イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

イタリア中部地震から4年、再建進まぬカステッルッチョ・ヴィッソ

 2016年に多くの被害と犠牲者を出したイタリア中部地震の最初の大きな揺れは、4年前の今日(イタリア時間)、8月24日の未明に発生しました。その主な震源地、ウンブリア州ノルチャ、ラッツィオ州アックーモリ、アマトリーチェのうち、特に多くの方が亡くなったアマトリーチェで、今日、記念の式典とミサが行われ、全国ニュースでは、その式典や被災地の様子、首相や教皇、被災者の言葉が放映されました。

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Castelluccio di Norcia, Norcia (PG) 17/7/2020

 そして、ウンブリアの地方ニュースでも、ノルチャやプレーチ、カッシャなど、被災地の状況が、被災者や村長などの言葉と共に報道されました。あれから4年も経つというのに、再建が進まないどころか、まだ始まってさえいない市町村が大半で、多くの被災者の方が、今もなお小さな仮設住宅での生活を余儀なくされており、自宅の再建がいつになるか予想も立たぬ状況に、憤慨されています。行政手続きの煩雑さのために、なかなか始められなかった再建作業が、ようやく進められるという矢先に、新型コロナウイルス感染拡大防止のための移動・外出規制によって、その再建作業がまたも滞ってしまったとのことですが、最近出た法令で、手続きが迅速にできるようになったとのことです。また新たに就任した特別指揮官は実践的な人で、今後に期待できると、被災地の村長が言っていました。

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 写真は、今年7月17日に、カステッルッチョ・ディ・ノルチャ(Castelluccio di Norcia)の高原を訪ねたときに撮影したものです。地震から4年後の今も、中心街は建造物が倒壊したままで立ち入ることができず、駐車場となっている広場の周辺に、特産品などの土産物を販売するバールなどがあるばかりです。中心街が立ち入り禁止の今も商店が営業できる場所を提供しようと、丘の下方に造られた大きな店舗内にもレストランか何かがあるようだったのですが、前に駐車された車が多かったので、わたしたちは訪ねませんでした。

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 真っ赤なヒナゲシをはじめとする野の花は、今年も高原を美しく彩り、この夏はかつてないほど、あまりの多さに問題となるほどの訪問者でにぎわったと、地方ニュースやSNSで知っていました。

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 わたしたちが訪ねた日は、平日の金曜日で、花盛りから1、2週間過ぎていた上に、昼頃から天気が崩れるという予報が出ていたおかげで、幸いそれほどの人はいませんでした。

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 ニュースでは、早く再建が始まらなければ、地域に愛着を持っている人々もよそに移ってしまい、さらに過疎化が進んでしまうという被災地の方の心配の声も聞かれました。

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 ペルージャからカステッルッチョへは、ノルチャを通って行くこともできますが、この日は、カステッルッチョへ行くためにノルチャを通る人が多いことが予想されました。

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Visso (MC)

 そこで代わりに、マルケ州のヴィッソ(Visso)を通っていくことにしました。イタリアで最も美しい村の一つであり、澄んだ清らかな川が中心を流れるヴィッソは、村も風景も趣があるのですが、ご覧のように、今も再建がまったく始まっていないように見えます。

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 ジェラートやお菓子のおいしいバールや地元料理が食べられるレストランがあった中心街は、まだ立ち入ることさえできません。この写真と次の写真は、カステッルッチョからペルージャへと戻る帰り道に、ヴィッソに立ち寄ったときに撮影したものです。

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 幸いこの池の近くに軽食が食べられる店があったので、遅い昼食を食べました。ヴィッソにも、カステッルッチョ同様、村はずれに被災した商店が営業できる大型店舗ができていて、そのあと、その中のバールで、コーヒーを飲みました。

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Pian Grande di Castelluccio, Norcia (PG)

 イタリア中部地震の被災地は、ウンブリア、マルケ、アブルッツォ、ラッツィオの4州にわたり、全国ニュースを見ると、他州でもやはり再建が滞り、被災地の方たちがつらい思いをされているようです。2016年のイタリア中部地震で被災した地域は、特にウンブリアについては、1979年にも大地震で多くの建物が倒壊し、建て直された市町村が多く、ウンブリアで犠牲者がなかったのはその再建の際に、耐震構造のある建造物が建てられたからだと、2016年8月24日の地震の際には言われていたのですが、その後、10月に襲ったさらに大きな地震のために、ウンブリアでもノルチャをはじめとして、8月には地震に耐えた建造物の多くが倒壊してしまいました。一刻も早い再建を、けれども今度こそ、命を守ると同時に、大きな地震があっても揺れに耐える建造物が築かれることを願っています。

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by 3841arischan at 2020-08-25 07:26
なおこさん、ノルチャの高原の赤いひなげしとヤグルマギクの紫は、何度見せていただいても感動します~
以前にもお話したと思うのですが、世界で死ぬまでに訪れたい場所の何選?かに入った写真集で見たことも有り、素晴らしい場所だと思います~♡
今年は、イタリアの方も海外へ出かける方(EU内)が少なかったからか?国内旅行する方が多く、凄い人出だったのでしょうか?
日本の観光地は、まだまだコロナの影響下で、閑散としてるところが多いようですが・・・
私自身は、四国内からまずはお出掛けしてと言う感じで動いています♫

地震の被害の有った地域、復興が早く進むトップの方が就任するというのは喜ばしいことかと思います♡
Commented by milletti_naoko at 2020-08-25 19:05
アリスさん、ありがとうございます。この日は空が曇っていたのですが、曇り空の下でも独特の美しさが感じられました♪

カステッルッチョは例年、特に花が咲く頃には大勢の人が訪れるのですが、今回は高原に到着するための道路に長い列ができて渋滞し、ひどいときには環境破壊が問題になるほどの混雑ぶりとなったそうです。この夏は、海外を避けて国内を旅行する人が多い上に、大勢が人混みを避けて自然の中で過ごそうとするために、カステッルッチョやクッコ山はもちろん、例年はそれほど人がいなかった同じシビッリーニ山脈のシビッラ山さえ、週末には大勢の登山客がいたそうです。6月に訪ねたフィアストラ湖では、自然公園の方が、年中で最も人が多いフェッラゴストと同じくらいの人がいると驚き、人が少ないところへとマルケの湖に来ることにした友人も、週末の商店街の通りのように次から次へと人が通る様子に驚いていました。

ウンブリア州では皆の期待が高いようで、滞っていた地域が、今後一気に進んでいくことを願っています。
Commented by ciao66 at 2020-08-25 20:05
4年たってもまだ再建が始まらない被災地、痛々しい市街地の様子ですね。
 日本でも震災のあと同じような状況が有りって、津波被災地では再建を待てずにほかに移住し、その後やっと工事が完成した区画整理地は、そういう訳で空き地だらけだったり、もともとの過疎地では震災を契機にして、さらに過疎化が加速するという、残念な状況も有ります。
 イタリアではそんな風にならなければいいのですが、タイミング悪くコロナ禍で、再建がさらに遅れることも心配ですが、それでも、郷土愛の強いイタリア人のことですから、美しいい街をきっと再建するだろう思うのです。

 ヒナゲシの咲き乱れる草原が美しいですね!
これぞ明るいイタリアの風景だ、という感じがします。
Commented by cometsan1966 at 2020-08-25 22:24
4年経つのに再建が進まないのは何とも悲しいですね・・・

そこに住む方々の心もあの地震の時のままという事ですね
お国がなんとか再建の道筋を付けてグイグイと引っ張ら
ければ・・・4年もこのままでは先に希望が見い出せなく
なりますよね((+_+))

野に咲く花達はそんな事とは全く関係なしに美しく
変わらず咲き乱れて・・・人間の無力さを感じます。

一刻も早く再建してほしいですね☆彡
Commented by ninja2005y at 2020-08-25 22:25
まだ復興の道筋すら・・・・といった感じでしょうか?

日本では、野党が何かにつけて
「欧州を見習え!」と言いますが
あの阪神淡路でさへ、4年もかかりませんでした。
(完全復興じゃないですよ)
そしてその後に起きる災害では
かなり早い速度で復興に着手するようになってます。

そうですか・・・・・・
イタリアのアノ地震・・・・・まだ、そんな状態でしたか・・・・・・
ま、ヨメに言わせりゃ数十年先の
ヨーロッパ旅行まで予定を立ててるようですが(笑)
その頃には、御地が元通りでありますよに。
Commented by milletti_naoko at 2020-08-30 05:24
ciaoさん、ありがとうございます。多くの方が地震が起こってもまたそこで暮らしたいと願う美しい土地に、どうか早く、安心して戻ることができる日が戻ってきますように。
Commented by milletti_naoko at 2020-08-30 05:31
cometsさん、おっしゃるように、「国破れて山河あり」、「夏草や兵どもが夢の跡」と、人が築いた建造物や町が崩れた一方、今も美しい緑を、わたしも思わず対比してしまいました。

ありがとうございます。わたしも一刻も早い再建を願っています。
Commented by milletti_naoko at 2020-08-30 05:44
奥さま、かなり先まで計画を立てられるんですね。
先の楽しみがたくさんありますね。

石造りの、そうして自然公園内にある昔の中世からの町並みは、一つの家が隣と壁や屋根を共有している上に、町並み保存や自然の景観の観点から改築や再建に対する法の規制も厳しく、そうした法律と安全な耐震性のある建築の妥協点を見つけるのも、かなり大変なようです。
by milletti_naoko | 2020-08-25 06:56 | Umbria | Trackback | Comments(8)