イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

旅行中感染の危険感じたとき、モリーゼ・アブルッツォ・ラッツィオ

 山中にあるものの交通の要所にあり、観光地でもあるヴェナーフロ(Venafro)などのモリーゼの村では、ウンブリア州同様、州自体における感染率が低いため、外部から訪れる客からの感染をできるだけ防ごうという意図もあってか、村の宿やバール、レストラン、博物館などでは、マスクの着用や消毒、他のテーブルとの距離など、感染対策がしっかりと取られているという印象を受けました。

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Venafro (IS) 20/7/2020

 写真は、午後9時前、たそがれの頃に撮影したヴェナーフロの歴史的中心街の写真です。

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Bed and Breakfast Varone, Montaquila (IS) 23/7/2020

 ヴォルトゥルノ渓谷のかつての大きな修道院跡を訪ねるために宿泊したこのB&Bでは、内部でのマスク着用が徹底していて、朝食も安心して取ることができました。出かける間際に思いついて、走り去る車から撮影したために、写真が斜めになっています。風情ある村の中心街にあると思って予約したら、村はずれにあって食事や散歩のためには車に乗らなければならず、家具などは古く、シャンプーやせっけん、ドライヤーなどはなかったものの、通行に便利な道路にすぐ出られるものの、距離があるためかとても静かで、宿の人も親切でした。夕食にと勧めてくれた店の一つが、行ってみたらさんざんだったのだけが残念です。

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Panorama dalla nostra camera dell'Hotel Capracotta, Capracotta (IS) 23/7/2020

 アブルッツォとの州境に近い山の高みにあるカープラコッタ(Capracotta)では、部屋からの見晴らしがすばらしいこのホテル、ホテル・カープラコッタ(Hotel Capracotta)に泊まりました。宿の人はとても親切で、マスクを常に着用していたのですが、朝のビュッフェ形式の朝食の際に、マスクをせずに食べるものを取りに行き、他の人も食べる食べ物の近くでおしゃべりをする客が少なくないのが気になりました。

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Pescopennataro (IS) 24/7/2020

 岩山に築かれた村、ペスコペンナターロ(Pescopennnataro)も、やはりアブルッツォとの州境近くの山の高みにあります。バールの店員のマスク着用は、たとえばウンブリアでもまれにしていない人を見かけることがあるので、わたしたちが行ったバールの主人がたまたましていなかっただけかもしれません。主人とわたしたち客の間には、駅の切符販売所で見かけるようなガラスの仕切り板が設置してもありました。ただ、フルーツジュースを頼んだら、マスクなしで、瓶入りのジュースを、わたしたちのために、ガラスのコップに注いだのです。そのとき何も話さなければ、それでよかったのですが、夫があれこれと観光情報を尋ねたものだから、そうやってジュースをコップに注ぐ間、ずっと質問に答えてしゃべり続けていたので、わたしはそれがひどく気になりました。


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L'Aquila (AQ) 24/7/2020

 夫のたっての希望でおとといの晩泊まったラクイラ(L'Aquila)では、途中で道を尋ねたら、その女性が、「ここでは、午後7時以降は、屋外でも他の人との距離が確保できない場合にはマスクを着用する義務があるんですよ。」と教えてくれました。

 ご覧のように、この晩はちょうど町の中心広場でコンサートが予定されていたこともあり、目抜き通りを歩くと、大勢の人が歩いていて、駐車場にも車がずらりと並んでいました。若い友人同士と思われる集団がマスクなしに近距離で歩いているのもしばしば見かけましたし、わたしたちのすぐそばを通ったりする人もいるので、気になる場所ではマスクをつけました。

 B&Bの人はとても親切で、朝食もたくさんいろいろなものが食べられて助かったのですが、やはり他の宿泊客が話した際につばが飛ぶ可能性があるすぐそばにまで、テーブルに皆が食べるケーキなどが並べてあったのが気になりました。互いの距離が確保されてはいたものの、マスクはいっさいしていませんでした。

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Leonessa (RI) 25/7/2020

 昨日の朝は、夫がどうしても訪ねたいと考えていたラクイラの教会を訪ねたあと、ペルージャへの帰途につきました。そのまま戻っては暑い時間帯に着いてしまうけれども、グラン・サッソやカンポ・インペラトーレ、カステッルッチョなどの美しく涼しい山や高原は、週末は大変な混雑が予想されました。

 そこで、山あいの道を通ってペルージャに向かうことにして、途中、ラッツィオ州リエーティ県の村、レオネッサ(Leonessa)で昼食を食べることにしました。

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 レオネッサは、ウンブリアとの州境に近く、ノルチャからモンテカッシーノへと聖ベネデットの足跡を追って歩く巡礼路、Cammino di San Benedetto(リンクはこちら)の巡礼地となっています。わたしたちはこの巡礼路を、2013年に、日数が限られていたために、スビアーコからモンテカッシーノまでだけ歩いたのですが、その年の春に、友人たちと一度、このレオネッサを訪ねています。

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 閑話休題。上の写真の門からレオネッサの歴史的中心街に入って、しばらくレストランを探して歩いたものの、見つかった店は二つとも、感染を防ぐために入れる最大限の客がすでに入っていたために、食べることができなかったので、門の外に見つけたポルケッタ(porchetta)を売る店で、ポルケッタ入りのパニーノを作ってもらって、食べました。

 ただこの店の人も、ひどく暑い日であったためか、マスクを着用していなかったのです。そうして、パニーノのためにとポルケッタを切っている間、夫があれこれ質問するものだから、質問に答えておしゃべりを絶え間なく続けます。しかも、夫が質問で気をそらしたためか、店の主人がもともと無頓着なのか、ふりかけた塩の量がとんでもなく多く、あまりにも塩辛いので、塩を食べるような気持ちでパニーノを食べるはめになりました。

 けれども同じレオネッサの村でも、コーヒーを飲もうと入ったバールでは、皆がきちんとマスクを着用していました。

 見知らぬ町、出かけた先でちょっとパニーノを、バールでコーヒーをというときには、できるだけ店の人がきちんとマスクをしているかどうかを確認してから店を決めた方がいいと、つくづく思いました。また、万一外からでは確認できずに入ってしまった店で、店員がマスクをしていないことが分かった場合には、店員が飲み物や食べ物を用意している間は話しかけないこと、また、ジェラートや瓶入りの水など、マスクを着用していなくても感染の恐れが少ないものを頼むことも、身を守るための一つの手段としてありかもしれないと思いました。

関連記事へのリンク
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by 3841arischan at 2020-07-26 19:58
なおこさん、自然いっぱいの旅先の記事、楽しませていただきました(^-^)
お宿や街はどんなところだったのかな?と気になっていたので今日の記事は、嬉しいです♡
やはり、自粛が解除になると、気の緩みが出るのは、イタリアも日本も同じようですね^^;
マスクなしでの対応、お店の方は、せめて気をつけて欲しいですね!
日本では、私が6月下旬に旅した京都では、夕食を食べたお店は、凄くコロナに配慮した席、店員さんも全員マスク、でした~
さらにお昼を食べたラーメン屋さん、席は、いつもと同じでしたが、店員さんは全員マスクで配慮してました!
ホテルの従業員は、モチロンマスク、そしてフロントのチェックイン時は、ナイロンの仕切りが有りました♡
でもでも、最近7月になっての日本は、気の緩みからか?感染者が多数出ていて心配な状況になっています^^;
愛媛もほんの少し出て、今日は新しく1人出たようです^^;
Commented by sunandshadows2020 at 2020-07-27 04:28
飲食店でマスク無しは非常に不安になりますね、お客様でも、お店の人でも!ハラハラしながら読み進みました。
こちらはまだ感染者の数が異常なので飲食店へ出かけることはまだできないでいます。
家にお招きしてもパティオで空気が通る所で距離を置いてお喋り、お茶やワインなどを飲んでいます。
マスクは元より感染していても無症状の人もいますので自分の体は自分で守るしかないですね。
Commented by yuki0901671 at 2020-07-27 08:13
おはようございます。
そもそもマスクをする習慣のない国で
いつもしていることの難しさはありますね。
私も真夏以外は10年来マスクをして外出する習慣なので苦になりません。
ところでバニーノと書かれていますが、日本ではバニー二と呼ばれているようです。どう違うのでしょうか。
また、イタリアでのバニーノの作り方は地方によって違うのでしょうか。
Commented by nonkonogoro at 2020-07-27 09:19
素敵な旅をされてたのですね。
私も コロナさえなければ
今頃は スイスの涼しい山でのハイキングを
していたのに~残念です。

日本では また 感染者が増えてきているので
マスクをしていても 不安です。

蝉が賑やかに鳴いています。
そろそろ梅雨明けなのかもしれません。



Commented by ムームー at 2020-07-27 09:53 x
なおこさん
こんにちは、お帰りなさい~
素晴らしい景色を見て心がときめきます
岩山に築かれた村素敵です
つくりが重厚でおしゃれな家並
そして美味しそうなパニーノっていうのですか
食べてみたいですわ
マスクは必須ですね、こちら京都でも以前のままの店内で蜜になってる喫茶もあります、店員さんの動きも気になりますが、暑い時期のマスクは苦しいですがつけないと
いけませんね

Commented by meife-no-shiawase at 2020-07-27 14:21
なおこさんのブログを読んでいて、なんでこんな風に
ちょっとメルヘンチックな気持ちになるのかな~と思ったら
「村」という言葉がよく出てくるからだ~って思いました♡

もちろん日本にも「村」はあるのだと思いますが、
>前夜宿泊した村、などという言葉とともに、自然溢れる
お写真が登場すると・・・本当に童話の中に入ったような気分がするのでした。

イタリアもB&Bなどが普通にたくさんあるのでしょうか。
宿の方から色々情報を得られたり(レストランは残念でしたね(-_-;))
良くしてもらえると旅が一層良いものになりますね♪

ご旅行中のなおこさんの色々なご心配が伝わってきました。
お互いが気持ちよく過ごせるようにするためにも
気遣いが必要です。
私も公共の場では必ずマスクを着用するように心がけます!
Commented by zakkkan at 2020-07-27 15:35
すてきな場所を旅されていますね
イタリアも、色々な風景を目にしますが
いつ見ても・・絵になり、そのものが、作品になりますね

おやおや、ランチ難民ですね
そんな話を、日本でも聞こえ始めています

マスクね・・ヨーロッパの方達には、無理ならんでしょうが
感染させない、唯一の手段ですから

どの国も、若人のコロナ知識の浅はかさを知りますね
Commented by milletti_naoko at 2020-07-27 16:16
アリスさん、ありがとうございます。普段から必要なときにはマスクをする習慣がある日本はさすがですね。イタリアでも幸い、この数か月わたしが食べたレストランでは、ウンブリアでも旅先でも、少なくとも給仕する人は、皆マスクをつけていたように思います。ただ、さらに暑いであろう調理場でもきちんとマスク着用が行われていることを願っています。

旅行中でニュースを追えずにいたのですが、日本の感染状況、わたしも気になっていました。愛媛の情報をありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2020-07-27 16:21
お転婆シニアさん、飲食店でマスクをしない人は、本当にごく一部なのですが、自分に対して、そして客に対しての配慮や感染を恐れる気持ち、法を守ろうとする意思がないのですよね。困ったものです。

自宅へのお客さまでも、招く場所や距離、マスクなど配慮をされているのは、感染者数が多いという事情にもよるのですね。行政も市民の健康を守るべく、もっと積極的にあるべき方向に動いてほしいものです。
Commented by milletti_naoko at 2020-07-27 16:28
yuki0901671さん、風邪や花粉症などでマスクをする習慣がまったくなかったイタリアで、皆がきちんとマスクをするようになってきていることは、ありがたいです。

パニーノは、イタリア語ではpaninoで、単数形はこの形、複数形はpaniniとなるので、イタリア語では二つ以上あると、パニーニと呼ぶんです。イタリアではパンそのものが地方によってかなり違う上に、店によっても、パニーノ用に使うパンや間にはさむものがかなり違ってきます。生ハムやモルタデッラなどのサラミ類かいくつか種類のあるチーズなどの中から選んで、パンにはさんで作ってもらうことが多いのですが、野菜などもはさんですでに作られてショーウィンドウに並んでいるものを、客が選んで買う場合もあり、地方によっても店によっても様々です。
Commented by milletti_naoko at 2020-07-27 16:31
nonさんは、この夏スイスの山へ行かれる予定だったのですね! 
早くまた皆が感染の恐れなく海外へと旅に出かけられる日が戻ってきますように。

日本でもそんなにまた感染者が増えてきているのですね。どうかくれぐれもお気をつけてお過ごしください。

皆さん、梅雨明けが待ち遠しいことでしょうか。蝉は、たまには雨も降ってほしいイタリアでも、にぎやかに鳴き始めています。
Commented by milletti_naoko at 2020-07-27 16:37
ムームーさん、こんにちは。ただいま、ありがとうございます♪

岩の村は、小路に岩がせり出しているところさえあって、こんなところに村を築くとはと、驚きました。今回のパニーノはひどく塩辛かったのですが、香草をはさんで火でじっくりと丸焼きにした豚の肉、ポルケッタのパニーノはふつうはとてもおいしいので、好きなんです。

京都でも密集ぶりが気になる店もあるんですね。上のレオネッサの店もそうですが、伝統ある町では店の空間がそれほどないことも、きっと原因なのでしょうね。イタリアでは、少なくとも店内での客同士の距離などには、規制や罰金、閉鎖となる恐れもあるために、かなり留意しているところが多いように思いますが、たまにこれは距離が近すぎるのではと思うほど、若者たちが一つのテーブルに密集しているのを見かけることもあり心配しています。
Commented by milletti_naoko at 2020-07-27 16:52
メイフェさん、日本では「町」と呼ぶ規模であっても、イタリアではpaese「村」と呼び、かなりの人口や規模がないとcittà「町」とは呼ばないことが多いため、このイタリアの基準で町、村と呼び分けているので、わたし自身が村という言葉をよく使っているのだと思います。愛媛県では、イタリアであれば「村」と呼ぶであろうかなり小さな町で数年間教え、より小さな集落に住む生徒たちの家を家庭訪問で訪ねたこともあるのですが、そういうイタリアなら「村」と呼ばれるに違いない市町村も、名前や行政上の区別では、日本では「町」となっていましたので……

わたしたち自身、こういう緑や歴史いっぱいの場所を訪ねると、どこかおとぎの世界に入り込んだような気分も味わうことができています。

イタリアでも、宿泊をして朝食が食べられるB&Bは、各地にあって便利ですよ。

互いに距離が取れてさえいれば大丈夫だと思うのですが、やはり、自分たちが口にする飲み物や食べ物のすぐ上で、マスクをせずにしゃべり続ける店の人には閉口しました。
Commented by milletti_naoko at 2020-07-27 16:58
zakkkanさん、ありがとうございます。モリーゼは、皆が知らない魅力的な史跡や自然や町並みがあちこちに隠れていて、それを宝探しのように探して訪ねられる興味深い州だと、今回改めてそう思いました。今回は感染率が低いことも決め手でしたが、物価が安いので財布に優しいのもありがたいです。

昨日姪たちと話をしたら、学校再開の話があるけれども、教室での互いの席があまりにも近すぎると心配していました。そうした距離についての心配や配慮を、町中で皆で集まるときにも、若い人皆が持ってくれますように。
Commented by ciao66 at 2020-07-27 17:47
飲食店がコロナ対策をきっちりしているかどうか気になるポイントですね。
日本では要請するだけですが、アメリカのニューヨーク州では対応が出来ていないお店は営業停止ができるようになったそうです。こういうのが広がると安心だと思うのですが、さて日本やイタリアではどうでしょう?
 3ストライクルール!店側に対して、顧客にソーシャル・ディスタンスの順守やマスク着用の徹底を求める内容で、3回目の違反で、州は営業停止を命じることができる。https://www.mashupreporter.com/cuomo-cracks-down-on-bars-restaurants/
Commented by milletti_naoko at 2020-07-27 19:04
ciao66さん、コメントをありがとうございます。イタリアでも罰金や営業停止処分になるはずだと考えていたのですが、旅行に出かけている間はニュースや新しい法令などを確認することができなかったので、これからまた時間のあるときに、法がどうなっているのか確認してみたいと思います。

感染を拡大する可能性があるような店が営業を続けることは、公共の福祉にも反しますものね。
by milletti_naoko | 2020-07-26 17:48 | Covid-19 Italia | Comments(16)