イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

一面の水仙と選択の迷いとカレンダー注文

 人間は選ばざるを得ないという業を負っているというサルトルの言葉を哲学の授業で聞き、「選択ができるということは、決して恩恵ではない。なぜなら、一見選ぶ自由があるように見えるけれども、実は選択肢が無限にあるわけではなく、限られた選択肢の中から選ぶことを強いられるからなのだ」という背景にある論理を聞いて、なるほどと思ったのは、今から17、8年前、ペルージャ外国人大学のイタリア語・イタリア文化講座を、生徒として受講していたときの話です。

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Castelluccio di Norcia, Norcia (PG), Umbria 18/5/2020

 今年の5月、カステッルッチョの高原で見た一面に咲く自生のスイセンが咲く風景を背景に、

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夫がわたしを撮ってくれていた写真が、夫が写した数少ない写真の中にあって、幸い、来年のカレンダーの1枚として、この写真を選ぶには、ほとんど迷う必要がありませんでした。

 苦労しながら13枚の写真を選び、壁かけの大きいカレンダーについては、すでに形ができあがっていたのに、まだ注文せずにいたのは、これまでよりも大きくなり正方形になった卓上カレンダーを、同じサイトで注文すべきかどうか悩んでいたからです。前回の記事を書いたあと、同じ業者の日本のサイトからは今でも以前と同じように長方形の小さめの卓上カレンダーが注文できることを知ったので、オンラインチャットで、イタリアからでも以前と同じ長方形の卓上カレンダーを注文できるかどうか尋ねました。すると、「残念ながらそれはできませんが、ご希望は担当者に伝えておきます」とのことでした。

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 卓上カレンダーもその同じ業者のサイトで、わたしの分だけを作って注文することに決めたのは、2、3日前です。けれども、そうして決めたあとになっても、「夫が自分の分は今回はいらないと言うのだから、わたしのために一つだけ作るよりも、今は自由に旅行をしたり会ったりするのが難しいときなので、友人たちと巡礼の旅や休みの日を共にしたときの写真を選んでカレンダーを作って、皆への贈り物にしようか」という考えもあって、そのための写真を探しかけてもいました。けれども、全員が写っている写真を探し出すのは難しく、またかなりの時間がかかってしまうことを考え、さらに、次回会えるときまでには、それぞれすでに来年のカレンダーは持っているだろうし好みもあろう」と、今日の午後、学校に提出すべき書類をすべて出し終えたあとに決心し、夕方からまた卓上カレンダー作成の続きに取りかかり、真夜中頃になってようやく完成させて、注文することができました。

 すでに使う写真が決まっていたと言うのに、なぜそんなに時間がかかったのかと言うと、まずは、これまでであれば、すでに他のカレンダーを作るためにアップロードした写真を、新しいカレンダー作りのために使うことができたのに、今回はそれができなかったためです。

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 さらに、今までと違って、選べるカレンダーのデザインの数がかなり限られている一方で、いったんこのデザインのカレンダーにすると決めたあとも、今回は各月の背景を、そのデザインのカレンダー自身の他の月の背景に変えることができる上に、

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模様のない色だけの様々な色の背景や、花の写真や絵がある背景、また、空や海辺の写真の背景など、かなり多数の中から、自由に選ぶことができるようになっていました。最初は、選んだカレンダーのデザインに属する背景の中から、よさそうな色を選ぼうとしたのですが、色を自由に変えられるからと言って、写真に合いそうな、写真を引き立てそうな色の背景を選んでいくと、似たような色や同じ色ばかりが重なってしまいます。これはいけないと、いろいろな色を試した挙げ句、あまりにも同じ色が重なったり続いたりしてしまう場合や、このデザインそのものの背景にはいい色がない場合には、こんなふうに、花の写真や絵の背景を使ってみることにしました。

 カステッルッチョでヒナゲシが咲くのは6月半ばから7月にかけではあるのですが、平地では4月にはヒナゲシが咲いているからいいだろうと、悩み迷った末に、この水仙が咲く高原の背景を選びました。背景だけではなくて、APRILE「4月」という月名の色まで変えることができるので、さらに選択と作業に時間がかかります。

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 その上、壁かけカレンダーでは、デザインでは写真1枚しか載せられないことになっていても、複数の写真を載せたい場合には、希望の枚数を入力すれば、カレンダーの作成画面で直接コラージュを作っていくことができたのに、卓上カレンダーではそれができません。そのため、Macパソコンで使える無料の写真コラージュ作成アプリケーション、CollageFactoryを使って、まずコラージュを作成してから、そうして作った写真をカレンダー作成画面ページにアップロードしなければならず、その手間もかかりました。

 と言うわけで、選択肢がありすぎるがゆえに、そして、その選択肢に、これだという決め手となるものがなかなか見つからないがゆえに、時間がかかってしまいましたが、今夜はずっと滞っていたカレンダーの注文を終えることができて、ほっとしました。できれば、日本語の個人授業の教え子たちが見て楽しみ、学べるようなカレンダーも作って、いっしょに注文してクリスマスに贈りたいとも考えたのですが、いつまた対面授業ができるか分からない上に、皆のレベルがあまりにも異なっているので、作るのも難しく、またその作成をしているうちに、割引でカレンダーを注文できる期間が過ぎてしまう恐れがあるからと、今夜のうちに注文してしまいました。

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 ただ、今回ここまで待ってよかったと思ったのは、確か昨日かおとといまでは、カレンダーが5割引だったのに、今日になったら、得意客だけか全員対象かは分からないのですが、ブラックフライデーで6割引になっていたので、かなり安く購入することができたことです。

 来年はこの手帳を日本から取り寄せたいと決めた手帳があったのに、せっかくなので、他にどの本を注文しようかと悩んでいるうちに、手帳も、本当にこの手帳がいいのだろうかという迷いが出てきたりしています。しっかりと考えることは必要ですが、必要な決断はできるだけ早く下して、するべきことを一つひとつきちんと片づけていくよう心がけていくつもりです。

関連記事へのリンク
- ゆく年に感謝し作るカレンダー (2020/11/17)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by u831203 at 2020-11-28 11:47
雄大な山を背景に スイセンの花に囲まれて佇むなおこさん
素晴らしい写真ですね
カレンダーにどれを選ぶかって? もちろんこの写真をスイセンいたします masa
Commented by nonkonogoro at 2020-11-28 13:03
水仙の咲いている原で
ぽつんと一人 naokoさん
とっても 素敵な構図ですね~!(^^)!

私達夫婦も写真好きですが
なかなか 自分のお気に入りとなる写真は
撮れませんよね~

カレンダーは
まだ数か所から 頂けるので うれしいです。
卓上のも便利ですよね。

スケジュールを書き込む大きなカレンダーだけは
購入して 電話の横にかけています。
今では ほとんど固定電話は使用しませんけどね~
なんとなく カレンダーの定位置となっています。

Commented by tokotakikuh at 2020-11-28 15:56
水仙によく似た「ナリシス」をドイツとスイスの国境近くの島へ見に行った時を思いだしました
日本では水仙は1月から咲き始めますが
ヨーロッパでは春なんですよ
「ナリシスト」なんて言葉から、この花な名前が付いたと
らしいと、説明を受けましたが
一面の白い群生は、圧巻でした

素敵なカレンダーになりましたね
撮影されたご主人様は、花も撮りたし
貴女も撮りたし、の結晶ですね(笑)
素敵です・・
手作りのカレンダーは、想い出を呼び覚ますものなんでしょうね
いいわね・・素敵です
単に、曜日や、日にちをみるだけのためではない
その一枚の重みを感じます
Commented at 2020-11-28 22:44
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by cometsan1966 at 2020-11-28 23:31
自由を満喫するかのように思うがままに選択をして生きる事は
できないですよね・・いろんなしがらみや事情やその時の状況
が足かせになり・・選択肢はどんどん少なくなり・・実は殆ど選択
の余地がなかったりしますよね。。(@_@)。。一人じゃ生きられない
のでそれもまた仕方のない事ですかね(^-^;汗

カレンダー作成お疲れ様でした!。。。とても素敵な思い出の
写真で作るカレンダーって1年間見るたびに気持ちが安らぐ
でしょうね(*^^*)・・スイセンの写真とても素敵ですね☆

6割引きは安いですね(^-^;ふふふ・・待って良かったですね!
Commented by ムームー at 2020-11-29 06:35 x
なおこさん
おはようございます
カレンダー作るって最高の事ですねぇ
色々な思い出が蘇りますね
選ぶ楽しみ迷いもありますでしょう、それが
なおこさんの言葉のひとつひとつから
なるほどって思います
だんだん、面倒って思うことが多くなった今、
言葉を噛みしめています
Commented by yuki0901671 at 2020-11-29 08:41
おはようございます。

とっても素敵なカレンダーですね。
自分の撮った写真をカレンダーにするのもありですね。
Commented by meife-no-shiawase at 2020-11-29 13:36
先日のアルバム作成のブログの際にも見せていただきましたが
やはり何度拝見しても素敵な一枚ですね~♡

なるほど。
冒頭の「人間は選ばざるを得ないという業を負っている」の意味がよくわかりました。
選択できる自由があると思いがちですが、限られた中から選ぶのはある意味きついときがありますね。
どれも良くて♪笑。

手帳、私も毎年かなり迷います。
だいたい選ぶのは同じようになってきてはいるのですが
この時期文具店から出られません。
今年は日本に帰れず手帳をどうしようかと悩んでいます。

カレンダー。素敵なのができそうで楽しみですね♡
Commented by milletti_naoko at 2020-12-02 00:27
masaさん、ありがとうございます。今回は夫の撮った写真も使えたおかげで、いい写真が見つかりました♪ 一面の水仙がきれいで、感動しました。
スイセンのお言葉、ありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2020-12-02 00:43
のんさん、ありがとうございます。夫が一眼カメラを運んで写真を撮ることはまれなのですが、やはり、これはいいなあと思う写真があり、わたしも
写してくれている写真があるので、ありがたいです。

日本ではいろいろな店や業者から贈られるカレンダーに、すてきなものも多いのでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2020-12-02 02:27
zakkkanさんも、よく似た一面の花をヨーロッパの島でご覧になったんですね! 日本ではそんなに早く咲き始めるとは驚きました。中学校か高校の英語の教科書に、ギリシャ神話の花の名の由来となる、泉に映る自分の姿に恋をする美少年の話があったのですが、今調べると、花の名の由来には諸説あるようですね。

ありがとうございます。夫はカメラはめったに運ばないのですが、風景をきれいに撮って、さりげなくわたしも入れてくれて助かりました。
Commented by milletti_naoko at 2020-12-02 02:33
鍵コメントの方、こんばんは。お役に立てていると知って、うれしいです。

今朝、メールの方にいただいたお返事に、またこちらからお返事いたしましたので、お時間のあるときにご覧くださいませ。
こちらこそよろしくお願いします。
Commented by milletti_naoko at 2020-12-02 02:42
お馬さん、人生はしがらみもあれば、選びようのない選択肢もまたありますよね。哲学の授業でこの言葉を聞いたとき、なるほど確かにそうだなあと思いました。

ありがとうございます。今回はこれまでとは卓上カレンダーの型と大きさも、入力の仕方や選べるデザインもかなり変わっていたので、とまどって時間がかかりましたが、大仕事を終えてほっとしています。撮る写真の数があまりにも多いので、全部に目を通すのではなく、写真アプリが夫の顔写真として認識する写真の検索や、このときに二人で撮った写真があったはずという記憶から写真を選びました。最近、World Voiceの記事を書くために別の写真を探していて、実は他にもよさそうな写真はあったことに気づいたのですが、いつかはキリをつけなければいけませんので、よしということにしておきます。

お馬さんはご自分がお客さんのカレンダー作成にも携われたので、労力などもご存じなのですよね。お言葉、温かいです。

5割引が終わるまでに注文しようと焦っていたら、6割引の案内がきて驚きました。そうして助かりました♪
Commented by milletti_naoko at 2020-12-02 02:58
ムームーさん、こんばんは。

写真を選んで、デザインを選んで、時間と手間はかかりますが、受け取ったとき、そうして1年間、思い出のできごとや風景を見て懐かしむことができるカレンダーは、これからもできる限り作っていきたいなと考えています。

こちらこそ温かいお言葉をありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2020-12-02 03:13
yuki0901さん、こんばんは。

ありがとうございます。あんなところに行ったな、こんなこともあったなあと、懐かしみながら写真を選びました♪
Commented by milletti_naoko at 2020-12-02 03:29
メイフェさん、ありがとうございます。一面の水仙に感動した、その瞬間をそのまま写真で切り取ったようで、お気に入りです♪

この言葉、「業を負っている」と訳した部分のイタリア語は、裁判の結果どういう罪を負うことになったかと言うときによく使う言葉なので、それだけ選択というのは重い行為だということを言わんとしているのだろうと思いました。

メイフェさんもやはり手帳は迷われるんですね! 以前はお気に入りの一冊があったのですが、最近やはり暮らしや仕事が変わったからか、使ってみてはこれは今ひとつという結論に達して、新たな一冊を探すということが続いています。何より、家計の記録が続かないのが問題なので、この記録をうまく、メモとして残すことだけでも続けられる手帳を最優先に、来年用は選ぶつもりでいます。手帳と分けてしまうと続かないし、空白の紙面が多くてもったいないような気もするものですから。

そうなんですよね。やっぱり手帳は、日本のものがいろんなことをよく考えたいいものがいろいろあって、慣れているせいもあるのでしょうが、いいなあと思います。ありがとうございます。今月半ばには届く新しいカレンダー、今から楽しみです♪
by milletti_naoko | 2020-11-28 10:21 | Umbria | Comments(16)