2020年 05月 24日
花と山きれい迷って疲れたけれど
うちの庭ではずいぶん前に咲いていたオオアマナ(latte di gallina)が、標高800m付近では、まだ咲いていることに驚きました。
花の向こうに写っている山は、
マルケ州にそびえるネローネ山(Monte Nerone、1525m)です。歩いて登ったことはないのですが、車で登ると、眺望のすばらしいところがありました。ずいぶん前に、夫と友人と3人で、頂上付近からふもとまで歩いて下ったら、斜面があまりにも急なので、驚いたことがあります。
すぐ近くに、イヌバラ(rosa canina)も咲いていました。
この写真で前方に見える山は、左がアクート山(Monte Acuto、1668m)、右がカトリア山(Monte Catria、1701m)で、カトリア山は、昨年も山頂まで歩いて登りました。この二つの山頂のすぐ手前に、横に長く伸びる緑の尾根が、ウンブリアとマルケの州境になっていますので、この二山もマルケ州の山です。「先が尖った」を意味する形容詞、acutoという名を持つ山は多く、このアクート山は、わたしたちが先日登ったアクート山とは別の山です。
1枚目、3枚目の写真の花は、この長い坂道をしばらく下っていったところに咲いていました。
色とりどりの花が咲き、自分たちが訪ねたことのある山が見えたのはうれしかったのですが、実は今日は、本当はこの長い坂道を下るべきではなかったのです。
この写真は、まだ下っている途中に、後ろをふり返って花を撮影したものです。奥の高みに松林が見えるのですが、この松林のある辺りが、道しるべがなくて道に迷う原因となった峠、Passo del Cardinale(直訳すると「枢機卿の峠」)であるはずです。照りつける太陽の下、ほとんど日かげのない道を長い間下ったあとで、再び引き返して峠まで登るのは大変でした。
でも、道を間違えて、坂道を下り続けてしまったおかげで、このかわいらしい自生のラン(orchidea spontanea)や、
こちらのランが、日を浴びているのを見て、撮影することができました。この背の高いランは、イタリア語名はorchidea maggioreで、学名はOrchis purpurea、英語名はlady orchidです。
先の写真で奥に見えていた松林のすぐ下からは、アクート山とカトリア山の右、少し離れたところに、クッコ山(Monte Cucco、1566m)の頂上が少しだけ見えています。クッコ山も、昨年登頂を果たしました。クッコ山は、ウンブリア州の山です。
ただ、ここまで来たのもやはり道を間違えてしまっていたためで、本当は、
わたしがトレッキングコースを説明する本を読んでいたら、夫が道はこちらだよと、先の長い下り道を歩こうとせき立てたこの場所でさえ、本来なら左に曲がるべきところを曲がり損ねて、まっすぐ歩き続けて着いた場所だったのです。
夫と二人で本を見て、まずは一度登った峠から元来た道を下り、それから別の道をしばらく歩いたものの(黄色い線)、
結局は夫の言う道を歩こうと、再び峠まで登って下り、さらにかなり下ってから(黄緑色の線)、やはり道が違うと気づき、再び長い坂道を登って峠を越え、歩き続けて、そうしてようやく本来のトレッキングコース、Anelli del Lupo「オオカミ周遊コース」(赤い線で記されています)を見つけることができました。
距離的にはたいしたことはないのですが、ひどく暑い日で、日かげのない道を何度も登ったり下ったりするのは大変でした。
夫が道を間違えたのは、本や地図を見ずに歩いた上に、せっかちなので、正しい道を歩くべく立ち止まって考えるのを時間の無駄だと考えるきらいがあるためでもありますが、分岐点にあるべき道しるべがなかった、あるいは、どちらを指しているのかが分かりにくかったためでもあります。夫がうちで調べていたインターネット上のコース(リンクはこちら)と、わたしたちが携帯していた本に書かれているコースが、ちょうどわたしたちが左折しそこなった地点について、それぞれ別の場所で左に曲がるようにと書いてあるため、その前後の指示も若干異なっています。
わたしが夫の言う間違った道でいいと考えたのは、せかされていたためもありますが、本のトレッキングコースの説明がおおざっぱである上に誤った記述があり、さらに分岐点(地図中ベッドマークがある付近)にあったコースの案内表示が、どこを指しているのか分かりにくかったからでもあります。
今後道に迷わないために、自らの記憶で、どこでどういうふうに、どうして道を間違えたのだろうかと、自分なりに考えながら、詳しく書いてみました。地域の詳細な登山地図を、町に寄って手に入れようと考えていたのですが、出発点に行くために町の手前で道を曲がってしまったので、結果として詳しい地図なしに歩いたことも、案内表示がなかったことと共に、道に迷ってしまった理由だと思います。そもそも、本にもインターネット上にも記載のあるトレッキングコースでありながら、出発地点が分からずに車で何度も行ったり来たりして、自転車でほぼ同じコースを行く人に教えてもらって、ようやく場所が分かったほどなので、実はそのときから嫌な予感はしていました。
けれども、結果的には出発地点まで無事に戻ることができたわけですから、道に迷わなければ見られなかった風景や花に出会えて、よかったです。外出・移動規制が長く続く間に、すっかり運動不足で体重が増えてしまったので、たくさん歩くことになったのは、かえってありがたいと言えるかもしれません。
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普通に歩く以上に疲れも増そうというもの。
そんな中でも美しい蘭の発見で救われましたね!
不確かな地図で、現地の状況と合わない時は困りますが、地図の道が間違いでも、等高線のほうは正しい場合も多く、読図して現在位置を割りだして、ルートを発見できる場合も有りますし、グーグルマップで現在位置が判る場合も有りますが・・・。
次回からは案内が乏しそうなトレッキングコースについては、やはり等高線表示もある詳細な登山地図を持たなければいけないと、つくづく感じましたが、何はもあれ無事に出発地点に戻れて、きれいな花が見られて、うれしかったです。