イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

広島原爆記念の日に、燃える雲とトラジメーノ湖

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 この記事は予約投稿で、イタリア時間8月6日の晩に書いています。

 今日はイタリアのニュースでも、広島での原爆投下の記念日であることや、広島やローマで平和を祈る記念の式典が行われる様子が放映されていました。昨晩も、夫が広島原爆投下のドキュメンタリー番組を見ていたので、途中まではいっしょに見たのですが、日常が突然破壊され、黒煙が立ち昇り、多くの人々の命と幸せが奪われる生々しい映像にいたたまれず、途中で席を立ちました。

 昨夜の番組でも、被爆された方々の回想の言葉が、しばしば放映されたのですが、今日のニュース報道でも、原爆投下直後の広島の様子や、当時の回想や今の思いを語る被爆者の言葉が報道されていました。中でも特に心に残ったのは、原爆を落とした米兵にどうしても会って話を聞かなければいけないと強く念じ続けて、その面会を果たした女性の言葉でした。

「この恐ろしい苦しみ、恐ろしい原爆を落とした犯人、その原因となったのは、戦争だということが分かりました。」

 イタリア語の訳を、しかも家事をしながら聞いていたので、実際の言葉とは若干違う可能性があります。けれど、この女性や、記念の式典に参加された多くの方の、また世界各国で広島の原爆投下を思われた方の心に共通する思いではないかと思います。

   戦争がいかに恐ろしいものであるかということ、
   決して繰り返してはならないものであるということ。

   市民の命や平穏な暮らしよりも戦争を、
   自らの懐が潤うことを優先するような輩が
   国政を担うことがないように、
   政治に関心を持ち、自らの頭で状況や情報を判断し、
   選挙では必ず投票しなければいけないということ。

   そうすることで、自分や大切な人、国を守ることができるということ。

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Tramonto al Lago Trasimeno, Sant'Arcangelo, Magione (PG) 1/8/2020

 東日本大震災後、原発事故による放射能漏洩を報道した米誌の記事に、「自然界では、まさかこんなことは起こるまいということが、いつでも起こり得るのだ」とあり、そういう中で、「極めて地震の多い日本における原子力発電は、常にこうした恐ろしい被害の危険をはらんでいたのだ」と書かれていて、まさにそのとおりだと思ったことを覚えています。

 万一の事故が起これば、どれだけ多くの人の命や生活を脅かし、奪うことになるか。それが分かりながらも、原子力発電を続けていく行政。被害に遭った地域の人々の暮らしや健康が安全になるために最善を尽くす代わりに、国の名誉や経済を優先する為政者。

 新型コロナウイルスにおける被害が、当初世界で二番目に大きかったイタリアが、政府の指揮のもと市民が一丸となって、感染拡大を防ぐべく努めたおかげで、今は欧州や世界の国々と比べて、感染が抑制でき、世界で16位となったと、今日のニュースで報道がありました。

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https://coronavirus.jhu.edu/map.html

 16位というのは、今こちらの感染地図で確認したのですが、これまでに確認されている累計感染者数を言っているのだと思います。感染状況を把握するために、イタリアで全国64,660人を対象に実施された新型コロナウイルス抗体検査の暫定結果で、イタリアでの実際の感染者数は、上の表に書かれた人数の6倍、148万2千人と推定されているということは、先日の記事でお話ししました。(記事はこちら)この暫定結果の発表に際しては、「この推定された人数を基準に考えると、新型コロナウイルスによる死亡率は2.3-2.5%と、世界の他国とほぼ並ぶものとなる」という発言もありました。イタリアでは、特に北伊では、本当は新型コロナウイルスで亡くなったのではないかと疑われるのにそうとされていない事例も多々あり、世界の他国にもそういう例が少なくないとは思うのですけれども。

 閑話休題。わたしが言いたかったのは、その際にイタリアでは、首相たちが自信を持って言うように、


非常事態の最初から、イタリア政府が、市民の命と健康をこそ最も大切で守らなければならないものとして、対応してきたということです。

 経済も国の名誉も、まずはその国に暮らす市民の健康と幸せがあって、その後で考えるべきものではないでしょうか。何があっても戦争はせずに平和的な解決を試みるという憲法の条文や心は、日本国民と世界の人々の命や幸せ、平和の大切さをこそ最重要と考えているのですが、今の政府の今の感染対策から考えて、また、原発事故で被害を受けた地域への対応や原子力発電を続けていこうという在り方を見て、この政府がその平和を守り続けてくれる、国民の命と暮らしを任すに値すると言えるのでしょうか。

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Sant'Arcangelo, Magione (PG) 1/8/2020

 昨晩、広島の上空に湧き上がる灰色の大きな雲と、そのあとに降り注いだ黒い雨、放射能に汚染されたその雨を、のどの渇きのために飲もうとする人々の映像を見ながら、最近の日本の政治を思い、また、世界の情勢を思い、どうか2度とこのような恐ろしいことが、戦争が繰り返されることがありませんようにと、改めてそう思いました。

 今後、世界の空に現れる大きな雲が、夕焼けに染まる、あるいは白い、または灰色の自然の雲だけでありますようにと願いながら、先週土曜日にトラジメーノ湖(Lago Trasimeno)で見た茜色に染まる雲とその水鏡の写真を添えておきます。

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 この日は夕焼け空とその色を映す湖面が、いつになく美しかったのですが、その夕景については、いつかまた記事でご紹介できればと考えています。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2020-08-07 17:00 | Covid-19 Italia