではないかと思われる地点まで車で登り、そこから頂上を目指して歩きました。実は、ペンニーノ山頂まで歩く予定でうちを出たのですが、目指す登山口まで車で行ける道がなかなか見つからず、迷っているうちに遅くなったので、予定を変更して、アクート山の頂まで歩くことにしたのです。
細い砂利道を車で長く走ったあと、ようやく見つけた車が置ける広場近くには、サポナリア・オキモイデス(Saponaria ocymoides)が、あちこちに咲いていました。日本語ではこの学名、または英語名、ロックソープワート(rock soapwort)で呼ぶようで、イタリア語では俗にsaponaria di roccia「岩のサポナリア」と呼ばれるようです。
このあと、さらにしばらく登ると、道の右も左も、山の斜面のあちこちに春咲きの自生のシクラメン(ciclamino selvatico)が咲いていて、一面に群れて咲いている花も、しばしば見かけました。
森の中で昼食休憩をしてさらに登るうち、
森から見晴らしのいい草原に出ました。
草原には、シクラメンに代わって、自生のラン(orchidea spontanea)が、咲いています。5月に山を登ると、レモン色やピンク、赤紫色のランの花に出会うことは多いのですが、この日はランが一面に咲いているので驚きました。
こんなふうに、珍しい白いランの花も、時々見かけました。
自然の花畑になっているところさえあります。空色の花はワスレナグサ(nontiscordardimé)で、群れになって咲いているところが、いくつもありました。
わたしは、花いっぱいの急な斜面を、花と眺めを愛でながらゆっくり登っていきたかったのですが、夫の提案に従い、途中からは、登りがゆるやかで幅が広く、車も通れそうな登山道を歩いて登りました。
北の斜面には、季節が過ぎようとしているキバナノクリンザクラ(Primula veris)や、色とりどりのスミレ(violetta)が咲いていました。
夫の後について、頂上を目指して急な斜面を登っていくと、ここにもランやスミレなど、花が一面に咲いています。
シビッリーニ山脈やカンポ・インペラトーレなど、標高の高い山で見かけるゲンチアナ・ベルナ(Gentiana verna)の青い花も、山頂付近ではところどころに咲いていました。イタリア語ではgenzianella di primavera「春のゲンチアナ」と言うようですが、夫はいつもただジェンツィアネッラ(genzianella)とだけ呼んでいます。
山頂が近づくと、右下方にはコルフィオリートの高原(Altopiano di Colfiorito)が広がり、左手奥には、シビッリーニ山脈(Monti Sibillini)の山並みがきれいに見えて、眺めがすばらしかったです。
岩の上にも、ゴジアオイ属(cisto)の白く小さい花が、咲いています。
後はこのまま、山頂までゆるやかに登っていく細道を歩けばいいと思っていたら、二メートルほどの高さではありますが、岩壁を下りて、向かいの岩壁を登らなければいけないところが一箇所ありました。
そうしてようやくたどり着いた、最も高いと思われる地点には、山頂を示す十字架も石も標識もありません。来た道をふり返り、まだ後方にいて、双眼鏡で何かを見ていた夫を撮影しました。
帰りは、まずは急坂をジグザグに降り、時々休んで花や風景を撮影し、それからは登山道を歩き、シクラメンの咲く森を通って、車を置いていた広場へと戻りました。車に戻ったのは午後4時40分頃、山を歩いて登り始めてから、3時間半後のことでした。冒頭の写真は、車でペルージャへと戻る途中、午後5時過ぎに撮影したものです。
思いもかけないほど野の花がたくさん咲いていて、眺めがすばらしく、シビッリーニ山脈がきれいに見えたので、とてもうれしかったです。
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Sentieri fioriti e panorami stupendi, trekking verso la cima del Monte Acuto (1300m),
in fiore i ciclamini, le orchidee, le violette, i nontiscordardimé, i cisti.
Abbiamo incontrato anche i fiori di saponaria, Primula veris genzianella,
dalla cima i panorami dei Monti Sibillini e dell'Altopiano di Colfiorito.
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 庵から登れば被災の美しい山 / Dall'eremo verso il Monte Acuto e il Monte Pennino (11/1/2020)
↑ この今年2月の山登りで、ペンニーノ山とアクート山の山頂がすぐ近くに見えるところまで歩いていたので、今回は、この日に徒歩で到達した地点まで車で登って、後は歩こうと考えていたのです。
- 慌てちゃいけない! / Verso la cima del Monte Pennino (1/2/2014)
↑ 何度か登ったはずのペンニーノ山で初めて山頂まで歩けたのは2014年2月1日だったと、この記事の写真とイタリア語の説明で分かるのですが、日本語記事は登山と関係がありません。
- 巨木・岩壁・クロッカス、眺めも美しテッツィオ山 / Monte Tezio, fiori & panorami (12/3/2017)
↑ 天気のいい日は、ミジャーナのあるテッツィオ山からも、ペンニーノ山とシビッリーニ山脈がよく見えます。
- 高嶺の貴婦人、チャボリンドウとゲンチアナ、カンポ・インペラトーレ / Genzianella & Genziana Maggione sul Campo Imperatore (27/7/2015)
ウンブリア州内にこんな素敵なお山があったのですね~♡
ピンクの岩に咲くお花、とても可愛いです~
英語名、岩に咲くそのものですね~
色とりどりのスミレの花、日本の園芸種のパンジ―でしょうか?
自生の蘭、なおこさんの記事では良く拝見していますが、こんなに群生してるのは初めてで綺麗ですね~♡
自生のシクラメンの森、陽が当たる時間で、ピンクがよくわかりほんとに綺麗です~♡
崖を下るシーンは、想像すると怖いですが、山登りの醍醐味なんでしょうね(^_-)-☆
全くしてこなかった私でも
この風景なら・やってみたい?なんて誘われますね
足元に「花畑」を見て
頂上を目指し、目指した場所から望む風景は、圧巻です
こうしてみせていただくと
コロナで2メートルの距離?
うそのようですね
またまた素敵な景色をたくさ~ん見せていただきました。
赤いジャガイモですか・・・
日本だと時々ジャガイモコーナーに色とりどりのジャガイモを
見かけることがありましたが、台湾では見たことがありません。
自生のシクラメン・・・。初めて見ました~。
なんだか可愛いですね。そしてランも♡
なおこさんはお花の名前に大変お詳しいですね。
私など見ただけではお花の名前はわかりません。
15:14のお写真、面白いですね。
美しいお花の向こうにご主人様が歩いていらっしゃる。
こういう構図でお写真を撮っているなおこさんを想像してほのぼのします。
15:31も15:47分も、良いお写真です~♪
本当にいいお散歩・・・運動になりますね。
私もゆっくり歩くのが好きなので行ってみたいです~♪
イタリア語にも男性、女性と分かれる単語があるのですか。
それを覚えるのだけでも大変そうです。
このスミレはイタリア語名を「山のスミレ」と呼ぶくらいなので、原種の一つだと思います。斜面に草ばかり生えていて木がないのも、花がたくさん咲いているのも、牛や馬たちが草を食べ続け、肥やしをたくさんやったからではないかと思います。それにしても、びっくりするほどたくさんの花が咲いていました!
春咲きのシクラメンは、淡いピンクの秋咲きのシクラメンに比べて、ピンクが鮮やかで赤に近い色をしています。花がたくさん咲いていて、うれしかったです♪
5月はイタリア中部の山では野の花がとりわけ多い季節なのですが、こんなにたくさんの様々な花が一面に咲いているのを見るのは、珍しいように思います。
6月1日には、ひょっとしたら州外にも行けるようになるかもしれないと、ニュースで言っていましたが、とりあえずは、州内でも山を歩くために自由に出かけられるようになったことが、ありがたいです。
自生のシクラメン、春には赤みがかった色の鮮やかなピンク、秋には色の淡いピンクの花が咲きます。わたしも名前を知らない花が多かったのですが、歩く植物図鑑である夫のおかげで、そうして二人で図鑑などで調べたおかげで、よく見かける花の名前は分かるようになってきました。
うれしいおほめのお言葉をありがとうございます♪ 同居しているわたしたちは、距離を開けずに歩いてもいいのですが、それぞれが自分のペースで歩いたり止まったりするので、ご覧のように、夫とは離れて歩くことの方が多いです。機会があれば、ぜひお越しください♪
そうなんです。イタリア語にも男性名詞と女性名詞があって、名詞の性によって、形容詞や過去分詞の形が変化したりもするのですが、言わんとすることの内容にはあまり関わらず、形式上・文法上の問題であることが多いためか、イタリア語をイタリアに暮らして働きながら身につける移民も、あとあとになってからようやく身につけることができることなんです。ですから知っておくことは大切ですが、完璧に覚えなくとも、使ううちに身につけようくらいの楽な気持ちでいることも大切だと思います。
見事なお花畑ですね
自生のシクラメンが咲いていたり
クリンサクラソウやハクサンチドリの様なものは
日本にあるものと良く似ています
有難うございました目の保養になりました
楽しい山登りでしたね
クリンサクラソウなど、蔓兵衛さんたちのブログで、日本の野山に咲く植物を拝見すると、同じような花があったり、こちらでは見かけない花があったりして、とても興味深いです。こちらこそありがとうございます。花と風景を楽しみながら歩けて、うれしかったです♪