イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

登山靴ありがとう雪のノルチャ・カステッルッチョ

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 12月13日日曜日、シビッリーニ山脈の標高1500m以上の高みが、白い雪に包まれた日に、

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Norcia (PG), Umbria 13/12/2020

聖ベネデットの生地、ノルチャ(Norcia)を訪ねたときは、

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そのあと、カステッルッチョ(Castelluccio)の高原か周囲の山を歩くつもりだったのに、

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昼食を買おうとあてにしていた店で、パンが売り切れていたり、カステッルッチョ中心街の広場と店があまりにも混雑していたりしたために、結局車で通り過ぎるだけとなったことは、先日お話ししました。

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Visso (MC), Marche

 このときは、結局、シビッリーニ山脈をマルケ側へと車で下って、2016年のイタリア中部地震後、4年が過ぎる今になっても、カステッルッチョ同様に、歴史的中心街に立ち入ることができないヴィッソ(Visso)で、昼食を食べました。

 デザートやケーキがおいしいので、地震前からお気に入りだった店の

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仮店舗が町はずれにあり、ヴィッソに着いた頃には、午後2時半頃になっていたからです。

 甘いものしかないのではないかと心配していたのですが、

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幸い切り売りのピザも売っていたので、ピザとケーキを一切れずつ買って食べました。中にあまりにも人が多いので驚き、少々困惑もしたのですが、暖かい店内で、おいしいピザとケーキが食べられて、うれしかったです。

 食後のコーヒーを飲むために、再び列に並び直す必要があったので、夫が言うように、最初からコーヒー代も払っておいて、後でその支払いをした際のレシートを見せて、コーヒーを入れてもらった方がよかったようです。ただ、クリスマス前なので、クリスマス用の商品の詰め合わせもいろいろ置いてあり、そういう品物にも目をやりながら、列に並んでいました。

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 わたしの足は、長さに対して幅が広く、けれども日本では、だからと言って靴選びに困ったことがいっさいなかったのですが、イタリアでは、靴でもサンダルでも、まず足が入るものを見つけるのに、苦労しています。

 そのため、登山靴は、横幅がちょうどいい靴を購入すると、縦の長さはつま先に余裕があり過ぎるために、平地や登り道では問題ないのですが、急な下り坂を歩くときは、登山靴の中で、下方へと滑ってしまい、そのためにつま先の指が痛むことも時々ありました。

 それで夫は、以前から足にきちんと合う登山靴を買わなければいけないと言い、去年のクリスマスには、「登山靴がきちんと足に合うようにしてくれる店で、君の靴を贈るよ」と言ってくれていたのです。その店はノルチャにあるのですが、12月5日まではウンブリア州がオレンジゾーンでペルージャ市外には出られず、12月6日日曜日は、ひどい悪天候だったために、ノルチャには行けなかったのです。

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Norcia (PG), Umbria 7/1/2021

 一番手前にある店、L'Emporio della Sibillaが、足のサイズを測って、登山靴を注文し、さらに到着した靴がわたしの足に合うように、中敷きや靴そのものに手を加えてくれた店です。

 わたしの足は横幅が広い上に、左足の方が右足に比べて、幅が5mm広いために、まずは幅の広い靴を注文してから、その靴に足が合うように調整するということで、12月13日は店を後にしました。12月21日から1月6日までは、感染拡大抑止のための規制で、居住する市町村の外に出られないことになっていたので、12月20日までに届くよう願っていたのですが、届いたのは年末となり、そこで、新しい靴を試しに履いてみて、足に合うように直してもらうのも、1月7日となってしまったのです。

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 1月7日には、ノルチャの町や周囲の平野にも、雪がたくさん積もっていました。

 正午頃に到着して、新しい登山靴を履いて、どこにどんなふうに手を加えなければいけないかを見るためでしょう、靴下をあれこれ変えて、立ったり歩いたりして、「このあたりがきつい」とか「これでちょうどいい」とか、それぞれの状況で靴が足に対してどんなふうに感じられるか、質問に答えました。

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 写真は、靴ひもを結んでいたとき、夫も店の人もよそを見ていたすきに、撮影したものです。

 仕上がりは午後3時半とのことだったので、昼食を食べてから、ノルチャの周囲で過ごすことにしました。

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 今回は低地さえ雪が高く、カステッルッチョへ登る道は、積雪や凍結の恐れがあるからと、断念しました。年末に飛び出した鹿と接触してしまった夫の車は、1月4日から11日まで、損害額の鑑定と修理のために、ディーラーに預けてあったので、この日はわたしのアイゴでノルチャに行ったのですが、アイゴのタイヤは細く小さいため、砂利道でさえ滑ったことがあるほどだからです。

 そこで、ノルチャの歴史的中心街で、昼食に買ったパニーノを、雪が積もるテーブルで食べ、町をしばらく散歩してから、

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アイゴに乗って、雪景色を楽しみながら、

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Grande Quercia di Nottoria, Norcia (PG)

樹齢数世紀と言われるオークの巨木のあるノットーリアに向かいました。

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 本当は、大木の周囲を散歩して、様々な角度から眺めたり撮影したりしたかったのですが、この写真で右にあたる方向に、放し飼いで吠えたて、走り回っている犬がいたので、別の方向に少しだけ歩いてから、ノルチャに戻りました。

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 枝の先まで白い雪に覆われた木々も、一面の雪野原もとてもきれいです。

 12月21日から1月6日まで、イタリア全国で、居住する市町村外には出られない日が続いていたその直後、1月7日に店を訪ねたために、店にはかなり人がいて、時間がかかったのですが、直してもらった靴をさらに履いてみて、最終的な調整をしてもらい、登山靴を夫が買ってくれてから、店を出ました。

 この登山靴は実は、最初はどうも大きさがちょうどすぎて、若干きついような印象があったのですが、店の人も言っていたように、履くうちにどんどん足になじんできて、ちょうどいい感じになってきました。

 新しい車のローンや山の家の改築費用で大変なときで、夫は、10年以上前のノートパソコンを苦労しながら使っているというのに、ありがたいことです。感謝しながら大切に履いて、これからもいっしょに、いろんな風景を訪ね歩いて行けたらいいなと思っています。

関連記事へのリンク
- 雪頂くシビッリーニ山脈のカステッルッチョへ
- 白雪の被災地ノルチャとオークの巨木
- 年末に鹿に当たり昨日無事帰還夫の車

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:あなたの見つけた冬景色
Commented by 3841arischan at 2021-01-28 08:47
なおこさん、登山靴がそんなに歩くのには、重要というのは知らなかったです(-_-;)確かに日本人の足は、横幅が広く縦は短いと輸入品のスニ―カ―の幅とかを試したら思います!そででも、日本に入ってくるものは、比較的日本人の足に合うようなつくりのものが多いのでは?と思います。足に合う靴を注文してくださったご主人様の優しさ、素敵です(^^♪

雪景色を見ながらのドライブ、とても美しい風景に感動です~☆愛媛は、ちらりとは降りましたが、これほどには積もらず、一緒に雪を楽しませていただきました(*^_^*)
そして、切り売りピザ、温め直してお店の中でいただけるのなら、量も多くないし、デザートと一切れずついただけるなんていいですね(^-^)イタリアでは、何でも量が多いので、次回旅行出来たら、こういう食べ方も参考になります♡
Commented by sunandshadows2020 at 2021-01-28 13:08
なおこさんのの足に合わせて登山靴を作るとは最高のプレゼントですね。
靴、特に登山靴は長時間の運動に耐える為にしっかりとして足に合ったものが必要ですものね。
その登山靴で歩く度に御主人の愛情を感じるでしょうね。
お二人の趣味のトレッキングが尚楽しくなる事請け合いですね!
Commented by meife-no-shiawase at 2021-01-28 16:23
山が真っ白ですね~!!!
すっかり雪景色!!!

足に合わない靴を履くのは拷問に近いですもんね。
なおこさんは横幅が広いのですか・・・
確かに横幅に合わせるとつま先はちょっと大きすぎてしまう・・・
私は逆で人差し指が変に長くて、そこに合わせると
他のところがぶかぶかしてしまうんです。
かといって他に合わせると、人差し指を曲げて履かないと
いけないので・・・
合う靴がなかなかありません。
なので、きちんと測ってくれてぴったりの靴を手に入れた
なおこさんの嬉しい気持ちはすご~くわかります♡
よかったですね!!!
Commented by nonkonogoro at 2021-01-29 08:13
素敵な雪景色ですね。
下から二つ目の画像
 雪山を背景に 真ん中に 木々の茂みが見える~のが
一番好きです。

ぴったりした靴には
なかなか巡り合えません。
私も 下敷きを細工してもらったりして
自分に合うように調整してもらった靴は
履き心地が良いです。

Commented by milletti_naoko at 2021-01-29 08:40
アリスさん、濡れた岩の上でも足が滑りにくく、足場が悪いところでもしっかりくるぶしを守ってくれて、少々泥だらけだったり、浅い小川を渡ったりしても、靴の中は乾いていて……と、山を歩くときには、いろいろな状況で、快適にしっかり足を運べるようにしてくれる登山靴がとても大切になります。

ありがとうございます。わざわざ足にそこまで合う靴ではなくてもと思っていたのですが、やはりいろんな意味で歩きやすく、また安心です。

わたしも南予に住んでいたときは雪が積もるのもよく見ましたが、東予は海が近いからか温暖で、やはり雪が積もることは少ないのですね。

この店は甘いものがとにかくおいしいことを知っていたので、甘いものもどうしても食べたかったのでこういうことになったのですが、どちらも食べられてよかったです。ご参考になったと知ってうれしいです♪
Commented by milletti_naoko at 2021-01-29 08:48
お転婆シニアさん、急な下り坂は、ただでさえ足を運ぶのも、体のバランスを取るのも難しく、滑りやすいのに、指先がいたんだりして大変だったので、とてもありがたいです。

そう言えば、初めて二人でテッツィオ山の頂上まで登ったとき、わたしのテニスシューズがかなり傷んだからと、つきあいだして間もない頃にも、登山靴を贈ってくれたことがありました。

ありがとうございます。これからの山歩きが楽しみです♪
Commented by milletti_naoko at 2021-01-29 08:59
メイフェさん、一面の雪がきれいでした。雪景色を見ると、犬ではありませんが、やっぱり不思議と心が弾みますね♪

ありがとうございます! 登山靴はイタリアでしか買ったことがないので、少々上が余るのは仕方ないと思っていたのですが、歩いてみるとやはり合わないのだということがよく分かるので、足によく合う靴はありがたいです。足にもありがたいし、何より気持ちがうれしかったです♪

人差し指だけが長いというのもまた、合う靴を見つけるのが大変そうですね。人それぞれにいろいろな苦労があるのだなあと改めて感じました。
Commented by milletti_naoko at 2021-01-29 09:01
のんさん、ありがとうございます。
緑の山もいいですが、一面雪に覆われた山や野原も美しいなあと、二人で感嘆しながら道をゆきました。

やっぱり下敷きなどで細工をしてもらわないと、自分の足に合う履き心地のいい靴に出会うのは難しいのですね。
Commented by maccha-roll at 2021-01-29 20:28
暖かな気候になったら登山が楽しみですね!思い出をはせながら使える贈り物も素敵だと思います。遅ればせながらお誕生日おめでとうございます。

ペルージャからノルチャへの道のりとその周辺について書かれたエッセイを丁度読み返していまして(『霧のむこうに住みたい』須賀敦子著)、奇遇にもなおこさんのエッセイと重なり実際の今のノルチャの風景や街の様子を知ることができ、理解深まり嬉しく思いました。

イタリアの文化やお暮らしぶりを、いつも(ゆっくりですが..)愉しませて頂きありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2021-01-29 22:45
maccha-rollさん、ありがとうございます。
外出規制・移動規制で手に入るのが遅くなったからと、代わりに本も贈ってくれたのですが、…と書きかけて思い出しました。あ、そう言えば、誕生日ではなく、クリスマスの贈り物でした。記事、これから訂正して書き直します。

須賀敦子さんの本は、日本でイタリア語の勉強をしていた頃、20年前に読んで感動したのを覚えています。当時読んだ『ミラノ 霧の風景』や全集第1巻の読書記録はあるのですが、『霧のむこうに住みたい』という著作もあって、なんとペルージャからノルチャへの道のりや周辺についても書かれているのですね!  

今になって思うと、須賀敦子さんが暮らされていた1958年から1971年は、ちょうどモドゥンニョが『Nel punto dipinto di blu』を歌い、イタリアがちょうど奇跡の経済と言われる高度経済成長のただなかにあったときです。そういうことも踏まえて、いつかぜひ読んでみたいと思いました。

こちらこそ、読んでくださって、そして興味深く、温かくうれしいコメントをありがとうございます。
Commented by orangee29 at 2021-01-30 20:45
私の友人に、日本人男性と結婚し、30年近く日本に住むアラフィフの中国人女性がいます。
以前、彼女が
「私は日本に来て、言葉と文化の違いで非常に苦労した。
この大変さは、いくら言葉で説明しても、真の部分は誰にも分らない。
今までやってこれたのは、夫の協力があったからだ。
それがなければ、とうの昔に中国に帰っている」
と言っており、非常に強い夫婦の絆を感じました。

なおこさんのブログを読んでいると、とてもダンナさんと仲良しなのが伝わります。
友人となおこさんは、国も状況もまったく違うので、同じとは思わないのですが、
なにかしら通じ合うところがあるのかな~なんて、勝手に思っちゃいました。
Commented by milletti_naoko at 2021-01-31 02:29
蟻乃さん、日本と中国だと、距離や文化が近いだけに、かえってその違いにとまどう思いを、皆に感じて理解してもらうのが難しくて、かえって苦労される方が多いかもしれませんね。お友達もだんなさまもすてきな方ですね。おっしゃるようにきっと、いろいろなことをいっしょに乗り越えてきたことで絆を深められてきたのでしょうね。

わたしと夫は、ケンカもよくするのですが、日本でならば難しいほど、夫婦でいっしょに過ごす時間があること、そうして、そういう時間にいっしょに何かしようと言ってくれる夫であるのが、ありがたいです。親戚や友人の中には、だんなさんは自分だけで、あるいは友人と釣りに行ったり狩りに行ったりという人もいるのですが、わたしは逆に、たまには自分だけで友達や趣味の仲間と出かけてくれるのがありがたいほど、いっしょにいる時間が長いので(だから特別ではなくなって、いっしょに写真を撮ろうとすると、どうしてという顔をされはするのですが)、そうやってきっと絆も深められているのではないかと思います。
Commented at 2021-01-31 07:36
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2021-02-01 17:55
鍵コメントの方へ
少しずつ足になじみ、町も歩けてしまうきれいな靴で、散歩が楽しいです♪ 天気や移動規制で、なかなか歩く機会がないのではありますが。
須賀敦子さん、そんなことも書かれていたんですね!
皆さんのコメントに須賀敦子さんへの言及が重なるので、また読んでみたいなあと思っています。まあ、それは楽しみです!
by milletti_naoko | 2021-01-28 08:30 | Umbria | Comments(14)