イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

フェッリーニ映画『甘い生活 / La Dolce Vita』

 今晩はテレビで、フェデリーコ・フェッリーニ(Federico Fellini)監督の映画、『甘い生活』(La Dolce Vita)の放映がありました。

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Fellini 100, Castel Sismondo, Rimini 31/12/2019

 夜のローマのトレヴィの泉で水浴びする場面など覚えているものの、一度通して見たことがあるかどうかは定かではなく、見るのを楽しみにしていました。

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 フェッリーニの生地、リミニ(Rimini)では、昨年12月から今年3月まで、フェッリーニ生誕百周年記念展、Fellini 100が、開催されていました。

 まだ日本に暮らしていてイタリア語を学習していた頃は、イタリア文化を知ろう、イタリア語の勉強にもなると、イタリア映画祭の映画を見に大阪まで出かけたり、まれにテレビで上映されるイタリア映画を楽しみに見たりしていました。名高いフェッリーニの作品を当時いくつか見たものの、何が言いたいのだかよく分からないという印象がありました。

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 ただ、昨年大晦日に、気が乗らぬまま友人たちに誘われて行ったフェッリーニ生誕百周年記念展で、さまざまな映画の一場面を見るうち、日本に暮らしているときにはわたしが知らなかったイタリアの当時の世相や風習なども巧みに取り入れたり、揶揄したりしていることが分かり、作品中、『甘い生活』と『フェリーニのアマルコルド』を、機会があれば見てみたいと思うようになりました。

 Fellini100の展示会場には、上の写真のように、天井から吊り下げられたいくつもの幕に、映画の登場人物と思われる人々の表情が大きく映し出されている広間もありました。この写真の左手に見える分厚い壁の向こうにある部屋の壁には、小さいのですが、映画『La Dolce Vita』の大きなポスターが展示されています。

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 わたしは、映画でも音楽でも美術作品でも、最初はまず自分がどう感じるか、印象を受けるかを大切にしたいと考えています。ただ、芸術や歴史に関する番組や映画を見たり、本を読んだりすることは好きなので、そうやって先に得た情報から興味を持って、既成の知識があって鑑賞することも、もちろんあります。

 今夜は、夫もわたしも、筋をつかもう、追おうと苦労しながら、『甘い生活』を見て、その点では煙に巻かれたようなところがあり、映画作品としては、わたしも夫も、残念ながらあまりよい印象は持つことができませんでした。ただ、本当は目指したい芸術、文学の道を見失い、愛というものにどう対峙していいか分からない主人公の在り方や心を、そういうとりとめのなさ、筋道の見えない展開で表していたのかもしれませんし、記念展の際にだれか友人が言っていたように、次から次へと脈絡のない話が続き視覚や聴覚などの感覚に訴えるという点は、あえて意識して、そういう夢の特性を取り込んでいるのかもしれません。

 でも、夜のトレヴィの泉やバチカンのサン・ピエートロ大聖堂など、美しい映像があり、第二次世界大戦後のイタリアの経済成長の中で、郊外に大きな公営住宅が次々に建てられる様子や、聖母マリアを見たと告げる子供たちに、自分たちも見ようと押し寄せる人々や記事にしようと駆けつけるマスコミなど、イタリアという国の歴史や人々の信仰などの文化がかいま見える場面もあって、興味深かったです。


 スクープ写真を撮ろうと、芸能人などにしつこくつきまとう写真家をパパラッチと言うのは、何かのイタリア映画に由来しているとは知っていました。今夜の映画で、そういうカメラマンたちが、事件に巻き込まれた家族や有名人などを執拗に追いかけて写真を撮ろうとする様子を見て、ひょっとしたらと思っていたら、マストロヤンニ演じる主人公がコンビを組むカメラマンを「パパラッツォ」(Paparazzo)と呼んでいたので、夫と二人で、ああこの映画から、こういうカメラマンたちをpaparazzi(カタカナで表記するとしたら「パパラッツィ」)と呼ぶようになったのだと、ほぼ同時に気づきました。

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 大晦日の晩、Fellini100の会場であるリミニのシズモンド城では、入る前にも、城内に入ってからも、暗い空に白い月がきれいに見えていました。

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 『甘い生活』の大半はローマで撮影されているのですが、昨年の大晦日の夜、フェッリーニの生地であるリミニでは、広場に「リミニ、甘い生活の町(Rimini la città della Dolce Vita)」と誇らかに書かれた文字が輝き、色とりどりの明かりと新年を迎える祝いの雰囲気に満ちていました。

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- フェリー二生誕百周年、生地リミニ・テレビで巨匠の映画特集 / Fellini 100 - Castel Sismondo, Rimini (31/12/2019)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:【家ごもり】お勧め映画を教えて!
Commented by 3841arischan at 2020-05-21 12:13
なおこさん、イタリア映画を見る機会は
愛媛ではあまりなく・・・
TVでたま~に放送されるときにしか機会がないので
私は正直なところあまり作品を鑑賞したことがないのが残念です(>_<)
昔の映画は、その時代背景が写り込んでいるから、物語もさることながら、そういう面での楽しみ方も有りですね!
昔のローマの街の景色、興味深いです♡
Commented by milletti_naoko at 2020-05-22 05:51
アリスさん、わたしが日本、愛媛に暮らしていた頃と同じで、イタリア映画がテレビで放映、映画館で上映される機会は、今もあまりないんですね!

2000年か2001年に大阪のイタリア映画祭で見た映画は、1960年代の古い映画が多く、今ではもっと新しい映画も日本で見られるようになってきているようだと思っていたので、残念です。白黒の映像も独特の美しさがあって、夜景などきれいだなあと感嘆しました。
Commented by zakkkan at 2020-05-22 11:39
イタリア映画といえば
「ひまわり」です、私には、強烈な印象が
ソフィアローレン・・彼女の映画そのものが
イタリアでした・・
Commented by milletti_naoko at 2020-05-22 17:36
zakkkanさん、美しく悲しい名画ですよね。戦争に引き裂かれ、命を奪われる人々のない世の中になりますように。
by milletti_naoko | 2020-05-21 07:59 | Film, Libri & Musica | Comments(4)