イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

主顕節とペルジーノ《東方三博士の礼拝》とプレゼーペ、チッタ・デッラ・ピエーヴェ

 今日、1月6日は、主顕節(Epifania)東方の三博士(Tre Magi)が長い旅を終えて、ようやく幼子イエスに出会って拝み、贈り物を捧げたと言われる日です。イタリアでは国民の休日でもあります。

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Adorazione dei Magi del Perugino, Città della Pieve (PG), Umbria 28/12/2018

 写真は、ペルジーノ(Perugino、1450年頃-1523年)が1504年に描いた《東方三博士の礼拝》(Adorazione dei Magi)で、ラファエロの師であったペルジーノ、本名、ピエートロ・ヴァンヌッチ(Pietro Vannucci)が生地、チッタ・デッラ・ピエーヴェ(Città della Pieve)の信者会の依頼を受けて描いた美しいフレスコ画です。

 サイト、ARTÈPASSIONEのこちらの記事によると、このフレスコ画の左手奥に見える人々のうち、赤い帽子をかぶり、黒い服を着ているのがペルジーノの自画像で、ピンクの帽子をかぶっているのがラファエロである可能性もあるそうです。

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 同サイトによるとまた、渓谷の向こうにトラジメーノ湖が広がり、人々の衣装からも、この絵には当時のチッタ・デッラ・ピエーヴェ周辺の風景が描かれているとのことです。

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 興味深いのは、1835年に発見された、ペルジーノが1504年に書いた手紙です。ペルジーノは、このフレスコ画を依頼した信者会に対して、「報酬は本来なら200フィオリーノとなるところですが、わたしもチッタ・デッラ・ピエーヴェの町民ですから、半額で満足します。4分の1はすぐに支払い、残りは年に3度に分けて支払ってください」といった返事を書いているのですが、信者会にはその半額でも高かったようで、ペルジーノはその後、報酬をさらに減額しますという手紙も書いています。フレスコ画のある礼拝堂には、このペルジーノの手紙の複製が、展示されています。

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 トスカーナとの州境に近い、この美しい町の礼拝堂で、わたしたちがペルジーナのフレスコ画とプレぜーぺを見たのは、2018年の末のことです。

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Presepe Monumentale di Città della Pieve

 毎年展示されるという大がかりでみごとなプレプレゼーペ(presepe)を見たあとで、ペルジーノのフレスコ画も見に行ったのです。

 この年は、わたしたちがミサによく訪れるアッシジ郊外のサンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会の中に建つ小さな教会、アッシジの聖フランチェスコが、仲間たちと共に築き、最も長く暮らして心にかけたというポルツィウンコラ(Porziuncola)が、幼子イエス生誕場面の聖家族の後方に再現され、

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そのはるか左手には、他の人々同様に礼拝する聖フランチェスコの像もありました。

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 このプレぜーぺの会場には、大天使ガブリエルが聖母マリアに受胎を告知する場面もあり、

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生誕場面は長い廊下を通り抜けたあとにあるのですが、その廊下には、東方の三博士が、幼子イエスにお会いしようと歩いて旅をした砂漠やその町なども再現され、

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そうした場面も、生誕場面と同様に、昼から夕方、そして夜へと空の色や光が移り変わっていき、夕景もきれいです。

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 そうして、わたしたちが訪ねたのが12月28日だったからでしょう。1月6日に聖家族のもとに到着するはずの東方の三博士たちの像はは、まだ入り口近くの長い廊下の隅に置かれていて、照明が当たっていない像さえありました。

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 この写真は、三博士の像が見えるように明るさを調整してあります。どの像も礼拝をするような姿勢をしているので、おそらくは、主顕節であった1月6日には、この東方の三博士の像も、幼子イエスの像の近くに移動させたのだろうと思います。


 チッタ・デッラ・ピエーヴェで、美しい夕景とプレゼーぺ、ペルジーノのフレスコ画を見てから、もう2年以上経ちました。ようやく記事にすることができて、ほっとしています。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ムームー at 2021-01-07 10:23 x
なおこさん
おはようございます
プレゼーべを見せていただいたときのことを今でも
覚えています、歴史も文化も違いますがその国の
ことをこのように適格にとらえて居られるのは
さすがですねぇ
画家が交渉したりするのは大変なことですね
日本のお抱え絵師にも興味がありました
いつも考えるヒントをいただけて嬉しいですわ
Commented by tokotakikuh at 2021-01-07 14:06
イタリアは
身近に、芸術作品の宝庫です
そして、こうした絵画をみせていただくと
まるで、今にも動き出しそうな、リアルな美をみますね

美しい世界ですね
この世界に、祈りを添えたいです
コロナが消える日を・・
Commented by ciao66 at 2021-01-07 16:50
イタリアには美しいものがいっぱい、そして
ウンブリアには美しい所がいっぱいあるんだ、
とあらためて思いました。
ペルジーノのフレスコ画も、夜空の美しいプレゼーベも、
とても素晴らしいものですね!
Commented by milletti_naoko at 2021-01-08 07:25
ムームーさん、こんばんは。
年末年始を過ごし祈る気持ちや対象が、国や文化によって変わっていくのはおもしろいですね。こうして長い間、ブログを通じて交流できていること、ありがたく感じています。

今と違ってきっと年金などがあるわけでもなく、画家も暮らしがかかっているし、けれども払う方もそんなにはと難しかったりして、昔の名画が描かれる背景、興味深かったです。
お抱え絵師もやはりそんなふうな交渉を雇い主とする機会があったのでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2021-01-08 07:34
zakkkanさん、ありがとうございます。
ペルジーノが、当時自分が生きて知っていた時代の風景や衣装を、イエスの生誕場面を描くのに使っているのも、おもしろいなあと思いました。風景も人も衣装も、優しい表情や色づかい、細やかな描写がいいなあと思います。群衆も、集まってはいるけれど、皆がみな、イエスや三博士の方ばかりを見ていないところなども……

本当に一刻も早く退散させることができますように。
Commented by milletti_naoko at 2021-01-08 07:42
ciao66さん、本当に、美しい芸術作品や風景に満ちていて、ありがたいことです。
ありがとうございます。どちらも、とても感嘆したものだから、かえってご紹介するのが遅くなってしまったのですが、そうおっしゃってくださると、ご紹介できてよかったなあと改めて感じることができます♪
Commented by cometsan1966 at 2021-01-08 22:28
美しいフレスコ画を見ると・・様々な人の表情や仕草や
動作が凄くいきいきと描かれていて・・この物語を凄く
引き立てていますね・・トラジメーノ湖も登場して尚更
身近な事と感じやすいのでしょうね(*^^*)・・1月6日が
そのような大いに意味のある日だと初めて知りました!

プレゼーペ・・凄い臨場感で表現されていて・・目を奪われますね☆
それぞれに意味がある貴重な場面であり見応えが凄いですね☆

二年前の素晴らしく美しい夕日と今回シンクロされて・・
全体像をよりつかみやすくてとても楽しく興味深く
拝見出来ました(^^)/・・ありがとうございました!!
Commented by milletti_naoko at 2021-01-10 01:24
お馬さん、ありがとうございます。2年前の夕日の写真も見てくださったんですね! 雲と霧の向こうに沈んでいく夕日が、あの日はとてもきれいでした。

世界各地のプレゼーペも、ペルジーノのフレスコ画も、細部までていねいに美しく、すばらしいと思うと同時に、作る人や描く人の生きる時代や文化の要素を取り入れているのがおもしろいなあと思います。どんなに今、キリスト生誕当時の様子を再現しようとしても、また、どこか異国の文化や動物たちを観察しようとしても、どうしても人は、今自分が生きる文化や時代を起点にして感じたりとらえたりしがちなのだろうなあなどとも思いながら。
by milletti_naoko | 2021-01-06 19:29 | Feste & eventi | Comments(8)