イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

霧深く紅葉きれいな聖なる森、トスカーナ ラヴェルナ

 アッシジの聖フランチェスコが聖痕、十字架に架けられたイエスと同じ傷を受けた聖地、ラヴェルナ(La Verna)は、紅葉が美しいことで知られるカゼンティーノ国立公園にあります。

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Santuario della Verna, Chiusi della Verna (AR), Toscana 23/10/2020

 ラヴェルナ修道院(1128m)を頂く岩壁の裾野もまた標高が高く、アッペンニーニ山脈の山中にあるため、今年10月23日に訪ねたときには、森の木々がもう紅葉していました。

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 この日は修道院の境内も、そして森も、霧に包まれ、空が曇っていました。

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 そのために寒く、また感染を恐れてか、境内にも森にも人が少ないので驚きました。

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 霧に包まれた秋の森と修道院には、どこか幻想的な風情があります。

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 境内の石垣を覆うツタも、紅の色をしていました。

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 わたしたちは、いつもは、こんなふうに修道院の下方を通り、岩壁の周囲を時計回りに歩いて、修道院まで登っていくのですが、この日は、修道院からそう遠くない道端に車を置いて、崖下周遊トレッキングコースを、反時計回りに歩きました。

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 車でラヴェルナに向かう途中に、夫が紅葉がみごとなカエデを見たと言うので、その木に近い駐車場に車を置いて、歩いて見に行くことにしたからです。

 白い霧に包まれて、枯れ葉もオレンジ色に見えて、きれいです。

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 途中、周遊コースを逸れて、右に向かうと、秋には紅葉が美しいカエデの木が道端にいくつもある道があるので、最初は、その道を歩いて行こうと考えていました。

 けれども、去年鮮やかに赤いその葉に感動したカエデの大木は、オレンジ色の葉が、赤くならずに、もう朽ち始めています。それはそれで趣があるのですが、冷たく強い風が吹く日で、この道では風をまともに受けて寒いこともあり、この後はすぐに引き返して、いつもの周遊コースを、反対回りに修道院まで歩いていくことにしました。

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 ブナの森では、黄葉した木々や落ち葉と緑の苔が、互いの色を引き立て合っています。

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 黄色い葉もあれば、赤い葉もあり、まだ緑の葉もあって、そうやって秋から冬へと、それぞれのはやさで装いや色を変えつつある木々やその葉が、全体としてそれは美しい風景を生み出しています。

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 落ち葉もまた、いろいろな木の様々な色と形の葉があって、足元を彩っています。

 岩壁の周りを回って、そろそろ修道院の下に着こうとする頃、ちょうど日の光を浴びていたブナの木々の枝が、

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オレンジ色に輝くように見えて、とてもきれいでした。

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 初秋に咲き始める、秋咲きのシクラメンが、まだ咲いていたのも、うれしかったです。

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 門の屋根に積もる落ち葉にも趣があります。

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 このあと、ラヴェルナの参詣路の長い坂道を登って修道院を訪ねました。前の週に見て、まだ咲いていたのかと驚いたヒナゲシが、今も咲いているだろうかと石段を登ると、草刈りをしたようで、花も草もなくなっていて残念でしたが、バラの花はまだ咲いていました。

 思ったより紅葉が進んでしまっていたのですが、霧に包まれた秋の森は美しく、夫と二人で感嘆しながら歩きました。

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Bella la Foresta sacra della Verna
in veste d'autunno avvolta dalla nebbia.
Chiusi della Verna (AR), Tuscany, Italy 23/10/2020
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by meife-no-shiawase at 2020-11-15 15:48
霧に包まれるといつにも増して神秘的な雰囲気ですね。
ブナの森の緑の苔は色が碧々としていて、なにか苔の強さを感じます。
僕たちはぶれません!色は変わりません!のような(笑)。

自然の色の移り変わりは本当にすごいですね。
人間世界でどんなことが起こっても、季節が来れば色が変わって
葉が落ちて・・・きちんと時間を刻みます。
こんな自然の美しさがいつまでも続くように
人間世界も本当に修正できるところは修正して・・・
こんなウイルスなどが発生しないようにしていかないとって思います・・・。

Commented by ciao66 at 2020-11-15 19:55
落ち葉で覆われた静かな折り返しの坂道、そして屋根に乗った落ち葉、秋の風情が有りますね!もう晩秋、冬近し。
Commented by django32002 at 2020-11-15 22:16
1000m以上の場所にある修道院と聞いて、ショーン・コネリーの「薔薇の名前」を思い浮かべてしまいました。
イタリアには、こうした歴史の重みを感じる風景が当たり前のように存在しているのですね!
無理なのは分かっていますが、私もいつか行ってみたい…。
でも、この地にさえ感染の影響がある事に、誰に向けるでもない憤りを感じてしまいました…。
Commented by cometsan1966 at 2020-11-15 22:47
凄い断崖絶壁の上に建っている修道院なんですね(^-^;汗
写真からその様子がすごく伝わり。。山奥のこういう所を
祈りの・・ある意味修行の場にあえて選ばれたのが凄く興味深く思います。

紅葉が森の中でまるでグラデーションのように赤・黄・緑と
様々な目に優しい色を満喫させてくれますね・・素晴らしいです(^^)/
足元の葉も様々な形や色の自然のじゅうたんですね☆彡
秋のシクラメンも美しいですね・・布施明のシクラメンのかほり
のイメージそのものの美しさですね(*^^*)綺麗です☆彡

最近運動コースを歩いてて思います・・必ず何か前回と
違う発見があり面白いなと・・全く同じがないというのが
自然の良いところですね(^^)/
Commented by milletti_naoko at 2020-11-16 23:40
メイフェさん、ラヴェルナの森で苔むす岩を見るたびに、日本庭園を思い、そう言えば、日本の庭はけれど自然にならったのだと、昔の日本と今のイタリアの森に通じるものを感じて、何か感慨深いものがあります。おっしゃるように、木々の葉が紅葉して葉が落ちる頃には、なおさらに、いつもいつまでも緑であるその苔の青さが印象に残ります♪

この青い緑の地球の美しさ、もっと大切にしていけるように、日々の暮らしや経済の在り方も世界全体で今こそ真剣に考えて取り組むときだと思う今日この頃です。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-16 23:50
ciao66さん、前の週にはまだ紅葉には早いように見えた修道院の境内と森が、もう晩秋の風情を見せていたので、今年は秋が来て過ぎるのが早いと驚きました! 屋根の上の落ち葉を見て、周囲の風景も入れようとしたので、写真では分かりにくいのですが、なんてきれいなんだろうと感動しました。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-17 00:03
django32002さん、『薔薇の名前』の風景として使われたのは、アブルッツォの古城跡があるロッカ・カラッショで、標高1463mなのですが(下記リンク参照)、リンクを添えたのとは別の、確か今年数か月前の歴史番組で、実は修道院外部の大半は、ローマのチネチッタに、撮影のために造られたものだと知って驚きました。
https://cuoreverde.exblog.jp/27746447/

今はわたしたちの住むウンブリアはオレンジゾーン 、この修道院があるトスカーナはレッドゾーンとなったため、もう長い間訪ねることができませんが、こうした規制が功を奏して、一刻も早く感染を減少させていくことができることを願っています。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-17 00:26
お馬さん、聖フランチェスコが瞑想や祈りに日々を過ごした場所に、後世に建てられた修道院、教会なのですが、やはり俗世から離れること、自然の中に生きることを求めた聖人の生き方が、この地を好んでいたことからもうかがわれます。

ありがとうございます。ブナ林の中に、いろいろと他の木も混ざる自然の森なのですが、それぞれの木々のそれぞれの紅葉が、緑の木々や緑の苔と共に、美しい風景を見せてくれるなあと思いました♪ 布施明さんの歌、懐かしいです。

日々運動をしっかり続けられていて、すばらしいです! 空も季節も時刻も違うので、いつ歩いても違う風景に出会えること、わたしもありがたいなあと感じています。
Commented by tokotakikuh at 2020-11-17 15:21
自然が作り出す風景は
古今東西、世界を問わないですね
思わず・うっとり眺めました
シクラメンが、自然で咲くのでしょうか?
イイネ・・
Commented by milletti_naoko at 2020-11-19 19:37
zakkkanさん、日本のみごとな紅葉を、zakkkanさんのお写真で拝見して感嘆しています。自然に生まれてきた木々や花の紅葉もまた美しいなあと、森を歩きながら、つくづく思います。

こちらでは秋と春に自生のシクラメンが咲き、春咲きの花の方が色が鮮やかで、香りも高いと夫は言いますが、桜色の秋咲きのシクラメンもきれいです♪
Commented by Astrolabe66 at 2020-11-21 22:40
なおこさん、 こんにちは。

なおこさんのラヴェルナ修道院についての記事はとてもよかったです!私はトスカーナのピエンツァに住んでいるフランス人です。ピエンシャからラヴェルナまで車で1時間半ぐらいで行けますが、私はラヴェルナを全然知らなかったのです。

なおこさんの10月のブログ記事を読んで、初めてラヴェルナを知りました。それで、ロックダウンの2週間前にラヴェルナ修道院へ行って「Sentiero Natura」を散歩することにしました。カエデとブナはまだ葉を落としていなくて、赤や黄色い葉を持つ木々の中を歩きながら紅葉が楽しめました。ここは本当に私のお気に入りの散歩の場所になりましたよ。

なおこさん、ラヴェルナを紹介してくださって本当にありがとうございました!

なおこさんのブログを読むのはいつも楽しみです。それに日本語の勉強にも役に立ちます。
すみません、私の日本語はまだまだです。ブログで なおこさんはフランス語に興味があるということを読みました。なおこさんもフランス語の勉強を頑張ってください!

Frank
Commented by milletti_naoko at 2020-11-22 03:10
Astrolabe66さん、フランクさん、こんにちは。そして、ありがとうございます! 記事がお役に立って、ラヴェルナでの散歩を楽しんでくださったと知って、うれしいです。ピエンツァにお住まいなんですね。わたしたちが住むペルージャからも、ラヴェルナへは車で約1時間半なんですよ。

わたしたちも今年は、10月半ばから11月初めにかけて、ほぼ毎週、週末にラヴェルナの森を歩きました。フランクさんが歩かれたときに紅葉がきれいで、お気に入りの散歩場所になったとは、何よりです。秋や冬も狩りがないので、安心して歩けることもあり、年中よく訪ねるのですが、今年はしばらくの間は行けないのが残念です。こちらこそありがとうございます。ひょっとしたら、いつかお会いできる日が来るかもしれませんね。

なんとブログも読んでくださっているんですね。ありがとうございます。いえいえ、とても自然な文章を上手に書かれていますね。書かれていなかったら、日本の方だと思っていたと思います。わたしはもう長い間フランス語の勉強をさぼっているので、お恥ずかしいです。頑張ります!
by milletti_naoko | 2020-11-15 07:37 | Toscana | Comments(12)