イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ラヴェルナの冬の森 修道院のミサとプレゼーペ

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 今日は久しぶりに、ラヴェルナの修道院を頂く岩壁を取り囲む森を歩いて、修道院へと向かいました。

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Santuario della Verna, Chiusi della Verna (AR), Toscana 20/12/2020

 1か月半の間に、木々がきっぱりと葉を落として裸となり、おかげで、ふだんは木に隠れて見えない十字架も、岩壁の下から見ることができました。(上の写真の右上)

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 朝、ペルージャのうちは深い霧に包まれていて、道中も、ウンブリア州では、特に低地やテベレ川近くで霧が立ち込める場所が多かったのですが、ラヴェルナの上には青空が広がっています。

 冒頭の写真を撮影した野原からは、間に霧が立ち込める青い山並みも見えていました。

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 切り立つ断崖の下を通るトレッキングコースを歩いていきます。

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 緑の苔むす岩、そして、敷きつめられた落ち葉の上に、横に長く伸びて縞模様を描く影がきれいです。

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 ぬかるみの多い森を通り抜けて、見晴らしのいい場所に出ると、遠くの山の上に雪が積もっています。

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 前回ラヴェルの森を歩いたのは11月6日で、次に来られるのは1月7日以降となることが分かっているため、夫もわたしもそれぞれ自分の好きな道を歩き、途中からまたいっしょに歩きました。

 11月11日から、わたしたちが暮らすウンブリア州も、ラヴェルナがあるトスカーナ州もオレンジゾーンになってしまって、自らの住む市町村の外には出られなくなりました。12月6日にはウンブリアはイエローゾーンになったのですが、ラヴェルナのあるトスカーナ州は、12月6日にはレッドゾーンからオレンジゾーンになり、イエローゾーンとなって行けるようになったのは、ようやく今日、12月20日になってのことだったのです。しかも明日12月21日から1月6日までは、12月3日の首相令ですでに、州境を越えての移動ができないことになっています。

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 夫に言われて、ブナの木の向こうから、こちらをじっと見つめている黒猫がいることに気づきました。鳴き声をまねたり、口笛を吹いたりして呼び寄せようとするのですが、日当たりのいい場所を動きたくないからか、見知らぬ相手には近づかないことにしているのか、動こうとする気配がありません。

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 土産物屋で、クリスマスの贈り物にいいものがあるかどうか見てみようと考えていたのですが、今日の午後4時からのミサにはラヴェルナで働く人々すべてが参列することになっているので店が閉まってしまうとのことで、わたしたちも店を出て教会に行き、ミサに参加しました。

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 祭壇の右手に、幼子イエスの生誕場面を再現するプレゼーペ(Presepe)が飾られています。幼子イエスは、24日の夜のミサの際に、現れるはずです。

 ミサの説教では、受胎告知を告げる天使がマリアに「神はあなたと共にいます」と伝えたという言葉を機に、聖母マリアだけではなく、神はわたしたち一人ひとりと共にいるのです、そうして、救世主は、豪華な館ではなく、寒さと貧しさの中で生まれてきたのであり、そういう状況でも、また今のように希望が見えにくい状況であっても、いえ、そういうときこそ、神はあなた方と、わたしたちと共にいてくださるのですという話があり、心に響きました。

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 ミサの後、外に出ると、もう日が沈んでいて、たそがれの空の下、地平線近くにはまだ茜色が残っています。

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 空の高みには月も見えて、まだ空が明るいので、夫に教えてもらわないと位置が分からなかったのですが、土星と木星も、かろうじて見ることができました。

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 山と山の間には、夕暮れどきにも霧がかかっています。

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 しばらく夕景と眺めを楽しみ、写真を撮ってから、暗くなりすぎないうちに、石畳の参詣路を歩いて下ろうと、ラヴェルナ修道院の境内を後にしました。

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 参詣路にもプレゼーペが飾られていて、帰り道には明かりもともっていました。

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 駐車場まで戻った頃には、空も暗くなり、土星と木星がはっきりと見えました。

 1日だけでも、クリスマス前にラヴェルナ修道院を訪ね、森を歩くことができて、うれしかったです。

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Verso l'inverno le Foreste Sacre della Verna,
verso il Natale il Santuario della Verna,
dopo la messa, dopo il tramonto
nel cielo la luna crescente, Saturno e Giove.
Chiusi della Verna (AR), Toscana 20/12/2020
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:お気に入りの場所やお勧めスポット・お店を教えて!
Commented by nonkonogoro at 2020-12-21 08:45
土星と木星が
ちゃんと観察できて 良かったですね。
私は視力が悪いので 見えないかも。。。

コロナ規制の合間に
ラヴェルナ修道院を訪れることができて
良かったですね。

Commented by haikutarou at 2020-12-21 09:06
こんにちは
いつも駆け足で画像を追いかけだけの訪問でごめんんなさい。
当たり前ですが、イタリアも日本と同じくらいの国土だと思いますが大自然と歴史の豊富さに認識を一変させられた一年でした。私の中のイタリアは映画「ゴッドファーザー」と塩野七生さんのローマ時代だけでしたので新鮮でした。

2020年はコロナで大変な年でしたが新し年はコロナウイリスも収まり元の生活が戻るものと思います。
良い新年をお迎えください。
Commented by yuki0901671 at 2020-12-21 09:26
おはようございます。

ああ、凄い。
やはりカソリックの国であることを
実感します。
森も独特で、ヨーロッパの地層の感じを
受けますね。
Commented by cometsan1966 at 2020-12-22 00:29
凄い断崖絶壁に建つ修道院ですね・・そちらはそういう
山の中の断崖絶壁などのロケーションに建つ修道院やお城
が多いようですね(^-^;・・凄く興味深いです☆彡

敷き詰めらた落葉が季節を語っていますね・・遠くの山上にも
雪が積もり本格的な寒到来を予感させますね(^-^;汗

ミサの説教・・その一説を読ませて頂き凄く心に響きました!
このコロナ禍の先が見えない時代の心に灯りがともされる
温かな気持ちになりすね(*^^*)・・素晴らしいです!!
Commented by milletti_naoko at 2020-12-22 02:47
のんさん、ありがとうございます。わたしも近視なので、空がまだ明るいときは星を見つけるにも苦労したのですが、空が暗くなってからは、一度写真でどんなふうに二つ星が並んでいるかを確認してからよく見たら、土星と木星が並んでいるのが目で確認できました。

クリスマスの祝祭期間中にラヴェルナに行くことができて、本当によかったです♪
Commented by milletti_naoko at 2020-12-22 02:56
金太郎さん、こんばんは。
わたしも、今はどこかいいねに振り回されているところがあって、以前の方が金太郎さんをはじめ、もっといろいろな方のブログを一つひとつゆっくりと拝読できていたように思います。こちらからもすみません。

金太郎さんのご存じのイタリア、なんとゴッドファーザーと塩野七生さんのローマ時代の作品だったんですね! イタリアをより知っていただくことに貢献できたようでうれしいです。

ありがとうございます。金太郎さんもどうかお体を大切にお過ごしくださいませ。来年こそ、よい年となりますように。
Commented by milletti_naoko at 2020-12-22 03:05
yuki0901さん、こんばんは。ギリシャのメテオラの修道院もですけれども、聖フランチェスコもこんなふうに、俗世から離れたところに身を置いて、祈りや瞑想に過ごすことを好んだそうです。

この切り立った岩、厳しさと同時に、守ってくれる懐の広さと深さ、温かさを、そばを通るたびに不思議と感じています。
Commented by milletti_naoko at 2020-12-22 03:18
お馬さん、断崖絶壁に建つ修道院というと、ギリシャのメテオラ修道院群は、日本でも知られていることと思いますが、俗世から離れた生活を送ろうという修道士たちの心からそうした場所に建てたようです。ラヴェルナはかつて聖フランチェスコが好んで寝泊りもし、祈りを捧げた場所に、後世に修道院が建てられたのですが、この場所を聖フランチェスコが好んだのもやはり、俗世から離れ自然が美しいためと言われています。

お城も断崖絶壁にあることが多いのですが、それはいつ攻めてくるかもしれない敵から町や国を守るために、自然の地形をうまく利用したためなんです。

イスラエルの民は、砂漠や他国における厳しい生活を40年間耐えて、救世主の生誕を待ち続けたのだという話も説教にはありました。だから今年はことさら、そのときの民の苦しみが分かるのではないかとも。ありがとうございます。来年こそ、灯が心とともに世にも灯る年となりますように♪
Commented by tokotakikuh at 2020-12-22 14:37
なんだか・物語に出てくる風景ですね
トスカーナー・・
あこがれの地です

この時期の、この行事
静かに、執り行われる、修道院は
流石ですね

行ってみたいです・・
行けるかな?無理だろうな~の願いで見ました
Commented by milletti_naoko at 2020-12-22 19:45
zakkkanさん、冬の澄んだひんやりとした空気の中、森も修道院もいつもと違う美しさがありました。ミサやプレゼーペの飾りつけに、訪れる人が少なくとも、クリスマスの訪れを祝おうという思い、訪ねる人への温かい思いが感じられました。

いつか来られる日が、そうしてもっと安心して旅行を楽しめる日が、早く来ますように。
Commented at 2020-12-25 06:55
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2020-12-26 23:57
鍵コメントの方へ、遅くなりましたが、Buone Feste! イタリアでは今日は聖ステーファノを記念する祝祭日で、1月6日まではまだまだクリスマスを祝う期間が続きます。

すばらしいですね! うちの夫は、できれば眠らずにクリスマスの朝を迎えたいんだけれどと言いながら、夜遅くに就寝しました。ありがとうございます。どうかお元気でうれしいことの多い年末年始でありますように。
by milletti_naoko | 2020-12-21 07:34 | Toscana | Comments(12)