イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

夕方に歩けば豚さんチンタ・セネーゼ、ペルージャ

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 ウンブリア州がオレンジゾーンになった今、仕事や健康上のやむなき理由でなければ、出かけられるのはペルージャ市内だけということで、今日は夕方、ペルージャの郊外を散歩しました。

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Perugia, Umbria 15/11/2020

 歩いたのは、義家族が以前長い間住んでいた家の近くで、かつて夫がよく歩いたという道です。

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 雲間からちょうど夕日が姿を現そうとしているところで、西の空がまばゆい光に包まれていました。

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 黒々と熟した実でいっぱいのオリーブの木があります。

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 黄色い葉がきれいなブドウの木が並んでいます。

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 道の右手に見えるテッツィオ山(Monte Tezio)も、夕日を浴びて、赤みがかった色をしています。

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 しばらく進んでから左に曲がり、長い坂道を登っていくと、赤いバラがきれいに咲いていました。

 夫によると、かつては高みからトラジメーノ湖が見える丘まで、自由に歩いていけたのに、今は金網が張りめぐらされていて行くことができず、そのために、以前に比べてかなり遠回りをしなければいけない上に、湖は見えないとのことです。

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 ようやく坂道を下り始めた頃、沈む夕日の光に照らされて、雲が桃色になり、きれいだなと思って歩いていたら、

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前方を進む夫の左手から、動物が飛び出し、後から後へと仲間が続いて、列になって道路を渡っていきます。

 ひょっとしてイノシシだったらどうしよう。子供連れの場合には気が立っている場合もあるしと思って、遠くから見ていたのですが、特徴ある黒と白のしま模様を見て、これはあの名高い豚、チンタ・セネーゼ(cinta senese)だと分かりました。

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 チンタ・セネーゼ は、古代エトルリア人や古代ローマ人も飼育していただろうと言われる古代品種の豚で、おいしく上質の豚肉で知られ、シエナの丘陵地帯で盛んに飼育されていたことから、シエナ(Siena)の形容詞であるセネーゼ(senese)という言葉を名に持っています。

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 このところ黄葉がきれいで、車窓から目を楽しませてくれているポプラも、かなり葉を落としています。

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 この後はしばらく、森の中を通る車道を歩きました。通る車が2台と少なかったのは、平日に採掘場から出てくる大型トラックが通る道だからだそうです。

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 長い間、道の両脇の木々で遮られていた視界が、ようやく開けました。

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 この近道を通っていこうと言う夫の後について、坂道を登っていくと、赤やオレンジの色をした実はきれいだったのですが、この後は鉄柵があって行き止まりになっていたため、坂道を下りました。

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Villa del Colle del Cardinale, Perugia, Umbria

 そうして、16世紀に枢機卿が建てた館の前を通り、さらに長い坂道を登り、時には銃声も響く中、オリーブの間を通って、

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ようやく車まで戻ったときには、もうかなり暗くなっていました。

 本当は、テッツィオ山を歩いて、トラジメーノ湖が見えるところまで歩こうと考えていたのですが、市内から外に出られない状況で、野外を歩こうというときに、同じことを考えた人が多いようで、かつて見たことがないような十数台の車が、本来の登山道の出発点よりもかなり下の広い駐車場にあり、登山道での混雑が予想されたため、人が少ないところをと、歩く場所を変更したのでした。

 車道ではありましたが、すれ違う人も通る車も少なく、風景も楽しめ、豚さんたちにも会えて、いい散歩ができました。

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:お気に入りの場所やお勧めスポット・お店を教えて!
Commented by 3841arischan at 2020-11-16 08:00
なおこさん、ウンブリア州がオレンジゾーンになり、市内から出られないのは残念なことですね!^^;
でも、普段は歩くことのない場所の再発見が有りますね!
今日の景色も、素晴らしいと思います(^^♪

日本でも、昔は、柵などなかったところでも、今は、張り巡らされているところは沢山有ると思います!不法投棄の問題が凄いからだと思うのです!大型の電気製品が有料引き取りになってから(ゴミの分別収集が行われるようになってから)が酷くなりました!イタリアでは、どうなんでしょう?
なおこさん達のように、ただ歩くために通る方にとっては不便になったことでしょう(>_<)
一部のこころない人のために・・・

豚さん、模様が可愛いですね♡日本だと黒豚がブランドです♡
Commented by yuki0901671 at 2020-11-16 08:43
おはようございます。

豚の放牧は珍しい光景ですね。
ヨーロッパらしい景色です。
スペインの田舎とやはり似ていると感じました。
Commented by nonkonogoro at 2020-11-16 09:05
特別な用事などがないと
市外に出られないのは 哀しいですね。
でも 市内でも
こんなに素敵な風景が広がっている道を
散策できるのは いいですね。

日本でも 感染者が増加していて
不安です。
Commented by Penta at 2020-11-16 11:06
これまで歩けていたのが、金網が張られてしまったという事は私有地だったんでしょうか。

羊の放牧で道路をふさいているのは、よく写真で見るんですが、豚がたくさん道路を渡っていくのは初めて見たんじゃないかと思います。

銃声というのは、何をしているんでしょうかね。
まさかマフィアだったりして、、、(笑)
Commented by mahoroba-diary at 2020-11-16 11:34
なおこさん、こんにちは。

素晴らしい光景!こういう景色はやはり長年お住まいの方でないとなかなかたどり着けないですネ。
16世紀に枢機卿が建てた館の景色に個人的にとても魅せられました。まさにこの地方の典型的な昔の館の風情ですね。内部はどうなっているのでしょう。なにか小説の舞台になりそうです。銃声が響く中っていうのも、この時期ならではですね。愛犬のブリーダーさんは狩猟をする人でもありました。ドイツ人の友人も猟を趣味にしていて、ジビエの季節には猪や鹿の肉をもらって、捌いたら中から散弾銃の弾が出てくるのがリアルでした。なおこさん本当に素晴らしい環境で生活されていらっしゃるのですね。私も来世生まれ変わったらイタリアに生まれたいです。笑
Commented by meife-no-shiawase at 2020-11-16 21:34
よく道を横切る動物などをテレビの番組で見たことがありますが
ブタちゃんは初めてです~!笑。
色々な大きさのがいますがだいたいが黒と肌色の二色なんですね。
トップを歩いているのは肌色がないような。
リーダーなのかな。笑。
美味しそうなんて言ったらブタちゃんが可哀想ですが
これだけのびのびと育っていたらいいですね~♪

銃声というのは狩りなどをしているのでしょうか?
まさにこれまた映画の中のシーンのようです。

イタリアもまた少し危機感があるようですが、
こんな風になおこさんがご主人さまと自然の中を楽しまれているのにはホッとします♡
Commented by cometsan1966 at 2020-11-16 22:57
広々と視界がずっと広がっていて・・散歩には気持ち良さそうな道ですね(*^^*)
夕日の時間には遠くに沈む夕日もその後の残照までも・・
たっぷり美しさを楽しめますね・・とても綺麗です(^^)/

あっ!!ブタさんが沢山横断しましたね・・なんか表現が
良くないですが美味しそうなブタさんでトンカツ食べたく
なりました・・あっ!この時間なので余計にそう思うのか
・・はたまた馬の私が食いしん坊なのか・・(^-^;あはは

仔馬の頃・・近所に何カ所も養豚場がありました・・
午後の決まった時間に田舎道をぞろぞろブタさんを歩かせて
豚舎を移動させるのですが・・よく追いかけられました(怖)
子連れのブタさん怖いです(@_@)汗汗汗
Commented by milletti_naoko at 2020-11-17 01:20
アリスさん、ありがとうございます。やむなく歩くことになった道ですが、夕焼けの空も、あちこちに紅葉が見える風景もきれいでした♪

残念ながら、わたしたちが歩いた場所も、不法投棄を禁じて、カメラも設けてあるという表示があるにも関わらず、捨てられているごみが、採掘場のトラックが通るという道路の右手にありました。なんと日本でもそんな不法投棄が問題になっているんですね!

この黒と白のしま模様で知られる豚なのですが、先頭の豚は黒一色だったので、はじめに目にしたときはイノシシかと思って、はらはらしました。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-17 01:25
yuki0901さん、こんばんは。山や郊外を歩くことが多いので、牛の放牧はよく見かけますし、馬や羊の放牧も見かけることが時々あるのですが、豚の放牧を見たのは、わたしも初めてです。

イノシシが野や田畑、道路を群れで横切るところは何度か見たことがあるので、一瞬どきりとしました。スペインでも豚が放牧されているんですね!
Commented by milletti_naoko at 2020-11-17 01:30
のんさん、わたしたちも、車で道を走っていて、目の前を馬や羊、牛、イノシシたちが通るのを見たことはあるのですが、豚の群れを見るのは初めてで、びっくりしました!

今はまだペルージャ市内であれば、せめてはこうして歩くことができるのが、ありがたいです。日本のニュースも、どうか感染が広がらぬよう、対策を政府がきちんと立てて取り組んでくれるよう、祈りながら追っています。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-17 02:01
Pentaさん、おそらくはかつても私有地で、地元の人が所有者だったのに、新しく土地を購入したよそから来た人が、金網を張ったのではないかと思います。

豚が道路を渡るのを見たのは、わたしも初めてです!

この時期は、火曜・金曜以外は狩猟が解禁なので、銃声はそのためです。こういう状況下でどうして許されるのかと不思議に思いはするのですけれども。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-17 02:15
まほろばさん、こんにちは。

ありがとうございます。どこか人の少ないところはないかと、行きづまって歩いたところですが、夕焼けの空と秋の風景がきれいで、歩けてよかったです♪ この枢機卿の館は、以前は特別な催しがあるときにしか入れなかったのが、最近では(現在は首相令により全国の他の博物館同様閉館なのですが)、日曜と祝日なら、料金を払えば訪問できるようになっています。内部の装飾もすばらしいので、いつか行きたいと思いつつ、日曜は大家族での昼食や食後の団欒があったり、どこかへ出かけたりで、いまだに行けずにいます。いつか行って、ご紹介できる日が早く来ますように。

まほろばさん、なんと狩りの獲物の肉もさばかれていたんですね! 先日もお義母さんが知人からもらったイノシシ肉を調理したのをいただいたところです。

イタリアには本当にたびたび旅行をされて、よい思い出を持たれているのだと、わたしも記事を拝読して、うれしく思いました♪
Commented by milletti_naoko at 2020-11-17 02:30
メイフェさん、わたしたちも、車で進む目の前を、牛や馬や羊、イノシシ、そうしてクジャクが通るのも見たことがあるのですが、豚ははじめてでびっくりしました! そうそう、このトップを歩いている豚が黒いので、最初に見たとき、イノシシかとはらはらしたんです。

そうなんです。銃声は狩猟をしていたからなんです。事故も時々聞く上に、暗くなっていたので、はらはらしながら車へと急ぎました。

ありがとうございます。またレッドゾーンになる州が他にあるようなのですが、少なくとも今は、市内なら出かけることができて、こちらの家族や友人も皆元気なので、ありがたいです。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-17 02:42
お馬さん、見晴らしもよくて、夕焼け空がきれいで、思いがけずいい散歩ができました♪

あらあらと思ったら、やはりこの時間帯はおなかをすかしていらっしゃるんですね! わたしもトンカツは大好きです。今週末は、土曜はカレー、日曜の昼はトンカツと、日本の料理(カレーも今は日本の料理の一つということで)が続きました。

なんとお子さんの頃ご近所に養豚場があって、豚が歩くのをご覧になったことがあるんですね! なるほど子連れは猪もこわいのですが、豚さんもこわいのですね。
Commented by tokotakikuh at 2020-11-17 15:24
広角ですね
私は、苦手としてますから
この広角の捉え方に、感動です
大自然を、雄大に・・素敵ですね

豚さんのファミリーが横断ですか
まるで、ニュージーランドの、羊の横断を思い出しました(笑)
Commented by ciao66 at 2020-11-17 20:17
遠くへ行けない代わりだったのでしょうが、ご近所散歩もいいですね!ご近所の美しい田園風景を拝見出来た感じがします。

オリーブやブドウの実った畑や、のびやかな田園、赤いテッツィオ山、坂道の夕暮れ、どれも素晴らしい光景です。

あらためてウンブリアはとても美しいところと思いました。
Commented by sunandshadows2020 at 2020-11-19 14:01
Dutch Belted という牛がなぜかとても好きで、豚さんの最初の写真を拝見した時もしかしてと思ってしまいました。やはり黒地に白ですが、牛はもっとはっきりした幅の広い白色でした。自由に歩き回れる豚さんたちは幸せな動物、ましてやそんなに景色の良い場所で!

こちらも規制は厳しくなるばかり、しかしそれでも感染者が減らない現実です。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-19 19:47
zakkkanさん、秋と夕日に色づく広大な風景の中を歩くことができて、うれしかったです♪

まさか豚に会えるとは思わなかったので、わたしもびっくりしました!
Commented by milletti_naoko at 2020-11-19 20:25
ciao66さん、ありがとうございます。こういう状況でもなければ、おそらく見ることがなかったであろう風景を、楽しみながら歩くことができました。

いつもの道路からちょっと横道に入っただけで、こんな風景が広がっているのだと驚きました。
Commented by milletti_naoko at 2020-11-19 20:39
お転婆シニアさん、お好きな牛さんではなかったのですが、愛嬌がある豚さんたちで、かわいらしかったです。実はこのあと、家に帰ろうと野を歩く豚さんたちを、その辺りにいた犬たちが吠えて追い立てたのですが、しばらくすると、戦士たちのように密集して、豚さんたちは再び野を通ろうとしていました。まあ、吠えはしていましたが、体は先頭の豚さんの方がよっぽど大きかったのです。

早く新政権にならないと、今のままでは効果的な対策が取れないのではないでしょうか。あまりの往生際の悪さが、国民の健康や命に関わってくるようでは困りますよね。
by milletti_naoko | 2020-11-16 07:46 | Umbria | Comments(20)