イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

イタリア語学習メルマガ第126号「どうなる今年のクリスマス、イタリア映画祭2020 おすすめ映画」

1.どうなる今年のクリスマス はらはら首相令と可能性を表す表現


  12月4日から効力を発するクリスマスの時期に何ができて何ができないかを規定する首相令(Decreto del presidente del Consiglio dei ministri、略称Dpcm)は前日である明日、12月3日に発令が予定されています。

 けれども、感染のこれ以上の拡大を食い止めるための厳しい規制の必要と、経営の危機に苦しむ商店やレストランなどがクリスマスを前にせめては収益を上げ、遠方に暮らす家族たちが会えるようにという要望など、考慮すべきことは多く、厳しい路線を通そうとする政府や感染症危機対策にのために設けられた技術科学委員会(Comitato Tecnico Scientifico、CTS)と、経済活性化のために規制のさらなる緩和をと訴える州や野党などとの間での討議が長引き、ニュースや新聞ではかなり前からその方針や詳細の情報が告げられていたものの、日を追うたびに、また、1日の間でも時間が経つごとに、予想として報道される首相令の内容が違ってくるので、はらはらしながら、ニュースなどの情報を追っている状況です。



 ひょっとしたら今日、12月2日中に発表があるかもしれないと言われていた首相令は、午後7時のニュースで、このあと閣議(Consiglio dei Minstri)にかけられるとあり、イタリア政府のサイトを見ると、閣議は午後9時からとのことなので、イタリア時間午後9時半の現在は、その閣議の最中です。オンラインニュースの中には、発表は明日、12月3日になる可能性もあるとするものもあります。

 刻一刻と変わる情報に、まるでサスペンスのようにはらはらしてしまうのは、今後1か月に何ができるか、できないかが、この首相令によって明らかになるからです。

 例えば、

外国旅行(viagi all’estero)異なる州の間での(tra regioni)移動など、移動(spostamenti)はどこまで可能になるのか。

クリスマス(Natale)昼食(pranzo)夕食(cena)は誰と、そして、何人までいっしょに同席できるのか。バール(bar)レストラン(ristorante)は営業できるのか、閉店(chiusura)か。開けられるとしたら何時までか。ミサ(Messa)の時間はどうか。12月26日と元旦(Capodanno)についてはどうか。

スキー施設(impianti da sci, impianti sciistici)山岳地帯のホテル(alberghi di montagna)は営業できるのか。

 さあ、こうしてイタリア中で固唾を呑んで待たれている首相令の内容がどんなものとなるか、今夜午後7時の時点で、どう放映されていたかを聞いてみましょう。焦点となるキーワードが、ニュース映像に文字として書かれている上に、すでにここまでの記事でご紹介していますから、初級の方でも聞き取れる言葉があるのではないかと思います。



 まだはっきりと決まっていない段階での情報でもありますし、今回は上のニュースのうち、20秒目から34秒目まで(0:20-0:34)何度か視聴してみましょう。上級の人は、何と言っているか、紙に書き取ってみましょう。

 テレビニュースでは聴きやすく意味が伝わりやすいように、文が長く構文が複雑になりがちである上、語彙も難しいので、文と意訳をご紹介します。

“L’obiettivo è disincentivare a viaggiare all’estero, dopo bisognerà mettersi in quarantena e limitare gli spostamenti fra regioni pure quelle in fascia gialla che potrebbero chiudere i confini fra venerdì 18 e lunedì 21 dicembre per riaprirli domenica 10 o venerdì 15 gennaio.”

 「目的は、外国への旅行を避ける方向に持っていくことで、外国旅行後は自主隔離しなければならず、また、異なる州の間での移動を制限することでもあり、この移動制限はイエローゾーンの州にも適用され、イエローゾーンの州でも12月18日金曜日から12月21日月曜日の間に州境が閉ざされ、1月10日土曜日または1月15日金曜日に州境が再開されるかもしれません。」(「  」内は石井訳)

 上の文中のpureはancheと同義で、「…もまた、同様に」とう意味で使われています。またpotrebberoは「…かもしれない」という可能性を表す補助動詞potereの条件法現在で、条件法現在という法・時制もまた婉曲・可能性を示し、potrebbero chiudere i confini「州境を閉ざすかもしれない」と、まだ首相令の内容が確定していないため、あくまで推測・可能性であることを、こうした補助動詞や法・時制で表現しています。

 イタリアのテレビニュースTG3は、市民の関心が高いニュース映像を、そのニュースを要約する文と共に、ツイートで伝えていますので、上級の人には、音声と文字情報を合わせて、イタリア語を学習するための教材として、大いに活用できることと思います。TG 3のツイッターアカウントはこちらです。

 イエローゾーンについては、次の記事をご参照ください。


 ちなみに、現在はウンブリア州はオレンジゾーンであり、他の州もゾーンが変わっているのですが、まもなくまたゾーンが変わる州があり、在イタリア日本大使館の詳細な説明を引用しても、張ったリンクがすぐに無効となる可能性があるため、上の記事をご紹介しています。現時点で各州が属するゾーンについては、イタリア政府サイトのこちらのページをご覧ください。

 そうして、上のニュースがひどく難しいと思った方は、どうかご心配なさらずに。  同じ情報が、冒頭で引用したコッリエーレ・デッラ・セーラ紙のリンク先の図をご覧になると、色や絵と比較的やさしい表現を使って、分かりやすくまとめてあります。興味のある方は、ぜひ辞書を片手に、学校(la scuola)旅行(i viaggi)などについて、どういう規制となると予想されているかを読み解いてみましょう。



2.イタリア映画祭2020 おすすめ映画


 現在、日本ではイタリア映画祭2020が開催中で、12月20日(日)23:59まで、オンラインで、家にいながらにしてイタリア映画に親しめるいい機会です。

 日本国内でのみ視聴可能で、海外からは視聴できないのですが、なんと全29作品を日本語字幕付きで視聴できるとのことです。作品一覧や紹介・料金・視聴方法・視聴推奨環境については、次のページをご覧ください。

↑ 料金・視聴方法などの詳細な説明は、ページの一番下にあります。

 中でもおすすめは、上記ページでも一番の人気作品となっている『幸運の女神』です。



 もう一つ、わたし自身は独創性と奇想天外な展開に感心したものの、特に感動はしなかった映画で、けれども友人のイタリア人女性たちには人気があった映画も、今回オンラインで視聴が可能です。映画祭での邦題は『ルチアの恩寵』となっていて、こちらは視聴可能な人数に制限があります。興味がおありの方はお早めにご覧ください。




3.イタリア 新型コロナウイルス関連記事リンクほか


 最後に、最近書いたブログ記事およびニューズウィーク日本版姉妹サイトWorld Voiceでの連載記事の中からいくつかご紹介します。よろしかったら、ぜひお読みください。


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 どうか皆さん、くれぐれもお体を大切に、お元気でお過ごしください。健康もイタリア語学習も、いえ、何事も一つひとつの小さなことの積み重ねと継続だと思います。残り少ないこの1年、お互いに少しでも充実した、そして日々楽しみのあるものとしていくことができますように。

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by 3841arischan at 2020-12-03 10:04
なおこさん、イタリア映画祭のお薦め映画ありがとうございます(^^♪
日本も、そちらほどではににしても、かなり感染が拡大傾向にあり、私の地元でも警戒しているようです^^;
なので、なるべくお家で過ごすのが安全なクリスマスかな?
なんて思います(^^♪
どうしたら視聴出来るのか?私はわからないので調べて見ようと思います(^-^)
Commented by milletti_naoko at 2020-12-03 10:17
アリスさん、さっそく読んでくださってありがとうございます。

記事本文にもあるのですが、次のリンク先のイタリア映画祭2000の公式ページから、何か登録等する必要はあると思うのですが、視聴ができるはず、あるいは説明があるのではないかと思います。ご覧になったら、ぜひご感想をお聞かせください。

・イタリア映画祭2000公式サイト - オンライン配信 - 料金・視聴方法
https://www.asahi.com/italia/2020/online.html
↑ 詳細な説明はページの一番下にあります。

 今夜はもう遅いのですが、アリスさんのコメントを参考に、記事にもはっきりと分かるように、明日にでもリンクをもっと分かりやすい形で添えるために書き直そうと考えています。ありがとうございます。
Commented by meife-no-shiawase at 2020-12-03 19:23
ニュース。
イタリア語は全然わかりませんが聴いてみました。
でもすごくわかりやすくまとまっているような印象です。
これはイタリア語の普通の速度ですか?
ものすご~く早口に聞こえました。
リストランテ・・・この単語だけわかりました!

色々な規制を決めるのは本当に苦渋の決断であったりしますね。
クリスマスは皆さん、ご家族やお仲間と過ごしたいでしょうし
お店も普段であれば一番、かきいれ時であったりするはずですから・・・。

でもニュースを拝見しているかぎりではかなり皆さん、マスクをしていますね。
ひとりひとりの努力で、大切な人との時間が削られないようにしたいものです。
Commented by cometsan1966 at 2020-12-03 22:17
クリスマスは特に重要な意味があるそちらなんですね☆彡
日本ではもう本当に子どもとケーキとチキンとプレゼント。
恋人たち。仲間とパーティー。そんな感じですもんね。。
そこにキリストの宗教感はごく一部の方達ですね(^-^;

首相令が今後の1カ月を大きく左右するとは・・それは
本当に気になるところですよね。。やはり外国旅行後は
自主隔離なんですね・・イエローゾーン州では州境が閉ざされる
とは徹底していますね(@_@)
効果が上がり感染の勢いが大きくそがれる事を期待したいですね!

イタリア映画祭2020・・良い情報をありがとうございます!とても興味深いです・・夜のんびりイタリア映画も良いですね☆彡
Commented by tokotakikuh at 2020-12-04 14:40
この世界遺産級の、建物の中で
恐らく、祈りがささげられているでしょうね
数の拡散が収まらないヨーロッパ
その数に、いささか脅威を忘れている日本

いよいよ、冬本番
ウィルスが活発になる季節です
もう一度、今年の早春からを思い出し
どうすることが?ですね

貴女も、気をしっかり引き締めて
お身体を大切に、12月をお過ごしくださいね

素晴らしい画像をありがとうございます
Commented by milletti_naoko at 2020-12-04 23:58
メイフェさん、ご多忙の中、なんとニュースも聞いてくださったんですね! ありがとうございます。おっしゃるように、速度はかなり速いです。ニュースはイタリアでも日本と同じで、決まった時間にできるだけ多くのニュース、情報を伝えようとするので、かなり早口になりがちです。

昨晩ようやく首相の記者会見で、今回決定した首相令の詳細の発表がありました。今日のニュースでは今回の規制に80%が賛成だという調査結果にも言及していました。反対派の声ばかりが声高に取り上げられがちですが、医療機関でもまだ大変な状況である地域も多く、昨日は千人近くもの死者が出ていますし、医療関係者で亡くなる人が相次ぐ状況ですから、やはり厳しい規制が必要だと思いますし、もっと厳しい規制が必要という声も、特に医療関係者からは上がっているのです。

クリスマス期間中は移動できないものの、そのあとや前には移動が可能です。どうかできるだけ全土でのロックダウンは避けたいという国の意図を一人ひとりの市民が汲んで、少しでも早く感染を食い止めていくことができますように。
Commented by milletti_naoko at 2020-12-05 00:17
お馬さん、イタリアのクリスマスは、多くのカトリック教徒にとっては、イエス・キリストの生誕を祝ってミサに行き、敬虔に過ごす日で、そういう意味ではむしろ日本の元旦にあたるといえるかと思います。とは言え、イタリアでも最近は、クリスマスが贈り物に食事など商業的風習化するきらいがあって、先日も教皇から戒めの言葉がありました。

気になる首相令、昨夜発表がありました。規制は予想よりも厳しいものの、今が肝心というところで感染を拡大させないためには必要な措置だと思います。ウンブリア州が今日からイエローゾーンになってくれればという希望はかなえられませんでしたが、ひょっとしたら日曜からと地方ニュースでは伝えていて、早ければ今日さっそく発表があるとのことで、これも気にしながら待っています。効果が上がること、一人ひとりが気をつけて過ごすことを願っています。

どういたしまして。お役に立てたようでうれしいです♪
Commented by milletti_naoko at 2020-12-05 01:11
zakkkanさん、昨年は千人近い死者がイタリアでは出たというのに、そうして、まだ医療機関が逼迫している地域があるというのに、昨晩発表になった規制が厳しすぎるという声が、イタリアでは各方面から上がっていました。まだまだ感染に油断ができないというのに、数に慣れてしまった人もいるようで心配です。それでも8割方の人は政府の規制に賛成という調査結果らしく、ほっとしました。

すばらしい紅葉と寺社の風景をたくさん贈ってくださったzakkkanさんからのありがたいお言葉、こちらこそありがとうございます。

zakkkanさんも、どうかお体を大切にお過ごしくださいね。
by milletti_naoko | 2020-12-03 09:29 | Covid-19 Italia | Comments(8)