イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

訪ねたい古城と春の旅の思い出、城と崖の村と牡丹園

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 先月末に、世界自然遺産でもあるチミーノ山のブナの森(Faggeta del Monte Cimino)を歩いたときは、

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Faggeta Vetusta, Monte Cimino, Soriano nel Cimino (VT) 28/8/2020

行きがけに、この森がある町、ソリアーノ・ネル・チミーノ(Soriano nel Cimino)の中心街を、車で通り抜けました。

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オルシーニ城(Castello Orsini)

 そのとき、このところ、ブナの森に行こうと町を通るたびに見える、こちらの高みに建つ大きな城が気になりました。

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 帰りもやはり町の中心街を通ったのですが、町の入り口の門を入ると長い下り坂が続き、その向こうに城が見えていました。最近はこうしてこの城を見かけるたびに、夫が「この城を訪ねてみたい。もう行ったことがあるかなあ。」と言うのですが、わたしはもうすでに訪れたことがあるのではないかと思っていました。

 と言うのは、大きな門をくぐると長い下り坂がある町で、その坂を歩いて下って城を訪ねた記憶があり、ソリアーノの町が、その記憶の町とよく似ていたからです。

 ところが今日、その城のある町の写真を探し出して調べた結果、かつて訪ねたのはソリアーノ・ネル・チミーノではなく、

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Vignanello (VT) 3/4/2016

そう遠くない町、ヴィンニャネッロ(Vignanello)にある城だと分かりました。

 ヴィンニャネッロも、大きな入り口の門の向こうに長い下り坂があるのですが、見ると門は、ソリアーノの門とはかなり違っています。

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Castello Ruspoli, Vignanello (VT)

 ヴィンニャネッロの城をインターネットで調べて、その高みに建つルスポリ城(Castello Ruspoli)が、わたしたちがかつて訪ねた城に間違いないことが分かりました。ルスポリ城は庭が美しく、

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内部を案内してもらいながら聞いた話も興味深かったです。

 というわけで、ソリアーノ・ネル・チミーノのオルシーニ城は訪ねたことがないことが分かりましたので、いつか機会があれば、ぜひ行ってみたいと考えています。

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 ルスポリ城を訪ねた日の午後は、凝灰石(tufo)の断崖の上に築かれた、イタリアで最も美しい村の一つ、ヴィトルキアーノ(Vitorchiano)の南にある牡丹園、Centro Botanico Moutanに行ったのですが、ヴィトルキアーノの中心街が見晴らせる路傍にも、菜の花(colza)がきれいに咲いていました。

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Centro Botanico Moutan, Vitorchiano (VT)

 そして、広大な牡丹園に咲く色とりどりの花がみごとでした。

 ソリアーノ・ネル・チミーノも、ヴィンニャネッロも、ヴィトルキアーノも、ラッツィオ州ヴィテルボ県にあり、ボルセーナ湖に近く、周囲に古代エトルリア遺跡が多いので、これまでに何度か訪ねたり、近くを通りかかったりしています。ヴィトルキアーノについては、すでに少しお話ししたように覚えているのですが、ルスポリ城と牡丹園についても、また機会をとらえて、詳しくご紹介できたらと考えています。

関連記事へのリンク
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by tokotakikuh at 2020-09-08 13:28
イタリアで牡丹ですか?
そうですか・アジアン系ではないのですね
花も、四季再々、グローバルなんですね

この道を、この門を超えると
絵空物語が始まりますね
「行ったこと・・あるかな?」
幾度訪ねても、そういってみたくなる光景ですよね
いいな~・・旅がどんどん遠くなるので
せめて、せめて、絵そらのたびを
ありがとうございます・・
Commented by milletti_naoko at 2020-09-08 16:11
zakkkanさん、今ざっと調べると、ボタン属であるPaeonia officinalisはヨーロッパ原産で、イタリア語ではpeonia selvaticaと呼ばれ、一方、牡丹は中国、芍薬はシベリア、中国、モンゴル原産のようですが(以上ウィキペディアイタリア語版・日本語版から)、イタリア語では以上を総じてpeoniaと呼ぶようです。ヴィトルキアーノにある牡丹園Centro Botanico Moutan(直訳すると「牡丹植物センター」)はmoutanと牡丹の中国名を使っていますし、やはり中国の花であることを意識してそう命名したのでしょう。

どういたしまして。こちらこそ、旅の気分を楽しんでくださっていると知って、うれしいです。ありがとうございます♪
Commented by meife-no-shiawase at 2020-09-08 18:45
ここは来たかもしれない・・・
そんな風景に出会うことがありますね。
あれ、夢に出てきたのかな~なんて。

それにしてもヴィトルキアーノという村・・・
これはなんというか・・・すごいですね。
すごいという表現しかできないのがもどかしいですが・・・
私が今までに行ったことがない世界が広がっています。
断崖の上・・・イタリアは修道院もそうでしたが
このようなところに建物を建てるのは何故なのでしょう?
怖くもあり(笑)あまりに美しくて感激しちゃいます。
Commented by milletti_naoko at 2020-09-08 19:21
メイフェさん、イタリアでは他の町や国などの攻撃から守りやすいためもあって、丘の上、山の上に築かれた町が多いのですが、ラッツィオ、トスカーナ、ウンブリアにあるかつて古代エトルリア人が暮らしていた地域には、凝灰石の切り立った崖の上に築かれた村や町がいくつもあり、見るたび、訪ねるたびに、わたしもすごいなあと思います。

一方、修道院の場合は、たとえばギリシャのメテオラの修道院は、切り立った岩の上の修道院を建てることによって、俗世から離れ、ただ祈りの世界に身を置くという意味があったのではないかと思います。ラヴェルナの修道院は、アッシジの聖フランチェスコが聖痕を受けた地に後世に建てられた修道院なのですが、もともとこの厳しい岩山を聖フランチェスコが好んだのも、やはり俗世から離れ、自然の中で瞑想に日々を過ごすことができたからであるようです。
Commented by cometsan1966 at 2020-09-08 23:01
オルシーニ城・・・素敵なロケーションに建っていますね
街を見下ろしてそびえ建つ美しいお城・・こちらの和の城とは
また違い独特の雰囲気と深いイタリアの歴史の趣がありますね!

まだ訪問した事がないと分かり。。タスクが一つ増えて☆彡
楽しみは多い方が・・また直ぐよりも・・いつか・・の方が
訪問した時の感動は大きくなるかもしれませんね(^^♪

昨年・・姫路に行った時に駅を降りて北口の出口を出たら
駅から真っすぐ北にのびる道が彼方の姫路城に繋がっており・・
夜だったのでお城がライトアップされていて・・・☆
とても美しかったです・・馬なので思わずパカパカと城まで・・
駆けて行きたくなりました(*^^*)ふふふ
こちらの記事を読んでいてそんな事を思い出しました☆

ルスポリ城・・険しい場所に建っているのですね(^-^;
昔の時代にこれを建てる建築技術も凄いと思います・・

とっても綺麗な牡丹園のお花達ですね・・・☆彡
見ているだけで凄く気持ちが癒されそうです(^^)
Commented by milletti_naoko at 2020-09-09 00:25
お馬さん、日本のお城が武士の居城で、華飾のない美しさを保つのに対し、こちらでは、防衛のための城塞がある一方で、領主や貴族、王の住まいであった城も多く、内部の家具や装飾に目をみはることもたびたびあります。またいつか行ける日を楽しみにしています♪

駅から伸びる道のその向こうの姫路城がライトアップされていたなんて、さぞかし美しかったことでしょうね。姫路城は、もう10年以上前になりますが、夫と訪ねたことがあり、夫もすばらしいと感嘆していました。

記事が分かりにくくてすみません。ルスポリ城があるのは、下に写真があるヴィトルキアーノとは別の町、ヴィンニャネッロで、上から4枚目の写真にある門から、坂道を下っていったところに、城があるんです。

ありがとうございます。色とりどりの牡丹の花がとてもきれいでした♪
Commented by sunandshadows2020 at 2020-09-09 07:55
ヨーロッパでよく見られる断崖絶壁に造られた建造物、外壁はどの様にして造られるのか興味があります。きっと建造物の内部から建てられるのでしょうね。
お城の天井の装飾もすばらいいものが多いですね。
優雅です。
コロナ感染が収まったら行きたいところが増えます!
Commented by milletti_naoko at 2020-09-09 19:04
お転婆シニアさん、確かにいったいどうやってつくるのでしょうね。この周辺は中世、古代と古い建造物が多いので、やはり内側から建てたのだと思います。

イタリアには古城がたくさんあります。今は、内部は博物館になっていたり、私有でホテルになっていたり、個人が暮らしていたりする場合など、様々で、かつての内部の数や装飾が残っているものはやはり少ないように思うのですけれども。

いつかご自身で訪ねられるようになる日が、早く来ますように♪
by milletti_naoko | 2020-09-08 07:21 | Lazio | Comments(8)