イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

第127号「干支の丑とペルージャのことわざ、イタリアのクリスマスと新年」


1.干支の丑とペルージャのことわざ


 来る年、2021年は丑年ですが、ペルージャのことわざには、毎年、新しい年が訪れるたびに、牛が登場します。


Anno Vecchio, Passo di Un Vecchio,

Anno Novo, Passo di un Bovo.


 2行目のnovo、bovoはいずれもペルージャの方言で、それぞれ、イタリア語のnuovo「新しい」、bove「牛」にあたる言葉です。ことわざを訳すと、次のようになります。


「旧年には老人の歩み、新年には牛の歩み。」


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 その心は、冬至(solstizio d'inverno)以降、昼が長くなっていくその速度は、古い去りゆく年(anno)には、老人(vecchio)のように、足どり(passo)がゆっくりだけれども、新年(anno nuovo)に入ると、加速して、牛のように速くなり、目立って日が長くなっていくということです。




 イタリアでもワクチンの接種が12月27日から開始され、ニュースでもこの「ワクチン(vaccino)こそクリスマス(Natale)の真の贈り物(regalo)だ」という言葉がしばしば聞かれ、賛否両論はあるものの、日本やイタリアをはじめとして、世界中の多くの人々の命や健康、自由や暮らしを脅かしてきた新型コロナウイルス感染症の抑制の効果が期待されています。

 ワクチンという言葉については、ウィキペディア日本語版に次のような説明があります。

「ワクチンという名称は、ラテン語のVacca(雌牛)に由来する。世界初のワクチンである天然痘ワクチンが雌牛から取られたため、この名がつけられた。」(引用元ページはこちら

 語彙の9割がラテン語起源であるイタリア語では、今も「雌牛」をvaccaと呼びます。イタリア語で「ワクチン」を表すvaccinoという言葉は、もともとvaccaから派生した「牛の」を意味する形容詞だったのですが、天然痘ワクチンの創始以来、名詞として「ワクチン」という意味でも用いられることとなりました。


Felice Anno Nuovo


 干支である牛の勢いに乗って、またやはり「牛」にゆかりのあるワクチンの助けを借りて、来年はどうか、皆さんにとって、そして世界中の人々にとって、安心して暮らしていくこと、旅をすることができる、よい年となりますように。



2.イタリアのクリスマスと新年


 日本の子供たちは、クリスマスにはサンタクロースからの贈り物、新年にはお年玉を楽しみにしているのですが、イタリアでも、古来、クリスマスやその前後には、子供たちがこの時期の特別な贈り物を心待ちにしています。

 今でこそイタリアでも、アメリカ文化の影響で、クリスマスにはサンタクロース(Babbo Natale)が贈り物を運んでくることになりつつありますが、1861年まで政治的・行政的に分断されていたイタリアでは、子供たちがこの時期に、いつ誰から贈り物を受け取るかも、地域によって違いがありました。ペルージャの義家族は、姪たちが保育園に通い始めるまでは、クリスマスの贈り物を届けるのは幼子イエス(Gesù bambino)だと言っていましたし、アドリア海岸の町、リッチョーネの友人は、彼女が幼かった頃は、贈り物を届けるのはべファーナ(Befana)だけだったと言います。興味のある方はぜひ、次の記事をご覧ください。

 また、イタリアの例年のクリスマスと、いつもとは著しく異なる新型コロナウイルス感染下で迎えた2020年のクリスマスについては、ニューズウィーク日本版の姉妹サイト、World Voiceの連載「イタリアの緑のこころ」(連載記事一覧へのリンクはこちら)の次の記事でご紹介しています。ぜひ、ご覧ください。


 それでは皆さん、どうかくれぐれもお体を大切にお過ごしください。うちで過ごす時間が長くなってしまうお正月に、イタリア語学習にも少しずつ取り組みたいという方は、よろしかったら、次のイタリア語学習メルマガの移行済みバックナンバーから、歌やクリスマスにゆかりの記事、映画や料理など、興味がある記事を読むことから、始めてみてください。


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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by zbjsower at 2021-01-01 05:59
明けましておめでとうございます!

昨年は本当に思わぬ大変な年となってしまいましたが、
今年は是非とも、みんなが安心して健やかに過ごせる年になって欲しいものです。

私の方はいつもながらマイペースですみません^^;

今年もなおこさんのブログを拝見するのを楽しみにしております。
イタリアの興味深いお話にいつも感銘を受けております。
これからもお邪魔させてくださいね。

2021年は、なおこさんにとって、実り多き素晴らしい一年でありますように!

今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。m(__)m
Commented by ciao66 at 2021-01-01 11:08
明けましておめでとうございます。
干支の「牛」にゆかりのあるワクチン、そういえば牛痘が始まりだったようなと思い出しました。闘牛の牛のような勢いで疫病を退散させてくれるといいですね。
 今年は感染対策をしつつ、ワクチンが安全そうならば様子を見ながら打って、神仏にもお願いして、感染拡大時にはおとなしくして、それが緩んだときは近場の旅に出かけ、そんな年になりそうです。あれっ昨年とほとんど同じだ・・・。
時間が空くと海外旅行のやり方も忘れそう。
 今年もどうぞよろしくお願いします。
Commented by myumama3434301 at 2021-01-01 12:35
なおこさん👋

新年明けましておめでとうございます。

遠く日本から幸せな1年になります様、お祈りしております。

今年も宜しくお付き合い下さいね〜👋
Commented by cometsan1966 at 2021-01-02 19:54
なおこさん、あけましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願いいたします(^^)/

牛さん・・・毎年新しい年が訪れるたびに登場するのですね!
「旧年には老人の歩み、新年には牛の歩み。」・・どういう
その心の正解を得るまで考えに考えました・・が・・まだまだ
先人の知恵には遠く及ばなない私でした(^-^;汗
座布団~山田君!5枚空輸ですね・・素晴らしいです!!
とても面白いお話をありがとうございます!

安心して旅行が出来る年になっていってほしいですね!
それまでは身体を密にならない運動で鍛えて・・本を読んで
心の栄養を補給ですね・・折角の外出自粛ですからね(^-^;ふふ

次のクリスマスプレゼントの贈り主のお話・・とても興味
深かったです(*^^*)・・幼子イエスがそしてサンタクロース
いやいや!イタリアの魔女のベファーナか(笑)謎が謎を呼ぶ
スリリングな展開でした。。。とても面白かったです☆彡
Commented by milletti_naoko at 2021-01-06 06:10
Hideさん、明けましておめでとうございます!

本当に、今年こそ、Hideさんが大きな山をお子さんたちと登って、すばらしい眺めを山頂から眺められて、後は下りとなるように、世界もこの大きな山を越えて、「苦あれば楽あり」の「楽」が来る年となってくれますように。

温かいお言葉をありがとうございます。マスメディアでは伝えられにくい、小さな町の日々の暮らしや自然の、美しさや喜びなどが少しでも伝わったらと感じているので、お言葉とてもうれしいです。

わたしの方こそ、Hideさんのように、お子さんたちが幼い頃からいっしょに山登りの経験や風景や成長を、できるだけ時間をたくさん共に過ごして分かち合っていこうという過ごし方、すばらしいと思います。

どうか新年がHideさんにとって、うれしいことの多い充実した一年でありますように♪

こちらこそ新年もよろしくお願い申し上げます。
Commented by milletti_naoko at 2021-01-06 06:22
ciao66さん、明けましておめでとうございます。
本当に、めぐりの年の勢いで、牛たちとワクチンが、ウイルスを退散させてくれますように。
そちらでは、ほとんど同じお正月なんですね。こちらは年末年始、昨年とはがらりと様子が変わり、不自由ではありますが、これで少しでも感染拡大を食い止めることができればと願っています。

こちらこそ新年もよろしくお願い申し上げます。
Commented by milletti_naoko at 2021-01-06 06:31
みゅうママさん、新年あけましておめでとうございます。
お祝いのお言葉、ありがとうございます。お返事がこんなに遅くなってしまって、申しわけありません。
どうか皆さんにとっても、うれしいことの多い、すてきな年となりますように。
こちらこそ、今年もよろしく申し上げます♪
Commented by milletti_naoko at 2021-01-06 06:43
お馬さん、明けましておめでとうございます!
こちらこそ新年もよろしくお願い申し上げます。

電気が通る前はやはりロウソクやランプの明かりが頼りで、日の入りの時間や日が長くなっていくことが、人々には切実に感じられたので、こういうことわざがきっとあるのだろうと思います。夫が生まれ育ったテッツィオ山にも、昔は牛や羊がたくさんいたそうで、牛もとても身近な動物であるようです。

贈り主の話、読んでくださったんですね。ありがとうございます♪ 日本の場合は、元旦に子供がお年玉をもらえる慣習と、クリスマスでサンタからもらえる贈り物がどちらも共存しているのですが、イタリアでもそうして今も複数の贈り物がもらえる地域と、幼子イエスのように、クリスマスの真の主人公ではありながら、贈り主としての役はサンタに代わられてしまった場合もあるんです。ちなみにイタリアでは、クリスマスのミサのあとでは、幼子イエスの人形の前に皆が並んで、自分の手を口づけして、その手で幼子イエスの像に触れる、そんなふうに祝ったり祈ったりもしています。
by milletti_naoko | 2021-01-01 01:01 | Lingua Italiana | Trackback | Comments(8)