イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

栗拾い歩く紅葉の森と夕空の月、トスカーナ カゼンティーノ

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 ラヴェルナ修道院を頂く岩山を周遊するトレッキングコースには二つあります。一つは、岩山の裾野の森を歩いて修道院へと登っていくコース(anello basso della Verna)、もう一つは、修道院からペンナ山の頂上へと登ってから、修道院へと山を下るコース(anello alto della Verna)です。

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 このところ、岩山の裾野を回るトレッキングコースを歩くことが続いていたので、わたしは今日こそ、ペンナ山の頂上へと歩いて、カエデの紅葉や見晴らしを楽しもうと考えていました。一方夫は、いつものように岩山の周りを歩くと言っていました。ところが、車でラヴェルナに向かう途中、目前に現れたペンナ山(Monte Penna)を見ると、わたしが歩こうと考えていた頂上付近だけではなく、わたしたちがよく歩き、夫が今日も歩こうと考えていたトレッキングコースでも、紅葉の時期は過ぎて、かなりの葉が落ちてしまっているようです。

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 そこで、この高さまで車で登ってくる途中には、山や森の美しい紅葉がずっと見えていたこともあり、ラヴェルナのあるペンナ山ではなく、もっと標高の低い森を歩くことにして、昔友人たちと歩いたことがあるトレッキングコースを探して、しばらく道路を行ったり来たりしました。

 歩き慣れたコースを歩くつもりだったので、二人とも登山地図を持っていなかったため、おぼつかない記憶に頼りながらでしたが、何とか目指す登山口を見つけることができました。

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 ただ、駐車して歩き始めてすぐに、道に栗がたくさん落ちているのを見つけたために、しばらくは歩く代わりに、二人で栗を拾いました。実は数年前に友人たちと歩いたときにも、同じ場所で皆で栗拾いに夢中になったように覚えています。

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Rifugio Casina dell'Alpe (970m), Chitignano (AR), Toscana

 栗を拾ったり、写真を撮ったりしながらのんびり歩いたので、目的地のこちらの山小屋まで来るのに、1時間40分ほどかかりました。

 参考のために、この山小屋まで友人たちと来たときの記事を探して読んでみると、



「1時間のはずの散歩道を、栗を拾ったり、キノコを探したり、写真を撮ったりしていて、2時間以上かけて歩き」と書いてありました。

 2012年10月13日には、ポルチーニを手にした友人たちと夫の向こうに見える木も山も青々としていたのですが、

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その同じ木と山が、今日はすっかり秋の風情で、紅葉がきれいでした。

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 もっぱら、両側を背の高い木々に囲まれた道を歩いたのですが、山小屋の近くは見晴らしがよく、青空も見えました。しばらく休み、山小屋の周囲の紅葉を愛でてから、来た道を引き返すと、青空と黄葉した木が、水たまりにきれいに映っています。

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 さて、日が傾いてきて暗くなり始めた山道を下り、ようやく空が見えるところまで来ると、桜の紅の葉が、夕日の光にいっそう鮮やかに見えて、きれいでした。

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 木々の間から、遠くの山や紅葉した木々も見えます。

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 夫は、拾った栗が入った袋を手に提げて、先を歩いていきます。

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 栗の葉も、夕日の光に、赤がいっそう深くなります。

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 駐車してあった車まで戻ると、オレンジ色の光を放つ夕日が、栗の木と葉の向こうに、淡く小さく見えました。

 このあと、ペルージャの我が家へと、車で来た道を引き返すうちに、夕日が山の向こうに沈み、ドライブ中、

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ちょうどラヴェルナ修道院がある辺りの上空に、それは美しいピンクの雲が見えたので、さすがの夫もこのときは、ぜひ写真を撮るようにと、車を停めてくれました。

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 アッシジの聖フランチェスコが聖痕を受けたラヴェルナがあるペンナ山のちょうどその上を、鮮やかなピンク色の雲が覆っています。

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 さらに、山を下っていくと、満月を明日に控えた白い月が、桃色の空に見えました。

 夫が最初に見つけて教えてくれたときは、白い月がすべてきれいに、ピンク色の空のただなかに見えたのですが、カーブが多い山道を走行中だったため、すぐに月は見えなくなり、再び見えたときには、こんなふうに、帯を身にまとっていました。紅葉した山々と桃色の空の間に、美しい白い月を見ることができて、うれしかったです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:お気に入りの場所やお勧めスポット・お店を教えて!
Commented by yuki0901671 at 2020-10-31 08:02
おはようございます。

ボルチーニ茸は料理に使いますよね。
初めて本体を見ました。
自然に生えているものなのですね。
Commented by u831203 at 2020-10-31 08:49
いつもながらの素晴らしい景色とその写真 いいですね
ピンク色の雲 季節や時間などがよほどマッチしなければ撮れない写真でしょう ラッキーでしたがそれを見事に捕らえた腕もさすがです
栗も日本の栗と同じですね うれしいお土産ですね
キノコ、大丈夫ですか この時期、日本では毒キノコによる食中毒が報じられています 歩く山道でよく見かけますが、見るダケにしています masa
Commented by AU3OGR at 2020-10-31 18:05
なおこさん

美しい夕日と山並みに癒される写真ですね!
イタリア人も栗は日本のように蒸してスプーンで
ほじくって食べるのかしら?(#^.^#)
そんな食べ方はせずちゃんと甘露煮にしたりするのかな?

過去記事も読みました。
ポルチーニ茸って随分大きいんですね。
私が食べたことがあるのはおそらく乾燥したものが
パスタにちょこーっと入っていただけ。
香りもお味も忘れてしまいました😢
いつかまた食べたいわ。

Commented by ciao66 at 2020-10-31 18:54
山小屋の有る秋の風景がいいですね!
やわらかい日差しを感じられますし、
のどかな日本の風景にも少し近いものがあり
イタリアらしい光も感じました。

手に持った栗がクリアに写っていますね!
(へたなだじゃれです)
Commented by cometsan1966 at 2020-10-31 21:47
1時間40分のトレッキングコースはかなり身体に良い運動
になりますね・・この秋は深まる時期はそうやって山を歩く
のは・・紅葉~森の恵み~素晴らしい空気は澄んだ景色
そして大切な健康・・それらすべてが手に入り・・最適な
時期ですね(*^^*)

まるまる美味しそうな栗と過去記事の豊富なキノコ・・
凄いですね~~いずれも採るのに夢中になりそうです(^-^;ふふふ
Commented by Penta at 2020-10-31 22:45 x
やはりイタリアの風景は湿気が少ないので、日本のように遠くが霞んでいないとか、空の抜け具合は違うんじゃないですか?

もう栗とかキノコの山ですね。(笑)
なっているのは、誰でも持って帰る事が出来るんですね。
そちらではマツタケは採れるんですか?

赤に点々があるのは毒キノコではないんですね。
Commented by sunandshadows2020 at 2020-11-01 01:30
紅葉狩り、栗狩りが一緒に出来て良かったですね!
季節がはっきり分かれる場所は良いですね、こちらの様にいつ夏から秋になり、そして冬に入っていくのか気がつかないのですから。季節なりの楽しみ、準備など気持ちが切り替わって良いと思います。ピンクに染まった空の月がとても綺麗ですね。
なおこさんの画像は詩的だといつも思います。
Commented by ムームー at 2020-11-01 06:39 x
なおこさん
おはようございます
素晴らしい景色に見とれています
紅葉もこちらの景色とまた違いため息が
そして、クリがこんなにとれましたか、この間
出来てる栗を見ましたが、実が小さくて
見てるだけでした
美しい夕陽に魅せられました、素敵ですね
Commented by nonkonogoro at 2020-11-01 08:54
栗拾いができて 良かったですね。
イタリアの栗も やはりイガイガから取り出すのは
大変なのでしょうね。

子供の小さい頃は
近くの公園に大きな栗の木があり
落ちている栗を拾ってかえったりしました。

いつのまにか 栗の木は伐採されていて
寂しいです。

Commented by milletti_naoko at 2020-11-03 01:49
yuki0901さん、こんばんは。
パスタやリゾットの具にしたり、衣をつけて揚げたり、いろんな食べ方がありますよね。そうなんです。例年秋になると、そうして山の涼しいところでは夏でも、早朝から、ポルチーニとは限りませんが、キノコ狩りをする人に、出会うことが時々あります。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-03 01:56
自ら絵を描かれるmasaさんのおほめのお言葉、うれしいです。ありがとうございます。

今回は木々に覆われた山道を歩いた場所の方が多かったのですが、特にきれいだなあと思った写真を選んだら、お日さまが照っている写真が多くなりました。紅葉も夕焼けもきれいで、感嘆しました。

ポルチーニは、場所にもよるのですが、こちらでは季節にはよく採れるキノコで、皆収穫に慣れているので大丈夫なのですが、どうかなあと思うキノコは、やはり手を出さないようにしています。日本でもなんですね! 見るダケ、写真を撮るダケが、やはり命のためには安全ですよね。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-03 02:03
AU30GRさん、夕日も風景も、そして紅葉もきれいで、歩くのが楽しかったです。

イタリアでも蒸した栗をさじですくって食べることはあるのですが、我が家では焼き栗にして食べることが多いです。

ポルチーニ茸は大きさはいろいろで、そこまで育ちすぎない程度の方が、虫も入らず新鮮でおいしいと、夫や友人たちは言っています。山の宿で、切り分けたポルチーニを日に干しているのを見たことがあり、袋色の乾燥ポルチーニも購入したことがあるのですが、乾燥させるとかなり小さくなってしまうのは、干し椎茸と通じるところがあるのではないかと思います。

いつかまた食べられる機会があるといいですね♪
Commented by milletti_naoko at 2020-11-03 02:25
ciao66さん、この山小屋、ずいぶん昔に友人たちと泊まって食事をしたり、夜の散歩をしたりしたこともあって、懐かしかったです。山小屋の周囲の紅葉や眺めがとりわけきれいでした♪

ブナもカエデも栗も、日本にもイタリアにもあるので、秋の風景に共通点も多いですよね。

楽しいだじゃれとおほめのお言葉をありがとうございます。つやつやがあんまりきれいに写っているので、わたしも驚きました。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-03 02:35
お馬さん、いつものラヴェルナの森だと、ついゆっくり歩いてしまいがちなのですが、この日は、登って日が落ちて暗くならないうちに下らなければいけないということで、距離的にも時間的にも、たくさん歩けていい運動になりました♪ 紅葉や風景がきれいで、栗まで拾えて、いい1日になりました。購入した栗を食べ終わってから、またこの日の栗も味を見てみたいと思っています。

おいしくうれしいキノコたち。皆、夢中になって探していました♪
Commented by milletti_naoko at 2020-11-03 02:58
Pentaさん、イタリアでも最近は、山に出かけると、遠くも近くも霞や霧で霞んでいることが多かったのですが、この日は幸い、晴天が広がっていました。

栽培されている栗林も近くにあるのですが、この森の栗はかつて栽培されていた栗が放置されていたり、その後自生した栗だったりするために、自由に取ることができるんです。キノコはけれど、採る場合には、トスカーナでは、その市町村に暮らしていない人は、キノコ狩りの許可を、料金を払って得ておく必要があります。一方、ウンブリア州は、州の住民であれば、料金を払うことなく、州内でキノコ狩りをすることができることになっています。マツタケは聞いたことがないのですが、どうでしょうね。

赤に点々があるのは猛毒キノコです!
Commented by milletti_naoko at 2020-11-03 03:11
お転婆シニアさん、イタリアでは山を歩くのに、早春は野生のアスパラガス、秋は栗に気を取られて、あまり歩かなくなってしまうことが時々あります。栗はまだ食べていないので、おいしいことを祈りつつ、どちらも満喫できて、充実した1日になりました♪

うちの夫は、夏至の頃からもう夏が過ぎていくこと、日が短くなっていくことを先取りしてがっかりしているのですが、そうですよね、わたしも四季を日々の暮らしの中で感じて楽しめることが、ありがたいなあと感じています。

うれしいおほめの言葉をありがとうございます。この日は紅葉も風景も夕焼けも月も、とりわけきれいで感嘆しました♪ 新しいカメラ、やはり写りがいいということもあると思います。最近ツイッターで、「〜年前の今日の記事は」と過去のブログ記事をできるだけ紹介するようにしているのですが、古いカメラで撮った写真より、格段にきれいです。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-03 03:17
ムームーさん、こんばんは。ありがとうございます。
最近はこちらでも秋が深まり、霧や霞がかかる日が多かったのですが、この日は青空が広がって、紅葉も夕日も、とりわけきれいでした。

大きい栗もあれば小さい栗もあり、できるだけ大きめの栗が落ちているところで、栗を拾いました♪
Commented by milletti_naoko at 2020-11-03 03:22
のんさん、自然にイガが開いて、栗がのぞいていたり、外に転がり出ていることが多かったのですが、まれにはイガを開かないといけない栗もあり、夫が軽く足で踏んでうまくイガを開いていたので、まねしてみました。恐る恐るするものだから、手でさらに開かなければいけないことが多く、針がちくちくすることもありました。

のんさんにも栗拾いの思い出がおありなんですね。
by milletti_naoko | 2020-10-31 07:15 | Toscana | Comments(18)