花彩る山の湖と携帯電話、フィアストラ湖

　日曜に、シビッリーニ山脈のフィアストラ湖から、友人たちと山を歩いたときのことです。


　目的地だった岩石群、le Lame Rosseでは、友人たちと同行していたおかげで、二人の記念写真も撮ってもらえたのですが、


友人たちが、この写真で対岸に見える駐車場付近に車を置いて出発したのに対し、


わたしたちが見つけたトレッキングコースの出発地点は、標高736mと高い位置にあったため、


ダムの堤体付近で、友人たちと合流するまで、かなり長い坂道を歩いて下りました。


　友人たちより距離と標高差が上回る道を歩くことにはなりましたが、おかげで、道の両端に咲くたくさんの花や、湖の高みからの眺めを楽しむことができました。


　登山コースでの下り道は、「行きはよいよい帰りはつらい」もので、下ったときから予想はしていたのですが、友人たちと別れてから再びこの道を歩いたときは、ふり返るともうこんなにも歩いて登ったのに、


前方にはまだまだ上り坂が続いています。山では今もエニシダが花盛りで、きれいです。


　夏至の頃によく見かける野の花、イタリア語ではcentaurea minoreと呼ばれるセンタウリウムソウ（学名 Centaurium erythraea）や、


カレープラント（elicriso）が、日当たりのいいこの長い坂道のあちこちにあり、少しずつ花が開き始めていました。


　マツムシソウ属（Scabiosa）の花にも、時々出会いました。


　こうして花と眺めに励まされながら坂道を登り、


眺めが美しく


駐車された車がずらりと並ぶ道路をしばらく下って、午後3時過ぎに車に到着しました。帰り道は、夫の発案でやや遠回りをしたため、長いドライブの末、ペルージャの我が家に帰ったのは午後5時半頃でした。

　ところが、一息ついて休もうと思っていたのに、しばらくしてから携帯電話を探すと、どこにもないではありませんか。車内に置き忘れたのだろうと思い、車の中を探しても、見つかりません。トレッキング中も、長いトンネルの多い山中を走る道中も、電波が届かないところが多いこともあって、昼食の頃に時間を確認して以来、携帯電話は使っていませんでした。

　まさか途中で落としたのではないかと、グーグルマップで調べてみると、

Google Maps
なんとあの湖畔の長い登り道の最初のあたりに、まだ携帯電話があるようです。ひどく焦って、夫も疲れているから、自分で運転してアイゴで湖まで引き返そうと思い、電話の場所を確認するために、地図を印刷してみて、ふと気づきました。

　電話の場所は湖になっていますが、時間も午後2時25分で止まっています。ひょっとしたら、電話の電源が切れてしまっただけで、うちに電話があるのではないかと気づき、もう少ししっかりと探してみたら、まもなく電話が見つかりました。購入からまもなく4年となるわたしのスマートフォンは、最近は電池が消耗しやすいので、トレッキング中に電話がかけられるようにしておくために、ふだんは車での移動中にはほとんど使わないのですが、この日は朝湖に向かう途中に、別方向から湖に向かっていた友人から、今どのあたりにいるか、何時頃到着するかを尋ね、どこで待ち合わせをするかを決めようと、電話があり、山中でトンネルが多いために会話が途切れたり、返事が聞こえなかったりして、互いに何度もかけ直したために、こうして途中で電源が切れてしまったのでしょう。

　リュックのポケットに入れておいた携帯電話が、何かの拍子に落ちてしまったのに、気づかずにそのまま歩いてしまった可能性も大いにありました。幸い無事に見つかって、本当にほっとしました。

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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