イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

エジプト博物館 パンこね・パン作り職人像、イタリア トリノ

 1861年のイタリア統一で、近代国家としてのイタリアが生まれたとき、その最初の首都は、トリノ(Torino)でした。そのトリノには、カイロに次いで世界第二の規模を誇る古代エジプト専門の博物館、エジプト博物館(Museo Egizio)があります。

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Maschera funeraria di Merit (1428-1351 a.C.)
Museo Egizio, Torino 30/7/2015

 わたしが夫と訪ねたのは2015年の夏で、古代エジプト美術の美しさや

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Ciclo pittorico della tomba di Maia (XVI - XIII sec. a.C.)

みごとさ、数千年の時を経て

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Statue di Pendua e Nefertari (1539-1076 a.C.)

今も伝わる愛情、思いと技に感嘆し、

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Statua di Ramses II (1279-1213 a.C.)

歴史や文化に思いを馳せることができて、とても興味深かったです。

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Libro dei Morti

 今になって、5年前に訪ねた博物館の話をするのは、昨夜テレビで、このトリノのエジプト博物館を紹介する番組の再放送があったからです。以前の放映時にもすでに見ていたのですが、忘れていたことも多く、復習にもなりました。今回ここまでご紹介した写真の所蔵物は、すべて有名なものばかりで、昨晩の番組でも案内がありました。

 一方、そういう名高い展示物ではないものの、わたしが5年前に博物館を訪ねたとき、見てとても驚き、かつおもしろいと思ったのは、次のような出土品です。

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 こんなふうに当時の人々の食生活や仕事、風習が分かる像が多数あった中で、数千年前のエジプトで、すでにパンが作られていたこと、今と同じように、やはり生地をこねて作っていたことが分かり、また、それをこうしてていねいに像として再現してあることに驚きました。

エジプト博物館 パンこね・パン作り職人像、イタリア トリノ_f0234936_824579.jpg

 ただし、エジプト博物館や古代エジプトについての記事を読んでみると(たとえばこちら)、エジプトで小麦を用いるようになったのは、古代ギリシア・ローマ時代になってからで、それまでは穀物として食べていたのは、大麦やスペルト小麦、ライムギやモロコシで、パンやビールを作るにはもっぱら大麦やスペルト小麦を使っていたとのことです。

 うちの夫はもう長い間、小麦の栽培や小麦粉、パン作りやピザ作りに情熱を注いでいるのですが、イタリアでは新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出・移動規制によって、自らの手でパンやピザなどを作っている人、初めて作ってみた人がかなり多いようです。そのパン作りは、太古の昔、すでに古代エジプトでも行われていたということ、作る過程に、今とそのまま重なることが多いことに、改めて驚いています。

Museo Egizio
Via Accademia delle Scienze, 6 - 10123 Torino
Tel. : +39 011 5617776
Email: info@museoegizio.it
Sito: Museo Egizio, Torino - HOME
FB. : Facebook - Museo Egizio, Torino

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by meife-no-shiawase at 2020-05-15 16:00
オリーブの木の風景が美しいです・・・。
なおこさんはこんな素敵なところに住んでいらっしゃるんですね・・・
本当に別世界です・・・。

育てたオリーブの実で作るオリーブオイル。
美味しいんでしょうね~。
そしてその食べ方に感激です。
なんて美味しそう~。ガーリックを塗って、そこにお塩。
もう想像するだけで、お腹がぐーーーーーってきます。
ルーコラにカリフラワー・・・それも美味しそうです~。
なおこさんはお酒は飲まれますか?
私はもうそれだけでワインの1本2本飲めてしまいそうです♡

エジプト博物館ですか・・・。意外な感じがします。
昔は博物館ってあまり興味がなかったのですが、
ある時から歴史あるものとか、そういうものが好きになりました。
私もこの出土品はたまりません・・・。
これはすごいですね。パンがこんな頃から作られていた?
ちゃんとこねてますね~!!!

昨年末に息子のいる奈良に遊びに行った時に
平城京跡に行きました。そこにも出土品が並んでいて
昔のようすが再現されたりもしていました。
もう感激して長い時間離れられませんでした。
いつかこちらの博物館に行くことができたら・・・
この前から動けなそうです。

でもなおこさんに見せていただいたので、まずは
お写真で楽しませていただきます♪
貴重なお写真、嬉しいです~。
Commented by 3841arischan at 2020-05-15 17:23
なおこさん、エジプト博物館が、トリノにあるとは知らなかったです^^;
素晴らしいものが沢山ありますね☆
機会があれば、行ってみたいです♡
古代エジプトでも、パン作りがおこなわれていたのは興味深いです~
日本でも、コロナでリモートワークになってお家時間が増えたので、パンを焼く人が増えて、小麦粉(強力粉)やイ―ストがス―パ―の棚から消えています(笑)
バターやクリームチーズ等も!
Commented by milletti_naoko at 2020-05-16 08:19
メイフェさん、ミジャーナは夫が生まれ育った山の村で、今暮らしているのはペルージャの郊外なんです。改築中の家は最初は暮らすつもりだったのですが、改築に時間がかかるうちに、今同じ二世代住宅に住む義父母が高齢にもなり、今はミジャーナでは、友人たちが来るときなど、たまに寝泊まりすることがあるくらいです。

エキストラバージンのオリーブオイルは、特に搾りたてはピリッとした独特の辛味があって、とてもおいしいんですよ。わたしはワインや日本酒はほんの少しだけなら飲むのですが、アルコールに弱い上に、花粉症の症状を悪化させやすいとのことなので、外食などのときにたまに飲むくらいです。

わたしも最近、古代エトルリア人、古代ウンブリア人、さらにはもっと古いかつての人類など、考古学博物館に興味があって、夫と二人で機会があれば、遺跡や博物館を訪ねています。パンを作っていたということも興味深いし、像がとてもかわいらしいですよね。

わたしも夫と奈良を訪ねたのですが、平城京跡には行っていないように思います。コメントを拝読して、また機会があればぜひ訪ねてみたいと思いました。

メイフェさんがこちらに来られる日が早く来ますように。写真を楽しんでくださったと知って、わたしこそうれしいです♪
Commented by milletti_naoko at 2020-05-16 08:24
アリスさん、そうなんです。あのシャンポリオンが、エジプト文明に知りたければトリノのエジプト博物館に行かなければとさえ言ったそうで、所蔵する出土品の価値からも数からも、エジプトの外にある古代エジプト専門の博物館としては、最も重要でかつ最初の博物館であるとのことなんです。トリノの方がエジプトよりも敷居が低いですよね。機会があれば、ぜひ訪ねてみてください♪

わたしも古代エジプトでもパンを作っていたのかと驚きました! なんと日本でも手作りパンブームなんですね。
Commented at 2020-05-18 07:09
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2020-05-21 18:38
鍵コメントの方へ

トリノにこんなに大きく展示のすばらしいエジプト博物館があることを、わたしもイタリアに暮らして初めて知りました。パンはどんな色だったのでしょうね。スペルト小麦を10〜20%使ったパンは、普通のパンより茶色が深いのですが、モロコシなど他の粉との配合の割合もあるでしょうし。カイロの博物館にそんなに猫が! そう言えば、ギリシャのアテネの近くでは亀をたくさん見かけました。
by milletti_naoko | 2020-05-15 08:20 | Piemonte | Comments(6)