イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

優しさを生きる 聖フィリッポ・ネーリとディーパクの言葉

 今夜は昨晩亡くなった、皆から慕われるイタリアの俳優、ジージ・プロイエッティ(Gigi Proietti)を追悼して、彼が主人公を演じるドラマ、『Preferisco il Paradiso』が上映されました。以前にもテレビで見て、感動したのを覚えているドラマです。


 上の予告映像の最初の場面で、子供たちが次々に井戸で飛び上がって、「あなたは誰ですか」(Tu chi sei?)と、歌うように言うのですが、身寄りもなく、かろうじて食物を盗んで生き延びていた子供たちに、司祭フィリッポは、そう問いかけて、誰もが神の子供であり、だから人は皆互いに兄弟なのだと教えます。

 教会からの圧力を受けつつも、常に弱く貧しい子供や人々を思い、皆が食べ物などに不自由せず、育っていけるように、生きていけるように、体を張って生きていくその姿と愛、温かさがすばらしいと思いました。「Preferisco il paradiso.」(わたしは天国がいい、わたしが好むのは天国だ)という言葉は、まずは路上に生きる子供たちに、「よい行いをして生きていこう」と呼びかけながら、皆と声を合わせて歌うその言葉として登場し、また、ご覧になるかもしれない方がいるので伏せておきますが、後に教皇からの言葉に対して、そうして最後の最後にも、新たに別の意味を持って登場し、このドラマ全体の伏線となっています。

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Palazzo Farnese, Capralora (VT), Lazio 7/3/2015

 聖フィリッポ・ネーリ(San Filippo Neri、1515-1595)の生き方と慈愛に満ちた人柄や子供たちの成長、物語に感動すると同時に、かつて訪ねたことのある場所が、舞台背景として、時々登場したのが、うれしかったです。

 ラッツィオ州ヴィテルボ県のカプラローラ(Capraloraファルネーゼ宮殿(Palazzo Farneseは、装飾のみごとならせん階段を見て、夫もわたしもすぐに分かりました。

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 ファルネーゼ宮殿の世界地図の広間(Sala del Mappamondo)もまた、聖フィリッポが、海外に布教に行きたいという願いを伝える場面で登場しました。

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Giardino della Villa Lante, Bagnaia (VT), Lazio

 また、やはりラッツィオ州ヴィテルボ県にあるバニャイア(Bagnaia)ランテ荘(Villa Lante)の美しい庭園(記事はこちら)も、最後の方に出てきました。その場面では、幼い頃から聖フィリッポと過ごす機会の多かった元教皇の若者が、望んでいた位階は手に入れたけれどむなしく感じられるばかりで、温かさに満ちた聖フィリッポのそばで過ごしていたときが一番幸せだったと回想していました。




 このドラマを見る前に、ちょうどディーパク・チョープラが上の映像の中で、「幸せを感じる一番の方法は、他の誰かを幸せにすることです」、「ひどいことをする人がいても、それが現在その人の意識としてできる精いっぱいのことなのです」、「どんなにひどい相手でも、まずは相手が、何を大切に考え、またどういう環境に育ったために、そういうふうに考えたり行動したりするようになったかなどと、理解するように努めて、裁かないことが大切です」と語るのを聴いて、なるほどと思っていたところでした。

 そうして、今日、このドラマを見る直前、上の映像を見たあとに初めて聴いた、現在開校中のディーパク・チョープラ瞑想講座フランス語版の第11日目の言葉に、上の映像の言葉と重なるところが多かったので驚きました。

 さらに、人の幸せを考え、相手を許そう、理解しようとするというこの生き方がまさに、このあとドラマで見た、聖フィリッポ・ネーリの生き方そのものだったので、驚きました。、生きていくために盗みを余儀なくされて人々から蔑まれていた子供たちを、誰に非難されようと、また、子供たち自身に最初は拒否され、様々な困難があろうと、大切に思い、愛を持って接し、子供たちが少しでも笑顔でいられて、幸せに生きて育てるようにと努める聖フィリッポ。子供たちに盗みをするよう言いつけ虐待し、傲慢な態度を取る男に対しても、「その君の憤りはどこから来ているのだろう」と、裁くのではなく、理解しよう、憤りの底にある心の傷を癒せないだろうかと考える聖フィリッポ。

 十分に心に刻んでおきなさい、心がけなさいと、重ね重ね呼びかけられているように感じました。

 ドラマそのものが真夜中近くに終わった上に、ファルネーゼ宮殿とランテ荘の写真を探そうとして、いつ訪ねたのか思い出せずに、写真を見つけるのに時間がかかり、今夜も記事を書き上げるのが、遅くなってしまいました。実は、ドラマが終わったあとで調べてみて、なんとこのドラマの大半が、ペルージャで撮影されていたことが分かり、思いもかけなかったので驚きました。さらに、ペルージャと言っても、中心街からはかなり離れたところにある修道院が、ドラマの中で、聖フィリッポが子供たちと過ごした教会として登場していたことが分かりました。その修道院は、今は私有で、内部は訪ねたことはないのですが、外側からだけはわたしも訪ねたことがあります。わたしたちが時々新オリーブオイルを購入しにいく業者が所有していて、その搾油場のすぐ近くにあるのです。この修道院の写真も、外からではあっても1枚添えたいと思ったのですが、いつ訪ねたのか突き止めるまでに時間がかかりそうですので、また次の機会にしようと考えています。

 このドラマは2回分として制作され、放映されたものであるのを、今回は、ジージ・プロイエッティの追悼番組として、一晩だけで放映しようとしたためでしょう。特に前半はかなりカットされた部分があったのだけが、残念でした。

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Bellissimo ieri sera il film, "Preferisco il paradiso" che racconta la vita di San Filippo Neri interpretato da Gigi Proietti.
Abbiamo riconosciuto nelle scene il Palazzo Farnese di Caprarola e la Villa Lante di Bagnaia. Sorpresa! La maggior parte del film è stato girato a Perugia, nell'Abbazia di Montelabate. Non me ne sono accorta perché ancora non sono riuscita a vedere il suo interno. Poi ancora non riesco a trovare le foto del suo esterno...
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:おすすめドラマレビュー
Commented by ciao66 at 2020-11-04 17:07
なかなか聖人のように生きることは難しそうで、とくに迫害された人にも、迫害者にも、同じように接することはなかなか出来そうにもないことだと思いましたし、心を豊かにすることはどういうことか考えさせられました。

かつて訪ねたことのある場所が、舞台背景として登場するというのは、見ていて嬉しいですね。
Commented by cometsan1966 at 2020-11-04 23:04
司祭フィリッポの「誰もが神の子供であり、だから人は皆互い
に兄弟なのだ」という言葉は深くて・・人としての大前提ですね
頭で分かっていてもそこまで慈愛に満ちてそれを実践して
人の為に生きるというのはその真似事さえも大変な事ですね。。

休日返上で災害のボランティア活動をしている方を見ると
自分にそこまで出来るだろうか・・無理だな・・と。。。
日常の自分の生活にかこつけて目を背けて生きてしまいます(+_+)

いつか何かでそういう機会に遭遇したら・・初めのお言葉の
境地で尽くしてみたい・・そんな風に思いました(^^)

「Preferisco il Paradiso」・・観て見たいです☆彡
人の幸せを考え~相手を許そう~理解しようとするという
聖フィリッポ・ネーリの生き方は本当に素敵ですよね(*^^*)
見習う所が山ほどあります☆☆☆
Commented by milletti_naoko at 2020-11-05 00:43
ciao66さん、迫害される人を守りつつ、迫害する相手にさえ理解を示し、助けようとする、やはり聖人でもないと、なかなか難しいですよね。

見覚えのある屋敷や庭園が出てきたのもうれしかったのですが、最近読んでいる塩野七生さんが描くローマや教皇庁、イタリアの数十年あとが舞台となっているので、そういう歴史的背景にも興味を持って見ました。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-05 00:56
お馬さん、まさにイエス・キリストが説いている言葉ではあるのですが、当時は、教皇庁で高位にありながら自らの権力や地位ばかり考える慈愛のかけらもない聖職者が少なからずいて、慈善活動にまで横槍を入れて妨害するような時世だったようで、そういう中で、こういう生き方をあくまで貫いた聖フィリッポのすばらしさを思います。

お馬さんの周囲にも、そうやって災害でのボランティアに取り組まれている方がいらっしゃるんですね。お仕事がお忙しいのですもの。それにお馬さんは、お母さまやそのお友達のために、十分日頃からボランティアをされていて、すばらしいです。
Commented by yuki0901671 at 2020-11-05 05:45
おはようございます。

ファルネーゼ宮殿の美しさに感動しました。
華美にならず、非常に品が良く、だが荘厳さも
兼ね備えた優れた建築と内装だと思います。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-06 01:00
yuki0901さん、こんにちは。庭園が目当てで訪ねた宮殿だったのですが、わたしたちもその美しさに感嘆しました。ありがとうございます。差し込む日の光が強かったため、明暗の差があって見えにくいのですが、16世紀に描かれた、大航海の発見が反映された当時の世界地図も興味深かったです。
by milletti_naoko | 2020-11-04 10:20 | Film, Libri & Musica | Comments(6)