イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

オルヴィエート秋の実色づく崖下の道

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 先週、久しぶりに訪ねたオルヴィエート(Orvieto)では、いつものようにエトルリア墳墓遺跡前の駐車場に駐車して、まずは、崖下周遊トレッキングコース(Anello della Rupe)へと、歩いて登りました。

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Orvieto (TR), Umbria 9/10/2020

 以前は足もとの凝灰石が見えていた登り道は、イタリア全土封鎖の間に茂ったであろう緑に、今も覆われています。

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 今回は、歩く間に、色づいたアメリカヤマゴボウ(Phytolacca americana)の実を、たくさん見かけました。有毒なので気をつけなければいけませんが、色はきれいです。

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 オルヴィエートの歴史的中心街を頂く岩壁の下を、この日は、時計回りに、西の崖の菩提樹並木まで4分の3周しました。

 今日はそのうち、出発点の駐車場から、上の観光案内看板の地図にで記したソリアーナ門(Porta Soliana)までの散歩について、お話しします。


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 駐車場から坂道と階段を登って、時計回りに歩くために、分かれ道で左に曲がると、まもなく凝灰石(tufo)岩壁(rupe)が見えてきます。

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 さらにしばらく歩くと、こんなふうに車道を渡って、細道を森へと下って行くところがあるのですが、

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この車道の路傍からの眺めが、すばらしかったです。

 写真をよく見ると、実がたくさんなった栗の木があります。

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 細道を下っていくと、道のあちこちに、栗のイガが落ちています。ちなみに、イタリア語では、果樹名は-oで終わる男性名詞、その果実の名は-aで終わる女性名詞である場合が多く(詳しくはこちら)、の場合も例に漏れず、栗の木castagno(複数形はcastagni)、栗の実castagna(castagne)です。

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 トレッキングコースのこの辺りには、こんなふうに、道に栗がたくさん落ちているところが、時々ありました。おいしい栗を拾いたいのはやまやまですが、この日は、夫は2周、わたしは1周することに決めていたため、すでに夫ははるか先を歩いています。そこで、栗は拾わずに、歩いていくことにしました。

 この辺りからサン・パトリッツィオの井戸がある崖の下に出るまでは、時々道が二手にも三手にも分かれているところが何箇所かあり、どの道を行くべきかが分かりにくくなっています。

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 この道でもよさそうだと、いつもとは違う道を選んで、さらに下方へと降りていくと、周囲一面が落ちた栗のイガと実で覆われているところがあり、一人の女性がそこで栗を拾っていました。

 そのすぐ後に長い坂道を登っていくと、一面にアメリカヤマゴボウが茂っているところがあり、さらにしばらく歩くと、トレッキングコースのいつもの道に、たどり着くことができました。

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 さらに進むと、ようやくアルボルノス城塞(Fortezza Albornoz)の城塞が、前方に見えてきました。アルボルノス城塞は、オルヴィエートの町の西の端にあり、ソリアーナ門は、この城塞の城壁に隣接しています。

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 城塞の城壁の下にさしかかると、岩壁や城壁の下方が、白く小さい花に覆われていました。

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 そうして、このかわいらしい花がたくさん咲いていたおかげで、今回初めて、この地点から上を見上げて写真を撮ったのですが、今その写真を見て、城壁の下が切り立った崖になっていることに気づいて、改めて驚きました。

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 それまでは、前方に見えてくるこの登り道に気を取られて、上を見上げることがなかったからです。

 ちなみに、この坂道のさらに西には、鉄道のオルヴィエート駅があります。

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 おかげで、坂を登り終えようとする頃、電車の音が聞こえてきたので左手を見ると、フレッチャロッサ(Frecciarossa)が下方を走っていくのが見えました。

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 そうしてすぐに、オルヴィエートの歴史的中心街への入り口であると同時に、アルボルノス城塞への入り口でもあるため、城塞の門(Porta della Rocca)とも呼ばれるソリアーナ門(Porta Soliana)が、右手に現れました。

 7月に友人たちと歩いたときは、この門をくぐって、アルボルノス城塞を訪ねたのですが(記事はこちら)、この日は門の前を通って、さらに崖下周遊コースを歩き続けました。

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Colori d'autunno, fiori & tante castagne
sul sentiero dell'Anello della Rupe di Orvieto.
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関連記事へのリンク
- 崖下の金いろ菩提樹と日本食、オルヴィエート

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:お気に入りの場所やお勧めスポット・お店を教えて!
Commented by yuki0901671 at 2020-10-14 07:28
おはようございます。

そういえば欧州ではよく焼き栗を
売ってましたね。
食べだすと止まらなくなり、ホテルの
部屋を汚したことも多々ありました。
イタリア料理では、栗は使わないのですか。
Commented by tokotakikuh at 2020-10-14 15:01
最初に
このコースを踏破すると、何キロになるのでしょうか?

トレッキングは、もうこの年で、膝を悪くして
坂道、階段等は避けてます(笑)
ですから、こうした道のりは、もう無理ですが

素晴らしい自然が作り出す風景は
何よりも軽く背中を押してくれそうですね

あ!!列車ですね
旅を感じます・・
Commented by milletti_naoko at 2020-10-14 17:27
yuki0901さん、こんにちは。

焼き栗、おいしいですよね。

イタリアにも栗を使った料理やお菓子はあるんですよ。ポルチーニと栗のスープを、秋にレストランで食べたら、おいしかったです。栗の粉も売られていて、いろいろなものを作るのに使われています。
Commented by milletti_naoko at 2020-10-14 18:10
zakkkanさん、コースを案内するサイトによると、5kmと書かれていたり、4.5kmとあったりします。

オルヴィエートの崖下周遊トレッキングコースは、途中で中心街に入れる入り口がいくつかあるので、そのうちの一部だけを歩くこともできるんですよ。わたしたちは、駐車場が無料であることもあり、崖下の駐車場に車を置くため、最初の登り道が長くなるのですが、駅からケーブルカーで中心街に入って、登り下りが少なくてすむ部分を少しだけ歩いて、また別の入り口から、あるいは引き返して中心街に戻るという手もあります。

ヤマゴボウの色がきれいで、栗がたくさん落ちていることに驚きました!
Commented by meife-no-shiawase at 2020-10-14 23:00
よく歩かれましたね~♪
ご主人さまとなおこさんは体力があります♪

それにしてもすごい栗!
もったいない・・・このままにしておくとは。笑。
イガイガの中から飛び出してしまっているのもありますね。
拾ってきて茹でて食べたい♪笑。

面白いですね。
男性名詞、女性名詞って・・・。
そして最後の文字がoとaと違うだけで、意味が違ってくるなんて~。
Commented by milletti_naoko at 2020-10-15 01:04
メイフェさん、わたしは花や景色を楽しみ、写真も撮りながらゆっくり歩き、夫もあちこちで立ち止まるので、ふだん1時間半から2時間かけて1周しているように思うのですが、今調べたら、1周1時間とこのコースを説明しているサイトさえあり、確かに夫に限らず、1周だけではなく何周かしている人がいて、歩いていたら、同じ人に2度出会うこともあるんですよ。

栗、惜しいなあとは思いつつ、拾い始めたらきりがないので、そのまま歩き続けました。言葉っておもしろいですよね。この語末の母音の違いと名詞の性の区別を、イタリア語を母語とする人は、物心がつく前から身につけ始めるそうで、文化や母語によって、認識体系そのものが違ってくるのだなあと驚きました。
Commented at 2020-10-15 06:12
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2020-10-15 16:22
鍵コメントの方へ

すてきな言の葉をありがとうございます。
まさにおっしゃるとおりの心持ちでした♪
Commented by ciao66 at 2020-10-15 17:48
がけ下散歩道の秋、いいですね♪
何度も拝見してます道ですが、少し違うところを歩かれたのですね。ヤマゴボウや見上げる城砦や鉄道など、盛りだくさんの中身で、私もオルビエートの素敵ま道を散歩したような気分になりました!
Commented by cometsan1966 at 2020-10-15 23:10
アメリカヤマゴボウ・・この葡萄のような実ですが・・
こちらではヨウシュヤマゴボウというよく似た実を付ける
植物が野に自生しています・・これも毒があるそうで・・
仔馬の頃によく2人の姉達のおままごとに突き合わされて(^-^;
この実を葡萄に見立てて使ってました・・食べなかったですが
毒があるなんて最近知りました・・その頃はそれをヨウシュヤマブドウ
と言ってました(*^^*)懐かしいです

凝灰石の岸壁が独特の雰囲気を醸し出していますね(^-^;
そちらに栗の木があり・・ぼとぼとと落ちているのに驚きました(^^)

凄い断崖絶壁の上にお城がそちらは多く建っていますね☆彡
下に走る鉄道などの眺めも良くて素晴らしく絶景のコースですね(^^)/
Commented by milletti_naoko at 2020-10-16 04:39
ciao66さん、アルボルノス要塞が見えてくるところと、ソリアーナ門の写真は、これまでにもご紹介したことがあるのですが、ふだんは一つの記事で、15枚以内の写真を使って、ぐるりと1周のトレッキングについて説明しようとするので、緑が多いものの、とりたて見晴らしがいいわけでもなく、独特の建造物も見えないこの辺りの散歩については、写真や説明を省いていたのだと思います。

それが今回は、秋を感じさせるヤマゴボウや栗の実があったので、じっくりと取り上げることにしました。

記事と共に、散歩気分も楽しんでくださったと知って、うれしいです♪
Commented by milletti_naoko at 2020-10-16 04:53
お馬さん、実は同じ植物で、「ヨウシュヤマゴボウ」とも言うのですが、学名に「アメリカの」とあり、アメリカから来た植物だからと、アメリカヤマゴボウの名の方を採用したんです。

お馬さんが小さかった頃からあちこちに自生していたんですね! おままごとに使うにはきれいな色ですものね。食べることなく、みなさんご無事で、本当に何よりです。

数十年前までは、栗は、特に貧しい農民などの冬の貴重な食料源として大切にされたそうで、イタリアにはあちこちに今も栗林があるのですが、かつてのように手入れされずに、荒れた風情のところも多く、夫が残念がっています。

見下ろしたらしたが断崖絶壁であるのは知っていたのですが、下から見て、ああこんなにも切り立った崖の上にと、改めて驚きました!
by milletti_naoko | 2020-10-14 05:53 | Umbria | Comments(12)