1.イタリア各地で洪水、土砂崩れの恐れ
例年、秋と冬は雨の日が多いのですが、イタリアでは少し大雨が降っただけで、洪水や土砂崩れが起こり、住民や旅行者が災害の被害に遭う可能性が高い地域が多い上に、こういうときは、一部地域で、停電や電車の運休、道路の通行止めがある場合もあります。現在、イタリア各地で、続く豪雨が、さまざまな被害を及ぼしています。秋から冬にかけては、こういう雨による災害の恐れが、今後もありかねませんので、今回は、現在の被害状況を、新聞記事からつかみとると同時に、皆さんが、旅行中などで天気や水害の情報を入手したいとき役に立つような、鍵になる言葉や表現を勉強しましょう。
今回の教材は、イタリアの新聞、ラ・スタンパ紙のオンライン記事です。
まずざっと読んで記事の概要をつかむには、(1) 見出し、(2) 副見出し、そして、(3) 記事の段落の冒頭にある小見出しに注目しましょう。それから、自分に関心のあることが書かれていそうな部分を読んでいけば、記事をすべて読まなくても、必要な情報だけを拾い出すことができます。順に見ていきましょう。
(1) 見出し
Maltempo, Toscana e Umbria allagate
A Grosseto uomo trovato morto in auto
tempoは、イタリア語では、「時・リズム」という意味だけではなく、「天候」という意味でも使われます。bel tempoは「晴天、いい天気」ですから、maltempoは、そうです、「悪天候」という意味です。allagatoは他動詞の過去分詞で、「水浸しになっている、洪水が起こっている」。1行目も2行目も、見出しを簡潔な表現にするために、主語と過去分詞を結ぶ動詞が省略されています。訳してみますね。
「悪天候のため、トスカーナ・ウンブリアで洪水
グロッセートで、車内に男性の遺体を発見」
(2) 副見出し
Famiglie evacuate, esondazioni di fiumi e torrenti. Treni fermi e disagi. Orbetello, donna in gravi condizioni
evacuareは、地震や洪水など、災害の際に「避難する」という意味の動詞です。esondazioneは「氾濫、洪水」。訳すと、
「(多くの)家族が避難、河川の氾濫、電車の運休で乗客に不都合。オルベテッロで女性が重態」
(3) 記事の段落の冒頭にある小見出し
(i) UN MORTO E UN FERITO GRAVE 「死者一名、重傷者一名」
(ii) ESONDAZIONI 「洪水(氾濫)」
(iii) EVACUAZIONI 「避難」
(iv) CHIUSE STRADE E FERROVIA 「道路の通行止めと電車の運休」
(v) ALLARME TEVERE, DOMANI PIENA 「テベレに警報、明日満水に」
(vi) I VIGILI DEL FUOCO 「消防士」
(vii) ROSSI CHIEDE L'ESERCITO 「(トスカーナ州長、)ロッシが軍隊(の援助)を要請」
こうして、まずは記事の要点を押さえたあとで、あとは、たとえば明日、ローマに行こうと考えていた場合は、(v)の段落を、自分が滞在している地域や旅行で行きたい先に、水害の恐れがないかどうかを調べたければ、(ii)の段落を、車や電車で旅行する予定があれば、(iv)の段落をといった具合に、自分に関心がある部分を中心に、辞書の助けを借りれば、イタリア語で、現在の洪水などの被害について、最新情報を知ることができます。予想では、ウンブリアとトスカーナの状況は、長く続いた雨も、明日中に降りやむので改善し、悪天候は、今度は南イタリアを襲うだろうということです。
ローマ、テベレ川とティベリーナ島 2016/5/7
maltempo「悪天候」、あるいはalluivione「洪水、氾濫」、frana「土砂崩れ」といった言葉と、自分に関心のある地域(州・県・市町村の名)を入れて検索し、さらに「最近1週間」に限定して調べると、自分が行こうと考えている場所に、洪水や土砂崩れの恐れがあるか、あるいは実際に起こっているか、道路や鉄道が影響を受けているかなどを、調べることができますので、参考にしてください。現時点で、洪水の恐れがあったり、実際に被害が出たりしている場所は多いのですが、その中で、日本から観光客の方が行かれるかもしれない場所では、たとえば、ローマにテベレの満水、氾濫の可能性があり、オルヴィエート、カッラーラでは、すでに洪水が起こっています。ベネチアのアックア・アルタ(l'acqua alta)は日本でもニュースになっているようですが、例年になく水位が高く、一昨日など、町全体の70パーセントが水の下(sotto l'acqua)になってしまったとのことです。(マレンマやグロッセートなどの海辺の町を、今の季節に訪ねる日本の方もいないと思いますし、他の町も、観光で訪れる方も少ないと思うので割愛します。)
二大有力紙、la Repubblica紙とCorriere della Sera紙の方が、オンライン記事での今回の悪天候の被害の情報は詳しいのですが、細部に行きわたりすぎて、概要をつかむのは難しいので、今回は、ラ・スタンパ紙の記事を、教材に使いました。より詳しい情報を知りたい方は、以下のリンク先の記事を参考にしてください。リンク先の記事にも、さらに関連記事へのリンクがたくさん貼られています。
「水害」に関する記事なので、どちらの見出しにも、acqua「水」という言葉が出てきます。傍線部はそれぞれ、「ベネチアでは水の高さが1メートル半に達する」(toccare到達する、届く)、「自動車が水に押し倒される(押し流される)」(この見出しでも、述語動詞が省略されています)という意味です。
イタリア各地のより詳しい天気予報の調べ方は、次の記事を参考にしてください。
2.聖マルティーノの詩と風習、ポルチーニ狩り、オリーブの収穫
昨日、11月11日は、San Martino、聖マルティーノを記念する日でした。イタリアでは、できたての新ワイン(novello, vino novello)と焼き栗を味わって、この日を祝う風習があるそうです。次の映像では、イタリアの詩人、カルドゥッチ(Carducci)の詩、『San Martino』を紹介しています。
詩の言葉と共に、朗読音声が流れ、しかも、詩で歌われている状況を、映像でも表現してあるので、詩を鑑賞するにも、イタリア語の学習教材としても、よくできていると思います。
詩の内容については、次のブログの記事を参考にしてください。いくつかの言葉や表現については、説明もあります。
* 記事がいいなと思ったら、励みになりますので、二つのブログランキングへの応援クリックをお願いします。クリックすると、イタリア情報を語ったブログの一覧表が現れます。
メルマガとブログで、紹介しているYouTubeの映像が違うのは、メルマガでは、流れる詩の言葉が読みやすく、朗読音声が聞きやすいものを、ブログでは、映像が、詩に描かれた情景をよりよく再現してある(とわたしが思う)ものを選んだからです。
ペルージャでは雨の降る寒い日が多くなり、畑の夏野菜も終わりに近づき、オリーブの収穫が始まりました。興味のある方は、次の記事もご覧ください。
最近になって、ようやくフランス語の勉強を再開した。学習の秋、少しずつ少しずつ、手をかけただけ、苦労をしただけ、外国語も、自分のものになっていきます。お互いに頑張りましょう!Articolo scritto da Naoko Ishii
↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)